毎年7月10日は事務手続き期限の集中日

 毎年7月10日は、事務手続きの期限が集中します。代表的なものを挙げると、労働 保険(労災保険・雇用保険)の年度更新、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の算定基礎届、納期の特例(源泉所得税)、新年度の特別徴収住民税の納付開始などがあります。

 以下では、これらの手続きの概要について確認します。

1.労働保険の年度更新

 労災保険と雇用保険をあわせて労働保険といいます。

 労働保険の保険料は、前年4月1日から当年3月31日までの1年間を単位として計算し、その額はすべての労働者(雇用保険については被保険者)に支払われる賃金の総額※1に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定します※2

 事業主は、新年度の概算 保険料を納付するための申告・納付と、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付の手続きが必要です。これを年度更新といいます。

 この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間(土日祝日を除く)に行わなければなりません。

※1 賃金の総額には、通勤手当等の交通費(非課税分、現物支給の定期代等)を含みます。

※2 2025(令和7)年度の保険料率については、「令和7年度の雇用保険料率が改定されます(労災保険料率・子ども子育て拠出金率は据え置き)」をご参照ください。

2.社会保険の算定基礎届

 健康保険と厚生年金保険をあわせて社会保険といいます。

 事業主は、社会保険の被保険者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、7月1日現在で使用している全被保険者の当年3か月間(4月、5月、6月)に支払った給与等を算定基礎届によって届出をする必要があります。

 このように、毎年1回標準報酬月額の見直しを行うことを定時決定といい、見直し後の標準報酬月額は、原則として当年9月から翌年8月までの各月に適用されます。

 算定基礎届(届出用紙)は、6月中旬以降に事業所あてに送付され、5月中旬頃までに届出された被保険者の氏名、生年月日、従前の標準報酬月額等が印字されています※3

 算定基礎届の提出期間は、毎年7月1日から7月10日まで(10日が土曜または日曜の場合は、翌営業日が提出期限)とされています※4

※3 定時決定は、7月1日現在で事業所に在籍している全被保険者(従業員・役員)を対象として行われる標準報酬月額の見直しであるため、6月30日以前に退職・退任した従業員・役員については定時決定の対象外となります。
 したがって、6月30日以前に退職・退任した従業員・役員の情報が印字されている場合には、算定基礎届の「備考」欄の「9 その他」欄に「退職・退任年月」を記入します。

※4 算定基礎届送付時に同封されている返信用封筒により事務センターへ郵送する場合は、7月1日より前に郵送すると事務センターに届かずに戻ってくることがあるようですので、算定基礎届は提出期間内に提出する必要があります。

3.納期の特例

 事業主は、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます)を、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。

 ただし、給与の支給人員が常時10人未満である事業主は、源泉徴収した所得税等を半年分まとめて納めることができる特例があります。これを納期の特例といいます※5

 この特例の適用を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税等は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税等は翌年1月20日が、それぞれ納付期限となります。

 ただし、この特例の適用対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした所得税等と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税等に限られています※6

※5 納期の特例については、「納期の特例の要件である「常時10人未満」とは?」、「納期の特例はいつから適用される?」、「納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出と納期限」をご参照ください。

※6 納期の特例の対象とならない外交員報酬などについては、報酬を支払った月の翌月10日までに、源泉徴収した所得税等を納めなければなりません(関連記事:「外交員報酬に係る源泉徴収税額の計算方法」、「ホステス等に支払う報酬・料金の源泉徴収税額の計算方法」、「セミナー講師料を支払った場合の源泉徴収」)。

4.特別徴収した新年度の住民税の納付開始

 特別徴収とは、毎月の給与から差し引いた個人住民税を、事業主(給与支払者)が従業員(納税義務者)に代わり納付する制度で、所得税等の源泉徴収と同じ仕組みのものです。

 特別徴収義務者である事業主は、従業員の給与から個人住民税を毎月天引きして、翌月10日までに納付しなければなりません。

 新年度の個人住民税は6月に支給する給与から特別徴収を開始し、その特別徴収した新年度の個人住民税は、7月10日までに納付しなければなりません。年度が変わって特別徴収する個人住民税の額が変わりますので、注意が必要です。

 なお、毎月納付する手間を減らす方法として、源泉徴収した所得税等と同様に、従業員が常時10人未満である事業主には納期を年2回とする納期の特例が個人住民税にも認められています。

 源泉徴収した所得税等の納期限は7月10日(1月~6月徴収分)と1月20日(7月~12月徴収分)ですが、個人住民税の納期限は6月10日(12月~5月徴収分)と12月10日(6月~11月徴収分)となり、所得税等と個人住民税では納期限が異なります※7

※7 個人住民税を毎月納付する手間を減らすには、納期の特例を受けることになりますが、所得税等と納期限がズレていますので、それを煩雑に感じる場合もあります。
 そのような場合は、1年分(当年6月分~翌年5月分)の納付書を持参して一括納付することができる市区町村もあります。
 特に届出は必要ありませんが、市区町村によって取扱いが異なりますので、事前に市区町村に相談・確認する必要があります。

令和7年度税制改正で年収の壁はこのように変わった!

 2025(令和7)年度税制改正において、物価上昇局面における税負担の調整や就業調整対策の観点から、所得税の基礎控除や給与所得控除の引き上げ、特定親族特別控除の創設等が行われました※。

 以下では、これらの税制改正により、従前からあった給与所得者の年収の壁がどのように変わったのかについて確認します(2026(令和8)年の年収の壁については、「令和8年度税制改正で年収の壁はこのように変わった!」をご参照ください)。

※ 令和7年度税制改正の内容については、「基礎控除・給与所得控除の引き上げと源泉徴収事務・年収の壁への影響(令和7年度税制改正)」、「特定親族特別控除の創設と源泉徴収事務への影響(令和7年度税制改正)」、「扶養親族等の所得要件・住宅借入金等特別控除・生命保険料控除の見直し(令和7年度税制改正)」をご参照ください。

1.110万円の壁(住民税)

 改正で給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられたことにより、住民税が非課税となる年収が、従前の100万円から110万円に変わりました。

 住民税は、所得金額に応じて課税される「所得割と、定額で課税される「均等割」から成りますが、住んでいる地域や家族構成によって住民税が非課税となる所得金額は異なります。

 例えば、兵庫県宝塚市で均等割が非課税となる所得は、次の算式で算出します。

 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+本人)+10万円+21万円(同一生計配偶者または扶養親族を有する場合のみ)

 単身の場合は、35万円×1+10万円=45万円が非課税となる所得であり、給与収入に置き換えると110万円(45万円+給与所得控除65万円)となります。

2.123万円の壁(所得税)

 従前の103万円の壁は、年収の壁として広く一般に認識されていたものと思われます。

 改正で基礎控除と給与所得控除最低保障額がそれぞれ10万円ずつ引き上げられたことにより、この103万円の壁が123万円の壁に変わりました。

 また、改正により、配偶者控除や扶養控除の対象となる合計所得金額が48万円以下から58万円以下に変わりましたので、配偶者や扶養親族の年収が123万円以下であれば、配偶者控除や扶養控除の対象となります(給与収入123万円-給与所得控除65万円=58万円)。

 ただし、123万円の壁は配偶者控除や扶養控除の対象となる給与収入を意味するものであり、従前の103万円の壁が持っていた納税者本人に所得税がかからない給与収入という意味はありません。

 納税者本人に所得税がかからない年収の壁については、下記4をご参照ください。

3.150万円の壁(所得税):2つの意味

 従前からあった150万円の壁は、配偶者特別控除について満額の38万円を適用できる年収の壁でしたが、改正により、150万円の壁の意味は以下のように変わりました。

 扶養親族の年収が123万円を超えると扶養控除の対象から外れますので(上記2)、年齢19歳以上23歳未満の扶養親族(以下「大学生年代」といいます)についても、年収が123万円を超えると63万円の扶養控除を適用することができません。

 しかし、大学生年代については、年収が123万円を超えても、令和7年度税制改正で新設された特定親族特別控除を適用することができ、年収が150万円以下であれば、特定親族特別控除について満額の63万円を適用することができます。

 さらに、大学生年代の年収が150万円を超えても188万円以下であれば、納税者本人は段階的に逓減する特定親族特別控除を受けることができます。

 また、勤労学生本人が受けられる勤労学生控除の合計所得金額の要件が、改正により従前の75万円以下から85万円以下に変わりましたので、勤労学生本人の給与収入が150万円以下であれば、勤労学生控除27万円を受けることができます(給与収入150万円-給与所得控除65万円=85万円)。

 なお、社会保険における150万円の壁については、下記8をご参照ください。

4.160万円の壁(所得税):2つの意味

 改正後の年収160万円の壁については、以下の二つの意味があります。

 第一に、納税者本人に所得税がかからない従前の103万円の壁が、160万円の壁に変わりました。

 改正により基礎控除の10万円の引き上げが行われましたが、さらに低~中所得者層の税負担への配慮から、特例として最大95万円の基礎控除が設けられました。

 したがって、給与所得控除最低保障額65万円と合わせて、年収160万円以下であれば、納税者本人に所得税はかかりません(給与収入160万円-給与所得控除65万円-基礎控除95万円=給与所得0円)。

 第二に、配偶者特別控除について満額の38万円を適用できる年収の壁が、従前の150万円から160万円に変わりました。

 満額の38万円を適用できる合計所得金額の上限は従前どおりの95万円ですが、給与所得控除最低保障額が10万円引き上げられたことにより、配偶者の年収が160万円以下であれば、納税者本人は配偶者特別控除38万円の適用を受けることができます(ただし、納税者の合計所得金額が900万円以下の場合です)。

 また、配偶者の年収が160万円を超えても201万円以下(正確には201万5,999円以下)であれば、納税者本人は段階的に逓減する配偶者特別控除を受けることができます。

5.188万円の壁(所得税)

 大学生年代の年収が150万円を超えると段階的に特定親族特別控除が減っていきますが、年収188万円を超えると特定親族特別控除はゼロとなります(上記3)。

 188万円の壁とは、特定親族特別控除が適用されるか否かの年収の分岐点のことをいい、改正後に新しくできた年収の壁です。

6.201万円の壁(所得税)

 配偶者の年収が160万円を超えると段階的に配偶者特別控除が減っていきますが、年収201万円(正確には201万5,999円)を超えると配偶者特別控除はゼロとなります(上記4)。

 201万円の壁とは、配偶者特別控除が適用されるか否かの年収の分岐点のことをいいますが、改正後もこの部分は変わっていません。

7.106万円の壁(社会保険)

 令和7年度税制改正は、以下の社会保険制度上の年収の壁である106万円の壁には影響ありません。

 下記条件を満たす場合は、パートやアルバイトで働く人が自ら社会保険の被保険者となり社会保険の扶養から外れます(関連記事「従業員51人以上の会社で働くパート・アルバイトの社会保険加入義務(令和6年10月1日~)」)。

 ①従業員が51人以上の会社で働く(2024(令和6)年10月以降)※1
 ②週の労働時間が20時間以上
 ③月収8.8万円以上(年収106万円以上)※2
 ④2か月を超える雇用の見込がある
 ⑤学生でない

※1 2025(令和7)年6月13日に成立した年金制度改正法により、2027(令和9)年10月から、「企業規模要件」が段階的に撤廃されます。
※2 2025(令和7)年6月13日に成立した年金制度改正法により、法律の公布から3年以内に「賃金要件」は撤廃されます。

8.130万円の壁と150万円の壁(社会保険)

 令和7年度税制改正によって19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合における特定扶養控除の要件の見直し等が行われたことを踏まえ、扶養認定日が2025(令和7)年10月1日以降で、扶養認定を受ける人(被扶養者)が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く)は、現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変わりますなお、この「年間収入要件」以外の要件に変更はありません。

 年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します。
 例えば、扶養認定を受ける人が令和7年11月に19歳の誕生日を迎える場合には、令和7年(暦年)における年間収入要件は150万円未満となります。

 令和7年10月1日以降の届出で、令和7年10月1日より前の期間について認定する場合、19歳以上23歳未満の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判定します。

 130万円又は150万円の壁とは、社会保険被保険者である給与所得者(例えば親)が扶養する者(例えば子)については、親が負担する社会保険料のみで子の健康保険料及び国民年金保険料まで賄われるという年収の分岐点のことをいいます。

 従業員が51人以上(2024(令和6)年10月以降)の企業では106万円、それより規模の小さい企業では130万円又は150万円が年収の壁となります。

※ 社会保険の150万円の壁については、「令和7年10月1日から19歳以上23歳未満の人の健康保険の被扶養者認定基準が年収150万円未満に変わります」をご参照ください。

令和7年度の雇用保険料率が改定されます(労災保険料率・子ども子育て拠出金率は据え置き)

 2025(令和7)年4月から厚生労働省関係の制度変更が実施されますので、給与計算ソフトを使用している場合等はその設定を見直す必要があります。
 以下では、2025(令和7)年度の雇用保険料率、労災保険料率、子ども・子育て拠出金率について確認します。

1.令和7年度の雇用保険料率

 雇用保険法等の一部を改正する法律の施行により、2025(令和7)年度の雇用保険料率が改定されます(適用開始:2025(令和7)年4月1日)。
 改定前(2025(令和7)年3月まで)と改定後(2025(令和7)年4月~2026(令和8)年3月)の雇用保険料率は、以下のとおりです。

(1) 改定前

事業の種類 一般事業 農林水産業・清酒製造業 建設業
被保険者負担率 6.0/1000 7.0/1000 7.0/1000
事業主負担率 9.5/1000 10.5/1000 11.5/1000
合計負担率 15.5/1000 17.5/1000 18.5/1000

(2) 改定後

事業の種類 一般事業 農林水産業・清酒製造業 建設業
被保険者負担率 5.5/1000 6.5/1000 6.5/1000
事業主負担率 9.0/1000 10.0/1000 11.0/1000
合計負担率 14.5/1000 16.5/1000 17.5/1000


 園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖及び特定の船員を雇用する事業については、一般事業の率が適用されます。

2.令和7年度の労災保険料率

 労働保険は労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険に分かれますが、改定されるのは雇用保険料率であり、労災保険料率は前年度(2024(令和6)年度)の料率から改定されていません。
 2025(令和7)年度の業種ごとの労災保険料率は、次のとおりです(単位:1/1,000)。

事業の種類の分類 番号 事業の種類 令和7年度料率
林業 02・03 林業 52
漁業 11 海面漁業 18
12 定置網漁業又は海面魚類養殖業 37
鉱業 21 金属鉱業、非金属鉱業又は石炭鉱業 88
23 石灰石鉱業又はドロマイト鉱業 13
24 原油又は天然ガス鉱業 2.5
25 採石業 37
26 その他の鉱業 26
建設事業 31 水力発電施設、ずい道等新設事業 34
32 道路新設事業 11
33 舗装工事業 9
34 鉄道又は軌道新設事業 9
35 建築事業 9.5
38 既設建築物設備工事業 12
36 機械装置の組立て又は据付けの事業 6
37 その他の建設事業 15
製造業 41 食料品製造業 5.5
42 繊維工業又は繊維製品製造業 4
44 木材又は木製品製造業 13
45 パルプ又は紙製造業 7
46 印刷又は製本業 3.5
47 化学工業 4.5
48 ガラス又はセメント製造業 6
66 コンクリート製造業 13
62 陶磁器製品製造業 17
49 その他の窯業又は土石製品製造業 23
50 金属精錬業 6.5
51 非鉄金属精錬業 7
52 金属材料品製造業 5
53 鋳物業 16
54 金属製品製造業又は金属加工業 9
63 洋食器、刃物、手工具又は一般金属製造業 6.5
55 めつき業 6.5
56 機械器具製造業 5
57 電気機械器具製造業 3
58 輸送用機械器具製造業 4
59 船舶製造又は修理業 23
60 計量器、光学機械、時計等製造業 2.5
64 貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業 3.5
61 その他の製造業 6
運輸業 71 交通運輸事業 4
72 貨物取扱事業 8.5
73 港湾貨物取扱事業 9
74 港湾荷役業 12
電気、ガス、水道又は熱供給の事業 81 電気、ガス、水道又は熱供給の事業 3
その他の事業 95 農業又は海面漁業以外の漁業 13
91 清掃、火葬又はと畜の事業 13
93 ビルメンテナンス業 6
96 倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業 6.5
97 通信業、放送業、新聞業又は出版業 2.5
98 卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業 3
99 金融業、保険業又は不動産業 2.5
94 その他の各種事業 3
船舶所有者の事業 90 船舶所有者の事業 42

3.令和7年度の子ども・子育て拠出金率

 2025(令和7)年度の子ども・子育て拠出金率は据え置きとなり、2024(令和6)年度の拠出金率(3.600/1000)から改定はありません。

令和7年3月分(4月納付分)から健康保険料率と介護保険料率が改定されます(協会けんぽ)

 2025(令和7)年度の全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険料率および介護保険料率が3月分(4月納付分)から改定されますので、以下で確認します

※ 組合管掌健康保険については、健康保険組合ごとに改定時期・保険料率が決定されていますので、詳細は加入している健康保険組合にご確認ください。

1.健康保険料率

 全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険料率は、都道府県ごとに異なります。

 2025(令和7)年度の保険料率の全国平均は10.00%であり、保険料率の高い都道府県は、佐賀県(10.78%)、徳島県(10.47%)、長崎県(10.41%)、保険料率の低い都道府県は、沖縄県(9.44%)、新潟県(9.55%)、岩手県・福島県(9.62%)となっています。

出所:全国健康保険協会ホームページ















 令和7年度と前年度(令和6年度)の各都道府県の保険料率は下表のようになっており、3月分(4月納付分)から適用されます。

  令和7年度 令和6年度
北海道 10.31% 10.21%
青森県 9.85% 9.49%
岩手県 9.62% 9.63%
宮城県 10.11% 10.01%
秋田県 10.01% 9.85%
山形県 9.75% 9.84%
福島県 9.62% 9.59%
茨城県 9.67% 9.66%
栃木県 9.82% 9.79%
群馬県 9.77% 9.81%
埼玉県 9.76% 9.78%
千葉県 9.79% 9.77%
東京都 9.91% 9.98%
神奈川県 9.92% 10.02%
新潟県 9.55% 9.35%
富山県 9.65% 9.62%
石川県 9.88% 9.94%
福井県 9.94% 10.07%
山梨県 9.89% 9.94%
長野県 9.69% 9.55%
岐阜県 9.93% 9.91%
静岡県 9.80% 9.85%
愛知県 10.03% 10.02%
三重県 9.99% 9.94%
滋賀県 9.97% 9.89%
京都府 10.03% 10.13%
大阪府 10.24% 10.34%
兵庫県 10.16% 10.18%
奈良県 10.02% 10.22%
和歌山県 10.19% 10.00%
鳥取県 9.93% 9.68%
島根県 9.94% 9.92%
岡山県 10.17% 10.02%
広島県 9.97% 9.95%
山口県 10.36% 10.20%
徳島県 10.47% 10.19%
香川県 10.21% 10.33%
愛媛県 10.18% 10.03%
高知県 10.13% 9.89%
福岡県 10.31% 10.35%
佐賀県 10.78% 10.42%
長崎県 10.41% 10.17%
熊本県 10.12% 10.30%
大分県 10.25% 10.25%
宮崎県 10.09% 9.85%
鹿児島県 10.31% 10.13%
沖縄県 9.44% 9.52%

※ 40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、これに全国一律の介護保険料率(1.59%)が加わります。
 
 これらの料率改定を反映した令和7年度の各都道府県ごとの「保険料額表」については、全国健康保険協会ホームページをご参照ください。

2.介護保険料率

 介護保険料率は、16.0/1000(1.60%)から15.9/1000(1.59%)に改定されます。

  令和7年度 令和6年度
介護保険料率 15.9/1000(1.59%)
従業員:7.950/1000
事業主:7.950/1000
16.0/1000(1.60%)
従業員:8.000/1000
事業主:8.000/1000

3.給与計算ソフトの保険料率改定時期

 給与計算ソフトの健康保険料と介護保険料の料率を改定(変更)するタイミングは、事業所によって異なります。

 その事業所が新しい保険料率で徴収する給与の支給月に、保険料率の変更を行います。具体的には次のとおりです。

(1) 当月徴収の場合
 3月分保険料を「3月支給給与」で徴収する「当月徴収」の場合は、3月に支給する給与から保険料率を変更します。

(2) 翌月徴収の場合
 3月分保険料を「4月支給給与」で徴収する「翌月徴収」の場合は、4月に支給する給与から保険料率を変更します。

(3) 翌々月徴収の場合
 3月分保険料を「5月支給給与」で徴収する「翌々月徴収」の場合は、5月に支給する給与から保険料率を変更します。

後期高齢者の医療費の自己負担割合(1割・2割・3割)の判定基準となる所得額はいくら?

 後期高齢者医療制度は、75歳(一定の障害があり申請により認定を受けた65歳)以上の人が対象となる医療保険制度です。

 75歳以上の後期高齢者は、病気やケガで診療を受けるときは、被保険者証を医療機関の窓口で提示して、かかった医療費の1割・2割・3割のいずれかを負担します。

 この窓口での自己負担割合は、毎年8月1日に当該年度の住民税課税所得額に基づき判定されます。

 令和7年度(令和7年8月~令和8年7月)の医療費自己負担割の場合は、令和7年度の住民税課税所得額と令和6年中の収入金額で判定されますので、令和6年分の所得税確定申告の内容が大きくかかわってきます。

 例えば、配当所得のある後期高齢者が、配当から源泉徴収された所得税の還付を受けるため配当所得を総合課税で申告したら、医療費の自己負担割合が1割から2割に上がってしまったという事例をよく耳にします。

 配当所得は課税方法(総合課税・申告分離課税・申告不要)の選択ができますので、所得税だけではなく医療費の自己負担割合も考慮すると、結局は確定申告しない方がよかったということもあります(関連記事:「配当所得に係る総合課税・申告分離課税・申告不要制度の選択上の注意点」)。

 このような事態を避けるため、後期高齢者の医療費の自己負担割合を決定する所得ライン(所得の判定基準)がどれくらいであるのかについて知っておくことは有意義だと思われますので、以下で確認します。

1.住民税課税所得額とは?

 先述したように、後期高齢者の医療費の自己負担割合は、毎年8月1日に当該年度の住民税課税所得額に基づき決定されます。

 住民税課税所得額とは、年金や給与、配当などの「収入金額」からそれぞれ公的年金等控除額や給与所得控除額、必要経費などを差し引いて各「所得金額」(給与所得、雑所得、配当所得など)を求め、その合計である「総所得金額」から「所得から差し引かれる金額」(社会保険料控除、医療費控除、扶養控除、基礎控除などの所得控除)を差し引いた後の金額をいいます(総所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください)。
 
 この住民税課税所得額(課税標準の合計)は、住民税を自分で納めている人(普通徴収の人)の場合は、市(区)町から送付される「納税通知書」で確認できます。

 また、給与所得者のうち給与天引きで納税している人(特別徴収の人)の場合は、会社などを通じて交付される「給与所得等に係る市・県民税特別徴収税額決定通知書」で確認することができます。

 なお、所得税と住民税で基礎控除額などが異なるため(令和6年度基礎控除:所得税48万円、住民税43万円など)、確定申告書に記載されている「課税される所得金額」と住民税の課税所得額の金額が異なりますので注意が必要です。

2.自己負担割合を決定する所得基準

 後期高齢者の医療費の自己負担割合が1割・2割・3割となる所得区分と判定基準(所得基準)は、次のとおりです。

負担割合 所得区分 判定基準
3割 現役並み所得者 同一世帯に住民税課税所得額145万円以上の後期高齢者医療の被保険者がいる人
2割 一般Ⅱ 以下の(1)(2)の両方に該当する人
(1)同一世帯に住民税課税所得額が28万円以上145万円未満の後期高齢者医療の被保険者がいる人
(2)「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が
・被保険者が1人……………200万円以上
・被保険者が2人以上………合計320万円以上
1割 一般Ⅰ・低所得 同一世帯の後期高齢者医療の被保険者全員が住民税課税所得額28万円未満の場合、または上記(1)に該当するが(2)には該当しない人

 なお、住民税課税所得額が145万円以上の人でも、下に記載している基準収入額適用申請により条件を満たす人は、3割負担の対象外となります。

3.基準収入額適用申請で3割負担の対象外

 自己負担割合が3割と判定された人であっても、収入額が一定の基準に満たない場合は、申請により3割負担の対象外となります。

 収入基準に該当するかどうかについては、下表をご参照ください。

同一世帯の被保険者数 収入額による判定基準
被保険者が1人 以下の条件のうち、どちらかにあてはまる人
(1)被保険者の前年の収入額が383万円未満
(2)同一世帯に70歳以上75歳未満の人がいる場合は、被保険者と70歳以上75歳未満の人全員の前年の収入合計額が520万円未満
被保険者が2人以上 本人及び同一世帯の被保険者の前年の収入合計額が520万円未満

 収入額とは、所得税法上の収入額(退職所得に係る収入額を除く)であり、必要経費や特別控除を差し引く前の金額です。
 不動産や上場株式等の譲渡損失を損益通算又は繰越控除するために確定申告した場合の売却金額は、収入額に含まれます。

配当所得に係る総合課税・申告分離課税・申告不要制度の選択上の注意点

 配当金を受け取ると、受け取った配当金は所得税法では配当所得に分類されます。

 確定申告期間が近づいてくると、この配当所得について、確定申告する方がいいのかしない方がいいのか、確定申告するなら総合課税と分離課税のどちらがいいのかなど、いろいろと考えた上で最も有利になるような判断をしなければなりません。

 ところが、配当所得(に限ったことではありませんが)には普段聞き慣れない用語が登場しますので、このことが原因で配当所得を難解に感じる人もいると思われます。

 今回は、用語の意味も含めて、配当所得に係る3つの課税方法である総合課税制度、申告分離課税制度、申告不要制度について概要を確認し、これらの課税方法の選択にあたって注意すべき点を述べます。

1.用語の意味と課税方法の概要

 国税庁ホームページには、2016(平成28)年以後の上場株式等の配当等の課税関係について、以下の図が示されています。
 この図に沿って、主な用語の意味を確認していきます。

出所:国税庁ホームページ

 
 上から順に見ていくと、まず「上場株式等の配当等」という用語が出てきます。

 上場株式等の配当等とは、上場株式の配当(配当所得)、公募株式投資信託の収益の分配(配当所得)、特定公社債の利子(利子所得)、公募公社債投資信託の収益の分配(利子所得)などをいいます。

 用語が上場株式「等」となっているのは、上場株式だけではなく公社債なども含むためであり、配当「等」となっているのは、配当だけではなく利子も含むためです。

 次に「大口株主を除く」という文言がありますが、大口株主とは上場会社等の発行済株式等の3%以上を保有する株主をいいます。

 「源泉徴収」については、次の①②のようになっています。

① 上場株式等の配当等に係る配当所得・利子所得については、支払金額に対して所得税等15.315%(国税)、住民税5%(地方税)が源泉徴収されています。
② 非上場株式等の配当等や大口株主が支払を受ける上場株式等の配当等に係る配当所得については、支払金額に対して所得税等20.42%(国税)のみが源泉徴収されており、住民税(地方税)は源泉徴収されていません。

 「課税方法の選択」では、「総合課税」へ向かう矢印のところに「利子所得は不可」という文言があります。
 これは、上場株式等の配当等に係る利子所得を申告する場合は、申告分離課税の対象となり、総合課税を選択することができないことを示しています。
 なお、申告不要制度は選択できます。

 「配当控除」とは、総合課税を選択した配当所得については、一定の方法で計算した金額の税額控除を受けることができるというものです。

 「上場株式等の譲渡損失との損益通算」の内容は、上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合またはその年の前年以前3年内の各年に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額のうち、前年以前で控除されていないものがある場合には、一定の要件の下、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等の金額から控除することができるというものです(当該上場株式等の配当所得等の金額を限度とします)。

 「申告不要」は、確定申告をしないで源泉徴収だけで課税関係を済ませる制度です。
 この制度を選択した利子等・配当等の金額は、合計所得金額に含まれません(合計所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください)。

 ここまで上図に出てくる主な用語の意味を確認しましたが、この図を踏まえて上場株式等の配当等の課税方法を選択する上での注意点を次に述べます。

2.課税方法の選択上の注意点

 上記1の図に、上場株式等の配当等に係る総合課税制度、申告分離課税制度、申告不要制度を選択する上での注意点は概ね記載されています。
 重複する部分もありますが、以下に選択上の注意点を挙げていきます。

① 上場株式等の配当等に係る利子所得については、総合課税を選択することができません(申告分離課税または申告不要は選択できます)。

② 上場株式等の配当等に係る配当所得については、総合課税、申告分離課税、申告不要を選択することができます。

③ 上場株式等の配当等に係る配当所得について申告する場合は、そのすべてについて総合課税と申告分離課税のいずれかを選択しなければなりません。
 例えば、A株式の配当所得は総合課税で申告し、B株式の配当所得は申告分離課税で申告するというような選択はできません。

④ 配当控除は、総合課税を選択した場合のみ適用することができます。ただし、配当控除は内国法人の配当所得を対象とするため、外国法人から受ける配当所得については適用されません。

⑤ 申告分離課税を選択した場合は配当控除を適用することはできませんが、その年分に生じた上場株式等の譲渡損失の金額と損益通算ができます。
 また、当該配当所得から前年以前3年以内に生じた上場株式等の譲渡損失を繰越控除することもできます(繰越控除するためには確定申告をしなければなりません)。
 なお、申告分離課税と申告不要を併用して損益通算することもできます(詳細は、「上場株式等の配当の申告不要制度は損益通算時も適用可能」をご参照ください)。

⑥ 申告不要制度は、1銘柄1回に支払われる配当等ごと(源泉徴収口座(特定口座)内で受け入れた配当等については口座ごと)に選択することができます。

⑦ 配当控除の適用によって配当金から源泉徴収された所得税等の還付を受けるため、上場株式等の配当等に係る配当所得を総合課税で申告することがあります。
 しかし、申告することによって配当所得が合計所得金額に含まれることになるため、所得が増えて扶養控除や配偶者控除などが適用除外となったり、国民健康保険料や医療費の自己負担割合が上がったりする可能性があるので注意が必要です(後期高齢者の医療費の自己負担割合が1割・2割・3割となる所得額については、「後期高齢者の医療費の自己負担割合(1割・2割・3割)の判定基準となる所得額はいくら?」をご参照ください)。

⑧ 2017(平成29)年度税制改正で、上場株式等の配当所得・譲渡所得について、所得税と住民税で異なる課税方法を選択できるようになっていましたが、2023(令和5)年分の確定申告から、上場株式等の配当所得・譲渡所得に係る課税方法を所得税と住民税で一致させることになりました。
 そのため、所得税と住民税で異なる課税方法を選択することはできなくなっていますのでご注意ください(関連記事:「2024(令和6)年度から改正される個人住民税」)。

賞与不支給報告書は必ず提出しないといけないか?

 役員や従業員に賞与を支給したときは、支給日より5日以内に「賞与支払届」を提出しなければなりません。

 この届出により標準賞与額および賞与の保険料額が決定されるとともに、役員や従業員が将来に受給する年金額の計算の基礎にもなりますので、賞与支払届の提出を失念しないようにしなければなりません。

 一方、賞与を支給しなかった場合は、「賞与不支給報告書」を提出します。

 例えば、毎年12月20日に賞与を支給していた会社が、今年は不況のあおりで賞与を支給しなかったという場合は、賞与不支給報告書を提出することになります。

 ところが、賞与を支給しなかった場合に、賞与不支給報告書を必ず提出しなければいけないかというと、そうでもありません。

 以下では、賞与不支給報告書の提出の要否について確認します。

1.賞与支払予定月を登録している場合

 社会保険(健康保険・厚生年金)の加入時に、新規適用届に賞与支払予定月を記入して提出している場合は、支払予定月の前月に日本年金機構から「賞与支払届」および「賞与不支給報告書」が送付されてきます。

 賞与を支給した場合は賞与支払届(賞与支払届に印字されていても賞与の支給がなかった人については、該当者欄に斜線を引きます)を提出し、誰にも支給しなかった場合は賞与不支給報告書を提出します。

 このように日本年金機構に賞与支払予定月を登録している場合に、いずれの被保険者にも賞与を支給しなかったときは、賞与不支給報告書を提出することになります。

 なお、登録している賞与支払予定月の翌月までに報告書を提出しなかった場合は、翌々月に日本年金機構から催告状が送付されてきます。

2.賞与支払予定月を登録していない場合

 社会保険加入時等に賞与支払予定月を登録していなくても、賞与を支給することができます。
 この場合は、日本年金機構から賞与支払届は送付されませんので、賞与を支給したときは自社で賞与支払届を作成して提出する必要があります。

 賞与支払予定月を登録していない場合は、賞与不支給報告書も日本年金機構から送付されませんが、この場合は、賞与を支給しなかったとしても賞与不支給報告書を提出する必要はありません。

 賞与不支給報告書は、あくまでも賞与支払予定月を登録している場合に賞与を支給しなかったときに提出するものなので、賞与支払予定月を登録していない場合に賞与を支給しなかったとしても、賞与不支給報告書を提出する必要はありません。

 なお、賞与支払予定月を登録していない場合に、毎年同じ時期に賞与を支給してきたからといって、賞与支払予定月を日本年金機構が勝手に登録するということはありません。
 賞与支払予定月の登録は、新規適用届または事業所関係変更(訂正)届の提出等により行われます。

※ 役員賞与を支給しなかった場合の税務上の手続きについては、本ブログ記事「事前確定届出給与を支給しなかった場合のリスクを回避するための手続き」をご参照ください。

産前産後期間は国民年金保険料が免除されます(届出必要)!

 次世代育成支援の観点から、国民年金第1号被保険者が出産を行った際には、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度があります。
 今回は、国民年金保険料の産前産後期間の免除制度について確認します。

※ 国民年金第1号被保険者とは、20歳以上60歳未満の自営業者・農林漁業者とその家族、学生、無職の人をいいます。

1.届出時期

 産前産後期間の国民年金保険料の免除を受けるためには、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ届書を提出しなければなりません。

 この届出は出産予定日の6か月前から可能であり、出産後でも届出することができます。

 すでに国民年金保険料免除・納付猶予、学生納付特例が承認されている場合でも、届出は可能です。

 また、すでに保険料を納付していても届出はできます。保険料を納付している場合は、産前産後期間の保険料は還付されます。

※ 国民年金保険料免除・納付猶予については、本ブログ記事「国民年金保険料の免除・納付猶予の申請について」をご参照ください。

2.対象者

 この免除制度の対象となるのは、国民年金第1号被保険者です。ただし、国民年金の任意加入期間は対象になりません。

3.免除される期間(産前産後期間)

 出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されます。
 例えば、出産予定日が属する月が9月の場合は、その前月の8月から11月までの4か月間が免除期間となります。

 多胎妊娠(双子等)の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます。
 例えば、出産予定日が属する月が9月の場合は、その3か月前の6月から11月までの6か月間が免除期間となります。

※ 「出産予定日が属する月」と実際の「出産日が属する月」が乖離した場合でも、原則として変更は行われません。出産後に届け出た場合は、「出産日が属する月」が基準となります。
 なお、出産とは、妊娠85日(4か月)以上の出産をいいます(早産、死産、流産及び人工妊娠中絶を含みます)。 

4.将来の年金受給額は?

 産前産後期間は国民年金保険料が免除されますが、気になるのは、将来の年金受給額にどのような影響があるかということです。

 この点については、産前産後期間に係る保険料免除期間は、保険料納付済期間に算入されることになっています。
 したがって、「保険料が免除された期間」も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。

令和6年度地域別最低賃金が10月1日から順次引き上げられます

 最低賃金は、パート、アルバイト、正社員、臨時、嘱託など雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者に適用されます。
 近年は最低賃金引き上げの流れが続いており、2024(令和6)年度の全国加重平均は時給1,055円と過去最高となっており、引き上げ幅51円も過去最高となっています。
 以下では、2024(令和6)年度の最低賃金について確認します。

1.最低賃金とは?

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
 仮に、最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
 また、使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。
 地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています※1
 なお、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています※2

※1 「地域別最低賃金」とは、産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。

※2 「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業について設定されている最低賃金です。関係労使が基幹的労働者を対象として、「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されており、全国で224件の最低賃金が定められています(令和6年3月31日現在)。

2.最高額は東京都の時給1,163円

 厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した2024(令和6)年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめました。改定額及び発効予定年月日は、次の別紙のとおりです。

出所:厚生労働省ホームページ

 この「令和6年度地域別最低賃金答申状況」は、厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が令和6年7月25日に示した「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果を、厚生労働省が取りまとめて令和6年8月29日に公表したものです。

 答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定です。

 地域別最低賃金の全国整合性を図るため目安額のランクが設けられていますが、4区分だったランクが前年度から3区分に変更されています。
 改定額を見ていくとAからCの47都道府県すべてで50円以上引き上げられ、東京都は時給1,163円と最高です。
 最高額1,163円(東京都)と最低額951円(秋田県)の金額差は212円です。最高額に対する最低額の割合は81.8%(951円÷1,163円≒81.8%)と8割を超えており、地域格差は少しずつ改善しています※3

※3 前年度の比率は80.2%でした。なお、この比率は10年連続で改善されています。

3.令和6年度の引き上げ幅は50円~84円

 また、地域経済の活性化や若年層の流出を防ぎ労働人口を確保するには、目安より高い金額の上乗せが必至とした回答が27県あり、目安を上回る引き上げが賃金の低い地方で相次ぎました。
 下表は、2024(令和6)年度の改定額を引き上げ幅ごとに見たものです。

引き上げ幅 改定額
50円

北海道1010円 宮城 973円 栃木 1004円 群馬 985円 埼玉1078円 千葉1076円 東京1163円 神奈川1162円 富山998円 山梨988円 長野 998円 静岡1034円 愛知1077円 三重 1023円 滋賀1017円 京都1058円 大阪1114円 奈良 986円 岡山982円 広島 1020円

51円

石川 984円 岐阜1001円 兵庫1052円 和歌山980円 山口979円 福岡992円

52円

茨城 1005円 香川970円

53円

福井984円

54円

秋田951円 新潟985円 熊本952円

55円

青森953円 山形955円 福島955円 高知952円 長崎953円 大分954円 宮崎952円  

56円

佐賀956円 鹿児島953円 沖縄952 円    

57円

鳥取957円

58円

島根 962円

59円

岩手952円 愛媛 956円   

84円

徳島980円  

国民年金保険料が免除される所得基準の計算方法~確定申告書との違いに注意!

 国民年金保険料の納付が経済的に困難な場合は、本人の申請により保険料の納付が免除される制度があります。

 免除される額には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4つの区分があり、所得に応じて免除の区分が承認(決定)されます。

 以下では、国民年金保険料の免除を受けるための所得基準の計算方法と、計算の際に注意を要する確定申告書の控除額との違いについて確認します。

※ 本記事の前編である保険料免除制度の内容については、「国民年金保険料の免除・納付猶予の申請について」をご参照ください。

1.日本年金機構が公表している所得基準の計算式

 国民年金保険料の免除を受けるためには、本人、配偶者(別世帯の配偶者を含む)、世帯主それぞれの前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下でなければなりません。

 この「一定額以下」という所得基準については、日本年金機構ホームページにおいて次の計算式が公表されています。

(1) 全額免除
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

(2) 4分の3免除
88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

(3) 半額免除
128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

(4) 4分の1免除
168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等


 本人、配偶者(別世帯の配偶者を含む)、世帯主それぞれの前年所得が、上記計算式で計算した金額以下であれば、保険料の免除を受けることができます。

 ところが、実際に計算しようとすると、いくつかの疑問が生じます。

 例えば、計算式(1)における「扶養親族等の数」の「等」には配偶者や事業専従者も含まれるのか、(2)~(4)における「扶養親族等控除額」や「社会保険料控除額等」の「等」には所得税における扶養控除や社会保険料控除以外に何が含まれるのか、などです。

 しかし、日本年金機構のホームページでは、これらの内容に関する詳細な記載は見当たりません。

 保険料が免除される所得を計算する際のベースとなるのは、確定申告書の数字です。そこで、確定申告書との異同点を中心に「扶養親族等の数」、「扶養親族等控除額」、「社会保険料控除額等」の内容について、以下で確認していきます。

2.計算式の「扶養親族等の数」とは?

 全額免除の所得基準は、「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」の計算式で求められます。

 この計算式における「扶養親族等の数」は、扶養控除の対象親族(控除対象扶養親族)だけではなく、16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)と同一生計配偶者(控除対象配偶者)も該当します。

 一方、青色事業専従者として給与の支払を受けている人または白色事業専従者は該当しません。

3.計算式の「扶養親族等控除額」とは?

 一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)の所得基準は、「〇〇万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」の計算式で求められます。

 この計算式における「扶養親族等控除額」は、以下のものが該当します。

(1) 老人控除対象配偶者(70歳以上の同一生計配偶者)または老人扶養親族1人につき48万円
(2) 16歳以上23歳未満の扶養親族1人につき63万円
(3) それ以外の同一生計配偶者または扶養親族1人につき38万円

 ここで注意を要するのは、所得基準の計算式における「扶養親族等控除額」は、必ずしも確定申告書の控除額と一致しないということです。

 具体的な相違点は、次のとおりです。

所得基準の計算式 確定申告書の控除額との違い
老人控除対象配偶者(70歳以上の同一生計配偶者)または老人扶養親族1人につき48万円 老人扶養親族のうち、同居老親等については1人につき58万円の控除額となるが、計算式では同居老親等についても48万円の控除額となる。
16歳以上23歳未満の扶養親族1人につき63万円 16歳以上19歳未満の一般控除対象扶養親族については1人につき38万円の控除額となるが、計算式では一般控除対象扶養親族についても63万円の控除額となる(19歳以上23歳未満の特定扶養親族と同額)。
それ以外の同一生計配偶者または扶養親族1人につき38万円 16歳未満の年少扶養親族については扶養控除の対象外であるが、計算式では年少扶養親族についても38万円の控除額となる。

4.計算式の「社会保険料控除額等」とは?

 一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)の所得基準の計算式における「社会保険料控除額等」は、以下のものが該当します。

(1) 障がい者1人につき27万円
(2) 特別障がい者1人につき40万円
(3) 寡婦または寡夫1人につき27万円
(4) 特別寡婦1人につき35万円
(5) 勤労学生1人につき27万円
(6) 雑損控除額
(7) 医療費控除額
(8) 社会保険料控除額
(9) 小規模企業共済等掛金控除額
(10) 配偶者特別控除額
(11) 純損失及び雑損失の控除額 など

 ここでも注意を要するのは、確定申告書の控除額との違いです。具体的には次のとおりです。

所得基準の計算式 確定申告書の控除額との違い
特別障がい者1人につき40万円 同居特別障害者については1人につき75万円の控除額となるが、計算式では同居特別障害者についても40万円の控除額となる。

 なお、確定申告書の所得控除のうち、以下のものは保険料免除を受けるための所得基準の計算式には含まれません。

(1) 生命保険料控除
(2) 地震保険料控除
(3) 基礎控除
(4) 寄附金控除

5.所得基準の計算方法と免除の区分

 国民年金保険料の免除を受けるための所得基準を計算するにあたっては、上記2,3、4における「扶養親族等の数」、「扶養親族等控除額」、「社会保険料控除額等」の範囲を把握し、確定申告書の控除額との違いに注意する必要があります。

 例えば、次の家族構成を例にした場合、免除を受けるための所得基準の計算方法と免除の区分は以下のようになります。

【家族構成5人】
① 本人・・・・・令和5年分の事業所得295万円(青色申告)、世帯主
② 配偶者・・・・青色事業専従者で令和5年分の給与所得41万円、46歳
③子ども・・・・小学生(12歳)と高校生(16歳)、無収入
④母親・・・・・令和5年分の年金所得15万円、71歳、同居
⑤所得控除・・・社会保険料控除30万円、生命保険料控除10万円、寄附金控除5万円
【所得基準の計算と免除の区分】

A.全額免除
所得基準:(3(子ども2人、母親)+1)×35万円+32万円=172万円
→本人の所得295万円>所得基準172万円のため、全額免除は受けられない。

B.4分の3免除
所得基準;88万円+48万円(同居老親)+38万円(年少扶養)+63万円(一般扶養)+30万円(社保控除)=267万円
→本人の所得295万円>267万円のため、4分の3免除は受けられない。

C.半額免除
所得基準:128万円+48万円(同居老親)+38万円(年少扶養)+63万円(一般扶養)+30万円(社保控除)=307万円
→本人の所得295万円≦307万円のため、半額免除を受けられる。

※ 配偶者の所得は41万円であるため、A、B、Cにおける所得基準をクリアしている。

 最後に、上記の例における本人の確定申告書を以下に示します。青枠で囲んだ箇所が所得基準の計算対象となりますが、確定申告書の控除額との違いに注意してください。

(1) 確定申告書では扶養控除が96万円(同居老親58万円+一般扶養親族38万円)となりますが、所得基準の計算では149万円(同居老親48万円+年少扶養親族38万円+一般扶養親族63万円)となります。

(2) 確定申告書では生命保険料控除10万円、基礎控除48万円、寄附金控除5万円が記載されていますが、所得基準の計算では対象外となります。