インボイス制度導入後の免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の特例(経過措置)

 消費税のインボイス制度は、適格請求書等保存方式として、2023年(令和5年)10月1日から導入されます。
 インボイス制度の下では、適格請求書等の保存と帳簿の保存が仕入税額控除の要件とされているため、適格請求書発行事業者になることができない免税事業者が取引から排除される可能性があることが懸念されています。
 そこで、激変緩和の趣旨から、インボイス制度導入後6年間は、免税事業者からの仕入れであっても一定割合の仕入税額控除が認められる措置が講じられています。
 今回は、免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の特例(経過措置)について確認します。

1.区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式の異同点

 次の表は、区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式の記載事項等の異同点を比較したものです。

  区分記載請求書等保存方式 適格請求書等保存方式
期間 令和元年10月1日~令和5年9月30日 令和5年10月1日以降
帳簿 ①課税仕入れの相手方の氏名又は名称
②取引年月日
③取引の内容(軽減対象資産の譲渡等である旨)
④対価の額
同左

請求書等 ①請求書発行者の氏名又は名称
②取引年月日
③取引の内容(軽減対象資産の譲渡等である旨)
④税率ごとに区分して合計した税込対価の額
⑤請求書受領者の氏名又は名称
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引の内容(軽減対象資産の譲渡等である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
⑥請求書受領者の氏名又は名称
税額控除 免税事業者からの仕入れも控除可 免税事業者からの仕入れは控除不可

2.免税事業者からの仕入れは控除不可

 現行の区分記載請求書等保存方式の下では事業者登録制度がないため、取引相手が課税事業者であるか免税事業者であるかを知ることはできません。そのため、免税事業者や消費者からの仕入れであっても、その取引が課税仕入れに該当するのであれば仕入税額控除が認められています。
 一方、適格請求書等保存方式は事業者登録制度を基礎としているため、適格請求書発行事業者になることができない免税事業者は、請求書等に登録番号を記載することができません。そのため、課税仕入れを行った事業者は、登録番号の記載のない請求書等を受け取ることによって、取引相手が免税事業者であることを知ります。
 適格請求書等が交付されない課税仕入れは、仕入税額控除の対象から除外しなければなりませんので、課税事業者は消費税の計算上不利となる免税事業者との取引を控える可能性があります。

3.免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の特例(経過措置)

 上記のように、インボイス制度導入後は免税事業者が取引から排除される可能性がありますが、激変緩和の趣旨から、導入後6年間は適格請求書等保存方式において仕入税額控除が認められない課税仕入れであっても、区分記載請求書等保存方式において仕入税額控除の対象となるものについては、次の割合で仕入税額控除が認められます。

期間 割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの3年間 仕入税額相当額の 80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日までの3年間 仕入税額相当額の 50%

 この経過措置の適用を受けるためには、帳簿に経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を記載しておかなければなりません。また、区分記載請求書等と同様の記載事項が記載された請求書等の保存が必要です。
 なお、この経過措置はあくまでも激変緩和措置であって、免税事業者が取引から排除される懸念は残ります。

※ 2024(令和6)年度税制改正により、一の免税事業者等から行う当該経過措置の対象となる課税仕入れの額の合計額がその年又はその事業年度で税込み10億円を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて、本経過措置は適用できないこととする見直しが行われました。
 この改正は、2024(令和6)年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

簡易課税制度における不動産業の事業区分

 消費税の計算方法には、原則課税(一般課税、本則課税)と簡易課税があります。このうち、原則課税による計算は煩雑であり事務手数を要することから、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の中小事業者には簡易課税が認められています。
 簡易課税は原則課税の簡便法として設けられていますが、事業区分の判定については判断に迷うことも多く、必ずしも「簡易」な方法であるとは言えません。とりわけ不動産業は、簡易課税制度においては第6種事業に区分されていますが、場合によっては他の事業に区分されることもあります。
 今回は、簡易課税制度における不動産業の事業区分について確認します。

1.簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率

 原則課税では、消費税額は次のように計算します。

  消費税額=課税売上げに係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額

 この算式のうち、「課税仕入れ等に係る消費税額」を算出するための手続きが煩雑で事務負担も大きいことから、簡便法として簡易課税が設けられています。

 簡易課税では、課税売上げに係る消費税額に、事業区分に応じた一定の「みなし仕入率」を掛けた金額を「課税仕入れ等に係る消費税額」とみなして、納付する消費税額を計算します。算式は次のとおりです。

  消費税額=課税売上げに係る消費税額-(課税売上げに係る消費税額×みなし仕入率)

 原則課税のように「課税仕入れ等に係る消費税額」を算出する必要がなく、課税売上げに係る消費税額のみから納付すべき消費税額が計算できるため、簡便法と位置付けられています。

 簡易課税におけるみなし仕入率は、事業区分に応じて次のように定められています。

事業区分 該当する事業 みなし仕入率
第1種事業 卸売業 90%
第2種事業 小売業、農林漁業(飲食料品の譲渡に係る事業) 80%
第3種事業 製造業、建築業、農林漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)など 70%
第4種事業 第1・2・3・5・6種以外の事業(飲食店業など) 60%
第5種事業 運輸・通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業を除く) 50%
第6種事業 不動産業 40%

 この表からもわかるように、今回の論点である不動産業は第6種に区分されています。しかし、一口に不動産業と言っても、その形態は様々です。不動産に関する事業をすべて第6種としてしまうのは誤りです。

2.不動産業の事業区分とみなし仕入率

 ここでは、簡易課税制度における不動産業を、不動産売買業、不動産仲介業、不動産賃貸業、不動産管理業の4つに細分化します。そのうえで、それぞれ簡易課税制度のどの事業区分に該当するかを整理したものが下表です。

業態 内容 事業区分 みなし仕入率
不動産売買業 不動産を買い取り、そのままの状態で事業者に販売 第1種 90%
不動産を買い取り、そのままの状態で消費者に販売 第2種 80%
自己が建設した建売住宅を販売 第3種 70%
注文住宅を請け負って、下請けに建築させて販売 第3種 70%
中古住宅をリフォーム(塗装、修理等)して販売 第3種 70%
不動産仲介業 不動産の売買や賃貸を仲介 第6種 40%
不動産賃貸業 不動産の賃貸 第6種 40%
賃借人から原状回復費(内装工事などの建築リフォーム)を受け取った 第3種 70%
賃借人から原状回復費(室内クリーニングなど)を受け取った 第5種 50%
不動産管理業 他の者の不動産を管理 第6種 40%

 不動産業に簡易課税制度を適用する際は、その業態や内容に応じて該当する事業区分(みなし仕入率)が異なりますので注意が必要です。

個人が商品購入時に取得又は使用したポイントは所得税の課税対象となるか?

 個人がドラッグストアやスーパーなどで買い物をしたときに、商品購入額に応じてその店で使えるポイントが付与されることがあります。
 また、楽天カードなどのクレジットカードで買い物をしたときには、楽天市場や楽天トラベルなどで使えるポイントが付与されます。
 気になるのは、これらのポイントを取得又は使用したときに、確定申告をする必要があるか否かということです。
 今回は、企業が個人に付与するこれらのポイントの課税関係について確認します。なお、ここでいう個人とは、個人事業主ではない一般の消費者のことをいいます。また、個人事業主には一般消費者としての側面と事業者としての側面がありますが、今回話題にするのは、あくまでも一般消費者としての側面を持つ個人です。

※ 個人事業主がポイントを使用して経費を支払った場合の経理処理については、本ブログ記事「事業者が経費支払時にポイントを使用した場合の経理処理」をご覧ください。

1.代金決済に応じて付与されるポイントの場合

 これらのポイントの課税関係のうち、決済代金に応じて付与されるポイントについて国税庁ホームページ・タックスアンサーでは、「原則として、確定申告をする必要はありません。」としています。
 その理由については、次の2点が示されています。

(1) 商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っていること
(2) 一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられるので、こうしたポイントの取得又は使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしていること

 つまり、決済代金に応じて付与されるポイントについては、所得税の課税対象ではないしたがって、確定申告の必要はないということです。そういう意味でタックスアンサーでは「原則として、確定申告をする必要はありません。」という文言を使っています。
 しかし、「原則として、確定申告をする必要はありません。」ということは、例外的に確定申告が必要となるケースもある言い換えれば、所得税の課税対象となるケースもあるということです。これについては、下記3で述べます。

2.臨時・偶発的に取得したポイントの場合

 一方、タックスアンサーでは「ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられませんので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。」としています。
 つまり、臨時・偶発的に取得したポイントについては、所得税の課税対象になるということです。

 ただし、確定申告が必要かどうかは、使用したポイント相当額によります。一時所得として課税される金額は、次のように計算します。

 {総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最大50万円)}×1/2

 収入を得るため(ポイントの付与を受けるため)に支出した金額(いわゆる経費)は通常0と考えられますので、総収入金額(ポイント使用額)が50万円以下で他に一時所得に該当するものがなければ、確定申告は不要です。

 また、給与所得者については給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の場合に、公的年金等受給者については公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合に、それぞれ確定申告は不要とされています。
 したがって、給与所得者と公的年金等受給者については、ポイント使用額が90万円以下で他に一時所得に該当するものがなければ、確定申告は不要です。
(注)医療費控除を受けるため等の還付申告を行う場合等は、確定申告をする必要があります。詳しくは本ブログ記事「給与所得者と公的年金等受給者の確定申告不要制度の注意点」をご参照ください。

3.所得控除の対象となる支出にポイントを使用した場合

 決済代金に応じて付与されるポイントの使用に関する課税関係は上記1のとおりですが、ポイントを使用して医薬品購入の決済代金の値引きを受けた場合のように、所得控除の対象となる支出にポイントを使用したことが明らかな場合には、次のいずれかの方法により、所得金額及び所得控除額を計算することとされています。

(1) ポイント使用後の支払金額を基に所得控除額を計算する方法
(2) ポイント使用前の支払金額を基に所得控除額を計算するとともに、ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額として算入する方法

 (1)の方法では、例えば2,000円の医薬品の購入時に500円分のポイントを使用して1,500円を支払った場合、医療費控除額を1,500円として計算します。
 (2)の方法では、2,000円を医療費控除額として計算し、500円を一時所得の総収入金額に算入します。

 この2つの方法のうち、(2)についてはポイント使用相当額が所得税の課税対象になります。
 ただし、ポイント使用額について確定申告が必要か否かについては、上記2で述べたとおりです。

4.ポイントを使用して株式等を購入した場合

 最近では、買い物で貯まったポイントを使用して株式等に投資が行えるサービスもあります。例えば、Tポイントや楽天ポイント、Pontaポイント、dポイント、LINEポイントなどを使って株式等を購入することができます。
 国税庁ホームページ・タックスアンサーでは、これらについても次のように記載しています。

 「証券会社等においてポイントを使用して株式等を購入した場合、一般的には、その株式等の取得価額(取得費等)はポイント使用前の支払金額(ポイント使用相当額を含めた支払金額)を基に計算するとともに、ポイント使用相当額は一時所得の総収入金額に算入します。」

 つまり、ポイントを使用して株式等を購入した場合は、上記3.(2)の方法と同様に、ポイント使用額が所得税の課税対象になります。
 ただし、ポイント使用額について確定申告が必要か否かについては、上記2で述べたとおりです。

海外企業との契約書に印紙を貼る?貼らない?

 日本の印紙税法が適用されるのは、日本国内に限られます。では、海外企業との取引において交わす契約書に印紙を貼る必要はあるのでしょうか?
 今回は、海外企業との契約書に印紙を貼るのか否かについて確認します。

1.作成された場所は国内か海外か?

 例えば、日本の企業が日本国内にある不動産の売買契約を海外企業と交わす場合を考えてみます。
 まず、日本の企業が日本国内で売買契約書を2通作成し、日本側の代表者の署名押印をしたものを2通とも海外企業に郵送します。海外企業は現地でこれに署名し、そのうち1通を日本の企業に返送します。
 この場合、返送されてきた契約書に印紙を貼る必要はありません。なぜなら、契約書が作成された場所が国外だからです。

 繰り返しになりますが、日本の印紙税法が適用されるのは、日本国内に限られます。したがって、課税文書の作成が国外で行われる場合には、たとえその文書に基づく権利の行使(=不動産の売買)が国内で行われるとしても、また、その文書の保存が国内で行われるとしても、印紙税は課税されません。
 つまり、契約書のように双方が署名押印する方式で作成する文書は、いつ、どこで作成されたものであるかを判断すれば、課税となるかどうかが決まることになります。

2.いつ作成されたのか?

 上述したように、印紙を貼るか貼らないかは、いつ、どこで作成されたものであるかが判断基準になります。作成場所が海外であることはわかりましたが、今回のケースにおいては、どの段階で契約書が作成されたといえるのでしょうか(いつ、作成されたといえるでしょうか)?

 印紙税法の課税文書の作成とは、単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいます。
 そのため、契約書のように当事者の意思の合致を証明する目的で作成する課税文書は、その意思の合致を証明する時になります。
 今回の売買契約書は、双方が署名押印する方式の文書ですから、日本の企業が契約書を作成してこれに署名押印した段階では、まだ契約当事者の意思の合致を証明する文書になりません。
 もう一方の契約当事者である海外企業が署名する時が課税文書の作成された時であり、その作成場所は海外ですから、この契約書には日本の印紙税法は適用されないことになります。
 つまり、日本の企業も海外企業も契約書に印紙を貼る必要はありません。

 また、返送されてきた契約書は、日本の企業で保存されることになりますから、いつ、どこで作成されたものであるかを明らかにしておかなければなりません。後日、印紙税が納付されていない契約書とみなされ、税務調査などでトラブルが発生することも予想されるからです。
 したがって、契約書上に作成場所を記載するとか、契約書上作成場所が記載されていなければ、別途その事実を付記しておく等の措置が必要になります。

 ちなみに、文書の作成方法が逆の場合、つまり、海外企業が海外で売買契約書を2通作成し、海外企業の署名をした上で2通とも日本の企業に送付し、これに日本の企業が日本で署名押印して1通を海外企業に返送する場合には、日本の企業が保存するものだけではなく、海外企業に返送する契約書にも印紙を貼る必要があります。

外交員報酬に係る源泉徴収税額の計算方法

 不動産業を営むA社の社長から、不動産外交員に支払う報酬の源泉徴収税額の計算方法を教えてほしいとのご依頼がありました。
 社長ご自身も、A社を設立する前は不動産外交員として報酬を受け取っていましたので、報酬から所得税と復興特別所得税を源泉徴収しなければならないことはご存じでしたが、その計算方法はご存じないようでした。
 今回は、外交員報酬に係る源泉徴収税額の具体的な計算方法について確認します。

1.外交員報酬とは?

 不動産や保険の外交員が、その地位に基づいて支払を受ける外交員報酬は、源泉徴収の対象とされます(所得税法第204条第1項第4号)。

 ここでいう外交員報酬に該当するかどうかについては、その支払を受ける者が、支払をする販売会社との間に会社法上の代理商契約に準ずる委任契約関係、すなわち媒介代理の契約関係にあるか否かにより決まります
 このような契約関係があれば、外交員報酬として源泉徴収の対象となりますが、このような継続的な契約関係がなく、単に斡旋をするにすぎないときは外交員報酬となりません。

※ 国税不服審判所の裁決(平11.3.11裁決、裁決事例集No.57 206頁)では、「所得税法第204条第1項第4号に規定する外交員とは、事業主の委託を受け、継続的に事業主の商品等の購入の勧誘を行い、購入者と事業主との間の売買契約の締結を媒介する役務を自己の計算において事業主に提供し、その報酬が商品等の販売高に応じて定められている者」と解されています。

 なお、外交員報酬に該当するかどうかについては、本ブログ記事「外注費か給与か・・・国税庁の判断基準」をご参照ください。

2.外交員報酬と給与等

 外交員が支払を受ける報酬については、それぞれ次のように取り扱われます(所得税法基本通達204-22)。

(1) その報酬の額がその職務を遂行するために必要な旅費とそれ以外の部分とに明らかに区分されている場合
 旅費部分は非課税とし、それ以外の部分は給与等とします。

(2) 旅費とそれ以外の部分とに明らかにされていないで、その報酬が固定給とそれ以外の部分に区分されているとき
 固定給は給与等とし、それ以外の部分(変動給)は外交員報酬とします。

(3) (1)及び(2)以外の場合
 その必要な旅費等の費用の多寡その他の事情を総合勘案し、給与等と認められるものはその総額を給与等とし、その他のものについてはその総額を外交員報酬とします。

 外交員が支払を受ける報酬が、給与等又は退職手当等に該当するものについては、それぞれ給与所得又は退職所得として源泉徴収を行います。
 外交員が支払を受ける報酬が、外交員報酬に該当するものについては、次のように源泉徴収を行います。

3.外交員報酬の源泉徴収税額の計算方法

 源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は、外交員報酬の額から1か月当たり12万円(同月中に給与等を支給する場合には、12万円からその月中に支払われる給与等の額を控除した残額)を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて算出します。
(注)求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

 源泉徴収税額={外交員報酬-(12万円-給与等)}×10.21%

 具体的には、以下のように計算します。

〈計算例1〉外交員報酬(変動給)を20万円支払う場合
 (20万円-12万円)×10.21%=8,168円

〈計算例2〉外交員報酬(変動給)20万円と給与(固定給)5万円を支払う場合
 {20万円-(12万円-5万円)}×10.21%=13,273円

〈計算例3〉外交員報酬(変動給)20万円と給与(固定給)15万円を支払う場合
 {20万円-(12万円-12万円)}×10.21%=20,420円
(注)給与の額15万円が控除額12万円を超えるため、控除額の残額は0円となります。

4.留意事項

 外交員報酬の額の中に消費税及び地方消費税の額(以下「消費税等の額」といいます)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。
 ただし、請求書等において、外交員報酬の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その外交員報酬の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。 

 また、外交員報酬から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、支払った月の翌月の10日までに納めなければなりません。
 支払者が源泉所得税の納期の特例の適用を受けている場合であっても、外交員報酬については、納期の特例の対象とはなりませんのでご注意ください。

白色申告者の事業専従者控除の留意点

 青色申告者である個人事業主が、その事業に従事する奥さんに給与を支払った場合、一定の要件の下にその給与を必要経費にできることはよく知られています。一方、白色申告者である個人事業主が、その事業に従事する奥さんに給与を支払っても、その給与は原則として必要経費になりません。
 しかし、白色申告者であっても、奥さんに支払った給与の額に関係なく、一定金額での控除が認められる「事業専従者控除の特例」があります。
 今回は、この事業専従者控除について確認します。

1.事業専従者控除の要件

 白色申告者が事業専従者控除の適用を受けるためには、次の(1)と(2)の要件を満たす必要があります。

(1) 白色申告者の営む事業に事業専従者がいること
 事業専従者とは、次の要件の全てに該当する者をいいます。
① 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
② その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
③ その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること

(2) 確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること
 具体的には、確定申告書第二表の「事業専従者に関する事項欄」に記載します。

2.事業専従者控除額の計算方法

 事業専従者控除額は、次の(1)又は(2)の金額のどちらか低い金額です。

(1) 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
(2) この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額(事業所得等÷(専従者の数+1))

 具体的には、以下のように計算します。

〈計算例1〉
事業所得150万円(収入600万円-経費450万円)、専従者1人(配偶者)の場合
(1)より、専従者が配偶者なので86万円
(2)より、150万円÷(1+1)=75万円
 したがって、この場合の専従者控除額は、86万円>75万円より75万円となります。

〈計算例2〉
事業所得200万円(収入800万円-経費600万円)、専従者1人(配偶者)の場合
(1)より、専従者が配偶者なので86万円
(2)より、200万円÷(1+1)=100万円
 したがって、この場合の専従者控除額は、100万円>86万円より86万円となります。

3.事業専従者控除の留意点

 事業専従者控除の留意点は、次のとおりです。

(1) 白色申告の事業専従者控除については、事前に税務署に届出をする必要はありません。
(2) 事業専従者控除の対象者は、配偶者控除や扶養控除の対象にはなれません。
(3) 事業専従者控除額は、その専従者(配偶者、親族)の給与所得に係る収入金額とみなされます。例えば、専従者が白色申告者の事業に従事する一方、空いた時間を利用して他でアルバイトをした場合には、事業専従者控除額とアルバイトで得た給与を合計した金額が、その専従者の年間給与収入となりますので注意が必要です。

印紙を貼り間違えたときは返金してもらいましょう

1.還付の対象となるもの

 本来の印紙税額を超えて多めに収入印紙を貼ってしまったときや、印紙を貼る必要のない文書に誤って収入印紙を貼ってしまったときなどは、印紙税の還付を受けることができます。
 具体的には、以下のようなケースが還付の対象になります。

(1) 請負契約書や領収書などの印紙税の課税文書に貼り付けた収入印紙が過大となっているもの
(2) 委任契約書などの印紙税の課税文書に該当しない文書を、印紙税の課税文書と誤認して収入印紙を貼り付けてしまったもの
(3) 印紙税の課税文書の用紙に収入印紙を貼り付けたものの、使用する見込みのなくなったもの

 なお、収入印紙は、印紙税の納付のみでなく、登録免許税やパスポート引換えの際の手数料又は訴訟費用の納付等多くの用途に用いられます。このうち、印紙税法第14条の規定により還付の対象になるのは、印紙を納付する目的で、印紙税の納付の必要がない文書に誤って印紙を貼り付けたり、課税文書に所定の金額を超える印紙を貼り付けたりした場合等です。
 したがって、印紙により納付することになっている登録免許税や訴訟費用等を納付するための文書に印紙を貼り付けたものは、たとえ誤って貼り付けたものであっても印紙の納付が目的ではないため、印紙税の還付を受けることができません。

2.還付を受ける方法

 印紙税法による還付を受けるためには、税務署に用意されている「印紙税過誤納確認申請書」に必要事項を記入のうえ、納税地の税務署長に提出します。この場合の納税地は、文書の種類や記載内容などによってそれぞれ異なる場合がありますので、ご注意ください(印紙税過誤納[確認申請・充当請求]手続については、国税庁ホームページを参照)。
 なお、還付の申請に当たっては、印紙税が過誤納となっている文書と印鑑、法人の場合は代表者印が必要となります。
 還付される税金は、銀行口座振込あるいは郵便局を通じての送金となるため、還付金を受け取るまでに若干の日数がかかります。
 また、過誤納した印紙税の還付を請求できるのは、その請求をすることができる日(文書を作成した日)から5年以内です。5年を経過すると、印紙税を含めた国税に係る過誤納金を国に請求できる権利は消滅します。

3.印紙税の納税地

 印紙税の納税地は、印紙を購入した場所ではありません。基本的には、課税文書にその作成場所が記載されている場合は、その作成場所が納税地になります(印紙税法第6条第4号)。
 しかし、契約書に「○○県○○市○○区○-○-○にて作成」というように、その作成場所を明確に記載することはあまりないと思われます。
 作成場所が明らかでない場合は、次のようにして納税地を決定します。

(1) 課税文書の作成者が1人の場合(単独作成)

 受取書等のように、課税文書の作成者が1人の場合で、その作成者の事業に係る事務所、事業所、その他これらに準ずるものの所在地が記載されている場合には、その所在地が納税地になります。
 また、事業に係る事務所等が記載されていない場合には、受取書等の作成時における作成者の住所(住所がない場合には居所)が納税地になります。

(2) 2人以上が共同で課税文書を作成した場合(共同作成)

 例えば、不動産売買契約書のように、売主と買主が共同で課税文書を作成した場合には、それぞれの作成者が課税文書を所持している場所が納税地となります。
 また、課税文書の作成者以外の者が課税文書を所持している場合は、その文書に最初に記載されている作成者の所在地又は住所地が納税地となります。

個人が受け取る新型コロナ関連助成金等の課税・非課税の例示

 新型コロナウイルス感染症の影響により、国や地方公共団体から個人に対して助成金や給付金等が支給されています。今回は、こうした助成金等が所得税の課税対象となるかどうかについて確認します(参考;国税庁ホームページFAQ)。

1.新型コロナ関連助成金等の課税関係

 新型コロナウイルス感染症の影響に関連して、国等から支給される主な助成金等の課税関係は次のとおりです。

(1) 非課税とされるもの

① 支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの

イ.新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
ロ.新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)

② 新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの

イ.特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条1号)
ロ.子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号)

③ 所得税法が非課税の根拠となるもの

【学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)】
イ.学生支援緊急給付金

【心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)】
イ.低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
ロ.新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
ハ.新型コロナウイルス感染症に感染したことによる見舞金
ニ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
ホ.東京都のベビーシッター利用支援事業における助成

※緊急事態宣言中にも事業継続が求められる感染リスクが高い事業に勤務しなければならない心身の負担が相当高い従業員に対する事業主からの見舞金。慶弔規定で定められており、社会通念上相当であるものに限る。感染リスクの大小にかかわらず支給されるものや、感染リスクが同じであるにもかかわらず、特定の者のみにだけ支給されるものは給与所得として課税される。

(2) 課税されるもの

① 事業所得等に区分されるもの

イ.持続化給付金(事業所得者向け)
ロ.小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型〉
ハ.家賃支援給付金
ニ.農林漁業者への経営継続補助金
ホ.文化芸術・スポーツ活動の継続支援
ヘ.東京都の感染拡大防止協力金などの自治体独自の給付金
ト.雇用調整助成金
チ.小学校休業等対応助成金
リ.小学校休業等対応支援金

② 一時所得に区分されるもの

イ.持続化給付金(給与所得者向け)
ロ.しながわ活力応援給付金などの自治体独自の給付金

※東京都品川区は、外出自粛要請等に伴う区民の負担を軽減し、区全体の活力を取り戻すための取組として、2020年(令和2年)4月27日時点で品川区に住民登録のある区民に「しながわ活力応援給付金」を1人当たり3万円を給付。中学生以下の児童には2万円を加算して5万円を給付。4月28日以降に出生した子どもにも1人につき5万円を給付。

③ 雑所得に区分されるもの

イ.持続化給付金(雑所得者向け)

2.新型コロナに関連しない助成金等の課税関係

 新型コロナウイルス感染症の影響とは関係なく、国等から支給される主な助成金等の課税関係は次のとおりです。

(1) 非課税とされるもの

① 支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの

イ.雇用保険の失業等給付(雇用保険法12条)
ロ.生活保護の保護金品(生活保護法57条)
ハ.児童(扶養)手当(児童手当法16条、児童扶養手当法25条)
ニ.被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法21条)

② 租税特別措置法が非課税の根拠となるもの

イ.簡素な給付措置(臨時福祉給付金)(措置法41条の81項1号)
ロ.子育て世帯臨時特例給付金(措置法41条の81項2号)
ハ.年金生活者等支援臨時福祉給付金(措置法41条の81項3号)

③ 所得税法が非課税の根拠となるもの

イ.学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
ロ.東京都認証保育所の保育料助成金(所得税法9条1項15号)
ハ.休業補償(所得税法9条1項17号)

※労働基準法76条により、労働者が業務上の負傷等により休業した場合に支給。

(2) 課税されるもの

① 事業所得等に区分されるもの

イ.肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金
ロ.小規模事業者持続化補助金(一般型)

② 一時所得に区分されるもの

イ.すまい給付金
ロ.地域振興券
ハ.通学先から支給される目的を特定していない支援金

③ 雑所得に区分されるもの

イ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券(通常時のもの)
ロ.東京都のベビーシッター利用支援事業における助成(通常時のもの)

④ 給与所得に区分されるもの

イ.慶弔規定によらない危険手当などの手当
ロ.休業手当
ハ.緊急事態宣言解除後相当期間経過後に支給が決定される事業主からの見舞金

※労働基準法26条により、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給。

テレワークで支出した費用は特定支出控除の対象となるか?

 新型コロナウイルス感染症の影響により、時間や場所を固定しない柔軟な働き方であるテレワーク(在宅勤務)が社会全体で急速に普及・定着しつつあります。
 そこで気になるのが、テレワークを取り入れる企業のサラリーマン(給与所得者)がテレワークのために支出した費用は、特定支出控除の対象になるかどうか、ということです。
 今回は、コロナ禍における特定支出控除について確認します。

1.特定支出控除の概要

 特定支出控除とは、給与所得者が次のような支出(以下「特定支出」といいます)をした場合、その年の特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超える場合、その超える部分について、確定申告により給与所得の金額の計算上控除することができる制度です。

項目 内容
通勤費 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
職務上の旅費 勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅費
転居費 転任に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のうち一定のもの
研修費 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
資格取得費 職務に直接必要な資格を取得するための支出
帰宅旅費 単身赴任等で場合で、勤務地と自宅の間の旅行のために通常必要な支出のうち一定のもの
勤務必要経費 職務に関連する書籍・定期刊行物等の図書費、制服・事務服等の衣類及び職務上関係ある者に対する接待・供応・贈答等のための支出

2.特定支出控除の対象となるか?

 テレワーク(在宅勤務)を命じられたことに伴い、職務の遂行に直接必要なものとして次の費用を支出した場合、特定支出控除の対象となる勤務必要経費に該当するでしょうか?

(1) 机・椅子・パソコン等の備品購入のための費用
(2) 文房具等の消耗品の購入のための費用
(3) 電気代等の水道光熱費やインターネット回線使用のための費用
(4) インターネット上に掲載されている有料記事購入のための費用

 結論を先に述べると、上記のうち(4)のみが勤務必要経費に該当し、特定支出控除の対象になります。

 勤務必要経費は、①職務に関連する図書(書籍、新聞・雑誌その他の定期刊行物、不特定多数の者に販売することを目的として発行される図書)、②勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための支出、③給与等の支払者の得意先や仕入先などの職務上関係のある者に対する接待等のための支出のうち、その支出がその人の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明されたものとされています。
 上記(1)~(4)の各費用のうち「(4) インターネット上に掲載されている有料記事」については、一般的に不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものですので、勤務必要経費(図書費)に該当します。
 しかし、その他の費用は、上記①~③の勤務必要経費のいずれの支出にも該当しませんので、特定支出とはなりません。

損害賠償金に消費税が含まれる場合の仕入税額控除

 損害賠償金は、原則として消費税の課税対象にはなりません。例えば、交通事故を起こして相手の自動車が破損した場合に、損害賠償金(示談金)として修理費相当額10万円を支払っても、消費税の計算上は仕入税額控除の対象になりません。
 では、相手から交付された損害賠償金の請求書に、消費税10%を含む11万円が記載されていた場合は仕入税額控除の対象となるのでしょうか?
 今回は、このようなケースについて確認します。

1.損害賠償金と消費税の基本的関係

 消費税は、国内において事業者が行った資産の譲渡等を課税対象としています。資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいうことから、次の4要件を満たすものが国内取引の課税の対象となります(消費税法第4条1項)。

(1) 国内取引であること
(2) 事業者が事業として行うものであること
(3) 対価を得て行われるものであること
(4) 資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であること

 そして、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴って受ける損害賠償金は、資産の譲渡等の対価に該当しないものとして、原則として不課税とされています。ただし、次のような、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは、その名目にかかわらず消費税の課税対象となります(消費税法基本通達5-2-5)。

(イ) 損害を受けた資産等が加害者等に引き渡される場合の損害賠償金で、そのまま又は軽微な修理を加えることにより使用できる場合
(ロ) 特許権や商標権などの無体財産権の侵害につき加害者から収受する損害賠償金
(ハ) 不動産等の明渡し遅滞により加害者から収受する損害賠償金

 今回採り上げるケースは、上記(イ)~(ハ)のいずれにも該当しません。

2.損害賠償金に消費税を含めることの可否

 では、今回の本題に入ります。今回採り上げるのは、次のようなケースです。

 交通事故の損害賠償金として、被害者から自動車の修理代として請求された金額に消費税が含まれていた。修理代は被害者が修理業者に直接支払っており、修理業者の請求書の宛先も被害者となっている。この場合、加害者側でその損害賠償金を仕入税額控除の対象としていいのかどうか?

 ここで疑問が生じるのは、損害賠償金に消費税を含めていいのかどうか、ということです。
 この点については、当事者である被害者と加害者の合意内容によるべきものと考えます。例えば、被害者が課税事業者であり、仕入税額控除ができることをもって消費税抜きの金額にすることも、当事者間の合意があれば可能です。損害額の計算は、当事者間において損害額の算定をどうするかという合意内容によります。
 したがって、損害賠償金に消費税を含めて加害者に請求することについては、合意があれば特に問題はないといえます

3.仕入税額控除できるか?

 損害賠償金を支払った加害者側で仕入税額控除ができるかどうかを考えるにあたって、損害賠償金に消費税が含まれているか否かということは関係ありません。
 今回のケースでは、修理代を被害者が修理業者に直接支払っており、修理業者の請求書の宛先も被害者となっています。この場合、加害者が被害者に支払う損害賠償金は、損害の発生を起因としてその損害額の補填をする性格のものですから、対価性が無いものとして不課税になります。したがって、損害賠償金に含まれる消費税についても、仕入税額控除の対象にはなりません

 もし、今回のケースで、修理代を加害者が修理業者に直接支払っていて、修理業者の請求書の宛先も加害者となっている場合は、損害賠償金に含まれる消費税を加害者側で仕入税額控除ができます。修理業者に対価の支払いをし、自動車の修理という役務の提供を受けているからです(上記1の冒頭で述べた課税対象となる4要件を満たすからです)。