申告期限延長の特例を受けている法人は個別延長への切替えで利子税が免除される!

1.1か月の延長特例では利子税が発生

 3月決算法人は通常5月末が申告納付期限となりますが、会計監査人の監査を受けなければならないこと等の理由により、各事業年度終了の日の翌日から2月以内にその各事業年度の決算についての定時株主総会が招集されない常況にあるため、申告書の提出期限を1月間(連結事業年度にあっては2月間)延長する特例を受けている法人もあります。

 このような特例を受けている法人(以下、「延長法人」といいます)の申告納付期限は、3月決算法人であれば6月末まで延長されますが、延長された申告書の提出期限までの期間の日数に応じて7.3%を乗じて計算した利子税の納付が必要とされています。
 納付期限までに見込額を納付している場合には、確定額との差額に利子税が生じます。

 延長法人が、例年通りのスケジュールで6月に定時株主総会を開催し、法人税の確定申告も6月末までに終える場合、つまり、これまでと同様に「1か月の延長特例」による申告・納付を行う場合は、コロナ禍とはいえ利子税が発生します。

2.個別延長への切替えで利子税が免除

 一方、新型コロナウイルス感染症の影響など、やむを得ない理由で期限内申告・納付が困難な場合に認められる「個別延長」による申告では、利子税が免除されることになっています。
 見込額を納付していても、申告時に個別延長の手続きを行うことで利子税は生じません。

 申告書の提出日が同じであっても、「1か月の延長特例」と「個別延長」では、申告期限の延長の根拠となる法律が異なるだけで、利子税の納付の有無に差異が生じます。

 しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の影響下においては、「1か月の延長特例」の承認を受けている場合であっても、利子税が免除される「個別延長」に切り替えて申告することができます

 事業年度終了日の翌日から2か月を経過するまでの間に、災害その他やむを得ない理由が生じた場合は、「1か月の延長特例」の適用がないものとみなして「個別延長」を適用できるものとされています。
 そのため、本来は事業年度終了日までに必要な「延長特例の取りやめの届出書」の提出がなくても、「個別延長」による申告が可能となります。

 具体的な手続きは、申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載して提出することで、利子税が免除される「個別延長」による申告として認められます。

新型コロナ対応で中間申告も期限延長できます(延滞税に注意!)

 新型コロナウイルス感染症の影響により、確定申告期限内に法人税や消費税等の申告・納付ができない場合は、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を申告書の余白に付記して提出する個別延長が認められていますが、中間申告期限についても個別延長が認められています。

1.事後提出時に余白に記載で可

 法人税及び消費税の中間申告については、前期の確定した税額から中間申告に係る税額を計算する「通常の中間申告」と、これに代えて、中間期間を一つの事業年度(又は課税期間)とみなして確定申告と同様に法人税額(又は消費税額)を計算する「仮決算による中間申告」があります。

 例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により、当期の業績が悪化しているような場合には、通常の中間申告に代えて、仮決算による中間申告を検討することも考えられます。
 その際に、外出自粛要請の影響など通常の業務体制が維持できないことにより、例えば、① 通常の中間申告に係る納付税額と、仮決算による中間申告に係る納付税額を比較・検討するための準備に時間を要する、② 仮決算による中間申告に係る申告書の作成に時間を要するなど、中間申告書を提出期限までに提出することが困難となる場合が考えられますが、このような場合にも、提出期限の延長(個別延長)が認められます。

 提出期限までに中間申告書を提出することが困難な場合には、中間申告書の提出 ができることとなった時点で、中間申告書の提出の際に、その中間申告書の余白部分に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を記載して提出すれば、事後的に提出期限の延長(個別延長)が認められます

2.納付を先にしないと延滞税がかかる

 確定申告の個別延長と同様に中間申告の個別延長の場合も、申告期限及び納付期限は原則として申告書の提出日となります
 この場合、申告と納付のタイミングがずれる、つまり、会計事務所の申告日が先で関与先様の納付日が後になると延滞税がかかるのかどうか気になりました。

 この点について税務署に問い合わせたところ、基本的には申告と納付は同じ日にしなければならないとのことでした。
 納付日が申告日より先になっても問題はありませんが、納付日が申告日より後になってしまうと、ずれた日数は延滞税の計算対象になるということでした。
 関与先様とよく打ち合わせをして、関与先様から納付の連絡を頂いたうえで、会計事務所は申告をした方がよさそうです。

3.中間申告書が提出不要となる場合

 中間申告書を提出することが困難な状態が確定申告書の提出期限まで続く場合には、その中間申告書の提出は不要となります。つまり、中間申告により納付する法人税及び消費税は生じないこととなります。

 この場合には、確定申告書を提出する際に、確定申告書の余白に、「中間申告書は新型コロナウイルス感染症の影響により提出できなかった」旨を記載して提出します
  なお、所轄税務署から送付される確定申告書に印字されている中間税額には、その生じないこととなる税額が含まれていますので、使用の際には、その生じないこととなる税額相当額を控除した金額に訂正します。

4.中間申告書のみなし提出について

 一方、上記のような事情がなく、中間申告書をその提出期限までに提出することが可能だったにもかかわらず、中間申告書の提出期限までにその提出がなかったときには、その提出期限において通常の中間申告に係る中間申告書の提出があったものとみなされます。
 この場合には、その提出期限において通常の中間申告に係る納付税額が確定します。

持続化給付金・休業協力金・特別定額給付金に関するホームページ一覧と留意点

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、国・都道府県・市町村が、事業者等を対象とした様々な支援制度を講じています。これらの支援制度の申請要件や申請方法等の情報は各ホームページから入手することになりますが、情報が日々更新されるため、どのサイトを見たらいいのかわからないという問い合わせも増えています。
 そこで今回は、これらの支援制度のうち、持続化給付金、休業協力金、特別定額給付金に関するホームページと主な留意点を紹介します。

1.持続化給付金

(1) ホームページ

 持続化給付金は、国が行う支援制度です。その概要は、売上が前年同月比で50%以上減少している等の要件を満たす事業者を対象に、中小法人等の法人は200万円、フリーランスを含む個人事業者は100万円を上限に、現金を給付するというものです。様々な業種、会社以外の法人など、幅広く対象としています。
 持続化給付金については、経済産業省のホームページをご参照ください。

HP 支給額(上限) 受付期間
経済産業省 法人 200万円
個人 100万円
令和2年5月1日~
令和3年1月15日

(2) 留意点

 持続化給付金に関する主な留意点は次のとおりです。

① 持続化給付金の給付対象の要件に、「売上が前年同月比で50%以上減少している事業者」というものがあります。ここでいう売上とは、確定申告書類において事業収入として計上するものであり、不動産収入や給与収入、雑所得等は含みません。したがって、不動産所得のある個人事業者の場合、不動産収入(家賃収入)が50%以上減少しても持続化給付金の支給対象とはなりません

持続化給付金は課税の対象になります。税務上、法人の場合は益金、個人事業者の場合は、総収入金額に算入されます。

③ 持続化給付金は、都道府県の休業協力金や特別定額給付金と併給可能です。

2.休業協力金・休業支援金

(1) ホームページ

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う休業の協力要請等に応じた中小企業・個人事業主を対象とした休業協力金(名称は都道府県によって様々です)が都道府県から支給されます。申請要件や申請方法等の詳細は都道府県によって異なります。
 ここでは近畿2府4県のホームページをご紹介します(2020年(令和2年)5月8日時点)。

HP 支給額 受付期間
大阪府 中小100万円 個人50万円 令和2年4月27日~
令和2年5月31日
兵庫県 中小100万円 個人50万円
※飲食店・旅館は
中小30万円 個人15万円
令和2年4月28日~
令和2年6月30日(予定)
京都府 中小20万円 個人10万円 令和2年5月7日~
令和2年6月15日(予定)
奈良県 中小20万円 個人10万円 令和2年4月28日~
令和2年6月1日
滋賀県 中小20万円 個人10万円 令和2年5月7日~未定
和歌山県 20万円~100万円 未定

(2) 留意点

 休業協力金も持続化給付金と同様に課税の対象になります。休業協力金の税務上の取扱いについて東京都が国に非課税とするように要望したところ、国からは法令に則ると、所得税や法人税の計算上、収入金額や益金に加える必要があるとの回答が示されたようです。
 このことから、東京都以外の自治体が支払う協力金等も同様になるとみられます。

3.特別定額給付金

(1) ホームページ

 特別定額給付金は、基準日(2020年(令和2年)4月27日)において住民基本台帳に記録されている者に一律10万円を給付するというものです。
 実施主体は市区町村になりますが、ここでは総務省の特別定額給付金ポータルサイトをご紹介します。

HP 支給額 受付期間
総務省 1人につき10万円 郵送方式の申請受付開始日から3か月以内
※受付開始日は、居住市区町村ごとに異なります。

(2) 留意点

 特別定額給付金は、持続化給付金や休業協力金と異なり、課税の対象ではありません。したがって、所得税、住民税ともに非課税となります。

新型コロナの影響で家賃を減額しても寄附金にはならない

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う休業の協力要請等に応じた中小企業や個人事業主の中には、賃貸している店舗や事務所等の家賃の支払いに困っているところも少なくないと思います。これらの中小企業・個人事業主から、家賃の減額を求められた場合、家賃の減額に応じる賃貸物件のオーナーもいるようです。
 その際に懸念されるのが、家賃の減額分が法人税法上の寄附金に該当しないかということです。
 この点に関して、国税庁は、コロナウイルスの影響で賃貸物件のオーナーが家賃の減額を行った場合、取引先等の営業継続や雇用確保など復旧支援を目的としているなど一定の条件を満たせば、減額分は寄附金に該当しないとしています。
 今回は、新型コロナウイルスの影響による家賃の減額の税務上の取扱いを確認します。

1.寄附金の何が問題なのか?

 賃貸物件のオーナーである法人が、賃貸借契約を締結している取引先等に対して家賃(賃料)を減額した場合、その家賃を減額したことに合理的な理由がなければ、減額前の家賃と減額後の家賃との差額は、原則として相手方に対して寄附金を支出したものとして税務上取り扱われます。

 例えば、5か月の間、月額10万円の家賃を6万円に減額した場合、会計上は次のように仕訳したとします。

借方 金額 貸方 金額
現金預金 30万円 受取家賃 50万円
雑損失 20万円    

 この雑損失20万円が全額損金算入されれば、会計上の利益も税務上の所得金額も30万円となるため、問題はありません。
 しかし、家賃の減額に合理的な理由がなければ、雑損失20万円は税務上は寄附金として取り扱われます。

 では、寄附金となった場合、何が問題なのでしょうか?

 基本的に一般の寄附金は、以下の計算式が示すように、大部分が経費(損金)になりません。

損金算入限度額={所得金額×(2.5/100)+期末の資本金等の額×(当期の月数/12)×(2.5/1,000)}×1/4

 例えば、資本金を1,000万円とすると、寄附金20万円のうち損金算入できるのは8,125円だけです。そうすると会計上の利益は30万円であるのに対し、税務上の益金は49.1875万円となってしまいます。オーナーの立場で考えると、実際の家賃収入は30万円なのに課税所得が49.1875万円となり、減額前とあまり変わらない法人税を支払うことになります。

2.寄附金に該当しないための条件

 家賃の減額に合理的な理由がない場合は、上記のように減額分は寄附金となりますが、今般の新型コロナウイルスの影響により家賃を減額した場合は、以下の条件を満たせば、実質的には取引先等との取引条件の変更と考えられるとして、その減額分は寄附金には該当しないこととされました。

(1) 取引先等において、新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること

(2) 不動産貸付業者が行う賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること

(3) 賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいう)内に行われたものであること

 また、取引先等に対して既に生じた賃料の減免(債権の免除等)を行う場合についても、同様に取り扱われます。
 なお、賃料の減免を受けた賃借人(事業者)においては、減免相当額の受贈益と既に費用計上した支払賃料が同額となるため、結果として課税所得が生じることはありません。
 ちなみに、賃貸物件のオーナーが法人ではなく個人事業主の場合は、寄附金という論点はなく、家賃収入が減少するだけです。

新型コロナウィルス感染症の影響による納税猶予制度の特例

 関与先様からの新型コロナウイルス感染症に関する税制上の措置についての問い合わせが増えています。中でも、本年(2020年)4月以降は、納税に関する質問が増えていますので、今回は、新たに設けられる納税猶予制度の特例について解説します。
 なお、本特例は、関係法案が国会で成立することが前提となります

※2020年(令和2年)4月30日に 「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律案」が成立・公布・施行されました。

1.納税猶予制度の特例の概要

 新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年(令和2年)2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期比おおむね20%以上減少し、かつ、一時の納税が困難と認められる場合には、申請することにより、無担保かつ延滞税なし1年間納税を猶予することができるようになります。

2.特例の対象者

 以下の2要件をいずれも満たす納税者(個人法人の別、規模は問わず)が対象となります。

(1) 新型コロナウイルスの影響により、2020年(令和2年)2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入※1が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること※2
(2) 一時に納税を行うことが困難であること※3

※1 「事業等に係る収入」とは、法人の収入(売上高)のほか、個人の方の経常的な収入(事業の売上、給与収入、不動産賃料収入等)を指します。
 なお、個人の方の「一時所得」などについては、通常、新型コロナウイルスの影響により減少するものではないと考えられますので、「事業等に係る収入」には含まれません。

※2 前年の月別収入が不明の場合には、以下のような方法により収入減少割合を判断することもできます。
① 年間収入を按分した額(平均収入)と比較
② 事業開始後1年を経過していない場合は令和2年1月までの任意の期間と比較

※3 「一時に納税を行うことが困難」かどうかの判断については、少なくとも向こう半年間(現行は1か月)の事業資金を考慮に入れるなど、納税者の置かれた状況に配慮し適切に対応されるようです。

3.特例の対象となる国税

 2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税等ほぼすべての税目(印紙で納めるもの等を除く) が対象になります。
 これらのうち、既に納期限が過ぎている未納の国税(他の猶予を受けているものを含む)についても、遡ってこの特例を利用することができます※4

※4 「遡って特例を利用する」とは、例えば未納の国税について、延滞税がかかる他の猶予を受けている納税者は、特例に切り替えることにより、はじめから延滞税がないものとして猶予を受けることができるということです。
 この場合、既に延滞税を納付済みの納税者は、その還付を受けることができます。

4.特例の申請方法等

 関係法令の施行から2か月後、又は、納期限(申告納付期限が延長された場合 は延長後の期限)のいずれか遅い日までに申請が必要です。
 「納税の猶予申請書」のほか、収入や現預金の状況が分かる資料を提出することになりますが、これらの提出が難しい場合は、税務署職員が口頭により聴取することとなっています。
 なお、「納税の猶予申請書」の様式記載方法については、国税庁ホームページを参照してください。

5.特例の留意点

 納税猶予制度の特例の上記1~4以外の留意点は次のとおりです。

(1) 対象期間の損益が黒字の場合でも、収入減少などの2要件を満たせば特例を利用できます。

(2) フリーランスの方を含む事業所得者は、収入減少などの2要件を満たせば特例の対象になります。

(3) パートやアルバイトの方を含む給与所得者のうち、確定申告により納税をされる方は、収入減少などの2要件を満たせば特例の対象になります。

(4) 白色申告の場合も、収入減少などの2要件を満たせば特例の対象になります。

(5) 特例の2要件を満たさない場合でも、一般の猶予制度※5を利用できる場合があります(通常、 年1.6%の延滞税がかかります)。

(6) 猶予期間終了後は、一括して納付しなければならないということではありません。特例の適用期間が終了した後に、一般の猶予制度※5により分割納付をすることもできま す。

※5 一般の猶予制度(現行の猶予制度)については、本ブログ記事「国税の納税猶予制度」を参照してください。

国税の納税猶予制度

 関与先様からの新型コロナウイルス感染症に関する税制上の措置についての問い合わせが増えています。中でも、本年(2020年)4月以降は、納税に関する質問が増えていますので、今回は、従来からある現行の国税の納税猶予制度について解説します。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、新たに設けられる納税猶予制度の特例については、次回解説します。

1.現行の納税猶予制度の概要

 新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時に納付することができない場合には、所轄の税務署に申請して法令の要件を満たせば、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予(国税徴収法第151条の2)が認められます。
 また、新型コロナウイルス感染症にり患した場合等、個別の事情がある場合は、納税の猶予(国税通則法第46条)が認められる場合もあります。

2.現行の納税猶予制度の要件等

(1) 換価の猶予の要件(国税徴収法第151条の2)

 次の要件のすべてに該当する場合は、現行の納税猶予制度の適用を受けることができます。

① 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること

② 納税について誠実な意思を有すると認められること

③ 猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと

④ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること

注1) 担保の提供が明らかに可能な場合を除いて、担保は不要となります。
注2)2019年分(令和元年分)の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の確定申告は、延長された期限(2020年(令和2年)4月 16 日)が納期限となります。
注3)既に滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、税務署長の職権による換価の猶予(国税徴収法第 151 条)が受けられる場合もあります。

(2) 換価の猶予の効果(国税徴収法第151条の2)

 申請が認められると、次のように猶予を受けることができます。

① 原則として1年間猶予が認められます(期間中、資力に応じて分割納付。 状況に応じて更に1年間猶予される場合があります)。

② 猶予期間中の延滞税が軽減されます(通常:8.9%/年→猶予期間中 1.6%/ 年)。

③ 財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。

 更に個別の事情に該当する場合は、次の猶予制度(国税通則法第46条)を活用することもできます。

(3) 納税の猶予の要件(国税通則法第46条)

 新型コロナウイルス感染症に関連して以下のような個別の事情に該当する場合は、納税の猶予が認められることがあります。

① 災害により財産に相当な損失が生じた場合
 新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した場合

② 本人又は家族が病気にかかった場合
 納税者本人又は生計を同じにする家族が病気にかかった場合、国税を一時に納付できない額のうち、医療費や治療等に付随する費用

③ 事業を廃止し、又は休止した場合
 納税者が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額

④ 事業に著しい損失を受けた場合
 納税者が営む事業について、利益の減少等により著しい損失を受けた場合、国税 を一時に納付できない額のうち、受けた損失額に相当する金額

注)ケースにより申請に必要な書類等が異なりますので、税務署(徴収担当)に事前に相談してください。

(4) 納税の猶予の効果(国税通則法第46条)

 申請が認められると、次のように猶予を受けることができます。

① 原則として1年間猶予が認められます(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります)。

② 猶予期間中の延滞税が軽減又は免除されます。

③ 財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。

(5) 猶予申請書

 換価の猶予と納税の猶予に関する申請書様式及び記載要領等については、国税庁ホームページを参照してください。

新型コロナウイルス感染症の影響により法人の申告・納付期限も延長されます

 新型コロナウイルス感染症の影響により、個人の確定申告・納付期限が延長されましたが、法人についても同様の措置が講じられています。
 国税庁ホームページでは、以下の「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ」が公表されています。

1.どのような場合に個別延長が認められるか?

 新型コロナウイルス感染症の影響により、法人がその期限までに申告・納付ができな いやむを得ない理由がある場合には、下記4の手続きをとることにより期限の個別延長が認 められます。

 このやむを得ない理由については、例えば、次のような方々がいることにより、通常の業務体制が維持できないこと、事業活動を縮小せざるを得ないこと、取引先や関係会社においても感染症による影響が生じていることなどにより決算作業が間に合わず、 期限までに申告が困難なケースが該当します。

(1) 新型コロナウイ ルス感染症に感染した法人の役員や従業員等がいること
(2) 体調不良により外出を控えている方がいること
(3) 平日の在宅勤務を要請している自治体に住んでいる方がいること
(4) 感染拡大防止のため企業の勧奨により在宅勤務等をしている方がいること
(5) 感染拡大防止のため外出を控えている方がいること

2.個別延長の場合の申告・納付期限はいつか?

 新型コロナウイルス感染症の影響により、期限内に申告・納付することが困難な法人 については、申告・納付ができないやむを得ない理由がやんだ日から2か月以内の日を 指定して申告・納付期限が延長されます。
 この場合、法人の申告書等を作成・提出することが可能となった時点で申告を行 うことになりますので、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となります

※会計事務所としては、関与先に申告前に納付書をお渡しして、納付が完了してから申告をすることになります。

3.申請や届出など申告以外の手続きも個別延長の対象となるか?

 法人税や消費税、源泉所得税に係る各種申請や届出など、申告以外の手続きについて も、新型コロナウイルス感染症の影響により提出が困難な場合は、個別に期限延長の 取扱いがあります

4.個別延長する場合はどのような手続きが必要となるか?

 別途、申請書等を提出する必要はなく、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記します。
 源泉所得税においては、納付を行う際に納付書(所得税徴収高計算書)の摘要欄に「新型コロナウイルスに よる納付期限延長申請」である旨を付記します。

 具体的な記載方法については、国税庁ホームページ「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ」を参照してください。

オープンイノベーション促進税制

 自社にないハイテクノロジーやビジネスモデルを持つベンチャー企業と提携し、相乗効果を高め、より利益の源泉となるイノベーションを起こしやすくするようにするオープンイノベーション促進税制が創設されました。
 既存企業が従前の閉鎖的でコストの高い自己開発にこだわることなく、自社の持つ技術等とベンチャー企業が持つ技術やノウハウを組み合わせ、新分野に進出するなど事業構造を転換できる見通しがついていることが条件となります。

1.概要

 青色申告書を提出する法人で特定事業活動を行うもの(以下「対象法人」といいます)が、2020年(令和2年)4月1日から2022年(令和4年)3月31日までの間に、設立10年未満の非上場ベンチャー企業などに出資(大企業は1億円以上、中小企業は1,000万円以上の出資が対象。海外のベンチャー企業への出資は5億円以上が対象。)することにより特定株式を取得し、かつ、これをその取得した日を含む事業年度末までに有している場合において、その特定株式の取得価額の25%以下の金額を特別勘定の金額として経理したときは、その事業年度の所得の金額を上限として、その経理した金額の合計額を損金算入できるというものです。

2.適用要件

(1) 出資を行う事業会社の要件

① 国内事業会社又は国内事業会社によるCVC

※「CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)」とは、事業会社又はその子会社が運営し、持分の過半数以上を所有するファンドなどのことです。

② 1件当たり1億円以上の大規模出資(中小企業が出資する場合は1,000万円以上。海外ベンチャー企業への出資は5億円以上。)

③ 5年間の株式保有

④ 1年間の出資案件に関して、「各出資が事業会社、ベンチャー企業双方の事業革新に有効であり、制度を濫用するものでないこと」を、決算期にまとめて経済産業省に報告すること

(2) 出資を受けるベンチャー企業の要件

① 新規性・成長性のある設立10年未満の非上場ベンチャー企業(新設企業は対象外)

② 出資を行う事業会社又は他の企業グループに属さないベンチャー企業

3.出資から5年以内に株式を手放した場合

 出資した事業会社が出資から5年以内に株式を手放した場合は、優遇税制の適用によって受けた税優遇分を国に返還する措置が盛り込まれています。これは企業が税優遇を得ることだけを目的に出資するのを防ぐためです。

4.特別勘定の取崩し

(1) 特別勘定の取崩し事由

 特別勘定の金額は、次に掲げる特定株式の譲渡その他の取崩し事由に該当することとなった場合には、その事由に応じた金額を取崩して益金算入します。ただし、その特定株式の取得から5年を経過した場合は、この限りではありません。

① 特定株式につき経済産業大臣の証明が取り消された場合

② 特定株式の全部又は一部を有しなくなった場合

③ 特定株式につき配当を受けた場合

④ 特定株式の帳簿価額を減額した場合

⑤ 特定株式を組合財産とする投資事業有限責任組合等の出資額割合の変更があった場合

⑥ 特定株式に係る特別新事業開拓事業者が解散した場合

⑦ 対象法人が解散した場合

⑧ 特別勘定の金額を任意に取り崩した場合

(2) 特別勘定の経理処理

 例えば、出資額(特定株式の取得価額)が1億円の場合は、所得金額からの控除額は1億円×25%=2,500万円となりますが、これを仕訳で表すと次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
特別勘定繰入額 2,500万円 特別勘定 2,500万円

 また、特定株式を売却したなどの取崩し事由に該当した場合の仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
特別勘定 2,500万円 特別勘定取崩益 2,500万円

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の概要

 2020年(令和2年)4月7日、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)」が閣議決定されました。
 本特例の実施については、関係法案が国会で成立すること等が前提となります。

※2020年(令和2年)4月30日に 「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律案」が成立・公布・施行されました。

1.新型コロナウイルス感染拡大に伴う納税猶予の特例

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置に起因して多くの事業者の収入が急減している現下の状況を踏まえて、無担保かつ延滞税なしで1年間、納税を猶予する特例が設けられます。
 この特例は、2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までに納期限が到来する国税について適用されます。その際、施行日前に納期限が到来している国税についても遡及して適用することができるとされています。

2.欠損金の繰戻しによる還付の特例

 資本金1億円超10億円以下の法人も青色欠損金の繰戻し還付が受けられる特例が設けられます。
 2020年(令和2年)2月1日から2022年(令和4年)1月31日までの間に終了する各事業年度に生じた欠損金額について適用されます。ただし、大規模法人の100%子会社などは除かれます。

3.テレワーク等のための中小企業の設備投資税制

 中小企業経営強化税制の特定経営力向上設備等の対象に、テレワーク等のための設備投資に係る新たな類型としてデジタル化設備が追加されます。
 要件は遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備で、機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウエアが対象設備です。

4.中止等されたイベントに係る入場料等の払戻請求権を放棄した者への寄附金控除の適用

 政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツに係る一定のイベント等を中止等した主催者に対し、観客等が入場料等の払戻請求権を放棄した場合には、当該放棄した金額(上限20万円)について、所得税における寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象とされます。

5.住宅ローン控除の適用要件の弾力化

 新型コロナウイルス感染症の影響による住宅建設の遅延等によって住宅への入居が遅れた場合でも、期限内に入居したのと同様の住宅ローン控除を受けることができるに適用要件が弾力化されます。

6.消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例

 新型コロナウイルス感染症の影響で2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までの期間のうち、任意の期間(1か月以上)の収入が前年同期比おおむね50%以上減少した事業者が、申告期限までに申請書を提出し、税務署長の承認を受けた場合は、課税期間開始後でも消費税の課税事業者を選択又はやめることができる特例が設けられます。
 この特例で課税事業者を選択した課税期間の翌課税期間において、課税事業者の選択をやめることも可能です。

7.特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税

 公的貸付機関等又は銀行等の金融機関が、新型コロナウイルス感染症の発生により、その経営に影響を受けた事業者に対して行う金銭の特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書のうち、2021年(令和3年)1月31日までに作成されるものについては、印紙税を課さないこととされます。
 ここでいう特別貸付けとは、当該機関が行う他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行うものをいいます。
 また、施行日の前日までに作成されたものにつき印紙税が納付されている場合には、当該納付された印紙税については、過誤納金とみなして還付されます。

8.中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための措置に起因して、厳しい経営環境にある中小事業者等に対して、2021年度(令和3年度)課税の1年分に限り、償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の負担が2分の1又はゼロとされます。
 原則として業種は限定されず、2021年(令和3年)1月31日までに認定経営革新等支援機関等の認定を受けて各市町村に申告した場合に適用されます。
 なお、この措置による固定資産税及び都市計画税の減収額については、全額国費で補填されます。

大法人の電子申告(e-Tax)が義務化されます

1.書面により提出した申告書は無効

 2018年度(平成30年度)税制改正により「電子情報処理組織による申告の特例」が創設され、2020年(令和2年)4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から、内国法人のうち事業年度開始時の資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人等は、電子申告(e-Tax)による申告書の提出が義務化されました。

 義務化の対象法人が電子申告により法定申告期限までに申告書を提出せず、書面により提出した場合は、その申告書は無効なものとして取り扱われ、無申告加算税の対象となります。
 また、2期連続で法定申告期限内に申告がない場合は、青色申告の承認の取消対象にもなりますので注意が必要です。

2.電子申告の義務化の概要

 電子申告の義務化の対象となる税目、法人の範囲、手続等は以下のとおりです。

(1) 対象税目

法人税及び地方法人税並びに消費税及び地方消費税
※地方税の法人住民税、法人事業税も対象です

(2) 対象法人の範囲

① 法人税及び地方法人税
 イ.内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
 ロ.相互会社、投資法人及び特定目的会社
② 消費税及び地方消費税
 ①に掲げる法人に加え、国及び地方公共団体

(3) 対象手続

確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書

(4) 対象書類

申告書及び申告書に添付すべきものとされている書類の全て

3.e-Taxによる申告の特例に係る届出書

 電子申告の義務化の開始に当たり、2020年(令和2年)4月1日以後、義務化対象法人はすべて所轄税務署長に「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を提出しなければなりません。
※「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」の様式は国税庁ホームページを参照

 届出書を提出する時期は、次のとおりです。
(1) 2020年(令和2年)3月31日以前に設立された法人で2020年(令和2年)4月1日以後最初に開始する事業年度(課税期間)に対象法人となる場合は同事業年度(課税期間)開始の日以後1か月以内
(2) 2020年(令和2年)4月1日以後に増資により対象法人となる場合は資本金の額又は出資金の額が1億円超となった日から1か月以内
(3) 2020年(令和2年)4月1日以後に設立された法人で設立後最初の事業年度から対象法人となる場合は設立の日から2か月以内
(4) 2020年(令和2年)4月1日以後に対象法人であって消費税の免税事業者から課税事業者となる場合は課税事業者となる課税期間開始の日から1か月以内

4.e-Taxによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書

 一方、減資等により資本金の額又は出資金の額が1億円以下となった場合等により義務化対象法人でなくなった場合には、所轄税務署長に対し、速やかに「e-Taxによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書」を提出します。
※「e-Taxによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書」の様式は国税庁ホームページを参照

5.例外的に書面申告が認められる場合

 電子申告義務化後において、電気通信回線の故障、災害その他の理由によって、e-Taxにより法定申告期限までに申告書を提出することが困難な場合には、所轄税務署長の承認を得た上で、書面により提出することで、例外的に申告義務が履行されたものとみなされ、その書面による申告書は有効なものとして取り扱われます。

 当該承認を得るためには、事前に「e-Taxによる申告が困難である場合の特例の申請書(取りやめの届出書)」及びe-Taxを使用することが困難であることを明らかにする書類を所轄税務署長に提出する必要があります。
※「e-Taxによる申告が困難である場合の特例の申請書(取りやめの届出書)」の様式は国税庁ホームページを参照