個人事業主が開業した年の消費税課税事業者選択届出書の記載例

1.消費税の還付を受けるため

 個人事業主は、開業した年とその翌年については、通常は消費税の納税義務がない免税事業者となります。
 しかし、開業した年において多額の設備投資があった場合などは、課税事業者を選択することにより、課税仕入れ等(課税仕入れ及び課税貨物の引取り)に係る消費税額の還付を受けることができます。
 課税事業者を選択する場合は、「消費税課税事業者選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません(「消費税課税事業者届出書」ではありませんので、ご注意ください)。
 今回は、消費税の還付を受けるために提出する「消費税課税事業者選択届出書」の書き方について確認します。

2.開業年に提出する課税事業者選択届出書

 例えば、令和3年2月1日に居酒屋を開業した「消費太郎」(個人事業主)が、令和3年分の確定申告で消費税の還付を受けるため、令和3年12月14日に提出する課税事業者選択届出書の記載例は次のようになります。

 主な項目について、書き方を確認します。

(1) 提出日
 提出する令和3年12月14日と記載します

※ 消費税の届出書の提出期限については、本ブログ記事「消費税の各種届出書の提出期限と効力」をご参照ください。

(2) 個人番号又は法人番号
 個人事業主は、左端を1マス空けて個人番号を記載します。個人事業主がこの届出書の控えを保管する場合においては、その控えには個人番号を記載しないなど、個人番号の取扱いには注意が必要です。

(3) 適用開始課税期間
 届出書の効力は、通常は提出した課税期間の翌課税期間の初日に発生しますが、事業を開始した課税期間等に提出した場合は、提出した課税期間又はその翌課税期間の初日から効力が発生します(いずれか選択可能です)。
 今回は、令和3年分の確定申告で消費税の還付を受けるため、「自 令和3年1月1日 至 令和3年12月31日」と記載します(開業日は令和3年2月1日ですが、個人事業主の場合は1月1日~12月31日が課税期間となります)。

(4) 上記期間の基準期間
 通常は(3)の適用開始課税期間の2年前の期間を記載しますが、今回は基準期間がありませんので、記載不要です。

(5) 左記期間の総売上高及び左記期間の課税売上高
 今回は基準期間がありませんので、記載不要です。通常は、「総売上高」欄には、課税売上+輸出免税売上+非課税売上を記載し、「課税売上高」欄には、 課税売上+輸出免税売上を記載します。

(6) 生年月日(個人)又は設立年月日(法人)
 個人事業主の場合は、生年月日を記載します。

(7) 事業年度及び資本金
 個人事業主の場合は、記載不要です。

(8) 届出区分
 今回は個人事業主の新規開業ですので、事業開始に〇を付けます。

(9) 参考事項
 この欄の記載は任意です。上記記載例では、開業年月日を記載しています。

(10) 税理士署名
 関与税理士がいる場合は、記載します。

個人事業主の預貯金の受取利息に関する所得税と消費税の取扱い

 預貯金の利息や貸付金の利息を受け取ったときの会計処理は、法人と個人事業主で異なります。
 今回は、個人事業主が受け取る預貯金(事業用)の利息をピックアップして、その会計処理等について所得税法上と消費税法上の取扱いについて確認します。

1.法人は「受取利息」個人は「事業主借」

 例えば、預貯金口座に500円の利息が振り込まれたとします。この場合、法人では貸方の勘定科目を「受取利息」で会計処理をしますが、個人事業主の場合は「事業主借」で会計処理をします。
 これは、所得税法上は、預貯金の利息は事業所得ではなく「利子所得」に区分されるからです。「受取利息」で仕訳をすると預貯金の利息が事業所得の収入金額となってしまいますので、「事業主借」で仕訳をして事業所得の計算に預貯金利息を反映させないようにします。

2.「事業主借」の消費税課税区分

 勘定科目は「事業主借」にしますが、ここで気になるのが、「事業主借」の消費税課税区分(課税、非課税、免税、不課税)です。
 個人事業主が課税事業者で原則課税を適用している場合、課税売上割合を算定しなければなりません。
 受取利息の課税区分は、法人でも個人事業主でも非課税売上です。一般的に、会計ソフトでは「事業主借」勘定は不課税(対象外)で初期設定されていることが多いと思われますが、入力の際には、非課税売上に変更することを忘れないようにしなければなりません。
 所得税法上は「事業主借」として事業所得の計算から除外した預貯金利息ですが、消費税法上は事業付随行為(消費税法基本通達5-1-7)として消費税の計算に反映させなければなりません。

5-1-7 令第2条第3項《付随行為》に規定する「その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」には、例えば、事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる次に掲げるようなものが該当することに留意する。
・・・・・・
(4) 利子を対価とする事業資金の預入れ

3.預貯金利息に係る源泉所得税等

 預貯金の利息が口座に振り込まれる際には、次の税金が差し引かれます。

(1) 所得税及び復興特別所得税:15.315%
(2) 道府県民税利子割:5%

 法人の場合は(1)だけですが、個人事業主の場合は(1)と(2)の合計20.315%が差し引かれます。
 例えば、預金口座に1,000円の利息が振り込まれた場合、差し引かれた税金は次のようになります。

(1) 法人の場合:1,000÷(1-0.15315)≒1,180 1,180×0.15315≒180
(2)個人の場合:1,000÷(1-0.20315)≒1,254 1,254×0.20315≒254

 ここで新たな疑問が生じます。預貯金利息の勘定科目は「事業主借」、その消費税課税区分は「非課税売上」とすることを確認しましたが、その金額は源泉徴収前と源泉徴収後のどちらにすればいいのでしょうか?
 これについては、消費税法基本通達10-1-13(源泉所得税がある場合の課税標準)に次のように規定されています。

10-1-13 事業者が課税資産の譲渡等に際して収受する金額が、源泉所得税に相当する金額を控除した残額である場合であっても、源泉徴収前の金額によって消費税の課税関係を判定するのであるから留意する。

 この通達から、消費税法上非課税売上として計上すべき受取利息の金額は、源泉徴収前の金額ということになります。
 したがって、個人事業主が預貯金の利息を受け取ったときは、勘定科目は「事業主借」、消費税課税区分は「非課税売上」、金額は「源泉徴収前」で会計処理をします。

 例えば、上記の例(源泉徴収後の利息1,000円が口座に振り込まれたとき)の個人事業主の仕訳を示すと、次のようになります(カッコ内は消費税課税区分)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金
(対象外)
1,000 事業主借
(非課税売上)
1,254
事業主貸
(対象外)
254    

 所得税法上は、次のように源泉徴収後の金額で仕訳しても問題はありません。消費税法上も免税事業者であれば問題ありませんが、課税事業者の場合は、消費税額に与える影響は小さいかもしれませんが、厳密には上記のように仕訳します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金
(対象外)
1,000 事業主借
(非課税売上)
1,000

所得税の修正申告をした場合の予定納税

1.所得税の予定納税とは?

 その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度があります。この制度を予定納税といいます。
 予定納税は、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めることになっています(特別農業所得者以外)。
 例えば、予定納税基準額が15万円の場合は、第1期分5万円を7月31日までに、第2期分5万円を11月30日までに納付しなければなりません。予定納税基準額が15万円未満の場合は、予定納税の必要はありません。
 なお、予定納税額は、所轄の税務署長から、原則としてその年の6月15日までに書面で通知されます。

2.修正申告により予定納税基準額が15万円以上になった場合は?

 当初の確定申告では、予定納税基準額が15万円未満だったために予定納税の必要が無かったところ、その後に修正申告をしたために予定納税基準額が15万円以上になったとします。この場合は、新たに予定納税をする必要があるのでしょうか?
 例えば、その年の9月に修正申告をした結果、予定納税基準額が15万円になったとします。この場合、第1期分5万円の納期限は過ぎていますので、第1期分と第2期分の合計額10万円を第2期分の納期限である11月30日までに納付するのでしょうか?
 それとも、第1期分を無視して第2期分5万円だけを11月30日までに納付するのでしょうか?
 また、その年の12月に修正申告をして予定納税基準額が15万円以上になった場合は、すでに第1期分と第2期分の納期限が過ぎていますので、予定納税は修正申告後に速やかに行うのでしょうか?

 答えは「その年の5月15日後(5月16日以後)に行った修正申告により予定納税基準額が15万円以上になったとしても、予定納税の必要はない」ということです。

 冒頭で述べたように、 その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合に、予定納税が必要です。
 国税庁ホームページ法令解釈通達105-1では、予定納税基準額の計算の基準日について、次のように定めています。

105-1 所得税法第105条に規定する「その年5月15日において確定しているところ」とは、確定申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定等の処分によりその年5月15日において定まっているところをいうのであるから、確定申告に対して更正の請求がされ、又は更正若しくは決定等の処分に対して再調査の請求若しくは審査請求等がされている場合においても、その判定をすべき日までにあった確定申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定等のうち、最終のものにより定まっているところによるべきことに留意する。

 つまり、その年の5月15日までに行った修正申告については予定納税基準額の計算に反映されますが、5月15日を過ぎて行った修正申告については予定納税基準額の計算に 反映されないということです。

未払計上した決算賞与に係る社会保険料は未払計上できない

1.決算賞与の損金算入の要件

 利益が出ている法人では、決算対策として使用人賞与を未払計上することがあります(いわゆる決算賞与です)。例えば、3月決算法人が3月末の決算仕訳で使用人賞与を未払計上し、実際に支給するのが翌期になる場合です。
 使用人賞与については、実際に支給をした日の属する事業年度に損金算入するのが原則ですが 、その例外として以下の要件を満たせば、未払計上した使用人賞与を損金算入することができます。

(1) 支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること
(2) その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に賞与を支給すること
(3) その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること

 上記3要件を満たす使用人賞与については、通知日の属する事業年度に損金算入することができます。
 一般に、賞与はその支給額を通知するのとほぼ同時に支給されるのが慣行となっているものの、事業年度末において各人別に支給額が通知され、たまたま支給が遅れているような場合にまで一切損金算入することを認めないのは適当でないことから、一定範囲で通知をした日の属する事業年度においても損金の額に算入することを認めた上で、取扱いの統一性を確保し恣意性を排除する観点から、上記3要件が規定されています。

2.未払計上した決算賞与に係る社会保険料

 では、さらなる節税対策として、上記1の損金算入要件を満たす未払決算賞与について、その社会保険料を未払計上して損金算入することはできるのでしょうか?
 結論を先に述べると、未払計上した決算賞与に係る社会保険料を未払計上しても、法人の支払債務が確定していないため損金算入することはできない、ということになります。
 社会保険料の損金算入時期については、法人税基本通達9-3-2で次のように規定されています(下線は筆者による)。

9-3-2 法人が納付する次に掲げる保険料等の額のうち当該法人が負担すべき部分の金額は、当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) 健康保険法第155条《保険料》又は厚生年金保険法第81条《保険料》の規定により徴収される保険料
(2) 旧効力厚生年金保険法第138条《掛金》の規定により徴収される掛金(同条第5項《設立事業所の減少に係る掛金の一括徴収》又は第6項《解散時の掛金の一括徴収》の規定により徴収される掛金を除く。)又は同法第140条《徴収金》の規定により徴収される徴収金
(注)同法第138条第5項又は第6項の規定により徴収される掛金については、納付義務の確定した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。


 法人税基本通達9-3-2では、当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができるとされています。
 この「保険料等の額の計算の対象となった月の末日」とは、具体的にはいつを指すのでしょうか?
 健康保険の各月の保険料の計算については、健康保険法156条1項において、各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じる旨が規定されており、同法45条1項において、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する旨が規定されています。
 すなわち、賞与に係る保険料は標準賞与額に保険料率を乗じて計算しますが、その標準賞与額が決定されるのは被保険者が賞与を受けた月ということになります。
 また、健康保険の保険料の納付義務については、健康保険法161条2項において、事業主がその使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことが規定されていますが、同法156条3項では、前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合には、その月分の保険料は算定しない旨が規定されています。
 すなわち、被保険者である従業員等が退職等の理由によりその月に被保険者の資格を喪失した場合には、事業主はその退職した従業員等に係る保険料の納付義務を負わないことになります。
(厚生年金保険の保険料の計算と納付義務についても、厚生年金保険法81条1~3項、19条1項、24条の3第1項に規定されていますが、健康保険と同様の理論構成になりますので、ここでは省略します。)

 以上から、法人が納付する健康保険及び厚生年金保険の保険料は、その保険料の額の計算の対象となった月の末日において、その時点で使用している被保険者(従業員等)に係るものについて、その納付義務が確定する性質と解されるものであるから、法人税基本通達9-3-2は、その納付告知又は実際の納付を待たずに、損金算入することができる旨を明らかにしています。そして、賞与に係る保険料は、被保険者が賞与を受けた月に、その受領額を基に標準賞与額を決定し、その標準賞与額に保険料率を乗じて計算されるのであるから、同通達に定める「保険料の額の計算の対象となった月の末日」とは、被保険者が賞与を受けた月(雇用者である法人側からみれば、賞与を支払った月)の末日をいうものと認められます。
 つまり、「保険料等の額の計算の対象となった月の末日」(債務の確定する日)とは、実際に賞与を支給した月の末日を指します。
 したがって、 未払計上した決算賞与に係る社会保険料を未払計上しても、法人の支払債務が確定していないため損金算入することはできないことになります。

川西市中小企業事業力向上対策補助金(令和3年11月15日申請受付開始)

 今回は、2021(令和3)年11月15日(月)から申請受付が始まる(兵庫県)川西市中小企業事業力向上対策補助金についてご案内します。

1.制度の概要

 川西市中小企業事業力向上対策補助金とは、 新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境の変化において、兵庫県川西市内の中小企業者が行う経営課題の改善による事業力の向上や、感染防止対策の取り組みに係る経費の一部を補助し、ポストコロナを見据えた経営力強化と事業継続支援を行うというものです。
 対象となる事業は、次のとおりです(下記3参照)。

(1) 事業力を向上するための経営課題の改善事業(ICT化をはじめ、経営課題の改善や職場環境の改善、業務効率化など)
(2) 新型コロナウイルス感染症の感染防止対策事業

2.補助対象者

 補助対象事業者は、2021(令和3)年10月1日時点兵庫県川西市内に事業所を有する下記のいずれかに該当する者です。

(1) 中小企業者である法人・個人(中小企業基本法第2条第1項に規定するもの)
(2) 商店街団体(任意組合、法定組合)など(川西市中小企業振興事業補助金交付規則第2条第2項から第4項に規定するもの)

 ただし、下記のいずれかに該当する場合は補助の対象になりません。

(1) 中小企業者である個人のうち、所得税法(昭和40年法律第33号)第229条の規定による開業に係る届け出を提出していない者
(2) 国及び、法人税法(昭和40年法律第34号)別表第一に規定する公共法人
(3) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、及び当該営業に係る同条第13項に規定する接客業務受託営業を行う事業者
(4) 政治団体
(5) 宗教上の組織若しくは団体
(6) 川西市暴力団排除に関する条例施行規則(平成24年川西市規則第36号)第2条第1号に規定する暴力団等
(7) 前各号に掲げるもののほか、補助金の趣旨及び目的に照らして適当でないと市長が判断する者

3.補助対象経費

 補助の対象となる経費は、川西市内の事業所や店舗に備品・設備の設置、施工等を行うもので、下表(補助対象経費一覧表)に該当するものです。

(1) 事業力を向上するための経営課題の改善事業 ① 生産性の向上に資するICTツールの購入費 【作業効率化やテレワーク導入に要するもの】
パソコン、パソコン周辺機器(WEBカメラ、モニター、マイク、ヘッドフォン、スピーカー、Wi-Fiルーター)、ソフト など

【システム化に要するもの】
キャッシュレス決済機、注文、在庫管理、会計管理、顧客管理、生産管理などのシステム導入 など
② 事業所の職場環境の改善、業務の効率化、又は品質の向上のための設備・備品購入費又は工事費 【設備・備品購入費例】
・製造工場で棚卸集計業務の効率化を図るため、棚卸自動読み取り機の購入
・製造工場で生産性向上を図るため、3DCAMの購入
・雑貨屋で看板商品を顧客に訴求するため、おすすめ商品用の移動式陳列棚の購入
・小売店が売上向上に繋げるため、実店舗の販路に加え、新たに行うECサイトの導入や出張販売の設備・備品購入
・ラーメン屋でこだわりのある自家製麺の生産量を増加させるための全自動製麺機の追加購入
・美容院で人気のオプションであるヘッドスパの利用者を増やすため、シャンプー椅子の追加購入
・事業所で商談スペースを拡大するため、ブースの設置に係る備品購入 など

【工事費例】
・製造業で作業効率を保つための空調改修工事
・雑貨屋で看板商品を顧客に訴求するため、商品を生かす照明取り付け工事
・花屋で花の鮮度をより保つための空調改修工事
・飲食店で来客数を増加させるため、席数を増加するための内装改装工事
・美容院で利用者を増やすことを目的にネイル事業を新規追加するための内装改装工事
・事業所で、省エネ化や従業員の作業効率を図るため、照明のLED化の内装改装工事 など
(2) 新型コロナウイルス感染症の感染防止対策事業 ① 事業所の改装工事・設備・備品購入費 【改装工事費】
・感染拡大防止のための間仕切り設置や改修工事
・喚気対策を目的とした窓やドア等の設置や修繕工事
・壁、手すり等の抗菌加工コーティング
・トイレの抗菌処理や非接触型への改修工事 など

【設備購入費】
・事業所内の換気設備の導入工事(換気や空気清浄、除菌機能付きエアコン含む) など

【備品購入費】
・空気清浄機
・パーティション
・消毒液スタンド
・非接触型体温計
・CO2センサー
・サーモグラフィー
・飛沫感染防止対策のためのアクリル板など
② 新型コロナウイルス感染症検査用品購入費 ・PCR検査キット
・抗原検査キット

(注1)下記のいずれかに該当する場合は、補助対象経費となりません。
(1) 市外の店舗・事業所に調達・施行等を行うもの
(2) 国、県等の補助金を全部又は一部受けるもの
(3) 商品の製造やサービスの提供のための仕入れや短期間の使用によって形状を変じ、その全部又は一部を消耗する消耗品
(4) 商品券、ビール券、図書券、切手、印紙、プリペイドカードなどの金券や貴金属などの換金性の高いもの
(5) 不動産や金融商品
(6) 補助対象経費の支払い先が、補助対象者と資本関係がある事業者又は補助対象者の役員若しくは役員の属する企業等であるもの
(7) その他、本事業の趣旨・目的に反すると認めるもの

(注2)次に該当するものは、補助金申請前に着手していても補助対象となります。
(1) 工事費
 2021(令和3)年4月1日(木)から交付申請日までに契約の締結をしたもの。ただし、2021(令和3)年10月1日(金)以降に着工したものに限る。
(例)R3.8.5 に改装工事の契約締結 → R3.10.1 に着工 → R3.11.20 に申請 → R3.11.30 に竣工
(2) 工事費以外の補助対象経費
 2021(令和3)年10月1日(金)から交付申請日までに設備・備品等の発注を行ったもの。
(例)R3.10.1 に物品を発注 → R3.11.20 に申請 → R3.12.30 に納品

※補助金申請後の着手は、申請結果通知後に契約や発注をしなければ対象外となりますのでご注意ください。

4.補助率及び補助額

(1) 補助率
 補助対象経費の調達先によって、補助率が変わります。
① 市内に本店又は主たる事業所を有する中小企業者への支払い
 補助対象経費の3分の2に相当する額
② ①以外への支払い
 補助対象経費の2分の1に相当する額

※算出した額に1,000円未満の端数が生じた場合は、その端数を切り捨てます。

(2) 補助額
 10万円 ~ 50万円

※申請は、1事業者あたり1回限りです。川西市内に複数の事業所・店舗がある場合でも1事業者1回限りです。

6.申請受付期間

 2021(令和3)年11月15日(月)から2022(令和4)年1月31日(月)まで(必着)

※当該補助金の予算には限りがあります。
※事業が完了した日から起算して20日以内又は2022(令和4)年2月25日(金)のうち、先に到来する期日までに実績報告書を提出する必要があります。

7.申請方法

 下記「8.必要書類」を、次のメールアドレスへ送付します。
【 申請先メールアドレス: jigyoryoku@e-kawanishi.org 】

8.必要書類

 下記書類に加えて、交付申請書及び実績報告書の「5.添付書類の確認欄」に記載している添付書類をご用意ください。

(1) 交付申請時
 川西市中小企業事業力向上対策補助金交付申請書に係る書類一式 
 ※交付申請時の記入例はこちら

(2) 実績報告時
 川西市中小企業事業力向上対策補助金実績報告書に係る書類一式 
 ※実績報告時の記入例はこちら

9.問い合わせ・申請先

川西市商工会 川西市中小企業事業力向上対策補助金 係
〒666-0011 川西市出在家町1-8
電話:072-759-8222
メール:jigyoryoku@e-kawanishi.org

伊丹市の宿泊事業者支援金・酒造事業者支援金・交通事業者支援金(令和3年11月1日申請受付開始)

 今回は、2021(令和3)年11月1日から申請受付が始まっている兵庫県伊丹市の宿泊事業者支援金・酒造事業者支援金・交通事業者支援金についてご案内します。

1.制度の概要

 宿泊事業者支援金・酒造事業者支援金・交通事業者支援金とは、新型コロナウイルス感染症の拡大により経営に影響を受けた宿泊事業者、酒造事業者、交通事業者に対して、伊丹市が支援金を給付するというものです。

2.対象者

 対象者は、次のいずれにも該当する者です。

(1) 伊丹市内で事業を営んでいる者
(2) 新型コロナウイルス感染症の影響により、2020(令和2)年12月以降の任意の月の売上高が前年又は前々年の同月に比して20%以上減少した者(創業後間もない場合は、算出可能な月の売上高等によって当該減少を確認できる者)

 ただし、上記(1)(2)の要件を満たしても、次のいずれかに該当する者は対象外です。

(1) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条の規定に基づく許可又は届出を要する事業を行う者
(2) 公序良俗に反する事業又はサービスの提供を行う者
(3) 営業に関して必要な許認可等を取得していない者
(4) 伊丹市暴力団排除条例(平成24年伊丹市条例第4号)第2条第1号に規定する暴力団及び同条第2号に規定する暴力団員並びに同条第3号に規定する暴力団員密接関係者
(5) 申請日までに納期が到来している市税等に滞納がある者

3.支援金の額

 下記のいずれかの支援金が、1事業者につき1回限り支給されます。別途実施される個人事業主等支援金との重複申請もできません。支援金の上限額は200万円です。

(1) 宿泊事業者支援金
 旅館業法(昭和23年法律第138号)に基づく旅館業を営む事業者に対して、伊丹市内宿泊施設における客室1室につき2万円を支給
(2) 酒造事業者支援金
 清酒を製造する事業者に対して、100万円を支給(2017(平成29)年度における清酒製成数量が全国平均以上である場合は200万円
(3) 交通事業者支援金
 道路旅客運送業を営む事業者に対して、伊丹市内に保有するタクシー1台につき2万円、伊丹市内に保有する貸切バス1台につき5万円を支給

4.申請方法等

(1) 提出書類
 以下の書類を、伊丹市商工労働課へ郵送します(感染症拡大防止のため、申請は郵送のみとなります)。

(様式第1-2号)申請書兼請求書(宿泊事業者用)
  (様式第1-3号)申請書兼請求書(酒造事業者用)
  (様式第1-4号)申請書兼請求書(交通事業者用) 
② 補助金振込先の通帳の写し(金融コード、店番号、口座名義、口座番号が確認できるもの)
③ (宿泊事業者の場合)業種及び客室数がわかる書類の写し
  (酒造事業者の場合)業種及び清酒製成量が分かる書類の写し
  (交通事業者の場合)業種並びにタクシー及び貸切バス保有台数が分かる書類の写し
  例 : 会社パンフレット、ウェブサイトのコピー、定款、 など
④ 2020(令和2)年12月以降の任意の月の売上高が分かる書類の写し
  例 : 売上台帳や試算表等の帳簿類 など
⑤ 前年又は前々年同月の売上高が分かる書類の写し
  例 : 決算書、確定申告書(確定申告書B、青色申告決算書又は収支内訳書) など

 なお、創業後間もない者 は、上記⑤の代わりに下記書類を提出します。
⑥ 事業計画書等売上見込額の分かる書類の写し
⑦ 開業届の写し

(2) 申請期限
 2021(令和3)年11月1日(月)から2021(令和3)年12月28日(火)まで(必着)

(3) 問い合わせ先 ・ 申請書送付先

〒664-8503 伊丹市千僧1-1
伊丹市役所6階 商工労働課
電話番号:072-784-8047

5人以上の従業員を雇用している士業の個人事務所は令和4年10月から社会保険の加入が必要です

1.任意加入から強制加入へ

 現行の社会保険制度では、常時5人以上の従業員を雇用している個人事業所のうち、法定16業種については「健康保険(協会けんぽ)・厚生年金」(以下「社会保険」といいます)への加入が強制されます。
 法定16業種とは、製造業・土木建築業・鉱業・電気ガス事業・運送業・貨物積みおろし業・清掃業・物品販売業・金融保険業・保管賃貸業・媒介周旋業・集金案内広告業・教育研究調査業・医療業・通信報道業・社会福祉事業及び更生保護事業をいいます。
 一方、5人以上の従業員を雇用する個人事業主でも、法定16業種に該当しない農業、漁業、一部のサービス業(旅館、飲食、理美容業、弁護士事務所、税理士事務所など)を営む者は、社会保険への加入が任意とされています。
 したがって、従業員を5人以上雇用している個人経営の税理士事務所などの士業事務所は、現行の社会保険制度では社会保険への加入義務はありませんでした。
 しかし、社会保険の適用を拡大する等を目的とした「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、2020(令和2)年6月5日に公布されました。
 その結果、これまで社会保険の適用業種でなかった税理士をはじめ、公認会計士、弁護士、司法書士など10の士業についても、常時5人以上の従業員を雇用している個人事務所は強制適用業種に加えられ、2022(令和4)年10月1日から社会保険の加入が強制されることとなりました。

※ただし、法施行日(2022(令和4)年10月1日)の前日までに税理士国保に加入し、かつ所轄の年金事務所に「健康保険被保険者適用除外承認申請書」を提出し承認されれば、協会けんぽではなく税理士国保を選択することができます(厚生年金は強制適用です)。

2.10の士業とは?

(1) 10の士業
 今回の改正の適用対象となる「10の士業」は、次のとおりです。

弁護士、沖縄弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、公証人、司法書士、土地家屋調査士、⾏政書⼠、海事代理⼠、税理⼠、社会保険労務士、弁理⼠

(2) 被保険者
 今回の改正で、常時5人以上の従業員を雇用している個人の士業事務所は社会保険の強制適用事業所となりますが、「常時5人以上の従業員」とは、正社員に加え、週の所定労働時間及び月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の3/4以上の従業員をいいます。
 従業員にはパート・アルバイトの方を含み、日々雇い入れられる方などの「常時使用される」者でない場合は含まれません。また、外国人であっても加入要件を満たした場合は、国籍を問わず被保険者になります。
 なお、個人事業所の事業主は、社会保険の被保険者になりません。

※社会保険の加入要件については、本ブログ記事「外国人・年金受給者を雇用した場合や試用期間中の社会保険の取扱い」をご参照ください。

令和3年分給与所得者の保険料控除申告書の書き方と記載例

 保険料控除申告書は、給与の支払を受ける人(給与所得者)が、その年の年末調整において生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除を受けるために給与の支払者(勤務先)に提出するものです。
 今回は、生命保険料控除申告書の書き方について確認します。なお、年末調整で勤務先に提出する書類については「年末調整に必要な書類(各種申告書と証明書等)」をご参照ください。

1.氏名、住所などの記入

(1) 所轄税務署長
 給与の支払者の所在地等の所轄税務署長を記入します。

(2) 給与の支払者の法人番号
 この申告書を受理した給与の支払者が、給与の支払者の法人番号を付記します。

2.生命保険料控除の記入

(1) 控除証明書の内容を記入(転記) 
 保険会社から送られてきた生命保険料控除証明書や契約証書などを参考に、下記項目を記入します。

項目 記入内容
保険会社等の名称 保険会社等の名称(略称可)
保険等の種類 控除証明書の「保険種類」
保険期間又は年金支払期間 控除証明書の「保険期間」
保険等の契約者の氏名 控除証明書に記載されている人の「氏名」
保険金等の受取人 控除証明書に記載されている「保険金受取人名」(控除証明書に記載が無い場合は、契約証書等を参照)
あなたとの続柄 自分の場合は「本人」、それ以外の場合は「妻、夫、配偶者、父、母、子」など
新・旧の区分 控除証明書に記載されている「適用制度」の新旧の区分
あなたが本年中に支払った保険料等の金額 控除証明書に記載されている参考欄の「12月末時点の申告予定額
給与の支払者の確認印 勤務先の記入欄なので記入不要

 なお、保険料控除を受けるためには、保険金等の受取人があなた又はあなたの配偶者や親族(個人年金保険料については親族を除きます)であることが必要です(参考:本ブログ記事「妻が契約者でも夫の生命保険料控除の対象にできるか?」)。
 また、「給与所得者の保険料控除申告書」を提出する際は、旧生命保険料で一契約の保険料の金額が9,000円以下であるものを除き、証明書類の添付等が必要です。

(2) 控除額の計算
 保険料控除申告書の下部に記載されている「計算式Ⅰ(新保険料等用)」「計算式Ⅱ(旧保険料等用)」に当てはめて控除額を計算します。控除額の計算において算出した金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。

3.地震保険料控除の記入

 地震保険料控除についても生命保険料控除と同じように、保険会社から送られてきた地震保険料控除証明書の内容を記入(転記)して、地震保険料控除額の計算式に当てはめて控除額を計算します。
 なお、保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している人は、あなた又はあなたと生計を一にする親族であることが必要です(参考:本ブログ記事「賃貸住宅に住んでいる場合に地震保険料控除の適用はあるか?」)(同一生計を要件とする所得控除については、本ブログ記事「所得控除における『生計を一にする』の判定基準」をご参照ください)。
 また、「給与所得者の保険料控除申告書」を提出する際は、証明書類の添付等が必要です。

4.社会保険料控除の記入

 国民年金保険料など、あなたが直接支払った社会保険料を記入します。給与から差し引かれた社会保険料は記入しません。
 具体的には、次のような場合に記入が必要です。
(1) 勤務先が社会保険に未加入で、国民年金保険料・国民健康保険料を自分で支払っている場合
(2) 年の途中で就職し、それまでは国民年金保険料・国民健康保険料を支払っていた場合
(3) 配偶者、親、子の代わりに国民年金保険料・国民健康保険料を支払っている場合

 これらに該当する場合は、下記項目を記入します。

項目 記入内容
社会保険の種類 国民年金、国民年金基金、国民健康保険など
保険料支払先の名称 日本年金機構、市区町村名など
保険料を負担することになっている人 あなたや家族の氏名
あなたとの続柄 自分の場合は「本人」、それ以外の場合は「妻、夫、配偶者、父、母、子」など
あなたが本年中に支払った保険料の金額 ①国民年金や国民年金基金の場合
控除証明書に記載されている「合計額(納付済額+見込額)
②国民健康保険料(税)の場合
控除証明書がないので、領収書等から支払額を集計
合計(控除額) すべての額の合計

 なお、国民年金と国民年金基金については控除証明書の添付等が必要ですが、国民健康保険は控除証明書がありません(勤務先から「市町村の支払額の通知書」の提出を求められる場合があります)。

5.小規模企業共済等掛金控除の記入

 iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金など、あなたが直接支払った小規模企業共済等掛金を記入します。給与から差し引かれた掛金は記入しません。
 独立行政法人中小企業基盤整備機構や国民年金基金連合会、地方公共団体から送付された証明書をもとに下記項目の金額を記入します。
 なお、「給与所得者の保険料控除申告書」を提出する際は、証明書類の添付等が必要です。 

項目 記入内容
独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金 小規模企業共済
※フリーランスの退職金の準備のための掛金。
確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金 企業型DC(企業型確定拠出年金)
※企業が掛金を拠出し、従業員が運用する。通常は、給与から差し引かれるため記入不要。
確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金 iDeCo(個人型確定拠出年金)
※自分で加入する。
心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金 心身障害者扶養共済掛金
※障害者を扶養している保護者が毎月一定の掛金を支払うことで、保護者に万一のことがあったときに障害者に年金が支給される。

令和3年分基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除申告書の書き方と記載例

 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書は、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書の3つが一体の書式になっています。
 今回は、令和3年分基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除申告書の書き方を確認します。

※ 年末調整で勤務先に提出する書類については本ブログ記事「年末調整に必要な書類(各種申告書と証明書等)」をご参照ください。

1.氏名、住所などの記入

(1) 所轄税務署長
 給与の支払者(勤務先)の所在地等の所轄税務署長を記入します。

(2) 給与の支払者の法人番号
 この申告書を受理した給与の支払者が、給与の支払者の法人番号を付記しますので、あなた(給与所得者)が記入する必要はありません。

2.給与所得者の基礎控除申告書の記入

(1) あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算
 給与所得については、令和3年中の給与の収入金額(給与を2か所以上から受けている場合は、その合計額)の見積額を「収入金額」欄に記入し、その給与の収入金額を基に下表を使用して「所得金額」を計算します。

給与の収入金額(A) 給与所得の金額
1円以上    550,999円以下 0円
551,000円以上 1,618,999円以下 A-550,000円
1,619,000円以上 1,619,999円以下 1,069,000円
1,620,000円以上 1,621,999円以下 1,070,000円
1,622,000円以上 1,623,999円以下 1,072,000円
1,624,000円以上 1,627,999円以下 1,074,000円
1,628,000円以上 1,799,999円以下 A÷4(千円未満切捨て)…B
B×2.4+100,000円
1,800,000円以上 3,599,999円以下 A÷4(千円未満切捨て)…B
B×2.8-80,000円
3,600,000円以上 6,599,999円以下 A÷4(千円未満切捨て)…B
B×3.2-440,000円
6,600,000円以上 8,499,999円以下 A×0.9-1,100,000円
   8,500,000円以上 A-1,950,000円

 ただし、所得金額調整控除の適用を受ける人は、上の表に従って求めた給与所得の金額から所得金額調整控除の控除額を差し引いた額を記入してください。
 所得金額調整控除の額の計算方法は、次のとおりです(①②の両方がある場合は、その合計額)。
① (給与の収入金額※1-850万円)×10%
 ※1 1,000万円を超える場合は1,000万円
② 給与所得控除後の給与等の金額※2+公的年金等に係る雑所得の金額※2-10万円
 ※2 10万円を超える場合は10万円

 例えば、給与の収入金額が8,970,000円の場合、上の表より給与所得の金額は8,970,000円-1,950,000円=7,020,000円と計算されますが、所得金額調整控除の額(8,970,000円-8,500,000円)×10%=47,000円を差し引いた6,973,000円を「所得金額」欄に記入します。

(2) 控除額の計算
 上記(1) の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の表で計算した合計額を基に「判定」欄の該当箇所に✓を付け、判定結果に対応する控除額を「基礎控除の額」欄に記入します。

(3) 区分Ⅰ
 配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする人は、「控除額の計算」の「判定」欄の判定結果に対応する記号(A~C)を記入します。

3.給与所得者の配偶者控除等申告書の記入

(1) 配偶者の氏名、個人番号など
 一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください(本ブログ記事「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のマイナンバー記載を省略する方法」をご参照ください)。
 また、配偶者が非居住者である場合には、「非居住者である配偶者」欄に○を付け、「生計を一にする事実」欄にその年に送金等をした金額の合計額を記入します。この場合、親族関係書類及び送金関係書類の添付等が必要ですが、親族関係書類については、扶養控除等(異動)申告書を提出した際に添付等をしているときは必要ありません。

(2) 配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算
 上記 2.(1)を参考に、配偶者の収入金額、所得金額を記入して下さい。例えば、給与収入の見積額が920,000円でかつ、所得金額調整控除が適用されない人の場合には、所得金額は920,000円-550,000円=370,000円となります。

(3) 判定及び区分Ⅱ
 上記3.(2)で計算した合計所得金額及び配偶者の生年月日を基に、「判定」欄の該当箇所に✓を付け、判定結果に対応する記号(①~④)を「区分Ⅱ」欄に記入します。

(4) 配偶者控除の額又は配偶者特別控除の額
 区分Ⅱが①又は②の場合は「配偶者控除の額 」欄に、区分Ⅱが③又は④の場合は「 配偶者特別控除の額 」欄に、「控除額の計算」の表で求めた配偶者控除額又は配偶者特別控除額を記入します。

4.所得金額調整控除申告書の記入

(1) 要件
 該当する要件に✓を付けます。複数の項目に該当する場合は、いずれか1つを選んで✓を付けます。
 「特別障害者」とは、障害者のうち身体障碍者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級である者として記載されている人など、精神又は身体に重度の障害のある人をいいます。
 「同一生計配偶者」とは、あなたと生計を一にする配偶者(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、令和3年中の合計所得金額の見積額が48万円以下の人をいいます。
 「扶養親族」とは、あなたと生計を一にする親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、令和3年中の合計所得金額の見積額が48万円以下の人をいいます。 なお、児童福祉法の規定により養育を委託されたいわゆる里子や老人福祉法の規定により養護を委託されたいわゆる養護老人で、あなたと生計を一にし、令和3年中の合計所得金額の見積額が48万円以下の人も扶養親族に含まれます。

(2) ☆扶養親族等
 「要件」欄で「同一生計配偶者が特別障害者」、「扶養親族が特別障害者」、「扶養親族が年齢23歳未満」の項目に✓を付けた場合、その要件に該当する同一生計配偶者又は扶養親族の氏名、個人番号及び生年月日等を記入します。
 なお、「扶養親族が特別障害者」、「扶養親族が年齢23歳未満」の項目に✓を付けた場合でその扶養親族が2人以上いる場合は、いずれか1人の氏名、個人番号及び生年月日を記入します。
 また、 一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください (上記3.(1)参照)。

(3) ★特別障害者
 「特別障害者に該当する事実」欄には、障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(障害の等級)などの特別障害者に該当する事実を記入します。
 なお、特別障害者に該当する人が「扶養控除等(異動)申告書」に記載している特別障害者と同一である場合には、特別障害者に該当する事実の代わりに「扶養控除等申告書のとおり」と記載することも認められています。

※所得金額調整控除については、本ブログ記事「令和2年分から適用される基礎控除の改正と所得金額調整控除の新設」をご参照ください。

令和3年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方と記載例

 年末調整では、勤務先に各種申告書(扶養控除等申告書、基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書)を提出することで、いろいろな控除を受けることができます(年末調整で勤務先に提出する書類については本ブログ記事「年末調整に必要な書類(各種申告書と証明書等)」をご参照ください)。
 これらの申告書のうち、今回は2021(令和3)年分扶養控除等申告書の書き方を確認します。扶養控除等申告書には2022(令和4)年分もありますが、令和3年分は今年(令和3年)の年末調整の計算に使用するため、令和4年分は来年(令和4年)1月から支払う給与の計算に使用するため、勤務先に提出します。
 令和3年分扶養控除等申告書は、昨年(令和2年)の年末調整時に提出済み、途中入社の方は入社時に提出済みだと思われますが、今年(令和3年)の年末調整で修正事項(結婚や出産により扶養者が増えた等)の有無を確認するため、勤務先より配布されます。
 以下で、令和3年分扶養控除等申告書の書き方について確認します。

1.氏名、住所などの記入

(1) 所轄税務署長等
 給与の支払者(勤務先)の所在地等の所轄税務署長とあなた(給与所得者)の住所地等の市区町村長を記載します。

(2) 給与の支払者の法人(個人)番号
 この申告書を受理した給与の支払者が、給与の支払者の個人番号又は法人番号を付記します。給与の支払者が法人の場合は、給与の支払者の法人番号をあらかじめ記載(印字)して、給与所得者に配付しても差し支えありません。

(3) あなたの個人番号
 あなたの個人番号を記載する必要がありますが、一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください。
※本ブログ記事「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のマイナンバー記載を省略する方法」をご参照ください。

(4) あなたの住所又は居所
 令和3年分は、令和3年12月31日時点の住所を記載します(給与の支払者の指示に従ってください)。令和4年分は、令和4年1月1日時点の住所を記載します。

(5) 配偶者の有無
 ここでいう配偶者とは、一定の要件を満たす必要のある源泉控除対象配偶者のことではありません。単に配偶者がいれば「有」に○、いなければ「無」に○を付けます。

(6) 従たる給与についての扶養控除等申告書の提出
 2か所以上から給与の支払を受けている人が、他の給与の支払者に「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している場合に◯を付けます。

2.源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族の記入

(1) 源泉控除対象配偶者
 配偶者が「源泉控除対象配偶者」となるには、以下の要件を満たす必要があります。
① あなたの所得金額が900万円以下である(給与収入のみならば年収1,095万円以下)
② 配偶者の所得金額が95万円以下である(給与収入のみならば年収150万円以下)
③ あなたと生計を一にする配偶者である
※「生計を一にする」については、本ブログ記事「所得控除における『生計を一にする』の判定基準」をご参照ください。
④ 青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者のいずれにも該当しない
 上記4要件を満たす場合は、配偶者の情報を記入します。なお、年末調整において配偶者(特別)控除の適用を受けるには、この欄の記載の有無に関わらず「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要です。

(2) 控除対象扶養親族
 親族が「控除対象扶養親族」となるには、以下の要件を満たす必要があります(①~③は扶養親族の要件)。
① 親族の所得金額が48万円以下である(給与収入のみならば年収103万円以下)
② あなたと生計を一にする親族である
③ 配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者のいずれにも該当しない
④ 年齢16歳以上である(平成18年1月1日以前生)
 上記4要件を満たす場合は、親族の情報を記入します。なお、児童福祉法の規定により養育を委託されたいわゆる里子や老人福祉法の規定により養護を委託されたいわゆる養護老人で、あなたと生計を一にし、令和3年中の合計所得金額の見積額が48万円以下の人も扶養親族に含まれます。

(3) 個人番号
 源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族の個人番号を記載する必要がありますが、一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください(上記1.(3)参照)。

(4) 老人扶養親族
 控除対象扶養親族が年齢70歳以上(昭和27年1月1日以前生)の場合には、次のとおりいずれかに✓を付けます。
① その人があなた又はあなたの配偶者の直系尊属で、あなた又はあなたの配偶者のいずれかと同居を常況としている人であるとき→「同居老親等」に✓を付けます。
② その人が①以外の人であるとき →「その他」に✓を付けます。

(5) 特定扶養親族
 控除対象扶養親族が年齢19歳以上23歳未満(平成11年1月2日~平成15年1月1日生)の場合に、✓を付けます。

(6) 非居住者である親族
 源泉控除対象配偶者又は控除対象扶養親族が非居住者である場合に○を付けます。この場合、親族関係書類の添付等が必要です。
※「非居住者」とは、国内に住所を有せず、かつ、現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない個人をいいます。

3.障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生の記入

(1) 同一生計配偶者
 同一生計配偶者が一般の障害者、特別障害者又は同居特別障害者に該当する場合には、該当する欄に✓を付けます。
※「同一生計配偶者」とは、あなたと生計を一にする配偶者(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、令和3年中の合計所得金額の見積額が48万円以下の人をいいます。

(2) 扶養親族
 扶養親族が一般の障害者、特別障害者又は同居特別障害者に該当する場合には、該当する欄に✓を付けます。
 なお、障害者控除の対象となる扶養親族は、控除対象扶養親族とは異なり、年齢16歳未満(平成18年1月2日以後生)の扶養親族も対象となります。

(3) 寡婦、ひとり親、勤労学生
 あなたが寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合に✓を付けます
 寡婦は、ひとり親に該当しない女性で、以下のいずれかに当てはまる人です。
① 所得金額が500万円以下で、夫と離婚した後に婚姻をしておらず、扶養親族がいる
② 所得金額が500万円以下で、夫と死別した後婚姻をしていない、もしくは夫の生死が明らかでない
 ひとり親は、現在婚姻していない人、もしくは配偶者の生死が明らかでない一定の人のうち、以下のすべてに当てはまる人です。
① 所得金額が500万円以下である(給与収入のみならば、年収6,777,778円以下)
② 生計を一にする子がいる
③ 事実上の婚姻関係にある人がいない
※寡婦、ひとり親については、本ブログ記事「ひとり親控除の新設と寡婦(夫)控除の改正」をご参照ください。
 勤労学生は、以下のすべてに当てはまる人です。
① あなたが学生である(小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学の学生、国や地方公共団体、学校法人などが設立した専修学校、各種学校、または職業訓練学校のうち一定の要件を満たす学校の学生)
② アルバイトなどの勤労による所得金額が75万円以下である(収入が1つの勤務先からのアルバイト代(給与収入)のみならば、年収130万円以下)

(4) 障害者又は勤労学生の内容
 左記の障害者又は勤労学生に該当する(人がいる)場合、その該当する事実やその人の氏名を記載します。
(例)障害者の場合・・・障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(等級)などの障害者に該当する事実を記載します。
(注)寡婦、ひとり親に該当する方について、死別、離婚、生死不明の別、生計を一にする子の氏名及びその子の所得の見積額など、寡婦又はひとり親に該当する事実の記載は必要ありません。

4.他の所得者が控除を受ける扶養親族等の記入

 他の所得者が控除を受ける扶養親族等の欄については、共働きなどで子供を扶養親族としなかった方が子供の氏名等を記入する欄ですが、空欄でも構いません。記入しなかったとしても「控除額が減り、損をする」というわけではありません。

5.住民税に関する事項の記入

(1) 16歳未満の扶養親族
 年齢16歳未満(平成18年1月2日以後生)の扶養親族について記載します。16歳未満の扶養親族は「扶養控除」の対象外ですが、住民税の計算で利用するためあわせて記載します。

(2) 控除対象外国外扶養親族
 国内に住所を有しない扶養親族に該当する場合に○を付けます。