税理士の顧問契約書に貼る印紙はいくら?

 クライアントの皆様と顧問契約を締結する際に、顧問契約書にいくらの印紙を貼ればよいか質問されることがあります。
 顧問契約書に貼る印紙については、相手の税理士が個人の場合と税理士法人の場合で取扱いが異なります。
 今回は、税理士との顧問契約書に貼る印紙について確認します。

1.継続的取引の基本となる契約書か?

 次の一般的な顧問契約書を見ながら、貼る印紙について確認します。

                顧問契約書

 委任者 ○○株式会社(以下「甲」という)と受任者 税理士○○(以下「乙」という)は、税理士の業務に関して下記の通り契約を締結する。

第1条 委任業務の範囲
税務に関する委任の範囲は、次の項目とする。
 1 甲の法人税、事業税、住民税及び消費税の税務書類の作成並びに税務代理業務 
 2 甲の税務調査の立会い
 3 甲の税務相談
会計に関する委任の範囲は、次の項目とする。
 4 甲の総勘定元帳及び試算表の作成並びに決算
 5 甲の会計処理に関する指導及び相談
前記に掲げる項目以外の業務については、別途協議する。

第2条 契約期間
 令和2年9月1日から令和3年8月31日までの1年間とする。
 ただし、双方より意思表示のない限り、自動継続することを妨げない。

第3条 報酬の額
報酬は、次のとおりとする。
 1 税務・会計の顧問報酬として月額        30,000円
 2 決算書類作成及び法人税申告報酬        100,000円
 3 消費税申告報酬                40,000円
 4 上記各報酬額には別途消費税が付加される。
 5 上記に含まれない業務報酬については、別途協議の上決定する。

 上記の顧問契約書の内容から、まずこの契約書は、継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)に該当する可能性があります。第7号文書に該当する場合は、契約書1通につき一律4,000円の印紙を貼る必要があります。

 ところで、第7号文書に該当するには「営業者間取引であること」が必要です。しかし、個人の税理士や弁護士等の士業は、印紙税法上の営業者には当たらないので、個人の士業との顧問契約書が第7号文書になることはありません。

 一方、税理士法人は営業者に該当しますので、税理士法人との顧問契約書は第7号文書になります。

2.委任契約か請負契約か?

 次に問題となるのが、上記顧問契約書の内容が委任契約か請負契約かということです。
 委任契約書は、第1号から第20号までのどの課税文書にも該当しない不課税文書です。委任契約書であれば、印紙を貼る必要はありません。

 委任契約か請負契約かの判定は、記載されている取引の内容について、成果物があるか否かによって区分します。
 成果物がある場合は、請負契約となり、課税文書(第2号文書)になります。成果物がない場合は、委任契約となり、不課税文書になります。

 上記顧問契約書の黄色マーカー部分に注目してください。第1条1項と4項で税務書類や試算表の作成を請け負っています。この税務書類や試算表が成果物となりますので、この契約書は課税文書(第2号文書)と判定され、印紙を貼ることになります。

 もし、第1条において黄色マーカー部分の業務がなければ、具体的な成果物がないため、この契約書は委任契約書となり、印紙を貼る必要はありません。

3.記載金額はいくらか?

 では、上記顧問契約書の記載金額はいくらになるのでしょうか?上記顧問契約書の青色マーカー部分に注目してください。契約期間が1年、月額顧問料が30,000円、法人税申告報酬が100,000円、消費税申告報酬が40,000円とあるので、30,000円×12か月+100,000円+40,000円=500,000円が記載金額となります。

 なお、消費税の特例により、契約金額に消費税が含まれている場合は、消費税を除いた金額をもって記載金額とします。ただし、消費税額が明確であること、文書の作成者が課税事業者であることが条件です。

4.契約書に貼る印紙はいくら?

(1) 個人の税理士の場合

 上記1と2より、契約の相手方が個人の税理士の場合は第7号文書にはなりませんので、上記顧問契約書は第2号文書になります。
 上記3より、この顧問契約書の記載金額は500,000円ですので、第2号文書として200円の印紙を貼ることになります。
 ※参考:国税庁ホームページ「印紙税額一覧表(第1号文書から第4号文書まで)

(2) 税理士法人の場合

 一方、契約の相手方が税理士法人の場合は、第2号文書と第7号文書の両方に当てはまります。

 印紙税法では、契約書が複数の課税文書に当てはまる場合は、最終的にどちらか一方の文書に該当することとされています。つまり、上記の例であれば、第2号文書と第7号文書のいずれかに該当するわけです。
 第2号文書と第7号文書に該当する場合、最終的にどちらの課税文書になるかについては次のルールがあります。

記載金額がある場合 第2号文書
記載金額がない場合 第7号文書

 上記3より、この顧問契約書の記載金額は500,000円ですので第2号文書に該当し、200円の印紙を貼ることになります。
 なお、契約書に記載金額がない場合は、第7号文書として4,000円の印紙を貼ることになります。

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の概要

 2020年(令和2年)4月7日、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)」が閣議決定されました。
 本特例の実施については、関係法案が国会で成立すること等が前提となります。

※2020年(令和2年)4月30日に 「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律案」が成立・公布・施行されました。

1.新型コロナウイルス感染拡大に伴う納税猶予の特例

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置に起因して多くの事業者の収入が急減している現下の状況を踏まえて、無担保かつ延滞税なしで1年間、納税を猶予する特例が設けられます。
 この特例は、2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までに納期限が到来する国税について適用されます。その際、施行日前に納期限が到来している国税についても遡及して適用することができるとされています。

2.欠損金の繰戻しによる還付の特例

 資本金1億円超10億円以下の法人も青色欠損金の繰戻し還付が受けられる特例が設けられます。
 2020年(令和2年)2月1日から2022年(令和4年)1月31日までの間に終了する各事業年度に生じた欠損金額について適用されます。ただし、大規模法人の100%子会社などは除かれます。

3.テレワーク等のための中小企業の設備投資税制

 中小企業経営強化税制の特定経営力向上設備等の対象に、テレワーク等のための設備投資に係る新たな類型としてデジタル化設備が追加されます。
 要件は遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備で、機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウエアが対象設備です。

4.中止等されたイベントに係る入場料等の払戻請求権を放棄した者への寄附金控除の適用

 政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツに係る一定のイベント等を中止等した主催者に対し、観客等が入場料等の払戻請求権を放棄した場合には、当該放棄した金額(上限20万円)について、所得税における寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象とされます。

5.住宅ローン控除の適用要件の弾力化

 新型コロナウイルス感染症の影響による住宅建設の遅延等によって住宅への入居が遅れた場合でも、期限内に入居したのと同様の住宅ローン控除を受けることができるに適用要件が弾力化されます。

6.消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例

 新型コロナウイルス感染症の影響で2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までの期間のうち、任意の期間(1か月以上)の収入が前年同期比おおむね50%以上減少した事業者が、申告期限までに申請書を提出し、税務署長の承認を受けた場合は、課税期間開始後でも消費税の課税事業者を選択又はやめることができる特例が設けられます。
 この特例で課税事業者を選択した課税期間の翌課税期間において、課税事業者の選択をやめることも可能です。

7.特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税

 公的貸付機関等又は銀行等の金融機関が、新型コロナウイルス感染症の発生により、その経営に影響を受けた事業者に対して行う金銭の特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書のうち、2021年(令和3年)1月31日までに作成されるものについては、印紙税を課さないこととされます。
 ここでいう特別貸付けとは、当該機関が行う他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行うものをいいます。
 また、施行日の前日までに作成されたものにつき印紙税が納付されている場合には、当該納付された印紙税については、過誤納金とみなして還付されます。

8.中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための措置に起因して、厳しい経営環境にある中小事業者等に対して、2021年度(令和3年度)課税の1年分に限り、償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の負担が2分の1又はゼロとされます。
 原則として業種は限定されず、2021年(令和3年)1月31日までに認定経営革新等支援機関等の認定を受けて各市町村に申告した場合に適用されます。
 なお、この措置による固定資産税及び都市計画税の減収額については、全額国費で補填されます。

変更契約書に貼る印紙はいくら?

 建設業を営むA社から、次のような問い合わせがありました。

「請負契約の金額を減額することになり覚書を交わすことになったが、この覚書に印紙を貼らなければならないか?」

 すでに成立している契約の内容を変更する場合には、A社のように覚書や念書を作成して後々のトラブルを未然に防ぐ必要があります。その際、印紙を貼るべきか、また、貼るならいくらの印紙を貼らなければならないか、という疑問が生じます。
 そこで、このような事例における印紙の取扱いについて述べていきます。

1.印紙税法上の契約書とは

 今回のように「覚書」や「念書」等の表題を用いて原契約書の内容を変更する文書を作成する場合がありますが、これらの文書は印紙税法上の「契約書」にあたるのでしょうか?
 印紙税法上の契約書とは、契約の成立、更改、内容の変更又は補充の事実を証明する目的で作成する文書をいいます。したがって、文書のタイトルが「覚書」や「念書」となっていても、そこに内容の変更(請負契約金額の変更)に関する事項が書かれているのであれば、印紙税法上は「契約書」と判断されます。
 収入印紙が必要かどうかは、あくまでも文書の内容によって判断されますので、タイトルは関係ないということです。

2.変更契約書に印紙を貼るのはどんな場合?

 A社が今回作成する覚書は、印紙税法上の契約書(以下、「変更契約書」といいます)にあたります。では、変更契約書であれば必ず印紙を貼らなければならないのでしょうか?
 印紙を貼るべき文書を課税文書といいますが、変更契約書が課税文書に該当するかどうかは、その変更契約書に「重要な事項」が含まれているかどうかにより判定します。
 つまり、原契約書により証されるべき事項のうち、重要な事項を変更するために作成した変更契約書は課税文書となり、印紙を貼る必要があります。重要な事項を含まない場合は課税文書に該当しませんので、印紙を貼る必要はありません。

3.重要な事項とは

 請負に関する契約書(第2号文書)の変更についての重要な事項は以下のとおりです。

(1) 請負の内容
(2) 請負の期日または期限
(3) 契約金額(消費税額を含む)
(4) 取扱数量
(5) 単価
(6) 契約金額の支払方法又は支払期日
(7) 割戻金等の計算方法又は支払方法
(8) 契約期間
(9) 契約に付される停止条件又は解除条件
(10) 債務不履行の場合の損害賠償の方法

 したがって、A社が作成する覚書(請負契約金額の減額)は上記(3)の重要な事項を含むため、印紙を貼らなければなりません。

4.記載金額を変更する場合の印紙

 では、A社はいくらの印紙を貼ればいいのでしょうか?これについては、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていること、及び変更契約書において変更金額が明らかであるか否かによって、次のようなルールがあります。

(1) 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合

①変更金額が明らかである場合

 変更金額が明らかで増額変更の場合は、増額した金額が記載金額になり、その増額した金額に応じた印紙を貼ります。例えば、次のような変更契約書を作成した場合です。

               変更契約書

 注文者甲と請負者Aは、令和元年11月25日に締結した建築工事請負契約について、以下のように変更する。

 既定金額   5,000万円
 変更金額   6,000万円
 増額     1,000万円

 この変更契約書には、変更前契約書の締結年月日(令和元年11月25日)が記載されていますので、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更金額(6,000万円)の記載があることから変更金額も明らかです。したがって、増額した金額(1,000万円)が記載金額となり、貼る印紙は5,000円となります。

 また、変更金額が明らかで減額変更の場合は、記載金額なしとなり、契約金額の記載のないもの(第2号文書)として200円の印紙を貼ります。例えば、次のような変更契約書を作成した場合です。

               変更契約書

 注文者甲と請負者Aは、令和元年11月25日に締結した建築工事請負契約について、以下のように変更する。

 既定金額   5,000万円
 変更金額   4,000万円
 減額     1,000万円

 この変更契約書には、変更前契約書の締結年月日(令和元年11月25日)が記載されていますので、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更金額(4,000万円)の記載があることから変更金額も明らかです。したがって、減額(1,000万円)した場合は記載金額なしとなり、貼る印紙は200円となります。
 A社はこのケースに該当しますので、A社の貼るべき印紙は200円になります。

②変更金額が明らかでない場合

 変更金額が明らかでない場合は、変更後の契約金額が記載金額となり、その変更後の金額に応じた印紙を貼ります。例えば、次のような変更契約書を作成した場合です。

               変更契約書

 注文者甲と請負者Aは、令和元年11月25日に締結した建築工事請負契約について、仕様変更に伴い契約金額を6,000万円に変更する。

 この変更契約書には、仕様を変更したことに伴い契約金額を6,000万円に変更したことが記載されています。
 先の2つの例のように、原契約書に記載された契約金額がわかれば6,000万円との差額がこの変更契約書の記載金額となります。しかし、この契約書からは変更前の金額がわからないため、増減額が明らかではありません。したがって、この変更契約書の記載金額は6,000万円と判断され、貼る印紙は30,000円となります。

(2) 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかでない場合

①変更金額のみが記載されている場合

 増額・減額を問わず、その変更金額が記載金額となります。

②契約金額の記載がある場合

 変更後の契約金額が記載金額となります。

複数の課税文書に該当する場合の「所属の決定」

1.複数の課税文書に該当する場合

 契約書に貼る印紙の額は、印紙税額一覧表(課税物件表)を見ればわかります(参考:国税庁ホームページ「印紙税額一覧表」)。
 例えば、不動産売買契約書なら第1号文書、工事請負契約書なら第2号文書に該当しますので、これらの契約書に記載された金額によりそれぞれの印紙税額が決まります。

 しかし、実際の商取引の現場で作成される契約書には、複数の課税文書の要件に当てはまるケースも少なくありません。
 例えば、1年間の保守契約を締結する場合、保守作業を請け負うという契約は「請負に関する契約書」となり第2号文書に該当します。また、1年間継続して保守作業を行うという契約ですから「継続的取引の基本となる契約書」となり第7号文書にも該当します。 

 このように複数の課税文書に該当する場合は、最終的にどちらか一方の文書に該当することとされています(どちらの文書に該当するかの判定を「所属の決定」といいます)。
 所属の決定については、印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則及び印紙税法基本通達に規定されています(参考:国税庁ホームページ「印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則」、「印紙税法基本通達」)。 

2.所属の決定の具体例

 複数の課税文書の要件を満たす場合、最終的にどの課税文書に該当するかについての判定の仕方は、上記の印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則及び印紙税法基本通達に規定されていますが、おおむね印紙税額が大きくなる方の文書に該当するように措置されているようです。

 以下に、実際の契約書でよくあるケースについて、所属の決定例を紹介します。

(1)第1号又は第2号文書と第3号から第17号までの文書に該当する場合(ただし、下記(2)又は(3)に該当する文書は除く)・・・第1号又は第2号文書

(例1)不動産及び売掛債権の譲渡契約書(第1号文書と第15号文書)→第1号文書
(例2)請負工事の内容とその代金の受領事実を記載した契約書(第2号文書と第17号文書)→第2号文書

(2)第1号又は第2号文書で契約金額の記載のないものと第7号文書に該当する場合・・・第7号文書

(例)継続する物品運送についての基本的な事項を定めた記載金額のない契約書(第1号文書と第7号文書)→第7号文書

(3)第1号文書と第2号文書に該当する場合(ただし、(4)に該当する文書は除く)・・・第1号文書

(例)機械製作及びその機械の運送契約書(第2号文書と第1号文書)→第1号文書

(4)第1号文書と第2号文書に該当する文書で、その文書にそれぞれの契約金額が区分記載されており、第2号文書についての契約金額が第1号文書についての契約金額を超えるもの・・・第2号文書

(例)機械製作費200万円及びその機械の運送料10万円とが区分記載されている請負及び運送契約書→第2号文書

契約書・領収書の記載金額における消費税の特例

1.消費税の特例

 契約書や領収書は、その記載金額に応じて印紙税が課税されます。
 この記載金額は消費税及び地方消費税の額(以下「消費税額等」といいます)を含んだ金額とされますが、次の条件を満たせば、税抜金額を記載金額として印紙税額の判定を行うことができます(消費税の特例)。

(1) 第1号文書、第2号文書、第17号文書のいずれかであること
(2) 消費税額等が明確になっていること

 「消費税額等が明確になっていること」とは、具体的には次の①②のように記載している場合です。③は消費税額等が明確とはいえず、税込金額が記載金額となります。

① 請負金額1,080万円(うち消費税額等80万円)→記載金額は1,000万円
② 請負金額1,080万円(税抜価格1,000万円)→記載金額は1,000万円
③ 請負金額1,080万円(消費税額等8%を含む)→記載金額は1,080万円

 ①②は記載金額1,000万円の第2号文書となり、印紙税額は1万円となります。③は記載金額1,080万円の第2号文書となり、印紙税額は2万円となります。

2.消費税の特例は課税事業者が前提

 注意しなければならないのは、消費税の特例が適用されるのは、課税文書の作成者が消費税の課税事業者である場合に限られるということです。
 したがって、免税事業者が作成する領収書は、消費税額を明確にして金額を記載しても、税込金額が記載金額となります。
 また、消費税の課税事業者と免税事業者が共同で契約書を作成する場合、例えば、課税事業者であるA株式会社と免税事業者であるB商店との間において、A株式会社を請負人とする「工事請負契約書」を作成する場合は、消費税額等が課される課税資産の譲渡等を行う者は課税事業者であるA株式会社となり、消費税額等を明確にして金額を記載すれば、税抜金額が記載金額となります。

仮契約書と本契約書のどちらに印紙を貼る?

 会計事務所への問い合わせで意外に多いのが「印紙」に関する事項です。税理士試験に「印紙税」の科目は無いため、印紙税に関する知識は実務経験を積んで身に付けることになります。

1.仮契約書と本契約書の両方に印紙を貼る

 昨日、顧問先であるA社(建設業)から、「仮契約書と本契約書のどちらに収入印紙を貼ればいいか?」という質問を受けました。
 A社が建設工事の請負(契約金額を仮に3,000万円とします)をする際に、まず仮契約を結ぶことになったそうです。

 早速調べてみると、国税庁ホームページ・タックスアンサーに次の記載がありました。
 「印紙税は、文書を作成する都度課税される税金です。文書が作成されるかぎり、たとえ1個の取引について数通の契約書が作成される場合でも、また、予約契約や仮契約と本契約の2度にわたって契約書が作成される場合でも、それぞれの契約書に印紙税が課税されます。」

 したがって、今回のように同一の取引について2文書以上の契約書を作成する場合は、仮契約書と本契約書の両方に10,000円の印紙を貼ることになります。
(「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」について、2014年(平成26年)4月1日から2020年(平成32年)3月31日までに作成されるものについては、印紙税の軽減措置が適用されますので、契約金額が3,000万円の場合は10,000円の印紙税になります。)

2.仮契約書の契約金額を引用すると節税になる

 このことをA社にお伝えしようと思ったのですが、念のため、さらに調べてみました。
 すると、国税庁ホームページ・質疑応答事例に次の記載がありました。
 「本契約書を作成すれば、その本契約書も第2号文書として課税の対象になりますが、例えば、本契約書に『○年○月○日付の仮請負契約書の内容を本契約とする。』旨を記載して契約金額を記載しない場合には、引用している『○年○月○日付の仮請負契約書』は課税文書ですから、本契約書は記載金額のない第2号文書として取り扱われます。」

 つまり、本契約書に契約金額を記載せずに「仮契約書」の契約金額を引用した場合は、本契約書は記載金額のない第2号文書(請負に関する契約書)として取り扱われ、200円(本来は10,000円)の印紙を貼るだけですみます。

 以上のことをA社にお伝えしました。

建物と土地の賃貸借契約書に貼る印紙はいくら?

1.建物の賃貸借契約書に印紙は不要

 建物の賃貸借契約書には、印紙税はかかりません。 しかし、土地について賃貸借契約を結んだ場合には、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税がかかります。
 なお、建物の賃貸借契約書の中には、その建物の所在地や使用収益の範囲を確定するために敷地の面積が記載されることがありますが、このような文書も建物の賃貸借契約書であるとして印紙税はかかりません。

 ただし、貸しビル業者などが、ビルなどの賃貸借契約又は予約契約を締結する際などに、そのビルなどの賃借人から建設協力金又は保証金などの名目で一定の金銭を受け取り、そのビルなどの賃貸借期間に関係なく一定期間据置き後に割賦償還することなどを約する場合があります。
 このような建設協力金又は保証金などの取り決めのある建物の賃貸借契約書は、印紙税額の一覧表の第1号の3文書「消費貸借に関する契約書」に該当し、印紙税がかかりますので注意が必要です。

2.土地賃貸借契約書に貼る印紙はいくら?

 上述したように、土地について賃貸借契約を結んだ場合には、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税がかかります。
 では、次のような土地賃貸借契約書にはいくらの印紙を貼ればいいでしょうか?

 「賃料は月100,000円とし、賃貸借期間は平成〇年〇月〇日から1年間とする。」

 印紙税額一覧表で印紙税額を調べるにあたって、契約書における記載金額を決定しなければなりません。
 この契約書の記載金額は100,000円×12か月=1,200,000円となり、印紙税額一覧表から2,000円の印紙を貼ればいいのでしょうか?

 答えは「否」です。 第1号の2文書として課税されるのは、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に対してです。
 印紙税法における土地の賃貸借契約書の記載金額とは、賃借権設定のための対価、すなわち権利金、名義変更料、更新料等の後日返還されないものをいいます。
 したがって、保証金や敷金等のように後日返還される予定のものや、目的物の使用収益のための対価(いわゆる地代)は記載金額ではありません。
 以上の理由から、上記契約書は記載金額のない第1号の2文書となり、200円の印紙を貼ります。
 賃料が記載金額になると誤解されているケースがありますので、注意が必要です。