印紙税の節税方法5選

 印紙税は契約書などに課される税金ですが、印紙を貼っていなくても、その文書の法的な効力がなくなるわけではありません
 とはいえ、正式な契約の成立の証しとして作成する契約書に印紙を貼っていないと、契約の相手方が不安や物足りなさを感じるかもしれません。たとえ、合法的に印紙の貼り付けを不要にできる方法があったとしてもです。しかし、親子会社間や同族会社間の取引であれば、活用できる余地はあると思われます。
 そこで今回は、親子会社間や同族会社間で活用できる印紙税の節税方法について確認します(以下の方法は、親子会社間や同族会社間に限定した節税方法ではなく、双方の合意があれば、契約の相手方が誰であっても有効な方法です)。

1.コピーに印紙は不要

 契約書の文面に、「甲はこの契約書の原本を保有し、乙はそのコピーを保有する」と記載すれば、乙の保有するコピーに印紙を貼る必要はありません。これで、印紙代は半分に節約できます。
※ 詳しくは、本ブログ記事「契約書のコピーに印紙は必要?不要?」をご参照ください。

2.契約書を電子メール、ファックスで送る

 印紙税は、相手に渡したり、双方で取り決めをした「紙」の文書に課される税金です。電子メールやファックスは紙の文書を送っているわけではなく、電子データ(電子メール)や通信データ(ファックス)を送っています。
 したがって、電子メールやファックスでデータを送信しても課税文書を作成したことにはならず、印紙税の課税原因は発生しません
 例えば、注文請書に記名押印した後にPDFファイル等の電磁的記録に変換し、そのPDFファイルを注文先に電子メールで送信したとしても、現物を注文者に交付しなければ、それは課税文書に該当しません。送信用の現物(原本)を相手に交付せずに社内で保管する場合は、印紙税の課税対象外となります。
 ただし、電子メールで送信した後に注文請書の現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物の注文請書に印紙税が課されます
 一方、受信者側が送信された注文請書をプリンタで印刷しても、現物の交付がなされない場合は、コピーした文書と同様のものと認められるため、印紙税は課税されません

3.記載金額を分割する

 例えば、親子会社間あるいは同族会社間で金銭の貸し借りをする場合に、金銭消費貸借契約書を1枚にせず、金額を分割します。
 仮に、金額が1,000万円なら、500万円の金銭消費貸借契約書を2枚作成します。記載金額が1,000万円なら印紙税は1万円ですが、500万円なら印紙税は2,000円です。500万円の金銭消費貸借契約書を2枚作っても、合計で4,000円の印紙税で済みます。

4.消費税、源泉所得税は区分表示する

 第1号文書(不動産等の譲渡等に関する契約書)、第2号文書(請負に関する契約書)、第17号文書(売上得代金等に係る金銭又は有価証券の受取書)は、消費税を区分表示した場合は消費税抜きの金額を記載金額とするという規定(消費税の特例)があります。
 また、第17号文書については、源泉所得税も区分表示すれば、税抜きの金額が記載金額とされます
※ 消費税の特例については、本ブログ記事「契約書・領収書の記載金額における消費税の特例」をご参照ください。

5.印紙を金券ショップや格安チケット屋で購入する

 郵便局で購入する収入印紙には、消費税が課税されません。消費税では、日本郵便株式会社や簡易郵便局等で譲渡される収入印紙は非課税とされています(消費税基本通達6-4-1)。
 一方、郵便局以外の場所、例えば金券ショップや格安チケット屋などで譲渡される収入印紙には、消費税が課税されます。
 金券ショップ等を利用すれば、額面金額よりもわずかながら安く購入することができ、さらに消費税の課税事業者で本則課税を採用している事業者であれば、印紙の購入額を課税仕入れとして処理できます
 印紙税の節税というよりは消費税の節税ですが、特に印紙の購入額が大きい不動産業や建設業の方には、活用していただきたい節税方法です。

請求書に印紙は必要?不要?

 印紙税の課税文書のうち、代表的なものとして領収書があります。売上代金を受領した際に発行する領収書について、そこに記載された受取金額が5万円以上の場合は、印紙を貼らなければならないことはよく知られています。
 一方、請求書を発行する際は、その請求金額にかかわらず基本的に印紙を貼る必要はありませんが、内容によっては印紙が必要となるケースもあります。
 今回は、請求書と印紙について確認します。

1.請求書に印紙は原則として不要

 印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の3つのすべてに当てはまる文書をいいます。

(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること
※ 課税物件表については、国税庁ホームページ「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」及び「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」をご参照ください。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと

 請求書は、上記(1)の課税物件表に掲げられている課税文書に該当しませんので、原則として印紙を貼る必要はありません。
 しかし、課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている内容に基づいて判断しなければなりません。当事者の約束や慣習により文書の名称や文言は種々の意味に用いられるため、その文書の内容判断に当たっては、その名称、呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号等の実質的な意味を汲み取って行う必要があります。

2.請求書に印紙が必要となる場合

 例えば、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は売上代金の受領書(第17号の1文書)に該当することになります。
 つまり、請求書が領収書を兼ねる場合(請求書内で「領収済」というような請求代金の受け取りを証明する文言がある場合)は、タイトルが請求書となっていたとしても領収書の扱いになりますので、印紙を貼る必要があります。
 この場合は、記載金額によって印紙税額が変わります。印紙税額については、上記課税物件表(印紙税額の一覧表)の第17号文書をご参照ください。

印紙税の過怠税と時効

 税務調査の際に、契約書等の印紙の貼り忘れを指摘されることがあります。印紙の貼り忘れ(印紙税の納付もれ)には、過怠税というペナルティーが科されます。
 今回は、印紙税の過怠税について確認します。

1.印紙の貼り忘れ・消印忘れ

 印紙税は、課税文書を作成するときに、その文書に所定の額面の収入印紙を貼り付け、印章又は署名で消印することによって納付します。
 もし、税務調査の際に、収入印紙を貼るべき課税文書に印紙を貼っていないことがわかると、その納付しなかった印紙税の額に加えて、その2倍に相当する金額(つまり、本来納付すべきだった印紙税額の3倍)が過怠税として徴収されます(印紙税法20条1項)。
 また、正しく印紙を消印していなかったときには、その印紙の額面金額に相当する金額が過怠税として徴収されます(印紙の消印方法については、本ブログ記事「印紙の消印方法~意外に知らないことが多い!?」をご参照ください)。

2.自主的に申し出れば過怠税は1.1倍

 ただし、税務調査で納付漏れが明らかになる前に、所轄税務署長に対して印紙税を納めていない旨を自ら申し出た場合、過怠税は本来納めるべきだった印紙税額の1.1倍に軽減されます(印紙税法20条2項)。
 過怠税が3倍になるか1.1倍で済むか、この差は大きいと言えますが、実際の税務調査では、うっかりミスや誤認識による納付漏れであれば、過怠税は1.1倍になるケースが多いようです。
 3倍の過怠税が徴収されるのは、収入印紙の使い回しや仮装隠ぺい等の脱税行為など、悪質なケースに限られるようです。

3.過怠税は損金不算入

 過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。
 前述したように、過怠税はその納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、つまり、本来納付すべき印紙税額の3倍になります。
 例えば、本来納付すべき印紙税額が1万円の場合、その2倍に相当する2万円との合計額である3万円が過怠税になります。
 ここで注意を要するのは、あくまでも損金不算入となる過怠税は3万円であるということです。本来納付すべき印紙税額1万円が本税、その2倍に相当する2万円が過怠税ということではありません。
 なお、印紙税の不納付に加算税や延滞税は課されません。

4.印紙税の時効は5年

 印紙税に限らず、法人税や所得税、相続税等の国税の徴収権は、その国税の法定納期限から5年間行使しないことによって時効により消滅します(国税通則法72条)。
 印紙税の場合、納期限はその課税文書を作成する時までですから、その課税文書を作成した時から5年が過ぎれば時効ということになります。
 もし、契約書等に印紙を貼り忘れていたことに気づいたとしても、あわてて印紙を貼るのではなく、時効が過ぎていないかどうか、まずその作成日を確認してみてください。

契約書のコピーに印紙は必要?不要?

 一般的な商取引では、同じ契約書を2通作成し、契約当事者がそれぞれ1通づつを保管します。その契約書は、契約の成立を証明するために作成された文書であり、契約当事者の署名や押印がありますので、それぞれの契約書に収入印紙を貼る必要があります。
 では、契約当事者の一方が原本を持っていて、他の者がその原本のコピーを持っている場合、そのコピーに収入印紙を貼る必要はあるのでしょうか?
 今回は、この点について確認します。

1.コピーに印紙が不要となる場合

 一般的な契約書には、「契約成立の証として本書2通を作成し、甲乙各自署名押印のうえ、各自1通を保管する。」などの文言が記載されています。
 このような文言のある契約書でも、例えば、役所などに提出するために契約書をコピーする場合や、弁護士や税理士などに契約書のコピーを渡す場合などは、印紙は不要です。
 つまり、契約書のコピーが単に複写しただけのもの(原本をコピーしたままのもので署名押印もコピーされているもの)の場合は、そのコピーに印紙は不要です。

 また、契約書の作成段階で、上記文言を「契約成立の証として本書1通を作成し、甲が保管する」や「甲はこの契約書の原本を保有し、乙はそのコピーを保有する」に変えて記載すれば、乙の保有するコピーに印紙を貼る必要はありません。
 この方法で印紙代は半分に節約できます。親子会社間、同族会社間での契約に活用できると思います。

2.コピーに印紙が必要となる場合

 ただし、次の場合は契約の成立を証明する文書に該当しますので、コピーであっても印紙を貼る必要があります(契約当事者の一方(甲)が原本を所持し、他の者(乙)がコピーを所持しているケース)。

(1) 契約当事者の署名押印があるもの(コピー後の用紙に署名押印しているもの)
(2) コピーに「原本と相違ない」「正本と相違ない」と記述しているもの
(3) 原本とコピー(副本)に割り印のあるもの
(4) 「契約成立の証として本書2通を作成し、甲乙各自が1通を保管する」という文言があるもの

※上記1において、このような文言のある契約書でも、単に複写しただけのものは印紙は不要であることを確認しました。
 これは、契約段階で契約書原本が2通作成されており、甲も乙もそれぞれ原本を1通づつ所持していることが前提です。そのうえで、その契約書のコピーをとっても、コピーに印紙を貼る必要はないということです。
 それに対し、上記2(4)は、契約段階で作成された契約書2通のうち1通がコピーであり、甲が原本を所持し、乙はそのコピーを所持していることが前提です。この場合、乙の所持するコピーは契約の成立を証明する文書に該当しますので、コピーであっても印紙を貼る必要があります。

海外企業との契約書に印紙を貼る?貼らない?

 日本の印紙税法が適用されるのは、日本国内に限られます。では、海外企業との取引において交わす契約書に印紙を貼る必要はあるのでしょうか?
 今回は、海外企業との契約書に印紙を貼るのか否かについて確認します。

1.作成された場所は国内か海外か?

 例えば、日本の企業が日本国内にある不動産の売買契約を海外企業と交わす場合を考えてみます。
 まず、日本の企業が日本国内で売買契約書を2通作成し、日本側の代表者の署名押印をしたものを2通とも海外企業に郵送します。海外企業は現地でこれに署名し、そのうち1通を日本の企業に返送します。
 この場合、返送されてきた契約書に印紙を貼る必要はありません。なぜなら、契約書が作成された場所が国外だからです。

 繰り返しになりますが、日本の印紙税法が適用されるのは、日本国内に限られます。したがって、課税文書の作成が国外で行われる場合には、たとえその文書に基づく権利の行使(=不動産の売買)が国内で行われるとしても、また、その文書の保存が国内で行われるとしても、印紙税は課税されません。
 つまり、契約書のように双方が署名押印する方式で作成する文書は、いつ、どこで作成されたものであるかを判断すれば、課税となるかどうかが決まることになります。

2.いつ作成されたのか?

 上述したように、印紙を貼るか貼らないかは、いつ、どこで作成されたものであるかが判断基準になります。作成場所が海外であることはわかりましたが、今回のケースにおいては、どの段階で契約書が作成されたといえるのでしょうか(いつ、作成されたといえるでしょうか)?

 印紙税法の課税文書の作成とは、単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいます。
 そのため、契約書のように当事者の意思の合致を証明する目的で作成する課税文書は、その意思の合致を証明する時になります。
 今回の売買契約書は、双方が署名押印する方式の文書ですから、日本の企業が契約書を作成してこれに署名押印した段階では、まだ契約当事者の意思の合致を証明する文書になりません。
 もう一方の契約当事者である海外企業が署名する時が課税文書の作成された時であり、その作成場所は海外ですから、この契約書には日本の印紙税法は適用されないことになります。
 つまり、日本の企業も海外企業も契約書に印紙を貼る必要はありません。

 また、返送されてきた契約書は、日本の企業で保存されることになりますから、いつ、どこで作成されたものであるかを明らかにしておかなければなりません。後日、印紙税が納付されていない契約書とみなされ、税務調査などでトラブルが発生することも予想されるからです。
 したがって、契約書上に作成場所を記載するとか、契約書上作成場所が記載されていなければ、別途その事実を付記しておく等の措置が必要になります。

 ちなみに、文書の作成方法が逆の場合、つまり、海外企業が海外で売買契約書を2通作成し、海外企業の署名をした上で2通とも日本の企業に送付し、これに日本の企業が日本で署名押印して1通を海外企業に返送する場合には、日本の企業が保存するものだけではなく、海外企業に返送する契約書にも印紙を貼る必要があります。

印紙を貼り間違えたときは返金してもらいましょう

1.還付の対象となるもの

 本来の印紙税額を超えて多めに収入印紙を貼ってしまったときや、印紙を貼る必要のない文書に誤って収入印紙を貼ってしまったときなどは、印紙税の還付を受けることができます。
 具体的には、以下のようなケースが還付の対象になります。

(1) 請負契約書や領収書などの印紙税の課税文書に貼り付けた収入印紙が過大となっているもの
(2) 委任契約書などの印紙税の課税文書に該当しない文書を、印紙税の課税文書と誤認して収入印紙を貼り付けてしまったもの
(3) 印紙税の課税文書の用紙に収入印紙を貼り付けたものの、使用する見込みのなくなったもの

 なお、収入印紙は、印紙税の納付のみでなく、登録免許税やパスポート引換えの際の手数料又は訴訟費用の納付等多くの用途に用いられます。このうち、印紙税法第14条の規定により還付の対象になるのは、印紙を納付する目的で、印紙税の納付の必要がない文書に誤って印紙を貼り付けたり、課税文書に所定の金額を超える印紙を貼り付けたりした場合等です。
 したがって、印紙により納付することになっている登録免許税や訴訟費用等を納付するための文書に印紙を貼り付けたものは、たとえ誤って貼り付けたものであっても印紙の納付が目的ではないため、印紙税の還付を受けることができません。

2.還付を受ける方法

 印紙税法による還付を受けるためには、税務署に用意されている「印紙税過誤納確認申請書」に必要事項を記入のうえ、納税地の税務署長に提出します。この場合の納税地は、文書の種類や記載内容などによってそれぞれ異なる場合がありますので、ご注意ください(印紙税過誤納[確認申請・充当請求]手続については、国税庁ホームページを参照)。
 なお、還付の申請に当たっては、印紙税が過誤納となっている文書と印鑑、法人の場合は代表者印が必要となります。
 還付される税金は、銀行口座振込あるいは郵便局を通じての送金となるため、還付金を受け取るまでに若干の日数がかかります。
 また、過誤納した印紙税の還付を請求できるのは、その請求をすることができる日(文書を作成した日)から5年以内です。5年を経過すると、印紙税を含めた国税に係る過誤納金を国に請求できる権利は消滅します。

3.印紙税の納税地

 印紙税の納税地は、印紙を購入した場所ではありません。基本的には、課税文書にその作成場所が記載されている場合は、その作成場所が納税地になります(印紙税法第6条第4号)。
 しかし、契約書に「○○県○○市○○区○-○-○にて作成」というように、その作成場所を明確に記載することはあまりないと思われます。
 作成場所が明らかでない場合は、次のようにして納税地を決定します。

(1) 課税文書の作成者が1人の場合(単独作成)

 受取書等のように、課税文書の作成者が1人の場合で、その作成者の事業に係る事務所、事業所、その他これらに準ずるものの所在地が記載されている場合には、その所在地が納税地になります。
 また、事業に係る事務所等が記載されていない場合には、受取書等の作成時における作成者の住所(住所がない場合には居所)が納税地になります。

(2) 2人以上が共同で課税文書を作成した場合(共同作成)

 例えば、不動産売買契約書のように、売主と買主が共同で課税文書を作成した場合には、それぞれの作成者が課税文書を所持している場所が納税地となります。
 また、課税文書の作成者以外の者が課税文書を所持している場合は、その文書に最初に記載されている作成者の所在地又は住所地が納税地となります。

印紙の消印方法~意外に知らないことが多い!?

 顧問先様からの質問は多岐にわたります。会計のこと、税務のこと、経営のこと、融資のこと・・・。すぐに答えられるものもあれば、少し時間を頂いて調べてから答えるものもあります。
 先日も「契約書に貼った印紙の消印は、契約書に押した判子と同じものでしなければならないか?」というご質問を受けました。印紙の消印方法・・・?これまであまり考えたことがなく、なんとなく契約書に押印したものと同じ判子で消印していましたが、改めて問われると、本当にそれでいいのか疑問が生じました。
 そこで、調べてみると、国税庁ホームページ(質疑応答事例)に詳細な記載がありました。今回は、その内容を一問一答形式で紹介します。

1.消印する人は文書の作成者に限られるか?

 答えは「否」です。印紙税法施⾏令第5条では、印紙を消す⽅法は、⽂書の作成者⼜は代理⼈、使⽤⼈その他の従業者の印章⼜は署名によることになっています。
 したがって、消印する⼈は⽂書の作成者に限られておらず、作成者、代理⼈、使⽤⼈、従業者でもよいことになっています。

2.契約者が数⼈いる場合には、その全員で消印をしなければいけないか?

 答えは「否」です。消印は印紙の再使⽤を防⽌することを⽬的とするという趣旨のものですから、複数の⼈が共同して作成した⽂書に貼り付けた印紙は、その作成者のうち誰か1⼈の者が消せばよいことになっています。
 例えば、甲と⼄とが共同して作成した契約書については、甲と⼄の双⽅が消印しても甲と⼄のどちらか1⼈が消印しても差し⽀えありません(印紙税法基本通達第64条)。

3.契約書などに押した印で消印しなければならないか?

 答えは「否」です。上記1で見たように、印紙税法施⾏令第5条では、印紙を消す⽅法は、⽂書の作成者⼜は代理⼈、使⽤⼈その他の従業者の印章⼜は署名によることになっています。
 したがって、⽂書の消印は、その⽂書に押した印だけではなく、署名によることもできます。

4.斜線を引いて消印してもいいか?

 答えは「否」です。署名は⾃筆によるのですが、その表⽰は⽒名を表すものでも通称、商号のようなものでも構いません
 しかし、単に「印」と表⽰したり斜線を引いたりしてもそれは印章や署名には当たりませんから、消印したことにはなりません

5.ゴム印でも消印はできるか?

 答えは「正」です。消印は印紙の再使⽤を防⽌するためのものですから、それに使⽤する印章は通常印判といわれているもののほか、⽒名、名称などを表⽰した⽇付印、役職名、名称などを表⽰したゴム印のようなものでも差し⽀えありません(印紙税法基本通達第65条)。

6.鉛筆で消印してもいいか?

 答えは「否」です。印紙税の課税対象となる⽂書に印紙を貼り付けた場合には、その⽂書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっています(印紙税法第8条第2項)。⼀⾒して誰が消印したかが明らかとなる程度に印章を押し⼜
は署名することが必要であり、かつ、通常の⽅法では消印を取り去ることができないことが必要です。
 したがって、鉛筆で署名したもののように簡単に消し去ることができるものは、消印をしたことにはなりません

 これまでなんとなく消印していましたが、調べてみると、知らないことも多かったです。

税理士の顧問契約書に貼る印紙はいくら?

 クライアントの皆様と顧問契約を締結する際に、顧問契約書にいくらの印紙を貼ればよいか質問されることがあります。
 顧問契約書に貼る印紙については、相手の税理士が個人の場合と税理士法人の場合で取扱いが異なります。
 今回は、税理士との顧問契約書に貼る印紙について確認します。

1.継続的取引の基本となる契約書か?

 次の一般的な顧問契約書を見ながら、貼る印紙について確認します。

                顧問契約書

 委任者 ○○株式会社(以下「甲」という)と受任者 税理士○○(以下「乙」という)は、税理士の業務に関して下記の通り契約を締結する。

第1条 委任業務の範囲
税務に関する委任の範囲は、次の項目とする。
 1 甲の法人税、事業税、住民税及び消費税の税務書類の作成並びに税務代理業務 
 2 甲の税務調査の立会い
 3 甲の税務相談
会計に関する委任の範囲は、次の項目とする。
 4 甲の総勘定元帳及び試算表の作成並びに決算
 5 甲の会計処理に関する指導及び相談
前記に掲げる項目以外の業務については、別途協議する。

第2条 契約期間
 令和2年9月1日から令和3年8月31日までの1年間とする。
 ただし、双方より意思表示のない限り、自動継続することを妨げない。

第3条 報酬の額
報酬は、次のとおりとする。
 1 税務・会計の顧問報酬として月額        30,000円
 2 決算書類作成及び法人税申告報酬        100,000円
 3 消費税申告報酬                40,000円
 4 上記各報酬額には別途消費税が付加される。
 5 上記に含まれない業務報酬については、別途協議の上決定する。

 上記の顧問契約書の内容から、まずこの契約書は、継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)に該当する可能性があります。第7号文書に該当する場合は、契約書1通につき一律4,000円の印紙を貼る必要があります。

 ところで、第7号文書に該当するには「営業者間取引であること」が必要です。しかし、個人の税理士や弁護士等の士業は、印紙税法上の営業者には当たらないので、個人の士業との顧問契約書が第7号文書になることはありません。

 一方、税理士法人は営業者に該当しますので、税理士法人との顧問契約書は第7号文書になります。

2.委任契約か請負契約か?

 次に問題となるのが、上記顧問契約書の内容が委任契約か請負契約かということです。
 委任契約書は、第1号から第20号までのどの課税文書にも該当しない不課税文書です。委任契約書であれば、印紙を貼る必要はありません。

 委任契約か請負契約かの判定は、記載されている取引の内容について、成果物があるか否かによって区分します。
 成果物がある場合は、請負契約となり、課税文書(第2号文書)になります。成果物がない場合は、委任契約となり、不課税文書になります。

 上記顧問契約書の黄色マーカー部分に注目してください。第1条1項と4項で税務書類や試算表の作成を請け負っています。この税務書類や試算表が成果物となりますので、この契約書は課税文書(第2号文書)と判定され、印紙を貼ることになります。

 もし、第1条において黄色マーカー部分の業務がなければ、具体的な成果物がないため、この契約書は委任契約書となり、印紙を貼る必要はありません。

3.記載金額はいくらか?

 では、上記顧問契約書の記載金額はいくらになるのでしょうか?上記顧問契約書の青色マーカー部分に注目してください。契約期間が1年、月額顧問料が30,000円、法人税申告報酬が100,000円、消費税申告報酬が40,000円とあるので、30,000円×12か月+100,000円+40,000円=500,000円が記載金額となります。

 なお、消費税の特例により、契約金額に消費税が含まれている場合は、消費税を除いた金額をもって記載金額とします。ただし、消費税額が明確であること、文書の作成者が課税事業者であることが条件です。

4.契約書に貼る印紙はいくら?

(1) 個人の税理士の場合

 上記1と2より、契約の相手方が個人の税理士の場合は第7号文書にはなりませんので、上記顧問契約書は第2号文書になります。
 上記3より、この顧問契約書の記載金額は500,000円ですので、第2号文書として200円の印紙を貼ることになります。
 ※参考:国税庁ホームページ「印紙税額一覧表(第1号文書から第4号文書まで)

(2) 税理士法人の場合

 一方、契約の相手方が税理士法人の場合は、第2号文書と第7号文書の両方に当てはまります。

 印紙税法では、契約書が複数の課税文書に当てはまる場合は、最終的にどちらか一方の文書に該当することとされています。つまり、上記の例であれば、第2号文書と第7号文書のいずれかに該当するわけです。
 第2号文書と第7号文書に該当する場合、最終的にどちらの課税文書になるかについては次のルールがあります。

記載金額がある場合 第2号文書
記載金額がない場合 第7号文書

 上記3より、この顧問契約書の記載金額は500,000円ですので第2号文書に該当し、200円の印紙を貼ることになります。
 なお、契約書に記載金額がない場合は、第7号文書として4,000円の印紙を貼ることになります。

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の概要

 2020年(令和2年)4月7日、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)」が閣議決定されました。
 本特例の実施については、関係法案が国会で成立すること等が前提となります。

※2020年(令和2年)4月30日に 「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律案」が成立・公布・施行されました。

1.新型コロナウイルス感染拡大に伴う納税猶予の特例

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置に起因して多くの事業者の収入が急減している現下の状況を踏まえて、無担保かつ延滞税なしで1年間、納税を猶予する特例が設けられます。
 この特例は、2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までに納期限が到来する国税について適用されます。その際、施行日前に納期限が到来している国税についても遡及して適用することができるとされています。

2.欠損金の繰戻しによる還付の特例

 資本金1億円超10億円以下の法人も青色欠損金の繰戻し還付が受けられる特例が設けられます。
 2020年(令和2年)2月1日から2022年(令和4年)1月31日までの間に終了する各事業年度に生じた欠損金額について適用されます。ただし、大規模法人の100%子会社などは除かれます。

3.テレワーク等のための中小企業の設備投資税制

 中小企業経営強化税制の特定経営力向上設備等の対象に、テレワーク等のための設備投資に係る新たな類型としてデジタル化設備が追加されます。
 要件は遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備で、機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウエアが対象設備です。

4.中止等されたイベントに係る入場料等の払戻請求権を放棄した者への寄附金控除の適用

 政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツに係る一定のイベント等を中止等した主催者に対し、観客等が入場料等の払戻請求権を放棄した場合には、当該放棄した金額(上限20万円)について、所得税における寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象とされます。

5.住宅ローン控除の適用要件の弾力化

 新型コロナウイルス感染症の影響による住宅建設の遅延等によって住宅への入居が遅れた場合でも、期限内に入居したのと同様の住宅ローン控除を受けることができるに適用要件が弾力化されます。

6.消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例

 新型コロナウイルス感染症の影響で2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までの期間のうち、任意の期間(1か月以上)の収入が前年同期比おおむね50%以上減少した事業者が、申告期限までに申請書を提出し、税務署長の承認を受けた場合は、課税期間開始後でも消費税の課税事業者を選択又はやめることができる特例が設けられます。
 この特例で課税事業者を選択した課税期間の翌課税期間において、課税事業者の選択をやめることも可能です。

7.特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税

 公的貸付機関等又は銀行等の金融機関が、新型コロナウイルス感染症の発生により、その経営に影響を受けた事業者に対して行う金銭の特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書のうち、2021年(令和3年)1月31日までに作成されるものについては、印紙税を課さないこととされます。
 ここでいう特別貸付けとは、当該機関が行う他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行うものをいいます。
 また、施行日の前日までに作成されたものにつき印紙税が納付されている場合には、当該納付された印紙税については、過誤納金とみなして還付されます。

8.中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための措置に起因して、厳しい経営環境にある中小事業者等に対して、2021年度(令和3年度)課税の1年分に限り、償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の負担が2分の1又はゼロとされます。
 原則として業種は限定されず、2021年(令和3年)1月31日までに認定経営革新等支援機関等の認定を受けて各市町村に申告した場合に適用されます。
 なお、この措置による固定資産税及び都市計画税の減収額については、全額国費で補填されます。

変更契約書に貼る印紙はいくら?

 建設業を営むA社から、次のような問い合わせがありました。

「請負契約の金額を減額することになり覚書を交わすことになったが、この覚書に印紙を貼らなければならないか?」

 すでに成立している契約の内容を変更する場合には、A社のように覚書や念書を作成して後々のトラブルを未然に防ぐ必要があります。その際、印紙を貼るべきか、また、貼るならいくらの印紙を貼らなければならないか、という疑問が生じます。
 そこで、このような事例における印紙の取扱いについて述べていきます。

1.印紙税法上の契約書とは

 今回のように「覚書」や「念書」等の表題を用いて原契約書の内容を変更する文書を作成する場合がありますが、これらの文書は印紙税法上の「契約書」にあたるのでしょうか?
 印紙税法上の契約書とは、契約の成立、更改、内容の変更又は補充の事実を証明する目的で作成する文書をいいます。したがって、文書のタイトルが「覚書」や「念書」となっていても、そこに内容の変更(請負契約金額の変更)に関する事項が書かれているのであれば、印紙税法上は「契約書」と判断されます。
 収入印紙が必要かどうかは、あくまでも文書の内容によって判断されますので、タイトルは関係ないということです。

2.変更契約書に印紙を貼るのはどんな場合?

 A社が今回作成する覚書は、印紙税法上の契約書(以下、「変更契約書」といいます)にあたります。では、変更契約書であれば必ず印紙を貼らなければならないのでしょうか?
 印紙を貼るべき文書を課税文書といいますが、変更契約書が課税文書に該当するかどうかは、その変更契約書に「重要な事項」が含まれているかどうかにより判定します。
 つまり、原契約書により証されるべき事項のうち、重要な事項を変更するために作成した変更契約書は課税文書となり、印紙を貼る必要があります。重要な事項を含まない場合は課税文書に該当しませんので、印紙を貼る必要はありません。

3.重要な事項とは

 請負に関する契約書(第2号文書)の変更についての重要な事項は以下のとおりです。

(1) 請負の内容
(2) 請負の期日または期限
(3) 契約金額(消費税額を含む)
(4) 取扱数量
(5) 単価
(6) 契約金額の支払方法又は支払期日
(7) 割戻金等の計算方法又は支払方法
(8) 契約期間
(9) 契約に付される停止条件又は解除条件
(10) 債務不履行の場合の損害賠償の方法

 したがって、A社が作成する覚書(請負契約金額の減額)は上記(3)の重要な事項を含むため、印紙を貼らなければなりません。

4.記載金額を変更する場合の印紙

 では、A社はいくらの印紙を貼ればいいのでしょうか?これについては、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていること、及び変更契約書において変更金額が明らかであるか否かによって、次のようなルールがあります。

(1) 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合

①変更金額が明らかである場合

 変更金額が明らかで増額変更の場合は、増額した金額が記載金額になり、その増額した金額に応じた印紙を貼ります。例えば、次のような変更契約書を作成した場合です。

               変更契約書

 注文者甲と請負者Aは、令和元年11月25日に締結した建築工事請負契約について、以下のように変更する。

 既定金額   5,000万円
 変更金額   6,000万円
 増額     1,000万円

 この変更契約書には、変更前契約書の締結年月日(令和元年11月25日)が記載されていますので、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更金額(6,000万円)の記載があることから変更金額も明らかです。したがって、増額した金額(1,000万円)が記載金額となり、貼る印紙は5,000円となります。

 また、変更金額が明らかで減額変更の場合は、記載金額なしとなり、契約金額の記載のないもの(第2号文書)として200円の印紙を貼ります。例えば、次のような変更契約書を作成した場合です。

               変更契約書

 注文者甲と請負者Aは、令和元年11月25日に締結した建築工事請負契約について、以下のように変更する。

 既定金額   5,000万円
 変更金額   4,000万円
 減額     1,000万円

 この変更契約書には、変更前契約書の締結年月日(令和元年11月25日)が記載されていますので、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更金額(4,000万円)の記載があることから変更金額も明らかです。したがって、減額(1,000万円)した場合は記載金額なしとなり、貼る印紙は200円となります。
 A社はこのケースに該当しますので、A社の貼るべき印紙は200円になります。

②変更金額が明らかでない場合

 変更金額が明らかでない場合は、変更後の契約金額が記載金額となり、その変更後の金額に応じた印紙を貼ります。例えば、次のような変更契約書を作成した場合です。

               変更契約書

 注文者甲と請負者Aは、令和元年11月25日に締結した建築工事請負契約について、仕様変更に伴い契約金額を6,000万円に変更する。

 この変更契約書には、仕様を変更したことに伴い契約金額を6,000万円に変更したことが記載されています。
 先の2つの例のように、原契約書に記載された契約金額がわかれば6,000万円との差額がこの変更契約書の記載金額となります。しかし、この契約書からは変更前の金額がわからないため、増減額が明らかではありません。したがって、この変更契約書の記載金額は6,000万円と判断され、貼る印紙は30,000円となります。

(2) 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかでない場合

①変更金額のみが記載されている場合

 増額・減額を問わず、その変更金額が記載金額となります。

②契約金額の記載がある場合

 変更後の契約金額が記載金額となります。