法人向け節税保険の改正後の経理処理

1.改正案の概要

 国税庁は2019年(平成31年)4月11日、法人向けの節税保険に対応した法人税基本通達の改正案を公表しました。

 改正案では、ピーク時解約返戻率(最高解約返戻率)が50%以下の定期保険等に係る支払保険料については、契約年齢や保険期間の長さによらず全額損金算入が可能です。
 一方、ピーク時解約返戻率が50%超の定期保険等に係る支払保険料については、ピーク時解約返戻率に応じた一定の金額を資産計上し、残額を損金算入することになります。

ピーク時解約返戻率 資産計上期間 資産計上額(残額は損金)
50%以下 なし 全額損金算入
50%超70%以下 保険期間の前半4割相当の期間 支払保険料の4割
70%超85%以下 支払保険料の6割
85%超 保険期間からピーク時解約返戻率となる期間等の終了日 支払保険料×ピーク時解約返戻率の7割(保険期間開始日から10年経過日までの期間は9割)

 今回は、改正案に基づく支払保険料の経理処理を、具体的な数値を用いて確認していきます。

2.ピーク時解約返戻率に応じた経理処理

(1) ピーク時解約返戻率が50%超70%以下の場合

① 経理処理の概要
・資産計上期間(保険期間の前半4割)は支払保険料の4割資産計上6割損金算入
・資産取崩期間(保険期間の7.5割経過後)は資産計上額を取崩し
・資産計上期間と資産取崩期間の間の期間(保険期間の3.5割)は全額損金算入
 ただし、被保険者1人当たりの年換算保険料相当額(保険期間中の支払保険料総額÷保険期間の年数)が20万円以下(複数の定期保険等に加入の場合は合計額)であれば、全期間を通じて全額損金算入します。
※改正案(パブリックコメント原案)では、上記のように被保険者1人当たりの年換算保険料相当額が20万円以下とされていましたが、2019年(令和元年)6月28日に国税庁ホームページで公表された「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」では30万円以下とされました。

4割期間 3.5割期間 2.5割期間
4割資産6割損金 全額損金 全額損金+資産取崩

② 経理処理
 例えば、40歳契約・100歳満期・年払保険料100万円・ピーク時解約返戻率70%の場合の仕訳は次のとおりです。

イ.資産計上期間(4割期間):40歳~64歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 60万円 現金預金 100万円
前払保険料 40万円    

ロ.イとハの間の期間(3.5割期間):65歳~85歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 100万円 現金預金 100万円

ハ.資産取崩期間(2.5割期間):86歳~100歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 164万円 現金預金 100万円
    前払保険料 64万円

(2) ピーク時解約返戻率が70%超85%以下の場合

① 経理処理の概要
・資産計上期間(保険期間の前半4割)は支払保険料の6割資産計上4割損金算入
・資産取崩期間(保険期間の7.5割経過後)は資産計上額を取崩し
・資産計上期間と資産取崩期間の間の期間(保険期間の3.5割)は全額損金算入

4割期間 3.5割期間 2.5割期間
6割資産4割損金 全額損金 全額損金+資産取崩

② 経理処理
 例えば、40歳契約・100歳満期・年払保険料100万円・ピーク時解約返戻率85%の場合の仕訳は次のとおりです。

イ.資産計上期間(4割期間):40歳~64歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 40万円 現金預金 100万円
前払保険料 60万円    

ロ.イとハの間の期間(3.5割期間):65歳~85歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 100万円 現金預金 100万円

ハ.資産取崩期間(2.5割期間):86歳~100歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 196万円 現金預金 100万円
    前払保険料 96万円

(3) ピーク時解約返戻率が85%超の場合

① 経理処理の概要
・資産計上期間は、保険期間の当初10年間は支払保険料の「ピーク時解約返戻率×9割」、それ以降(※)は支払保険料の「ピーク時解約返戻率×7割」を資産計上
・解約返戻金額が最も高くなる時期(返戻金額ピーク)から資産計上額を取崩し
・資産計上期間と資産取崩期間の間の期間は全額損金算入
(※)「それ以降」の期間とは、10年経過後、「解約返戻率ピーク」又は「年間の解約払戻金の増加額が年換算保険料相当額に対して70%以下になるまで」のいずれか遅い方までの期間です。

当初10年間 それ以降 間の期間 取崩期間
「ピーク時解約返戻率×9割」を資産計上

ピーク時解約返戻率×7割」を資産計上

全額損金 全額損金+資産取崩

② 経理処理
 例えば、40歳契約・100歳満期・年払保険料100万円・ピーク時解約返戻率90%の場合の仕訳は次のとおりです。

イ.資産計上期間(当初10年間):40歳~50歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 19万円 現金預金 100万円
前払保険料 81万円    

ロ.資産計上期間(それ以降):51歳~72歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 37万円 現金預金 100万円
前払保険料 63万円    

ハ.間の期間(返戻金額ピークまで):73歳~91歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 100万円 現金預金 100万円

ニ.資産取崩期間:92歳~100歳

借方 金額 貸方 金額
支払保険料 344万円 現金預金 100万円
    前払保険料 244万円

※資産計上期間(それ以降)の考え方

経過年数 支払総保険料 解約返戻金 解約返戻率 解約返戻金の増加率
1年 100万円 66.4万円 66.4%  
2年 200万円 158.8万円 79.4% 92.4%
24年 2,400万円 2,272.8万円 94.7% 96.7%
25年 2,500万円 2,369.1万円 94.8% 96.3%
26年 2,600万円 2,447万円 94.1% 77.9%
27年 2,700万円 2,523.6万円 93.5% 76.6%
28年 2,800万円 2,599.4万円 92.8% 75.8%
29年 2,900万円 2,674.4万円 92.2% 75.0%
30年 3,000万円 2,748万円 91.6% 73.6%
31年 3,100万円 2,820万円 91.0% 72.0%
32年 3,200万円 2,891.1万円 90.3% 71.1%
33年 3,300万円 2,960.1万円 89.7% 69.0%
34年 3,400万円 3,026.9万円 89.0% 66.8%
…   
59年 5,900万円 1,781.8万円 30.2% -901.8%
60年 6,000万円 0 0.0% -1781.8

経過年数25年で解約返戻率のピーク(94.8%)を迎える。
経過年数33年で年間の解約返戻金の増加額が年換算保険料相当額に対して70%以下になる((2,960.1万円-2,891.1万円)÷100万円=69.0%)。
25年と33年のいずれか遅い方は33年なので、72歳まで支払保険料の一部を資産計上する。

法人向け節税保険の改正後の税務取扱い

1.改正の背景

 国税庁は、2019年(平成31年)4月11日に「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)等の一部改正案の意見募集(パブリックコメント)を開始しました(意見募集の受付締切日は同年5月10日)。

 これまで法人が支払う定期保険等の保険料については、定期保険について規定した法人税基本通達に加えて、商品グループ(長期平準定期保険、逓増定期保険、がん保険などのいわゆる第三分野保険)ごとの個別通達で税務取扱いが規定されてきました。

 しかし、保険会社各社の商品設計の多様化や長寿命化などにより、商品の実態と税務取扱いのルールが乖離してきていることから、商品の実態に合わせてピーク時解約返戻率(最高解約返戻率)に基づくルールを策定することになりました。

 また、商品グループごとの税務取扱いが規定されている個別通達を廃止し、単一的な資産計上ルールが新設されることになりました。

 今回の改正が行われる背景として、保険料に含まれる前払部分の割合が挙げられます。
 保険期間が長期にわたる定期保険や保険期間中に保険金額が逓増する定期保険は、その保険期間の前半において支払う保険料の中に相当多額の前払部分の保険料が含まれており、中途解約すると、その前払部分の保険料の多くが返戻されます。
 このような商品の実態に合わせてピーク時解約返戻率に応じて保険料の損金算入を制限しないと、課税所得の適正な期間計算が損なわれるからです。

2.改正の概要

(1) 対象となる保険商品

 以下に該当する保険商品は、今回の改正の対象となります。

① 契約形態:法人契約(被保険者は役員又は従業員)、個人事業主契約(被保険者は従業員)
② 保険期間:3年以上
③ 保険種類:定期保険、第三分野保険
※ 支払保険料が給与とならないもの(受取人が法人の契約など)

(2) ピーク時解約返戻率に応じた取扱い

 現行の個別通達は、保険期間や被保険者の加入年齢に着目して支払保険料の一部を資産計上する仕組である一方、新設の基本通達は、ピーク時解約返戻率に着目して資産計上する仕組となっています。

 ピーク時解約返戻率に基づいて資産計上する理由について、国税庁は次のように説明しています。

 「支払保険料に含まれる前払部分の保険料の額は、保険契約者には通知されず、把握できないことから、その金額を資産計上することは極めて困難となります。そこで、保険契約者が把握可能な指標で、前払部分の保険料の累積額に近似する解約返戻金に着目し、解約返戻率(保険契約時において契約者に示された解約返戻金相当額について、それを受けることとなるまでの間に支払うこととなる保険料の額の合計額で除した割合をいいます。)に基づいて資産計上すべき金額を算定することが、客観的かつ合理的と考えられます。また、毎年の解約返戻率の変動に伴い資産計上割合を変動させることは煩雑であり、その平均値などを求めることも困難であることから、特定可能な最高解約返戻率を用いて資産計上割合を設定するのが計算の簡便性の観点から相当です。」

 具体的な保険料の取扱いは、ピーク時解約返戻率が50%以下の場合は全額損金算入となり、50%超(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる)の場合は、「50%超85%以下」と「85%超」でその取扱いが異なります(下表参照)。

ピーク時解約返戻率 資産計上期間 資産計上額(残額は損金)
50%以下 なし 全額損金算入
50%超70%以下 保険期間の前半4割相当の期間 支払保険料の4割
70%超85%以下 支払保険料の6割
85%超 保険期間開始日からピーク時解約返戻率となる期間等の終了日 支払保険料×ピーク時解約返戻率の7割(保険期間開始日から10年経過日までの期間は9割)

(3) 既存契約分への遡及適用はない

 適用時期については、改正案で「2019年●月●日(改正通達の発遣日)以後の契約に係る定期保険等の保険料について適用される」ことが示されており、同日前の既存契約分への遡及適用はないようです。

※改正後の具体的な経理処理については、本ブログ記事「法人向け節税保険の改正後の経理処理」を参照してください。

配偶者控除が適用される給与収入限度額が150万円に引き上げられた?

 2017年度(平成29年度)税制改正で、就業調整を意識せずにすむような環境づくりを目指して、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われました。この改正は、2018年分(平成30年分)の所得税から適用されます。

1.給与収入限度額はあくまでも103万円

 配偶者控除の改正点は、配偶者控除を受けることができる納税者本人に所得制限が設けられたという点のみであり、当時の一部報道等に見受けられた「配偶者控除の適用を受けられる給与収入限度額が150万円に引き上げられた」とされる点は、配偶者特別控除においての改正点です。
 つまり、配偶者控除の適用を受けられる配偶者の給与収入限度額はあくまでも103万円以下であり、38万円の配偶者特別控除が適用される給与収入限度額が150万円以下に引き上げられたものです(ただし、納税者本人の給与収入が1,120万円以下であることが必要です)。

 以下で、配偶者控除と配偶者特別控除の改正点について述べていきます。

2.配偶者控除の改正点

 配偶者控除の額は、改正前は配偶者控除の適用を受ける納税者本人の所得の多寡にかかわらず38万円でしたが、改正後は納税者本人の合計所得金額に応じ、次のようになりました。

(1) 納税者の合計所得金額が900万円以下・・・控除対象配偶者38万円、老人控除対象配偶者48万円
(2) 納税者の合計所得金額が900万円超950万円以下・・・控除対象配偶者26万円、老人控除対象配偶者32万円
(3) 納税者の合計所得金額が950万円超1,000万円以下・・・控除対象配偶者13万円、老人控除対象配偶者16万円
(4) 納税者の合計所得金額が1,000万円超・・・適用なし

 なお、合計所得金額900万円は給与収入では1,120万円に、950万円は1,170万円に、1,000万円は1,220万円になります。
 また、この改正により、納税者と生計を一にする配偶者で合計所得金額が38万円以下の配偶者は「同一生計配偶者」と定義され、同一生計配偶者のうち合計所得金額が1,000万円以下である納税者の配偶者は「控除対象配偶者」と定義されました。

3.配偶者特別控除の改正点

 2017年度(平成29年度)税制改正で、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額の範囲が38万円超(給与収入で103万円超)から123万円以下(給与収入で201万円以下)とされ、配偶者特別控除額を納税者及び配偶者の合計所得金額に応じて、次のとおりとされました。

(1) 納税者の合計所得金額が900万円以下
① 配偶者の合計所得金額が38万円超85万円以下・・・38万円
② 配偶者の合計所得金額が85万円超90万円以下・・・36万円
③ 配偶者の合計所得金額が90万円超95万円以下・・・31万円
④ 配偶者の合計所得金額が95万円超100万円以下・・・26万円
⑤ 配偶者の合計所得金額が100万円超105万円以下・・・21万円
⑥ 配偶者の合計所得金額が105万円超110万円以下・・・16万円
⑦ 配偶者の合計所得金額が110万円超115万円以下・・・11万円
⑧ 配偶者の合計所得金額が115万円超120万円以下・・・6万円
⑨ 配偶者の合計所得金額が120万円超123万円以下・・・3万円
⑩ 配偶者の合計所得金額が123万円超・・・適用なし

(2) 納税者の合計所得金額が900万円超950万円以下
① 配偶者の合計所得金額が38万円超85万円以下・・・26万円
② 配偶者の合計所得金額が85万円超90万円以下・・・24万円
③ 配偶者の合計所得金額が90万円超95万円以下・・・21万円
④ 配偶者の合計所得金額が95万円超100万円以下・・・18万円
⑤ 配偶者の合計所得金額が100万円超105万円以下・・・14万円
⑥ 配偶者の合計所得金額が105万円超110万円以下・・・11万円
⑦ 配偶者の合計所得金額が110万円超115万円以下・・・8万円
⑧ 配偶者の合計所得金額が115万円超120万円以下・・・4万円
⑨ 配偶者の合計所得金額が120万円超123万円以下・・・2万円
⑩ 配偶者の合計所得金額が123万円超・・・適用なし

(3) 納税者の合計所得金額が950万円超1,000万円以下
① 配偶者の合計所得金額が38万円超85万円以下・・・13万円
② 配偶者の合計所得金額が85万円超90万円以下・・・12万円
③ 配偶者の合計所得金額が90万円超95万円以下・・・11万円
④ 配偶者の合計所得金額が95万円超100万円以下・・・9万円
⑤ 配偶者の合計所得金額が100万円超105万円以下・・・7万円
⑥ 配偶者の合計所得金額が105万円超110万円以下・・・6万円
⑦ 配偶者の合計所得金額が110万円超115万円以下・・・4万円
⑧ 配偶者の合計所得金額が115万円超120万円以下・・・2万円
⑨ 配偶者の合計所得金額が120万円超123万円以下・・・1万円
⑩ 配偶者の合計所得金額が123万円超・・・適用なし

 なお、合計所得金額900万円は給与収入では1,120万円に、950万円は1,170万円に、1,000万円は1,220万円になります。

ふるさと納税制度の見直し

1.寄附金控除の概要

 個人が国や地方公共団体、公益社団法・公益財団法人などに「特定寄附金」を支払った場合には、寄附金控除として所得から控除することができます。

 特定寄附金とは、以下のものをいいます。

(1) 国、地方公共団体に対する寄附金
(2) 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金のうち財務大臣が指定したもの
(3) 特定公益増進法人に対する寄附金
(4) 特定公益信託に支出した金銭
(5) 政治活動に関する寄附金
(6) 認定特定非営利活動法人(いわゆる認定NPO法人)に対する寄附金
(7) 特定新規株式を払込みにより取得した場合の取得金額(1,000万円が限度)

 なお、上記(3)のうち公益社団法人・公益財団法人、私立学校法人(学校の設置等を主たる目的とする法人)、社会福祉法人、更正保護法人に対するもの、(5)のうち政党、政治資金団体に対するもの、(6)については、寄附金控除(所得控除)に代えて税額控除を選択することができます。

 寄附金控除額は、次の算式で計算します。

(1) 寄附金の金額-2,000円
(2) 総所得金額等×40%-2,000円
(3) 寄附金控除額((1)と(2)の金額のいずれか少ない方の金額)

 上記算式の総所得金額等とは、純損失、雑損失、その他の各種損失の繰越控除後の申告書第一表の所得の合計額、申告書第三表の株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等の配当所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、土地等の譲渡所得の金額(特別控除前)、退職所得の金額、山林所得の金額を合計した金額をいいます(参考記事:「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」)。 

2.ふるさと納税の概要

 ふるさと納税制度は、上記1.(1)の特定寄付金のうち自分の選んだ自治体(都道府県・市区町村)、自分の住所地の都道府県共同募金会、自分の住所地の日本赤十字社支部などに対する寄附金で、所得税の寄附金控除(所得控除)と住民税の税額控除(住民税所得割額の20%相当額を限度)の両方を受けることができる制度です。
 寄附金のうち、2,000円を超える部分について、一定限度額まで所得税と住民税から原則として全額が控除されます。
 2,000円を除く全額が控除できる寄附金の限度額(ふるさと納税限度額)については、ふるさと納税に関する各種サイトでシミュレーションすることができます。

 なお、確定申告が不要の給与所得者でふるさと納税先が5団体以内の場合は、「ふるさと納税ワンストップ特例」を選択することにより、確定申告をしなくても住民税の税額控除を受けることができます。

3.ふるさと納税ワンストップ特例の注意点

 2015年(平成27年)4月1日以後に都道府県・市区町村に対して寄附金を支払った場合は、ワンストップで住民税の税額控除を受けられる特例制度が適用可能となりました。
 適用対象者と適用要件、注意点は次のとおりです。

(1) 適用対象者(次のいずれにも該当)
① 寄附金を支出する年の所得税の確定申告義務がない者又は申告不要制度の適用を受ける者
② 住民税の寄附金税額控除を受ける目的以外に申告書の提出を要しない者

(2) 適用要件
① 地方団体に対する寄附が年間5以下であること
② 寄附の都度、ワンストップ特例申請書を地方団体に提出すること

(3) 注意点
① 同一年に同一の地方団体に複数回寄附をするときで寄附の都度申請を行う場合の地方団体のカウント数は1となります。
② 提出済の申請書の内容に変更があった場合(住所、氏名等の変更等)は、翌年1月10日までに寄附先の地方団体に変更届出書を提出します。

4.ふるさと納税制度の見直し

 2019年度(平成31年度)改正では、ふるさと納税制度の健全な発展に向けて、一定のルールの中で地方公共団体が創意工夫することにより全国各地の地域活性化に繋げるため、過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることができるように制度が見直されました。

 今後は、総務相が地方財政審議会の意見を聴いた上で、次の基準に適合する地方公共団体をふるさと納税の対象として指定されます。

(1) 寄附金の募集を適正に実施する地方公共団体
(2) ((1) の地方公共団体で)返礼品を送付する場合には、返戻割合が3割以下で地場産品とする地方公共団体

 なお、制度の見直しは、2019年(令和元年)6月1日以後に支出される寄附金について適用されます。指定対象外の団体に対して同日以後に支出された寄附金については、特例控除の対象外となりますのでご注意ください。

※ 新制度の対象として指定されなかった大阪府泉佐野市、静岡県小山(おやま)町、和歌山県高野(こうや)町、佐賀県みやき町の4つの市町と、新制度利用を申し込まなかった東京都に寄付しても税制の優遇はなくなります。
(2019年(令和元年)5月14日更新)

※ 2020年(令和2年)6月30日最高裁第三小法廷判決(泉佐野市の逆転勝訴)を受けて、総務省は指定から除外していた大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町を指定してふるさと納税の特例控除の対象としました。
(2020年(令和2年)7月4日更新)

改元で気づいた源泉所得税納付書の書き方

1.新元号と源泉所得税納付書の書き方

 2019年(平成31年)4月1日に、5月1日以降の新元号「令和」が発表されました。この改元に伴い、「平成」が印字された源泉所得税の納付書の記載のしかたが国税庁ホームページで公表されました。

 公表された「改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた(リーフレット)」によると、改元後においても「平成」が印字された源泉所得税納付書は使用できるようです。
 新元号が印字された納付書は、税務署で本年 10月以降に順次配布予定とのことですので、それまでの間は現在手元にある「平成」が印字された納付書を使用することになります(10月以降も「平成」が印字された納付書の使用は可能です)。

 「平成」が印字された納付書の記載にあたっては、以下の点に注意しなければなりません。

(1) 現在手元にある納付書に印字されている「平成」の二重線による抹消や新元号の「令和」の追加記載などにより補正をする必要はありません。

(2) 2019年(平成 31 年)4月1日から2020年(令和2年)3月末日の間に納付する場合、納付書左上「年度欄」は「31」と記載します。

 上記2点について、リーフレットでは【「平成」が印字された納付書の記載にあたってのお願い】となっていますが、(1)はしてはいけないこと、(2)はしなければならないこと、と認識しておく必要があります。 

 (1)については、補正をすると数字の読み取りが難しくなることもあるため、それを避けるための措置だと思われます。
 (2)については、例えば2019年(令和元年)5月10日に納付する場合でも「年度欄」には「31」と記載し、「01」と記載してはいけないということです(税務署側の管理上の都合でしょうか?)。
 「平成」が印字された納付書の具体的な記入方法については上記リーフレットに載っていますので、そちらを参照してください。 

2.ずっと間違っていた源泉所得税納付書の書き方

 納付書の書き方をリーフレットで確認していて、気づいたことがありました。リーフレットには、2020年(令和2年)3月10日に2月支給給与の源泉所得税を納付する場合の記入例が載っていたのですが、「年度欄」には上記1.(2)で確認したとおり「31」と記入されています。

 ここでハッと気づきました。 納付する場合?納付?

 この業界に入って以来、これまでずっと源泉所得税を「納付する年月」ではなく、給与を「支給した年月」でこの欄を記入していたのです。

 例えば、2018年(平成30年)1月から12月までに支給する給与に係る源泉所得税納付書には「30」と記入し、年が変わった2019年(平成31年)1月に支給する給与に係る源泉所得税納付書から「31」と記入していました(実際、今年(2019年)の1月分納付書(納期限2月12日)の「年度欄」にも「31」と記入しています)。

 国税庁ホームページで調べてみると、「納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)」に次のことが書いてありました。

「年度」(会計年度(平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間に納付する場合には、「30」)を記載します。)・・・・・・

 ということは、平成31年1月分は平成31年3月31日までに納付しますので、年度は「31」ではなく「30」を記入することになります。

 税務署から間違いを指摘されたことはありませんが、これまで当たり前に行っていたことが、実は間違っていたということです。

法人設立届出書に登記事項証明書の添付は不要になったけれども…

1.法人設立時の届出書と提出期限

 法人を設立した際には、様々な届出書等の提出が必要です。中でも重要なのは、「青色申告の承認申請書」です。

 法人の設立初年度の青色申告の承認申請書は、設立の日以後3か月を経過した日と当該事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までに税務署に提出しなければなりません。
 提出を失念した場合には、青色欠損金の繰越しや租税特別措置法に規定されている特別償却・特別控除などの適用を受けることができません。

 その他、法人設立時に税務署に提出する届出書には以下のものがあります(カッコ内は提出期限)。

(1) 設立届出書(設立登記の日から2か月以内)
(2) 棚卸資産の評価方法の届出書、有価証券の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出書(設立後最初に到来する確定申告期限)
(3) 給与支払事務所等の開設届出書(事務所開設日から1か月以内)

2.法人設立届出書等の登記事項証明書は添付省略可

 設立届出書も法人設立時の届出書のひとつですが、2017年度(平成29年度)税制改正において、企業が活動しやすいビジネス環境整備を図る観点から、次のとおり手続きの簡素化措置が講じられました。

(1) 法人の設立・解散・廃止などの届出書等において添付が必要とされていた「登記事項証明書」
(2) 税務署からの求めにより、添付していた「登記事項証明書」

については、2017年(平成29年)4月1日以後、その添付が不要となりました。

3.登記事項証明書の添付は不要になったはずなのに・・・

 上述のように2017年度(平成29年度)改正により、法人設立届出書等には登記事項証明書の添付が不要になりました。

 この度、新規の顧問先について法人設立届出書を提出する機会があったのですが、税務署の対応は上記と異なるものでした。
 新様式の法人設立届出書の「添付書類等」の欄には、これまであった「登記事項証明書」の記載がなくなっていました。
 たしかに2017年度(平成29年度)改正を反映したものとなっていたのですが、念のため税務署(大阪府内の税務署です)に問い合わせてみました。
 すると、「法人番号の導入で法人の存在は確認できるのですが、代表者等の確認のために登記事項証明書の添付をお願いします」とのことでした。

 改正では登記事項証明書の添付はしなくてもよいことになりましたが、実務の現場ではまだまだ登記事項証明書が必要のようです。

65歳からの老齢基礎年金と雇用保険

1.年金の受給資格期間が10年に短縮された

 原則65歳から老齢基礎年金を受け取るためには、保険料納付済期間(国民年金保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含みます)と国民年金の保険料免除期間などを合計した「受給資格期間」が、これまでは25年(300月)以上が必要とされていました。

 しかし、2017年(平成29年)8月1日からは、受給資格期間が10年(120月)以上あれば老齢基礎年金を受け取ることができるようになりました。

 なお、受給資格期間を満たして老齢基礎年金を受給できる方が、1か月でも厚生年金保険に加入していた場合には、原則65歳から老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も受給できます。

2.65歳以上の従業員も雇用保険の適用対象となった

 先日、顧問先の社長から「65歳以上の従業員を雇った場合、雇用保険の適用対象となるか?」という質問を受けました。

 そこで、調べてみると、2017年(平成29年)1月1日以降は、これまで適用除外となっていた65歳以上の新規雇用者についても、雇用保険の適用対象となったようです。

(1) 2016年(平成28年)12月31日までの旧制度

 以前の制度では、65歳以上の新規雇用者は、雇用保険に加入することはできませんでした。
 ただし、65歳以前から働き、65歳以降も同じ会社で働き続ける場合は、65歳になった段階で高年齢継続被保険者という扱いになり、雇用保険に加入し続けることができます。

 また、離職して求職活動をする場合には、高年齢求職者給付金(賃金の50%~80%の最大50日分)が1度だけ支給されました。
 なお、毎年4月1日時点で満64歳以上になる方については雇用保険料が免除されています。

(2) 2017年(平成29年)1月1日以降の新制度

 2017年(平成29年)1月1日からの新制度では、65歳以降に雇用された従業員も雇用保険の加入要件を満たす場合は雇用保険に加入することができます(雇用保険の加入要件については、本ブログ記事「雇用保険を遡って加入できるか?」を参照してください)。
 また、その従業員が離職して求職活動をする場合には、その都度、高年齢求職者給付金が支給されます。支給要件・内容はこれまでと同様で、年金との併給も可能です。

 介護休業給付、教育訓練給付等についても、新たに65歳以上の方も対象となります。

 さらに、2020年度(令和2年度)より、64歳以上の方の雇用保険料の徴収免除が廃止され、原則通り徴収が開始されます(2020年(令和2年)3月まで免除されます)。 

2019年(平成31年)4月1日以後に適用開始される税制改正項目

 今日から2019年度(平成31年度)が始まります。新元号も「令和」に決まりましたので、2019年5月1日以降の和暦は「令和」と表記します。

 2019年度(平成31年度)税制改正大綱は、2018年(平成30年)12月14日に発表され同年12月21年に閣議決定されました。
 今回は、この2019年度(平成31年度)税制改正項目と2018年度(平成30年度)以前の税制改正項目のうち、新年度から適用開始される項目(創設、改正、延長)について、法人税、所得税、消費税の税目別に整理します。

1.法人税

 2019年(平成31年)4月1日以後に適用開始される項目(創設、改正、延長)のうち、主要な項目とその概要は、次のとおりです。

(1) 創設される項目

① 防災・減災設備の特別償却制度

 改正中小企業等経営強化法施行日から2021年(令和3年)3月31日までに、青色申告書を提出する中小企業者のうち中小企業等経営強化法の認定を受けたものが一定の防災・減災設備等を取得等した場合は、取得価額の20%の特別償却が可能となります。

② 法人が有する仮想通貨に係る整備

 2019年(平成31年)4月1日以後終了事業年度分から、法人が期末に保有する仮想通貨について、時価法等により評価損益を計上等することとされます。

(2) 改正される項目

① 研究開発税制の見直し

 試験研究を行った一定のベンチャー企業の税額控除限度額が25%から40%に引き上げられます。
 オープンイノベーション型(特別試験研究費の額に係る税額控除制度)における税額控除上限が、法人税額の5%から10%に引き上げられます。

② みなし大企業の範囲の見直し

 100%グループ法人内の複数の大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等)に発行済株式の全部を直接・間接に保有されている法人も、みなし大企業の範囲を決める大規模法人に該当することになります。

③ 業績連動給与の手続き要件の見直し

 「業務執行役員が報酬委員会等の委員ではないこと」の要件が除外等されます(経過措置あり)。

④ 地域未来投資促進税制の見直し

 一定の要件を満たす場合は、機械装置及び器具備品の特別償却率を40%から50%に、税額控除率を4%から5%にそれぞれ引き上げられます。

(3) 延長される項目

① 中小企業者等の法人税の軽減税率特例

 中小企業者等に対する法人税の軽減税率15%(年800万円以下の所得に対する税率。本則は19%)の特例が、2021年(令和3年)3月31日まで2年延長されます。

② 中小企業向け設備投資減税

 中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制、中小企業経営強化税制について、2021年(令和3年)3月31日まで2年延長されます(本ブログ記事「税制改正による2019年4月1日以降の設備投資税制」を参照)。

※ 2021(令和3)年度税制改正で、中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の見直しが行われています。改正内容については、本ブログ記事「令和3年度改正後の中小企業投資促進税制」及び「令和3年度改正後の中小企業経営強化税制」をご参照ください。なお、商業・サービス業・農林水産業活性化税制は、適用期限(2021(令和3)年3月31日)の到来をもって廃止されています。

2.所得税

 2019年(平成31年)4月1日以後に適用開始される項目(改正)のうち、主要な項目とその概要は、次のとおりです。

(1) 改正される項目

① 住宅ローン控除の拡充等

 消費税率が2019年(令和1年)10月1日以降、8%から10%に引き上げられます。
 これに伴い、消費税率10%が適用される住宅取得等のうち2019年(令和1年)10月1日から2020年(令和2年)12月31日までに取得等する住宅については、現行10年の控除期間が3年延長されて13年間控除できるようになります。

② 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の延長等

 被相続人から相続した居住用家屋等の譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例の適用要件が、次のように緩和されます。

イ.被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ相続の開始の直前まで老人ホーム等に入居していたこと

ロ.被相続人が老人ホーム等に入所をしたときから相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ事業の用、貸付の用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと

 上記要件を満たす場合は、相続の開始直前まで被相続人が対象の家屋を居住の用に供していたものとみなされ、被相続人が相続の開始直前に老人ホーム等に入居している場合でも、特例を受けることができます(2019年(平成31年)4月1日以降の譲渡に適用されます)。

3.消費税

 2019年(平成31年)4月1日以後に適用開始される項目(改正)のうち、主要な項目とその概要は、次のとおりです。

(1) 改正される項目(2019年度(平成31年度)改正)

① 輸出物品販売場制度の見直し

 既に輸出物品販売場の許可を受けている事業者に限り、臨時販売場での免税販売が認められます。2019年(令和1年)7月1日から適用されます。

② 金地金等の密輸に対応するための仕入税額控除制度の見直し

 2019年(平成31年)4月1日以降、密輸と知りながら行った課税仕入れの仕入税額控除が認められないほか、本人確認書類の写しの保存が要件に加わります。
 本人確認書類の写しの保存要件は、2019年(令和1年)10月1日以後に行う課税仕入れから適用されます。

(2) 改正される項目(2018年度(平成30年度)以前改正)

 2019年(令和1年)10月1日以降、消費税率が8%から10%に引き上げられます。
これに伴い、軽減税率制度(概要は省略)、区分記載請求書等保存方式(概要は省略)、簡易課税制度の事後選択特例、簡易課税制度のみなし仕入率の見直しが行われます。

① 簡易課税制度の事後選択特例

 「簡易課税制度選択届出書」を提出した課税期間から同制度を適用できる時限的措置です。
 2019年(令和1年)10月1日から2020年(令和2年)9月30日までの日の属する課税期間の末日までに簡易課税制度選択届出書を提出すれば適用されます。

② 簡易課税制度のみなし仕入率の見直し

 2019年(令和1年)10月1日以降、第3種事業である農業・林業・漁業のうち、軽減税率が適用される飲食料品の譲渡を行う事業が第2種事業とされ、そのみなし仕入率は80%が適用されます。

監査役の報酬を取締役会で決めることはできない

 取締役と監査役の報酬上限を株主総会で決定し、個々の配分については取締役会で決定している会社があるとします。
 取締役の報酬についてはこれでいいのですが、監査役の報酬については取締役会で決定することはできません。

 会社法第387条1項には「監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。」とあります。
 定款で監査役の報酬を定めている会社はあまりないと思いますので、監査役の報酬は株主総会の決議によって定めることになります。
 これは、監査役の報酬を取締役会が決定すると、監査役の独立性に影響を及ぼすことになるからです。

 また、会社法第387条2項には「監査役が2人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定める。」とあります。
 監査役の報酬上限を株主総会で決定した場合でも、個々の報酬については取締役会で決めることはできず監査役の協議で決めることになります。

ゴールデンウィーク10連休と4月決算法人の前払保険料

1.口座振替を振込に変更して対応

 今年(2019年)のゴールデンウィークは、4月27日(土)から5月6日(月)までの10連休となります。そのため、生命保険料等の口座振替日が4月27日(土)以降に設定されている場合、金融機関の口座からの引落し日は5月7日(火)となります。

 そこで、税務上注意しなければならないのは、4月中に支払ったことが損金算入の要件となる前払費用です。

 前払費用は支払った日の属する事業年度の損金の額に算入できることとされており(法人税基本通達2-2-14)、例えば、前払保険料、前払家賃、前払賃借料などがあります。

 これらの前払費用は、4月決算法人の場合、4月中に支払わないと損金算入できません。特に生命保険料については、節税対策として1年分を前払いしている法人も多いものと思われますので、損金算入できなかったとしたら多大な影響を損益に与えることになります。
(短期前払費用の損金算入要件等については、本ブログ記事「短期前払費用の損金算入の注意点」を参照して下さい)

 日本生命、住友生命、三井生命、オリックス生命など、口座振替日が27日となっている生命保険会社は多いです。このようなケースでは、口座振替を振込に変更して4月中に支払うなどの対応が必要です。

2.倒産防止共済は未払計上で損金算入可

 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金の口座振替日は毎月27日となっています。 

 この件に関して、独立行政法人中小企業基盤整備機構より、税務上の取扱いが加入者に発信され、「毎月口座振替により納付している掛金については、5月7日に引き落とされた掛金が会計上、未払い計上をしているのであれば、税務上もその未払いとなっている掛金の損金算入が認められる」とされています。
 また、毎期1年分の掛金を口座振替で前納をしている場合も同様とされております。

 つまり、4月決算法人において引き落としが5月7日であっても未払計上することによって当該年度に損金算入が可能なのは、①毎月、口座振替で納付している掛金、②毎期、口座振替で1年分を前納している場合の掛金、ということです。

 なお、既契約者が毎期でなく、新たに4月振替で前納をする場合は、3月に申出を行い口座振替をする必要があります。
(倒産防止共済の損金算入要件等については、本ブログ記事「中小企業倒産防止共済掛金の損金算入要件等」を参照して下さい。)