事業者が経費支払時にポイントを使用した場合の経理処理

 VISAやJCBなどのクレジットカードで買い物をすると、利用金額に応じてポイントが付与されます。このポイントは、次回以降の買い物の際に購入代金に充てることができます。
 今回は、事業者(法人、個人)が経費支払時にこのようなポイントを使用した場合の経理処理について確認します。
 なお、一般消費者である個人がポイントを使用したときの課税関係については、本ブログ記事「個人が商品購入時に取得又は使用したポイントは所得税の課税対象となるか?」をご覧ください。
 

1.事業者が法人の場合

 法人がポイントで経費を支払った場合の経理処理は、次のいずれかの方法によります(消費税の会計処理は税込方式とします)。

(1) 値引処理(ポイント使用後の支払金額を経費算入する処理)

〇月〇日 消耗品11,000円をクレジットカードで購入した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 11,000 未払金 11,000

△月△日 〇月〇日の購入代金11,000円が決済され、110円分のポイントが付与された。

借方 金額 貸方 金額
未払金 11,000 現金預金 11,000

◇月◇日 消耗品5,500円をクレジットカードで購入し、△月△日に付与された110円分のポイントを使用した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 5,390 未払金 5,390

※ ポイント使用後の金額(5,500-110=5,390)を経費算入します。

(2) 両建処理(ポイント使用前の支払金額を経費算入し、ポイント使用額を雑収入に計上する処理)

〇月〇日 消耗品11,000円をクレジットカードで購入した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 11,000 未払金 11,000

△月△日 〇月〇日の購入代金11,000円が決済され、110円分のポイントが付与された。

借方 金額 貸方 金額
未払金 11,000 現金預金 11,000

◇月◇日 消耗品5,500円をクレジットカードで購入し、△月△日に付与された110円分のポイントを使用した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 5,500 未払金 5,390
    雑収入 110

※ ポイント使用前の金額(5,500)を経費算入し、ポイント使用額(110)を雑収入に計上します。雑収入の消費税課税区分は不課税です。

2.事業者が個人(個人事業主)の場合

 個人事業主がポイントで経費を支払った場合の経理処理は、法人より少し複雑です。
 個人事業主には一般消費者としての側面と事業者としての側面がありますが、クレジットカードの利用で貯まったポイントも、プライベートで貯まったものと事業で貯まったものがあります。
 事業で貯まったポイントを使用した場合の経理処理は、法人の場合と同様に値引処理と両建処理のいずれかの方法によります(両建処理における雑収入の所得区分は事業所得、消費税課税区分は不課税となります)。
 プライベートで貯まったポイントを事業で使用した場合の経理処理は、次のようになります。

〇月〇日 消耗品11,000円をクレジットカードで購入した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 11,000 未払金 11,000

△月△日 〇月〇日の購入代金11,000円が決済され、110円分のポイントが付与された。

借方 金額 貸方 金額
未払金 11,000 現金預金 11,000

◇月◇日 消耗品5,500円をクレジットカードで購入し、△月△日に付与された110円分のポイントを使用した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 5,500 未払金 5,390
    事業主借 110

プライベートで貯まったポイントを使用したときは、使用前の金額(5,500)を経費算入し、ポイント使用額を事業主借とします。ポイント使用額は一時所得の課税対象になることもありますので、雑収入ではなく事業主借で処理して事業所得の収入金額に算入しないようにします。

 プライベートで貯まったポイントを事業で使用した場合の経理処理は、上記のようになります。このような処理は、プライベート用と事業用のクレジットカードを分けるなどして、ポイントが区分できることが前提です。
 しかし、現実的にはプライベートで貯まったポイントなのか事業で貯まったポイントなのかを区分することは煩雑であり、ポイント使用額を雑収入とするのか事業主借とするのか判断しかねることもあります。また、雑収入とすべきものを事業主借とすると、税務調査の際にポイント使用額分の課税漏れを指摘される懸念もあります。
 このような場合は、簡易的な処理として、ポイント使用後の金額を経費に算入する次の処理でも問題ありません(値引処理と同じになります)。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 5,390 未払金 5,390

給与の支払がない場合の法定調書合計表と給与支払報告書の提出の要否

 年末調整が終われば、その後の処理として「法定調書」「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(以下「合計表」といいます)と「給与支払報告書(個人別明細書、総括表)」(以下「報告書」といいます)を提出しなければなりません。
 基本的には、それぞれ税務署から郵送されてくる「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の作成と提出の手引」と「給与支払報告書等の作成及び提出についての手引書」に従って作業を進めていきます。
 この作業は、従業員に給与を支払っていることが前提になりますが、事業者(法人、個人)によっては、従業員を雇っておらず給与の支払がない場合もあります。このような事業者においては、年末調整という作業は当然のことながら必要ありません。では、その後の合計表と報告書の提出についてはどうでしょうか?
 今回は、給与の支払がない場合の合計表と報告書の提出の要否について確認します。

1.合計表の提出について

 小規模中小企業や個人事業主の中には、従業員を雇わず1人で事業を行っている場合があります。また、開業後間もない時期のため、青色事業専従者に給与を支払っていない個人事業主もいることと思います。
 このような場合、合計表を税務署に提出する必要はあるのでしょうか?
 これについては、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の作成と提出の手引」に記載があります。令和2年分であれば手引の32ページ右下に、次のように書かれています。

 税務署へ提出する法定調書がない場合は、合計表の「(摘要)」欄に「該当なし」と記載の上、提出をお願いします。
 なお、e-Taxのメッセージボックス及びマイナポータルに「法定調書提出期限のお知らせ」(以下「お知らせ」といいます。)が届いている方で、お知らせを通じて「提出義務なし」と回答した場合には、上記の合計表の提出は必要ありません(おしらせは11月下旬から12月上旬に送信される予定です。)。

 つまり、給与の支払がない場合でも合計表の「1 給与所得の源泉徴収票合計表(375)」の摘要欄に「該当なし」と記載して提出する必要がありますが、メッセージボックスのお知らせを通じて「提出義務なし」と回答した場合は提出する必要はないということです。いずれにせよ、税務署に対する意思表示は必要であり、それを怠ると税務署から連絡がきますのでご注意ください。
 なお、給与の支払がない場合でも、税理士や司法書士などに報酬を支払っていてその金額が提出範囲に該当するのであれば、合計表を提出しなければなりません。
 ちなみに、合計表を提出しなかったり虚偽記載をした場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(所得税法242条5号)。

2.報告書の提出について

 一方、個人住民税の基礎資料となる報告書は市町村に提出します。報告書は税務署に提出する源泉徴収票と提出範囲が異なり、前年中に給与等を支払ったすべての従業員等(パート・アルバイト、役員等を含む)について提出が必要です。
 では、前年中に給与の支払がなかった場合、報告書は提出するのでしょうか?
 答えは「否」です。給与の支払がない場合、報告書は提出不要です。個人別明細書に0と記載して提出することも、総括表に0と記載して提出することも、市町村は求めていないようです。ただし、市町村によって対応が異なることもありますので、当該市町村に確認した方が良いかもしれません(連絡先については、「給与支払報告書等の作成及び提出についての手引書」の「市町村所在地一覧表」に載っています)。

紹介料が交際費とならないための要件

 不動産業者や建設業者などが顧客や物件の紹介を受けたときに、紹介者(紹介をしてくれた人)に対して紹介料(情報提供料)を支払うことがあります。
 この場合、その紹介料は交際費に該当するケースもありますが、一定の要件を満たせば交際費にならないケースもあります。
 今回は、紹介料が交際費にならないための要件を確認します。

1.紹介者が情報提供を業とする場合

 情報提供を業とする者とは、例えば不動産仲介業のように仲介、代理、斡旋を行う業者(法人・個人)が考えられます。また、不動産売買を主たる業務とする事業者が、自身の販売網を活かして情報提供を行う場合も考えられます。
 これらの者に支払う紹介料については、紹介者が業務として紹介を行っていますので交際費とはならず、支払手数料等として全額が損金になります。
 交際費の問題が生じるのは、情報提供を業としない者へ紹介料を支払った場合です。

2.紹介者が情報提供を業としない場合

 情報提供を業としない者(法人・個人)に対して紹介料を支払った場合は、その紹介料は原則として交際費になります。
 現行制度では、資本金1億円以下の中小企業の場合、年間800万円までの交際費は損金算入されますが、800万円を超える部分は損金算入不可です。交際費とすべき紹介料を支払手数料として処理していた場合に、その紹介料が税務調査の際に交際費と認定されて、結果的に交際費が年間800万円を超えてしまうこともあります。
 しかし、次の要件をすべて満たす場合は、情報提供を業としない者に支払った紹介料は交際費に該当しないこととされています(租税特別措置法通達61の4(1)-8)。

(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること
(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること

 (1)の「あらかじめ締結された契約に基づくもの」という要件については、契約そのものは口頭でも成立しますが、税務調査の際に証拠を示すためにも、文書による契約が望ましいといえます。しかし、紹介者が情報提供を業とする者なら別ですが、そうでない者との間にあらかじめ文書による契約を交わすことは稀であると思われます。
 そこで、契約書でなくても、例えば、紹介料の支払基準を記載したポスターやチラシなどを、社内その他所要の場所に掲示する方法でも構いません。

 (2)の「役務の提供を受けていること」という要件については、何をもって役務の提供を受けたとするかを明らかにしておく必要があります。
 例えば、建設会社が紹介を受けた見込客と交渉した結果、他の建設会社の方が条件がよいとされ成約しなかった場合、役務の提供を受けたか否かが問題となります。役務の提供の程度がどうであるかは、契約の具体的内容がどのようになっているかに係る問題であると解されるため、成約したら支払うのか、確かな情報だけに支払うのか、いわゆるガセネタでも支払うのか等を明らかにしておく必要があります。

 (3)の「提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること」という要件については、(2)で明示された役務の提供の程度(成約したら支払う、確かな情報だけに支払う、ガセネタでも支払う等)を考慮して判断されます。
 しかし、紹介料には統一的な相場はなく、業種や規模、内容等によって異なりますので、同業他社の相場情報が参考になると思われます。
 注意しなければならないことは、同程度の役務の内容なのに紹介をしてくれた相手によって支払額が変わったりすると、単なる謝礼として交際費とみなされる可能性があるということです。税務調査で否認されないためにも、合理的な支払基準を作成する必要があります。

新型コロナの影響を受けた事業者の令和3年度固定資産税等の減免

 新型コロナウイルス感染症の影響により、一定以上の事業収入の減少があった中小企業・小規模事業者に対して、2021年度(令和3年度)に限り、償却資産に係る固定資産税及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税が減免されます。
 今回は、本特例の適用を受けるための申請方法などを紹介します。

1.対象者

 以下のいずれかに該当する法人または個人(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の第2条第5項に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む者を除きます)

(1) 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
(2) 常時使用する従業員が1,000人以下の資本又は出資を有しない法人
(3) 常時使用する従業員が1,000人以下の個人

 ※ただし、大企業の子会社等(下記のいずれかの要件に該当する企業)は対象外となります。
① 同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円超の法人、資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます)から2分の1以上の出資を受ける法人
② 2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人

2.減免対象

 償却資産に係る固定資産税、事業用家屋に係る固定資産税・都市計画税の課税標準
 ※居住用の部分及び土地は対象になりません。

3.措置内容

令和2年2月から10月までの任意の連続する3か月間の事業収入の減少率 軽減率
前年同期比30%以上50%未満の減少 2分の1
前年同期比50%以上の減少 全額

4.減免期間

 2021年度(令和3年度)に限ります。

5.申請期間

 2021年(令和3年)1月4日から2月1日まで
 ※当日消印有効です(期限を過ぎた申請は受付されません)。

6.申請方法

 事前に税理士、公認会計士等の認定経営革新等支援機関等による確認を受けた後に、下記の必要書類を添えて対象資産の所在する市町村(市役所資産税課など)へ申請します。

(1) 申請書(認定経営革新等支援機関等の確認印が押されたもの)
(2) 認定経営革新等支援機関等への確認時に提出した次の書類(写し)
 ① 収入減を証明する書類
 ② 特例対象家屋の事業割合を示す書類
 ※収入減の理由に「不動産賃料の猶予」によるものが含まれる場合は、追加で「不動産賃料の猶予の金額や猶予期間を確認できる書類」を提出します。

インボイス制度導入後の免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の特例(経過措置)

 消費税のインボイス制度は、適格請求書等保存方式として、2023年(令和5年)10月1日から導入されます。
 インボイス制度の下では、適格請求書等の保存と帳簿の保存が仕入税額控除の要件とされているため、適格請求書発行事業者になることができない免税事業者が取引から排除される可能性があることが懸念されています。
 そこで、激変緩和の趣旨から、インボイス制度導入後6年間は、免税事業者からの仕入れであっても一定割合の仕入税額控除が認められる措置が講じられています。
 今回は、免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の特例(経過措置)について確認します。

1.区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式の異同点

 次の表は、区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式の記載事項等の異同点を比較したものです。

  区分記載請求書等保存方式 適格請求書等保存方式
期間 令和元年10月1日~令和5年9月30日 令和5年10月1日以降
帳簿 ①課税仕入れの相手方の氏名又は名称
②取引年月日
③取引の内容(軽減対象資産の譲渡等である旨)
④対価の額
同左

請求書等 ①請求書発行者の氏名又は名称
②取引年月日
③取引の内容(軽減対象資産の譲渡等である旨)
④税率ごとに区分して合計した税込対価の額
⑤請求書受領者の氏名又は名称
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引の内容(軽減対象資産の譲渡等である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
⑥請求書受領者の氏名又は名称
税額控除 免税事業者からの仕入れも控除可 免税事業者からの仕入れは控除不可

2.免税事業者からの仕入れは控除不可

 現行の区分記載請求書等保存方式の下では事業者登録制度がないため、取引相手が課税事業者であるか免税事業者であるかを知ることはできません。そのため、免税事業者や消費者からの仕入れであっても、その取引が課税仕入れに該当するのであれば仕入税額控除が認められています。
 一方、適格請求書等保存方式は事業者登録制度を基礎としているため、適格請求書発行事業者になることができない免税事業者は、請求書等に登録番号を記載することができません。そのため、課税仕入れを行った事業者は、登録番号の記載のない請求書等を受け取ることによって、取引相手が免税事業者であることを知ります。
 適格請求書等が交付されない課税仕入れは、仕入税額控除の対象から除外しなければなりませんので、課税事業者は消費税の計算上不利となる免税事業者との取引を控える可能性があります。

3.免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の特例(経過措置)

 上記のように、インボイス制度導入後は免税事業者が取引から排除される可能性がありますが、激変緩和の趣旨から、導入後6年間は適格請求書等保存方式において仕入税額控除が認められない課税仕入れであっても、区分記載請求書等保存方式において仕入税額控除の対象となるものについては、次の割合で仕入税額控除が認められます。

期間 割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの3年間 仕入税額相当額の 80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日までの3年間 仕入税額相当額の 50%

 この経過措置の適用を受けるためには、帳簿に経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を記載しておかなければなりません。また、区分記載請求書等と同様の記載事項が記載された請求書等の保存が必要です。
 なお、この経過措置はあくまでも激変緩和措置であって、免税事業者が取引から排除される懸念は残ります。

簡易課税制度における不動産業の事業区分

 消費税の計算方法には、原則課税(一般課税、本則課税)と簡易課税があります。このうち、原則課税による計算は煩雑であり事務手数を要することから、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の中小事業者には簡易課税が認められています。
 簡易課税は原則課税の簡便法として設けられていますが、事業区分の判定については判断に迷うことも多く、必ずしも「簡易」な方法であるとは言えません。とりわけ不動産業は、簡易課税制度においては第6種事業に区分されていますが、場合によっては他の事業に区分されることもあります。
 今回は、簡易課税制度における不動産業の事業区分について確認します。

1.簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率

 原則課税では、消費税額は次のように計算します。

  消費税額=課税売上げに係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額

 この算式のうち、「課税仕入れ等に係る消費税額」を算出するための手続きが煩雑で事務負担も大きいことから、簡便法として簡易課税が設けられています。

 簡易課税では、課税売上げに係る消費税額に、事業区分に応じた一定の「みなし仕入率」を掛けた金額を「課税仕入れ等に係る消費税額」とみなして、納付する消費税額を計算します。算式は次のとおりです。

  消費税額=課税売上げに係る消費税額-(課税売上げに係る消費税額×みなし仕入率)

 原則課税のように「課税仕入れ等に係る消費税額」を算出する必要がなく、課税売上げに係る消費税額のみから納付すべき消費税額が計算できるため、簡便法と位置付けられています。

 簡易課税におけるみなし仕入率は、事業区分に応じて次のように定められています。

事業区分 該当する事業 みなし仕入率
第1種事業 卸売業 90%
第2種事業 小売業、農林漁業(飲食料品の譲渡に係る事業) 80%
第3種事業 製造業、建築業、農林漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)など 70%
第4種事業 第1・2・3・5・6種以外の事業(飲食店業など) 60%
第5種事業 運輸・通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業を除く) 50%
第6種事業 不動産業 40%

 この表からもわかるように、今回の論点である不動産業は第6種に区分されています。しかし、一口に不動産業と言っても、その形態は様々です。不動産に関する事業をすべて第6種としてしまうのは誤りです。

2.不動産業の事業区分とみなし仕入率

 ここでは、簡易課税制度における不動産業を、不動産売買業、不動産仲介業、不動産賃貸業、不動産管理業の4つに細分化します。そのうえで、それぞれ簡易課税制度のどの事業区分に該当するかを整理したものが下表です。

業態 内容 事業区分 みなし仕入率
不動産売買業 不動産を買い取り、そのままの状態で事業者に販売 第1種 90%
不動産を買い取り、そのままの状態で消費者に販売 第2種 80%
自己が建設した建売住宅を販売 第3種 70%
注文住宅を請け負って、下請けに建築させて販売 第3種 70%
中古住宅をリフォーム(塗装、修理等)して販売 第3種 70%
不動産仲介業 不動産の売買や賃貸を仲介 第6種 40%
不動産賃貸業 不動産の賃貸 第6種 40%
賃借人から原状回復費(内装工事などの建築リフォーム)を受け取った 第3種 70%
賃借人から原状回復費(室内クリーニングなど)を受け取った 第5種 50%
不動産管理業 他の者の不動産を管理 第6種 40%

 不動産業に簡易課税制度を適用する際は、その業態や内容に応じて該当する事業区分(みなし仕入率)が異なりますので注意が必要です。

個人が商品購入時に取得又は使用したポイントは所得税の課税対象となるか?

 個人がドラッグストアやスーパーなどで買い物をしたときに、商品購入額に応じてその店で使えるポイントが付与されることがあります。
 また、楽天カードなどのクレジットカードで買い物をしたときには、楽天市場や楽天トラベルなどで使えるポイントが付与されます。
 気になるのは、これらのポイントを取得又は使用したときに、確定申告をする必要があるか否かということです。
 今回は、企業が個人に付与するこれらのポイントの課税関係について確認します。なお、ここでいう個人とは、個人事業主ではない一般の消費者のことをいいます。また、個人事業主には一般消費者としての側面と事業者としての側面がありますが、今回話題にするのは、あくまでも一般消費者としての側面を持つ個人です。

※ 個人事業主がポイントを使用して経費を支払った場合の経理処理については、本ブログ記事「事業者が経費支払時にポイントを使用した場合の経理処理」をご覧ください。

1.代金決済に応じて付与されるポイントの場合

 これらのポイントの課税関係のうち、決済代金に応じて付与されるポイントについて国税庁ホームページ・タックスアンサーでは、「原則として、確定申告をする必要はありません。」としています。
 その理由については、次の2点が示されています。

(1) 商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っていること
(2) 一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられるので、こうしたポイントの取得又は使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしていること

 つまり、決済代金に応じて付与されるポイントについては、所得税の課税対象ではないしたがって、確定申告の必要はないということです。そういう意味でタックスアンサーでは「原則として、確定申告をする必要はありません。」という文言を使っています。
 しかし、「原則として、確定申告をする必要はありません。」ということは、例外的に確定申告が必要となるケースもある言い換えれば、所得税の課税対象となるケースもあるということです。これについては、下記3で述べます。

2.臨時・偶発的に取得したポイントの場合

 一方、タックスアンサーでは「ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられませんので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。」としています。
 つまり、臨時・偶発的に取得したポイントについては、所得税の課税対象になるということです。

 ただし、確定申告が必要かどうかは、使用したポイント相当額によります。一時所得として課税される金額は、次のように計算します。

 {総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最大50万円)}×1/2

 収入を得るため(ポイントの付与を受けるため)に支出した金額(いわゆる経費)は通常0と考えられますので、総収入金額(ポイント使用額)が50万円以下で他に一時所得に該当するものがなければ、確定申告は不要です。

 また、給与所得者については給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の場合に、公的年金等受給者については公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合に、それぞれ確定申告は不要とされています。
 したがって、給与所得者と公的年金等受給者については、ポイント使用額が90万円以下で他に一時所得に該当するものがなければ、確定申告は不要です。
(注)医療費控除を受けるため等の還付申告を行う場合等は、確定申告をする必要があります。詳しくは本ブログ記事「給与所得者と公的年金等受給者の確定申告不要制度の注意点」をご参照ください。

3.所得控除の対象となる支出にポイントを使用した場合

 決済代金に応じて付与されるポイントの使用に関する課税関係は上記1のとおりですが、ポイントを使用して医薬品購入の決済代金の値引きを受けた場合のように、所得控除の対象となる支出にポイントを使用したことが明らかな場合には、次のいずれかの方法により、所得金額及び所得控除額を計算することとされています。

(1) ポイント使用後の支払金額を基に所得控除額を計算する方法
(2) ポイント使用前の支払金額を基に所得控除額を計算するとともに、ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額として算入する方法

 (1)の方法では、例えば2,000円の医薬品の購入時に500円分のポイントを使用して1,500円を支払った場合、医療費控除額を1,500円として計算します。
 (2)の方法では、2,000円を医療費控除額として計算し、500円を一時所得の総収入金額に算入します。

 この2つの方法のうち、(2)についてはポイント使用相当額が所得税の課税対象になります。
 ただし、ポイント使用額について確定申告が必要か否かについては、上記2で述べたとおりです。

4.ポイントを使用して株式等を購入した場合

 最近では、買い物で貯まったポイントを使用して株式等に投資が行えるサービスもあります。例えば、Tポイントや楽天ポイント、Pontaポイント、dポイント、LINEポイントなどを使って株式等を購入することができます。
 国税庁ホームページ・タックスアンサーでは、これらについても次のように記載しています。

 「証券会社等においてポイントを使用して株式等を購入した場合、一般的には、その株式等の取得価額(取得費等)はポイント使用前の支払金額(ポイント使用相当額を含めた支払金額)を基に計算するとともに、ポイント使用相当額は一時所得の総収入金額に算入します。」

 つまり、ポイントを使用して株式等を購入した場合は、上記3.(2)の方法と同様に、ポイント使用額が所得税の課税対象になります。
 ただし、ポイント使用額について確定申告が必要か否かについては、上記2で述べたとおりです。

海外企業との契約書に印紙を貼る?貼らない?

 日本の印紙税法が適用されるのは、日本国内に限られます。では、海外企業との取引において交わす契約書に印紙を貼る必要はあるのでしょうか?
 今回は、海外企業との契約書に印紙を貼るのか否かについて確認します。

1.作成された場所は国内か海外か?

 例えば、日本の企業が日本国内にある不動産の売買契約を海外企業と交わす場合を考えてみます。
 まず、日本の企業が日本国内で売買契約書を2通作成し、日本側の代表者の署名押印をしたものを2通とも海外企業に郵送します。海外企業は現地でこれに署名し、そのうち1通を日本の企業に返送します。
 この場合、返送されてきた契約書に印紙を貼る必要はありません。なぜなら、契約書が作成された場所が国外だからです。

 繰り返しになりますが、日本の印紙税法が適用されるのは、日本国内に限られます。したがって、課税文書の作成が国外で行われる場合には、たとえその文書に基づく権利の行使(=不動産の売買)が国内で行われるとしても、また、その文書の保存が国内で行われるとしても、印紙税は課税されません。
 つまり、契約書のように双方が署名押印する方式で作成する文書は、いつ、どこで作成されたものであるかを判断すれば、課税となるかどうかが決まることになります。

2.いつ作成されたのか?

 上述したように、印紙を貼るか貼らないかは、いつ、どこで作成されたものであるかが判断基準になります。作成場所が海外であることはわかりましたが、今回のケースにおいては、どの段階で契約書が作成されたといえるのでしょうか(いつ、作成されたといえるでしょうか)?

 印紙税法の課税文書の作成とは、単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいます。
 そのため、契約書のように当事者の意思の合致を証明する目的で作成する課税文書は、その意思の合致を証明する時になります。
 今回の売買契約書は、双方が署名押印する方式の文書ですから、日本の企業が契約書を作成してこれに署名押印した段階では、まだ契約当事者の意思の合致を証明する文書になりません。
 もう一方の契約当事者である海外企業が署名する時が課税文書の作成された時であり、その作成場所は海外ですから、この契約書には日本の印紙税法は適用されないことになります。
 つまり、日本の企業も海外企業も契約書に印紙を貼る必要はありません。

 また、返送されてきた契約書は、日本の企業で保存されることになりますから、いつ、どこで作成されたものであるかを明らかにしておかなければなりません。後日、印紙税が納付されていない契約書とみなされ、税務調査などでトラブルが発生することも予想されるからです。
 したがって、契約書上に作成場所を記載するとか、契約書上作成場所が記載されていなければ、別途その事実を付記しておく等の措置が必要になります。

 ちなみに、文書の作成方法が逆の場合、つまり、海外企業が海外で売買契約書を2通作成し、海外企業の署名をした上で2通とも日本の企業に送付し、これに日本の企業が日本で署名押印して1通を海外企業に返送する場合には、日本の企業が保存するものだけではなく、海外企業に返送する契約書にも印紙を貼る必要があります。

外交員報酬に係る源泉徴収税額の計算方法

 不動産業を営むA社の社長から、不動産外交員に支払う報酬の源泉徴収税額の計算方法を教えてほしいとのご依頼がありました。社長ご自身も、A社を設立する前は不動産外交員として報酬を受け取っていましたので、報酬から所得税と復興特別所得税を源泉徴収しなければならないことはご存じでしたが、その計算方法はご存じないようでした。
 今回は、外交員報酬に係る源泉徴収税額の具体的な計算方法について確認します。

1.外交員報酬とは?

 不動産や保険の外交員が、その地位に基づいて支払を受ける外交員報酬は、源泉徴収の対象とされます(所得税法第204条第1項第4号)。
 ここでいう外交員報酬に該当するかどうかについては、その支払を受ける者が、支払をする販売会社との間に会社法上の代理商契約に準ずる委任契約関係、すなわち媒介代理の契約関係にあるか否かにより決まります。このような契約関係があれば、外交員報酬として源泉徴収の対象となりますが、このような継続的な契約関係がなく、単に斡旋をするにすぎないときは外交員報酬とならず、源泉徴収の対象にもなりません。

※ 国税不服審判所の裁決(平11.3.11裁決、裁決事例集No.57 206頁)では、「所得税法第204条第1項第4号に規定する外交員とは、事業主の委託を受け、継続的に事業主の商品等の購入の勧誘を行い、購入者と事業主との間の売買契約の締結を媒介する役務を自己の計算において事業主に提供し、その報酬が商品等の販売高に応じて定められている者」と解されています。

 なお、外交員報酬に該当するかどうかについては、本ブログ記事「外注費か給与か・・・国税庁の判断基準」をご参照ください。

2.外交員報酬と給与等

 外交員が支払を受ける報酬については、それぞれ次のように取り扱われます(所得税法基本通達204-22)。

(1) その報酬の額がその職務を遂行するために必要な旅費とそれ以外の部分とに明らかに区分されている場合
 旅費部分は非課税とし、それ以外の部分は給与等とします。

(2) 旅費とそれ以外の部分とに明らかにされていないで、その報酬が固定給とそれ以外の部分に区分されているとき
 固定給は給与等とし、それ以外の部分(変動給)は外交員報酬とします。

(3) (1)及び(2)以外の場合
 その必要な旅費等の費用の多寡その他の事情を総合勘案し、給与等と認められるものはその総額を給与等とし、その他のものについてはその総額を外交員報酬とします。

 外交員が支払を受ける報酬が、給与等又は退職手当等に該当するものについては、それぞれ給与所得又は退職所得として源泉徴収を行います。
 外交員が支払を受ける報酬が、外交員報酬に該当するものについては、次のように源泉徴収を行います。

3.外交員報酬の源泉徴収税額の計算方法

 源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は、外交員報酬の額から1か月当たり12万円(同月中に給与等を支給する場合には、12万円からその月中に支払われる給与等の額を控除した残額)を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて算出します。
(注)求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

 源泉徴収税額={外交員報酬-(12万円-給与等)}×10.21%

 具体的には、以下のように計算します。

〈計算例1〉外交員報酬(変動給)を20万円支払う場合
 (20万円-12万円)×10.21%=8,168円

〈計算例2〉外交員報酬(変動給)20万円と給与(固定給)5万円を支払う場合
 {20万円-(12万円-5万円)}×10.21%=13,273円

〈計算例3〉外交員報酬(変動給)20万円と給与(固定給)15万円を支払う場合
 {20万円-(12万円-12万円)}×10.21%=20,420円
(注)給与の額15万円が控除額12万円を超えるため、控除額の残額は0円となります。

4.留意事項

 外交員報酬の額の中に消費税及び地方消費税の額(以下「消費税等の額」といいます)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書等において、外交員報酬の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その外交員報酬の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。 

 また、外交員報酬から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、支払った月の翌月の10日までに納めなければなりません。
 支払者が源泉所得税の納期の特例の適用を受けている場合であっても、外交員報酬については、納期の特例の対象とはなりませんのでご注意ください。

白色申告者の事業専従者控除の留意点

 青色申告者である個人事業主が、その事業に従事する奥さんに給与を支払った場合、一定の要件の下にその給与を必要経費にできることはよく知られています。一方、白色申告者である個人事業主が、その事業に従事する奥さんに給与を支払っても、その給与は原則として必要経費になりません。
 しかし、白色申告者であっても、奥さんに支払った給与を必要経費にできる「事業専従者控除の特例」があります。
 今回は、この事業専従者控除について確認します。

1.事業専従者控除の要件

 白色申告者が事業専従者控除の適用を受けるためには、次の(1)と(2)の要件を満たす必要があります。

(1) 白色申告者の営む事業に事業専従者がいること
 事業専従者とは、次の要件の全てに該当する者をいいます。
① 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
② その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
③ その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること

(2) 確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること
 具体的には、確定申告書第二表の「事業専従者に関する事項欄」に記載します。

2.事業専従者控除額の計算方法

 事業専従者控除額は、次の(1)又は(2)の金額のどちらか低い金額です。

(1) 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
(2) この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額(事業所得等÷(専従者の数+1))

 具体的には、以下のように計算します。

〈計算例1〉
事業所得150万円(収入600万円-経費450万円)、専従者1人(配偶者)の場合
(1)より、専従者が配偶者なので86万円
(2)より、150万円÷(1+1)=75万円
 したがって、この場合の専従者控除額は、86万円>75万円より75万円となります。

〈計算例2〉
事業所得200万円(収入800万円-経費600万円)、専従者1人(配偶者)の場合
(1)より、専従者が配偶者なので86万円
(2)より、200万円÷(1+1)=100万円
 したがって、この場合の専従者控除額は、100万円>86万円より86万円となります。

3.事業専従者控除の留意点

 事業専従者控除の留意点は、次のとおりです。

(1) 白色申告の事業専従者控除については、事前に税務署に届出をする必要はありません。
(2) 事業専従者控除の対象者は、配偶者控除や扶養控除の対象にはなれません。
(3) 事業専従者控除額は、その専従者(配偶者、親族)の給与所得に係る収入金額とみなされます。例えば、専従者が白色申告者の事業に従事する一方、空いた時間を利用して他でアルバイトをした場合には、事業専従者控除額とアルバイトで得た給与を合計した金額が、その専従者の年間給与収入となりますので注意が必要です。