宝塚市の支援金・補助金・給付金(令和3年11月1日申請受付開始)

 今回は、2021(令和3)年11月1日から申請受付が開始される兵庫県宝塚市の支援金、補助金、給付金についてご案内します。申請を検討される方は、受付期間が比較的短く設定されていますのでご注意ください。

1.宝塚市小規模事業者等応援一時支援金

 宝塚市小規模事業者等応援一時支援金とは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い、緊急事態宣言等の度重なる発令により売上が減少しているものの、売上減少の要件等により国の月次支援金や兵庫県の協力金等の対象とならない小規模事業者及び個人事業主に対して、事業継続に向けた支援金を宝塚市が給付するものです。

(1) 対象者
 補助対象者は、以下の①~⑥のすべての要件を満たす事業者です。

① 2021(令和3)年10月1日現在、宝塚市内において本店又は主たる事務所、営業所、店舗等を設置している事業者のうち、下記別表に掲げる業種の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に定める従業員数の規模に該当する小規模事業者及び個人事業主。なお、事業者のうち、主たる収入を雑所得又は給与所得で申告している者は、2021(令和3)年10月1日現在、宝塚市内に住民登録を有すること。

業種 常時雇用する従業員数
ア 製造業・建設業・運輸業
        又は、ア~ウを除くその他全業種
20人以下
イ 商業(卸売業・小売業・飲食業) 5人以下
ウ サービス業
  (うち、宿泊業・娯楽業・旅行業)
5人以下
20人以下

② 時短営業要請による協力金の支払い対象となる飲食店と直接・間接の取引がある、又は不要不急の外出自粛による直接的な影響を受けている。

③ 2021(令和3)年4月から9月までの期間、兵庫県新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金又は兵庫県酒類販売事業者支援金を受給していない。

④ 2021年(令和3)4月から9月までの、任意の1ヵ月の売上高に係る売上減少率が2019(令和1)年または2020(令和2)年の同月と比べて20%以上50%未満減少している。※開業1年未満の事業者については、2021(令和3)年4月から9月までの任意の1ヵ月に係る売上高が、当該任意月の直近3ヵ月の平均売上高と比べて20%以上50%未満減少している。

⑤ 2021(令和3)年度中に、国の月次支援金を受給していない。

⑥ 本支援金給付後も、事業を継続する意思があること。ただし、下記の場合は対象外となります。
・申請者または使用人、その他従業員もしくは構成員が宝塚市暴力団排除条例第2条第1号に規定する暴力団及び同条第2号に規定する暴力団員並びに同条第3号に規定する暴力団密接関係者
・法人税法別表第1に規定する公共法人、政治団体、宗教上の組織もしくは団体
・公序良俗に反する事業を営んでいる

(2) 給付額
1事業者当たり10万円

(3) 申請方法
① 受付期間
 2021(令和3)年11月1日(月)~2022(令和4)年2月15日(火)
 ※2月15日(火)の消印有効

② 申請方法
ア.新型コロナウイルス感染症予防の観点から、原則郵送での受付とされています。やむをえない事情がある場合は、事務局窓口での受付も可能です。
イ.レターパック又はレターパックプラスで送付してください。事務局への到達確認の連絡はできません。また、提出した申請書類一式は返却されません。
ウ.申請書類一式の送付先は、次のとおりです。

〒665-0845 宝塚市栄町2丁目1番2号 ソリオ2 6階
宝塚商工会議所「宝塚市小規模事業者等応援一時支援金事務局」宛

(4) 申請書類
 申請書類は次のとおりです。

書類名 法人 個人 フリーランス
宝塚市小規模事業者等応援一時支援金給付申請書兼請求書(様式1)
② 2021(令和3)年4月以降の月別の売上に関する書類(申請者が利用する経理ソフトから抽出したデータ、売上台帳又は試算表帳簿の写し等の資料)
③2019(令和1)年又は2020(令和2)年分の所得税確定申告書類の写し等(収受印日付(e-Tax の場合は受付日付の印字又は受信通知画像の添付)があるもの
法人:法人事業概況説明書及び確定申告書別表1
個人:確定申告書第1表、青色申告の場合は青色申告決算書
開業1年未満の場合は、基準とする任意月の直近3カ月の売上に関する任意の資料(申請者が利用する経理ソフトから抽出したデータ、売上台帳又は試算表帳簿の写し等の資料)
④事業所の所在地を示す書類
【事業所を構える申請者は必ず提出】
法人:履歴事項全部証明書の写し(発行から 6カ月以内)
個人:営業実態が確認できる書類(開業届の写し、屋号などが確認できる事業所や店舗の外観写真等、任意資料)
 
⑤支援金振込口座の分かる申請者名義の通帳写し
金融機関名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人が確認できるページ。ゆうちょ銀行の場合は、他金融機関からの振込用口座番号等が記載されているページ。
⑥本人確認書類(写しをいずれか 1つ)
・ 運転免許証(両面。返納している場合は運転経歴証明書で代替可)
・ 個人番号カード(表面のみ)
・ 写真付きの住民基本台帳カード(表面のみ)
・ 在留カード、特別永住者証明書又は外国人登録証明書(両面。在留資格が特別永住者のものに限る)
・ 身体障害者手帳
・ 療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳(全ページ、カード式の場合は両面)
・ 住民票+パスポート(顔写真が掲載されているページの写し)
・ 住民票+各種健康保険証
※住民票は 6カ月以内に発行のもの
 
⑦業務委託契約のわかる書類
【フリーランスなどで、主たる収入を雑所得又は給与所得で申告している個人事業者は必ず提出】
業務委託契約書等、契約相手方発行の支払調書又は契約相手方の署名のある支払明細書、源泉徴収票、報酬等の支払いが確認できる通帳の写しのいずれか2点
   
⑧ 国民健康保険証(高齢者医療保険証)の写し(表面)
【フリーランスなどで、主たる収入を雑所得又は給与所得で申告している個人事業者は必ず提出】
   

(5) 給付までの流れ
①申請書類を事務局が審査し、要件を満たしていれば、宝塚市より一時支援金を申請時に指定のあった口座へ振り込まれます。

②給付が決定した際は「宝塚市小規模事業者等応援一時支援金給付決定兼確定通知書」が送付されます。

③給付決定後、約1カ月を目途に指定口座へ振り込まれる予定ですが、申請が短期間に集中するなど、状況によっては給付までに相当の時間を要する場合があります。

④審査の結果、要件に該当しない場合や不備がある場合は、事務局より連絡をすることがあります。
  

2.宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金

 宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金とは、新型コロナウイルス感染症拡大防止と社会経済活動維持の両立を図るために、市内の店舗及び事務所等を新型コロナウイルス感染症に対応する改装工事を行う市内事業者に対し、改装工事費等の一部を宝塚市が補助するものです。

(1) 対象者
 補助対象者は、以下の①~⑧の条件をすべて満たす者です。

① 市内に事務所、営業所、店舗等を設置している中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条に規定する中小企業者及び小規模事業者、個人事業主

② 日本産業分類(大分類)の以下に該当する業種
ア.製造業
イ.運輸業、郵便業
ウ.卸売業、小売業
エ.宿泊業、飲食サービス業
オ.生活関連サービス業、娯楽業のうち、洗濯・理容・美容・浴場業

③ 申請日において事業を継続しており、今後も事業を継続する意思のある者

④ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第6項に規定する店舗型風俗特殊営業並びにそれらに類似する業種を営む事業者でないこと

⑤ 市税の滞納がない事業者(ただし、滞納がある場合でも分割納付、徴収猶予等の手続きをしている、又はする意思があるときは、この限りではない)

⑥ 宝塚市暴力団の排除の推進に関する条例(平成24年条例第6号。以下「暴力団排除条例」という)第2条第1号に規定する暴力団又は同条第3号に規定する暴力団密接関係者でないこと

⑦ 政治団体並びに宗教上の組織及び団体でないこと

⑧ 2021(令和3)年度において、同一内容の対象事業で、国、兵庫県及び宝塚市を含む他自治体で実施している補助金等の他の助成を受けていないもしくは受ける予定がないこと。

(2) 対象工事
 市内の店舗及び事務所等における、以下①~⑥の要件を満たす70万円(税抜)以上の工事が対象です(下記の複数の事業を組み合わせて実施することも可)。
 なお、住宅との併用となっている店舗や事務所等においては、住宅部分の工事については対象外です。申請の際には、店舗及び事務所等部分の工事であることがわかる任意の資料を提出します。

① 三密回避のための改修工事事業
(例)・屋外テラスの設置、整備工事 
   ・待合室の整備のための工事

② 人同士の接触を低減するための改修工事事業
(例)・社員の接触を極力低減するための更衣室や休憩室の増設や間仕切り設置工事

③ 外気との喚起に配慮した改修工事事業
(例)・換気設備(換気扇、換気ダクト)の増設 
   ・換気のための窓の増設又は改修、網戸の設置

④ 業態変更に係る内装や外装の改修工事事業
(例)・店舗の外にテイクアウト受取口の設置
   ・卸売業から小売業に業態転換する際の店舗内装工事

⑤ 非接触機能付き設備の設置事業
(例)・非接触機能付きトイレや手洗い場の増設、非接触式自動ドアの設置

⑥ 新しい生活様式導入や省エネルギー促進のための改修事業
(例)・店舗での営業を行いながら、ECサイトでの販売を始める際に必要な保管庫等の設置に係る工事

(3) 補助対象経費
 2021(令和3)年4月1日から2022(令和4)年2月15日までに事業を実施し、かつ当該経費の支払いが完了した下記①②に掲げる経費が対象です。
※消費税及び地方消費税相当分については、補助対象経費から除外されます。

① 補助対象事業を行うに際し必要な工事費、備品購入費(備品購入費は、備品のリース料も対象ですが、2022(令和4)年2月15日までに支払いがすべて完了するもののみが対象となります)。ただし、備品購入費のみの申請は補助対象外。
【補助対象外となる例】
・単なる既存設備の取り替えや更新に係る工事
・建物の老朽化による修繕や一般的なリニューアル工事
・換気のための空気清浄機等のみの設置
・飛沫感染防止のためのアクリル板等のパーテーションのみの設置工事
・汎用性の高いパソコン、タブレット及び周辺機器のみの購入
・キャッシュレス決済に係る諸機器のみの設置
・セルフレジのみの導入

② 対象経費の送料及び振込手数料

※①、②について、いかなる場合においても、領収書の写し等、支払いをしたことを証明する資料がない場合は、その分にかかる補助金は交付されませんので、ご注意ください。

(4) 補助金額
 市内事業者による施工の場合:上限133万円(補助対象経費の2/3以内、千円未満切捨)
 市外事業者による施工の場合:上限100万円(補助対象経費の1/2以内、千円未満切捨)
 ※市内事業者とは、宝塚市内に本社又は本店が所在している施工業者を指します。

(5) 申請方法
 2021(令和3)年11月1日(月)~30日(火)の期間に郵送又は持参にて商工勤労課へ申請します(郵送の場合、11月30日(火)消印有効)。
 申請書類一式の送付先は、次のとおりです。

〒665-8665 宝塚市東洋町1番1号
宝塚市 産業文化部 産業振興室 商工勤労課

 
(6) 申請書類
① 交付申請の時点で未着手の場合

交付申請時 宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金交付申請書(様式第1号)
□事業計画書(様式第1-①)
□収支予算書、経費内訳書(様式第1-②)
□暴力団排除に関する誓約書(様式第1-③)
□補助金交付申請に係る誓約書(様式第1-④)
□・法人の場合
 履歴事項全部証明書の写し(発行から6カ月以内)
・個人の場合
 開業届の写し又は確定申告書の写し等業種が確認できるもの
□2021(令和3)年4月から9月までの月別の売上に関する書類等(任意様式)及び2019(令和1)年又は2020(令和2)年分の所得税確定申告書類の写し等(任意様式)
□市税の未納の税額がないことの証明の原本
□その他必要書類(任意)
事業着手時 宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金 補助事業着手申込・届出書(様式第3号)
実績報告時 □宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金実績報告書(様式第9号)
□事業報告書(様式第9-①)
□収支予算書、経費内訳書(様式第9-②)
□支払を証明する書類の写し(領収書、通帳の写し等)
 ただし、上記書類で購入や役務等内容がわからない場合は、契約し、請求書等詳細がわかる書類の写しを適宜添付します。
□成果物等(事業所の様子が確認できる写真等の資料)
□その他必要書類(任意)
補助金請求時 □宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金請求書(様式第11号)

② 2021(令和3)年4月1日から交付申請日までに着手し、申請時点で事業が未完了の場合

交付申請時 宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金交付申請書(様式第1号)
□事業計画書(様式第1-①)
□収支予算書、経費内訳書(様式第1-②)
□暴力団排除に関する誓約書(様式第1-③)
□補助金交付申請に係る誓約書(様式第1-④)
□・法人の場合
 履歴事項全部証明書の写し(発行から6カ月以内)
・個人の場合
 開業届の写し又は確定申告書の写し等業種が確認できるもの
□2021(令和3)年4月から9月までの月別の売上に関する書類等(任意様式)及び2019(令和1)年又は2020(令和2)年分の所得税確定申告書類の写し等(任意様式)
□市税の未納の税額がないことの証明の原本
宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金 補助事業着手申込・届出書(様式第3号)
□その他必要書類(任意)
実績報告時 □宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金実績報告書(様式第9号)
□事業報告書(様式第9-①)
□収支決算書、経費内訳書(様式第9-②)
□支払を証明する書類の写し(領収書、通帳の写し等)
 ただし、上記書類で購入や役務等内容がわからない場合は、契約し、請求書等詳細がわかる書類の写しを適宜添付します。
□成果物等(事業所の様子が確認できる写真等の資料)
□その他必要書類(任意)
補助金請求時 □宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金請求書(様式第11号)

③ 2021(令和3)年4月1日から交付申請日までに着手し、申請時点で事業が完了している場合

交付申請時 宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金交付申請書(様式第1号)
□事業計画書(様式第1-①)
□収支決算書、経費内訳書(様式第9-②)
□支払を証明する書類の写し(領収書、通帳の写し等)
 ただし、上記書類で購入や役務等内容がわからない場合は、契約し、請求書等詳細がわかる書類の写しを適宜添付します。
□成果物等(事業所の様子が確認できる写真等の資料)
□暴力団排除に関する誓約書(様式第1-③)
□補助金交付申請に係る誓約書(様式第1-④)
□・法人の場合
 履歴事項全部証明書の写し(発行から6カ月以内)
・個人の場合
 開業届の写し又は確定申告書の写し等業種が確認できるもの
□2021(令和3)年4月から9月までの月別の売上に関する書類等(任意様式)及び2019(令和1)年又は2020(令和2)年分の所得税確定申告書類の写し等(任意様式)
□市税の未納の税額がないことの証明の原本
宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金 補助事業着手申込・届出書(様式第3号)
□その他必要書類(任意)
補助金請求時 □宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金請求書(様式第11号)

④その他書類(共通)

経費配分変更
又は補助事業内容変更
□宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金補助事業変更交付申請書(様式第4号)
□事業計画書【変更】(様式第4-①)
□収支予算書【変更】(様式第4-②)
補助事業中止
又は廃止
□宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金補助事業中止(廃止)承認申請書(様式第5号)
申請者住所
又は代表者変更
□宝塚市新型コロナ対応市内事業所等改装促進補助金代表者等変更届(様式第6号)

(7) 補助対象者の決定について
 申請書を提出した後、申請件数が予算の範囲内の場合は、必要な提出資料が全て提出されており、補助対象者の要件を満たしている申請者が補助対象者と決定され、交付決定通知書が送付されます。
 なお、申請者多数の場合、加点方式による書類審査が行われ、補助対象者が決定されます。
 また、交付・不交付に関わらず、申請者に対し郵送にて通知されます。

(8) 書類審査について
① 審査方法
 審査は、申請者からの提出資料を「審査基準」に基づいて行われ、書類審査の上、補助対象者が決定されます。

② 審査基準(10点満点の加点式)
・三密回避を実現できる工事内容か 1点
・人同士の接触を低減する工事内容か 1点
・外気との換気に配慮した工事内容か 1点
・業態変更に係る内装や外装の工事内容となっているか 1点
・非接触機能付き設備を設置する工事内容か 1点
・新しい生活様式導入や省エネルギー促進のための工事内容か 1点
・今後も事業継続への意欲が認められる工事内容か 1点
・2021(令和3)年4月から9月の任意の1カ月と2020(令和2)年又は2019(令和1)年の同月の売上高(事業収入)の減少率が、30%以上であるか 1点
・市内施工事業者を利用した工事か 1点
・市内で5年以上事業を行っている事業者か 1点

(9) 事業実施期間(実績報告書提出期限)
 交付決定日(2021(令和3)年4月1日まで遡及可能)から2022(令和4)年2月15日(火)まで
※補助事業完了後原則30日以内、やむを得ない特段の事情がある場合は、2022(令和4)年3月31日までに必ずご提出ください。実績報告書の提出が遅れた場合、いかなる場合でも補助金の交付を受けることはできません。

(10) その他(注意事項等)
① 申請内容に偽りや隠匿、不正な手段により補助を受けたとき、又は受けようとしたときや、法令に違反したとき、実績報告書や支出した根拠となる帳簿書類等の添付資料が提出できないなどの場合は、交付決定の取消や補助金の返還命令などの措置が実施されます。その場合は、その旨従わなければなりません。

② 補助事業により購入した物件や帳簿書類等が確認できない場合は、当該物件にかかる金額は補助の対象外となります。

③ 経理について、帳簿や支出の根拠となる証拠書類については、補助事業完了後、当該年度の終了後5年間は保存してください。

3.宝塚市大学生等修学支援給付金

 宝塚市大学生等修学支援給付金とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、学びの継続が困難となっている大学生等を対象に、宝塚市が奨学金を給付するというものです。

(1) 対象者
 以下のすべてに該当する大学生等が対象です

① 宝塚市在住または生計維持者(保護者等)が宝塚市在住である

② 生計維持者の2019(令和1)年の所得合計額(A)が610万円以下である

③ 生計維持者の2020(令和2)年の所得合計額又は2021(令和3)年の所得合計見込み額が、(A)の2分の1以下(a) または 3分の2以下(b)に減少している

④ 高等教育の修学支援新制度を受けていない

※「大学生等」とは、2021(令和3)年度に学校教育法第1条に規定する大学(大学院及び通信課程を除く)、高等専門学校(第4学年及び第5学年)、高等学校専攻科、特別支援学校専攻科若しくは同法第124条に規定する専修学校(専門課程に限る)又はこれらを同水準の教育機関であると宝塚市教育委員会が認める学校等に在学している方を指します。

(2) 給付額
 上記(1)③の(a)に該当する人:20万円
 上記(1)③の(b)に該当する人:10万円

(3) 申請方法
 以下の書類を教育委員会学事課へ提出してください。

申請書
② 学生証の写し又は在学証明書(申請時に在学していることがわかるもの)
③ 2019(令和1)年の所得がわかるもの(2020(令和2)年度の課税証明書など)※1
④ 2020(令和2)年の所得がわかるもの(2021(令和3)年度の課税証明書など)※2又は2021(令和3)年給与支払見込み額証明書※3

※1 2019(令和1)年1月1日現在、宝塚市に住民票のあった方は不要です。
※2 2020(令和2)年1月1日現在、宝塚市に住民票のあった方は不要です。
※3 勤務先が記入・証明してください。

(4) 申請期間
 2021(令和3)年11月1日(月)~11月22日(月)※11月22日(月)必着

※2022(令和4)年1月14日(金)必着まで延長されました。

(5) 給付時期
 書類審査の上、2022(令和4)年2月頃に指定の口座へ振り込まれます。

(6) 問い合わせ先
 教育委員会 管理部 管理室 学事課
 〒665-8665 宝塚市東洋町1番1号 本庁2階
 電話:0797-77-2366

中古建物を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却費の計算

 勤め先の転勤辞令により、それまで住んでいた自宅を賃貸に出すことがあります。この場合、賃貸人には不動産所得が生じることになりますが、不動産所得の計算上、賃貸している自宅の減価償却費は必要経費に算入することができます。
 今回は、自身の居住用(非業務用)から賃貸用(業務用)へ転用した場合の減価償却費の計算方法を確認しますが、その中でも複雑な計算を要する中古で取得した建物を非業務用から業務用に転用した場合を例に挙げます。

※ 新規取得資産のケースについては、本ブログ記事「自家用車を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却費の計算」をご参照ください。

1.中古取得資産を業務用に転用した場合の減価償却費の計算

 中古で取得した建物を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却費の計算には、2つのステップが必要です。次の設例により、計算方法を確認します。

【設例】
 2014(平成26)年1月10日に中古の建物(木造)を購入し居住の用に供していましたが、転勤のため、当該建物を2021(令和3)年4月1日から賃貸(住宅用)することにしました。この場合の2021(令和3)年分の減価償却費の計算はどうなりますか。

 ・中古の建物は、2007(平成19)年6月10日に新築されたものである。
 ・中古の建物の取得価額は2,000万円
 ・木造(住宅用)の法定耐用年数 22年

 

(1) 業務用に転用した日における未償却残高

① 非業務用期間中の耐用年数と償却率
法定耐用年数の1.5倍に相当する年数※1及び償却率※2を求めます。
 22年×1.5=33年→0.031
※1 1年未満の端数があるときは切り捨てます。
※2 償却率は、旧定額法の償却率を適用します(非業務用資産の減価の額の計算 は、2007(平成19)年4月1日以後に取得した資産であっても、旧定額法により計算することとなります)

② 非業務用期間中の減価の額
非業務用期間における減価の額を旧定額法で計算します。
2014(平成26)年1月10日から2021(令和3)年3月31日まで→7年2か月と22日→7年
 20,000,000円×0.9×0.031×7年=3,906,000円
※ 非業務用期間に係る年数に1年未満の端数があるときは、6月以上の端数は1年とし、6月に満たない端数は切り捨てます。

③ 業務用に転用した日における未償却残高
 20,000,000円-3,906,000円=16,094,000円

(2) 業務用に転用後の減価償却費の計算

① 業務用に転用後の耐用年数と償却率
業務用に転用後の耐用年数は、今後の使用可能期間の年数を合理的に見積もることができれば、その見積年数を耐用年数として計算しますが、今後の使用可能期間の年数を合理的に見積もることが困難な場合には、次のように簡便法により計算します。

イ.経過年数
2007(平成19)年6月10日から2014(平成26)年1月9日まで→6年7か月→79か月
※ 経過年数には、2014(平成26)年1月10日から2021(令和3)年3月31日までの期間(非業務用期間)は含めません。

ロ.転用後の耐用年数(簡便法による耐用年数)
(264か月(法定耐用年数22年)-79か月(経過年数))+79か月(経過年数)×0.2=200.8か月→16.7年→16年
※ 1年未満の端数の切捨ては、最後に行います。

ハ.転用後の償却率
16年→0.063
※ 2014(平成26)年1月10日取得のため定額法の償却率となります。

② 業務用に転用後の減価償却費
 20,000,000円×0.063×9/12=945,000円
なお、2021(令和3)年12月31日の未償却残高は次のとおりです。
 16,094,000円-945,000円=15,149,000円

2.中古取得資産を業務用に転用した場合の減価償却の注意点

(1) 中古住宅の築後経過年数を計算するときの「取得の日」は、売買契約の締結の日ではなく引渡しの日をいいます。

(2) すぐ貸せる状態の貸家について、未入居という理由で減価償却費を計上できないことはありません。貸家をいつでも入居できる状態に整備し、入居者募集の広告も出して入居者にいつでも引き渡せる状態であれば、その年中に結果として入居者がいなかったとしても、業務の用に供したとして減価償却費を計上することができます。

(3) 今回は中古で取得した住宅を例に減価償却費の計算方法を確認しましたが、例えば、自家用車(非業務用)を事業用(業務用)に転用した場合なども同様の計算となります。

月次支援金は10月分も支援対象となりました

1.給付規定の改正

 2021(令和3)年9月30日に緊急事態宣言が解除されたましたが、19の都道府県※1においては、政府の基本的対処方針に基づき、1ヶ月までを目途として、飲食店に対する時短営業等の要請を行うこととされています。
 このため、19の都道府県による飲食店への時短要請や外出自粛要請などの影響を受ける事業者に対しては、これまでと同様、業種・地域を問わず、10月分まで月次支援金を支給するため、本日(2021(令和3)年10月26日)付けで給付規程の一部が改正されました※2

※1 北海道、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、沖縄県
※2 今回の給付規程の改正により、本年(2021(令和3)年)10月に新型インフルエンザ等緊急事態措置又は新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置が発令されていない場合であっても、上記19都道府県が本年10月に実施する飲食店への時短要請や外出自粛要請等の影響を受け、前年又は前々年の同月比で10月の売上が50%以上減少している場合は、10月分の月次支援金の給付要件を満たし得ることができます。

2.10月分の申請期間と事前確認の受付期限

 10月分の月次支援金の申請期間と事前確認の受付期限は、次のとおりです。

・月次支援金の申請期間:2021(令和3)年11月1日 ~ 2022(令和4)年1月7日
・事前確認の受付期限:2021(令和3)年12月28日

※申請する前に必要な「登録確認機関での事前確認」が受けられるのは申請期限の数日前までとなりますので、ご注意ください。すでに一時支援金又は月次支援金を受給している場合は、事前確認は不要です。

築年数20年超の中古住宅は耐震基準適合証明書でローン控除を受ける

 住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)は、中古住宅の購入でも適用があります。しかし、築年数が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)を超えているという理由で、住宅ローン控除の適用をあきらめる人もいます。
 築年数が20年を超えていても住宅ローン控除の適用を受ける方法はあり、その一つが耐震基準適合証明書を取得するというものです。
 耐震基準適合証明書を取得するメリットは住宅ローン控除だけではなく、登録免許税や不動産取得税、地震保険料などが安くなる等のメリットもありますので、耐震基準適合証明書の取得を検討する価値はあると思います。
 以下では、耐震基準適合証明書を取得して住宅ローン控除を受ける手続きについて確認します。

1.手続きの流れ

 耐震基準適合証明書とは、建物の耐震性が基準を満たすことを建築士等が証明する書類です。築年数が20年を超えている中古住宅について住宅ローン控除の適用を受けるにあたっては、この耐震基準適合証明書を取得するタイミングを間違うと住宅ローン控除を受けることができなくなりますので、注意しなければなりません。
 築年数20年超の木造一戸建ての場合、耐震基準適合証明書の取得には耐震改修工事が必要になる可能性が高いので、上図の手続きの流れA又はBになるものと思われます。
 以下、手続きの流れを説明します。

【手続きの流れA】
① 現行の耐震基準に適合しない中古住宅の売買契約を締結します。
② 当該中古住宅について、建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関等に対して、耐震基準適合証明の仮申請(耐震改修工事を行う事業者が確定していない等の理由により、所有権移転登記までに申請が困難な場合)をします。
③ 仮申請をした後、当該中古住宅の所有権移転登記をします。
④ 当該家屋の耐震改修工事を行います。
⑤ 耐震改修工事が完了した当該家屋が現行の耐震基準に適合することについて、居住の用に供する日までに、耐震基準適合証明書の発行により証明を受けます。
⑥ 実際に当該中古住宅の引渡しを受けて居住開始した後に、住民票を移します

【手続きの流れB】
① 現行の耐震基準に適合しない中古住宅の売買契約を締結します。
所有権移転登記の前に耐震改修工事が可能な場合は、当該家屋の耐震改修工事を行います。
③ 耐震改修工事が完了した当該家屋について、建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関等に対して、耐震基準適合証明の申請 をします。
④ 当該家屋が現行の耐震基準に適合することについて、所有権移転登記の前に、耐震基準適合証明書の発行により証明を受けます。
⑤ 当該中古住宅の所有権移転登記をします。
⑥ 実際に当該中古住宅の引渡しを受けて居住開始した後に、住民票を移します

 手続きの流れAにおいてもBにおいても、重要なことは、必ず所有権移転登記の前に耐震基準適合証明の申請又は仮申請を行うということです。所有権移転登記の後で申請又は仮申請を行っても、住宅ローン控除の適用を受けることはできませんのでご注意ください。
 また、住民票の移動は、実際に物件の引渡しを受けて居住開始した後に行ってください。

2.令和3年11月末までの契約が必要

 築年数20年超の中古住宅を購入した場合の住宅ローン控除を受けるための手続きは以上ですが、2021(令和3)年分の所得税で中古住宅のローン控除を受けるためには、2021(令和3)年11月末までに売買契約を締結する必要があります。詳細は、本ブログ記事「住宅借入金等特別控除の適用要件等の見直し」をご参照ください。

自宅家賃を法人の経費にするには?

 個人事業主が賃貸住宅を自宅兼事務所として使用する場合は、その家賃の一部を必要経費とすることができます。例えば、自宅の総床面積に占める事務所部分の面積の割合が20%だとしたら、家賃の20%を地代家賃として必要経費にすることができます。
 では、このような取り扱いは、法人にもあるのでしょうか?創業間もない法人は、自宅である賃貸住宅を本店所在地として登記し、個人事業主と同じように自宅の一角を事務所部分として使用することがあります。この場合、その家賃は法人の経費にできるのでしょうか?

1.個人名義の賃貸借契約の場合

 法人の社長が個人名義で賃貸借契約をしている場合、社長が貸主(不動産オーナー)に支払った家賃の一部は、地代家賃として法人の経費とすることができます。
 家賃のうち経費にできるのは、個人事業主の場合と同様に、自宅の総床面積に占める事務所部分の面積の割合に応じた部分です。
 この場合、法人から賃貸借契約の名義人である社長へ家賃を支払うことになります。したがって、勘定科目内訳書(地代家賃等の内訳書)の貸主欄には、不動産オーナーではなく社長の氏名・住所を記載します。
 ここで気になるのが、法人から家賃を受け取る社長に不動産所得が発生し、所得税の負担がかかるのではないかということですが、社長は不動産オーナーにも家賃を支払っているため所得は発生しません。
 注意しなければならないのは、社長と法人との間で賃貸借(転貸借)契約を締結して契約書を残しておくということです。
 また、もともとの不動産オーナーと社長との賃貸借契約書に、転貸禁止条項や商用利用禁止条項がないことを確認しておくことも必要です。

2.法人名義の賃貸借契約の場合

 社長の自宅である賃貸住宅を、社長名義ではなく法人名義で賃貸借契約をした場合は、家賃のうち自宅兼事務所の事務所部分だけではなく、自宅部分の一部も経費にすることができます。法人が住宅を借り上げて社宅として取り扱うことによって、その家賃の住居部分の経費化が可能になります。
 この場合、社長は法人に対して社宅家賃を支払うことになりますが、その月額賃貸料は次の(1)と(2)のいずれか多い方の金額となります。

(1) 法人が支払う賃借料の額の50%に相当する金額
(2) 仮にその住宅を法人が所有しているとした場合に、次の算式により計算した金額
{その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12%(木造家屋以外の家屋については10%)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%}×1/12

 ただし、その貸与した家屋の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積。)が132㎡(木造家屋以外の家屋については99㎡)以下であるものに係る通常の賃貸料の額は、上記にかかわらず、次に掲げる算式により計算した金額となります。

その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%+12円×当該家屋の総床面積(㎡)/3.3(㎡)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

 例えば、総床面積100㎡、事務所部分20㎡、家賃10万円の賃貸マンションを法人名義で借りた場合、法人の実質的な経費は次のようになります(便宜上、法人が支払う住居部分の賃借料の50%を社宅家賃としています)。

(1) 事務所部分:10万円×20㎡/100㎡=2万円
(2) 社長が法人に支払う社宅家賃:(10万円-2万円)×50%=4万円
(3) 法人の実質的な経費:10万円-4万円=6万円

 法人は貸主である不動産オーナーに10万円の家賃を支払って地代家賃で費用処理しますが、社長から受け取る社宅家賃4万円を雑収入で収益計上するため、法人の実質的な経費は10万円-4万円=6万円となります。

相続税を期限後申告した場合の本税・附帯税の清算

1.期限内申告における本税の清算手続き

 相続税の申告期限までに、遺産分割協議がまとまらない等の理由から相続財産が未分割の場合には、法定相続分によって申告が行われます。
 その後に分割が確定して相続分に移動があった場合には、各相続人ごとに修正申告(分割が確定したことにより納付すべき税額が増える場合)や更正の請求( 分割が確定したことにより納付すべき税額が減る場合 )をすることができるとされています。
 この場合の「できる」という表現は、修正申告や更正の請求を行わずに、各相続人間で相続税の増差額の清算を行うのみでよいとされているからです。
 未分割財産を法定相続分で期限内申告をした場合は、このように相続税(本税)の清算手続きが行われます。
 では、未分割財産を法定相続分で期限後申告した次の例では、どのような清算手続きになるのでしょうか?

2.期限後申告における本税・附帯税の清算手続き

 兄弟3人で遺産を相続した際に、相続税はかからないだろうと考えて相続税の申告をしていなかったところ、相続税の申告期限後に申告と納税が必要だったことが判明しました。
 とりあえず未分割の状態で期限後申告を行い、法定相続分の3分の1ずつの相続税と無申告加算税、延滞税を納付しました。
 後日遺産分割協議が整い、長男が相続財産の2分の1を相続し、次男と三男はそれぞれ4分の1ずつを相続することになりました。
 このような場合における相続税と加算税、延滞税の清算はどのように行えばいいのでしょうか?

 上記1の期限内申告の場合と異なり、期限後申告の場合は加算税や延滞税があるので、修正申告と更正の請求が必要になります。
 納付すべき相続税が増える長男は修正申告を行いますが、増額した相続税に係る無申告加算税・過少申告加算税・延滞税は課税されません。
 また、次男と三男については、未分割で申告した法定相続分よりも確定した相続税の方が少なくなったので更正の請求を行い、相続税の減額部分の還付と、当初の期限後申告で納付した無申告加算税と延滞税の相続税減額部分相当分の還付を受けることができます。
 このように、税額が増加する場合(長男)には、その本税についてのみ納税義務が生じますが、減少する場合(次男・三男)には、本税だけでなく当初申告時に課税された加算税や延滞税等の附帯税についても還付を受けることができます。

災害による保険金収入の課税の繰延べと経理処理

1.災害損失特別勘定の繰入れによる損金算入

 昨今の台風や地震などの自然災害の大型化により、被災地では被害が甚大になるケースがあります。
 この被災地の被害に対して、最近では損害保険会社は保険金を迅速に支払うようになってきています。一方、被害が甚大な場合は、修理業者に修理を依頼しても、資材や人員の不足などから実際に修理をしてもらうまでに長期間待たされることもあります。
 その結果、被災事業年度に保険金の支払いを受けたにもかかわらず、実際に修理が行われるのが翌事業年度にずれるという事態も起こります。そうすると、被災事業年度においては保険金収入だけが計上(益金算入)されることになり、翌事業年度の修理に充てられる資金が目減りしてしまうという問題が生じます。
 このような場合には、修理業者の見積額など合理的に見積もった金額を災害損失特別勘定繰入額として損金経理し、保険金収入があった被災事業年度の損金の額に算入することによって、保険金収入に係る課税を繰り延べることができます(法人税基本通達12-2-6)。
 また、被災資産の修繕費用等の見積額は、その修繕等を行うことが確実な被災資産につき、例えば次の金額によるなど合理的に見積もるものとされています (法人税基本通達12-2-8) 。

(1) 建設業者、製造業者等による当該被災資産に係る修繕費用等の見積額
(2) 相当部分が損壊等をした当該被災資産につき、次のイからロを控除した金額
 イ 再取得価額又は国土交通省建築物着工統計の工事費予定額から算定した建築価額等 を基礎として、その取得の時から被災事業年度終了の日まで償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額
 ロ 被災事業年度終了の日における価額

 なお、この制度の適用を受けようとする場合は、災害損失特別勘定繰入額を損金経理により損金算入した事業年度の法人税の確定申告書に「災害損失特別勘定の損金算入に関する明細書」を添付する必要があります (法人税基本通達12-2-9) 。

2.災害損失特別勘定の経理処理

 以下において、簡単な数値例で経理処理を確認します(勘定科目名は一例です)。

(1) 被災資産につき、修理業者から見積もりを取って損害保険会社に保険金の支払いを請求したところ、1,000万円の保険金が支払われた。

借方 金額 貸方 金額
現金預金 1,000万円 保険金収入
(P/L特別利益)
1,000万円

(2) 修理業者の修理は翌事業年度に行われることになった。保険金収入の課税を繰り延べるため、決算で災害損失特別勘定1,000万円を設定した。

借方 金額 貸方 金額
災害損失特別勘定繰入損
(P/L特別損失)
1,000万円 災害損失特別勘定(B/S流動負債) 1,000万円

(3) 翌事業年度になって、950万円の修理が行われた。

借方 金額 貸方 金額
災害損失
(P/L特別損失)
950万円 現金預金 950万円
災害損失特別勘定 950万円 災害損失特別勘定取崩額
(P/L特別利益)
950万円

※ 災害のあった日から1年を経過する日の属する事業年度において、災害損失特別勘定の残額がある場合には、その残額を取り崩して益金の額に算入することとなりますが、やむを得ない事情により修繕等が遅れているときは、税務署長の確認を受けることにより、その修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度まで、災害損失特別勘定の残額の益金算入を延長することができます。

(4) 決算で災害損失特別勘定の残額を取り崩した。

借方 金額 貸方 金額
災害損失特別勘定 50万円 災害損失特別勘定取崩額
(P/L特別利益)
50万円

講師契約書に貼る印紙代と節税方法

1.課税文書の判定と文書の所属

 次の講師契約書は実務上よく見る文書ですが、この契約書に貼る印紙はいくらになるでしょうか?

                講師契約書

 委任者○○(以下、甲という)と講師△△(以下、乙という)は、下記のとおり甲の専属講師として契約する。

第1条 乙は甲の依頼により、企業や官公庁、大学などで実務的な簿記会計や税務に関する講義、検定試験の受験指導にかかる講義を行うものとする。

第2条 甲が乙に講義を依頼する際は、実施場所、講義日数、講義料等を別表により通知する。依頼を受けた乙は、1週間以内に承諾の可否を甲に連絡するものとする。

第3条 講義等にかかる交通費は実費を支給する。

第4条 甲の依頼により、教材、資料などを作成する場合は、別途教材作成料を支払うものとし、その料金は別途協議する。

第5条 契約期間は、令和3年11月1日~令和4年10月31日の1年間とする。

 答えは「印紙は不要」です。
 この契約書に書かれているのは、甲の依頼により乙は講師の仕事を1年間行うということだけで、実際に企業等での講師の仕事を依頼されたわけではありません。第1条や第2条の文言から、この契約書の作成段階において、乙は甲から何も仕事を請け負っていない(具体的には何も取引が発生していない)ので、この契約書は不課税文書になります。したがって、印紙の貼付けは不要です。

 では、上記契約書以外に次のような別表がある場合は、印紙代はいくらになるでしょうか?

                  別表

実施場所:◇◇大学
講  座  名:簿記検定試験直前対策
開  催  日:令和3年11月6日(土)
開催時間:13:00~16:00
開催条件:最小開催人数を5人とする
講師謝礼:受講料(税込)の35%

 答えは「200円」です。
 最初の契約書だけなら、具体的な取引が発生していないので、印紙の貼付けは不要でしたが、今回は甲から乙に実際に仕事の依頼があり、別表にその具体的な内容が記載されています。乙が1週間以内に承諾する旨を甲に連絡すれば、本件については契約成立となり、別表は課税文書になります。
 文書の所属については、この講座が3か月を超えて複数回行われるものであれば、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当する可能性がありますが、開催日が令和3年11月6日の1日だけですので、第2号文書(請負に関する契約書)となります。
 印紙税額を決める記載金額については、別表に「最小開催人数5人、講師謝礼は受講料(税込)の35%」と書かれていることから、記載金額(講師謝礼)を計算する際の元となる受講料は、受講者数によって変わります。別表からは実際の参加人数がわかりませんので、記載金額を計算することができません。したがって、この文書は記載金額のない第2号文書となり、印紙税額は200円となります。
 なお、契約を結んだときには別表がなく、後になって具体的な仕事が決まってから別表を作成する場合は、最初の契約書に印紙を貼る必要はありません。契約時には何も請け負っていないので、その契約書は不課税文書です。後日、別表が作成された時点で第2号の課税文書となり、別表に印紙を貼る必要があります。

2.印紙税の節税方法

 本事例は、別表がなければ不課税文書となり、印紙税はかかりません。とはいえ、甲が乙に仕事を依頼するには別表が必要です。
 そこで、別表を文書として作成するのではなく、別表の記載内容をメールでやり取りすれば、印紙税を納める必要はありません。

※ 印紙税の節税については、本ブログ記事「印紙税の節税方法5選」をご参照ください。

相続により取得した賃貸用建物の減価償却等の注意点

 被相続人が生前に不動産賃貸業を営んでおり、相続人がその不動産賃貸業を引き継ぐ場合には、いくつかの点に注意しなければなりません。
 例えば、引き継いだ賃貸用建物の減価償却費を計上するとき、取得価額をどのように決定すればいいのかについては、時価、簿価、相続税評価額などが頭に浮かびますが、これらを取得価額とすることはできるのでしょうか?
 また、相続で取得した賃貸用建物は、ほとんどの場合は中古資産に該当しますので、減価償却費を計上するときの耐用年数を「中古資産の耐用年数」(耐用年数省令第3条第1項)の規定で計算した耐用年数とすることができるのでしょうか?
 今回は、相続により賃貸用建物を取得した場合の減価償却等の注意点について確認します。

1.相続で取得した建物の取得価額と耐用年数

 冒頭で述べたように、相続により取得した建物の取得価額をいくらにすればよいかについては、思いつくままに挙げると、時価、簿価、あるいは相続税評価額などがあります。これらは、相続で取得した場合の取得価額になり得るのでしょうか?

 答えは「否」です。相続等により取得した資産について、所得税法施行令第126条第2項(減価償却資産の取得価額)※1の規定では、所得税法第60条1項(贈与等により取得した資産の取得費等)※2に規定する相続等により取得した資産が減価償却資産である場合の取得価額は、その減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合におけるその減価償却資産の取得価額に相当する金額とすることとされています。
 したがって、相続により取得した建物の取得価額は、時価、簿価、相続税評価額などではなく、被相続人の取得価額を相続人が引き継ぐこととなります。

 また、相続により取得した建物の耐用年数は、「中古資産の耐用年数」の規定で計算した耐用年数とすることができるのでしょうか?

 答えは「否」です。 耐用年数省令第3条第1項 に定める「中古資産の耐用年数」とは、次の計算式で計算した年数のことをいいます(その年数が2年未満となるときは2年とし、その年数に1年未満の端数があるときは切り捨てます)。

(1) 法定耐用年数の一部を経過した資産
 耐用年数=法定耐用年数-経過年数×0.8
(2) 法定耐用年数の全部を経過した資産
 耐用年数=法定耐用年数×0.2

 上述したように、相続等により取得した減価償却資産については、その減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなされますので、相続により取得した建物の耐用年数を「中古資産の耐用年数」の規定で計算した耐用年数とすることはできません

 以上から、相続( 限定承認に係るものを除く )により取得した建物については、被相続人から取得価額、耐用年数、経過年数及び未償却残高を引き継いで減価償却費を計算することになります。
 なお、建物については賃貸用建物という業務用資産を前提に述べてきましたが、非業務用資産であっても相続人から取得価額、耐用年数、経過年数及び未償却残高を引き継ぐ点は同じです。異なるのは、非業務用資産の減価償却費は、次のように計算する点です。

 取得価額×90%×法定耐用年数の1.5倍の年数に応ずる旧定額法の償却率×経過年数

(参考条文)
※1 所得税法施行令第126条第2項(減価償却資産の取得価額)では、次のように規定されています。

 法第60条第1項各号(贈与等により取得した資産の取得費等)に掲げる事由により取得した減価償却資産(法第40条第1項第1号(たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入)の規定の適用があつたものを除く。)の前項に規定する取得価額は、当該減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合における当該減価償却資産のこの条及び次条第2項の規定による取得価額に相当する金額とする。

※2 所得税法第60条1項(贈与等により取得した資産の取得費等)では、次のように規定されています。

 居住者が次に掲げる事由により取得した前条第1項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
一 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)

2.青色申告承認申請書の提出期限に注意

 被相続人の不動産賃貸業を相続人が引き継ぐにあたって注意しなければならないことは、青色申告承認申請書の提出期限です。相続により事業を承継した場合の提出期限は、以下のとおりです。

(1) 被相続人が青色申告をしていた場合
 ① 相続開始を知った日が1月1日~8月31日→相続開始日から4か月以内
 ② 相続開始を知った日が9月1日~10月31日→その年の12月31日
 ③ 相続開始を知った日が11月1日~12月31日→翌年2月15日
(2) 被相続人が白色申告をしていた場合
 ① 相続開始を知った日が1月1日~1月15日→相続した年の3月15日
 ② 相続開始を知った日が1月16日~12月31日→相続開始日から2か月以内

 相続により事業を承継した場合は、通常の提出期限と異なるケースもあります。青色申告承認申請書の提出はしているものの、期限に間に合っていない事例も見受けられますので、提出期限にはご注意ください。

3.遺産分割と所得の帰属に注意

 被相続人の不動産賃貸業を相続人が引き継ぐにあたって、もう一点注意しなければならないことがあります。それは、相続した賃貸物件から生じる所得の帰属です。
 結論だけ端的に述べると、遺産分割成立前の未分割の相続財産から生じた所得については、法定相続分に応じて各相続人に帰属することとなります。
 また、遺産分割成立後の相続財産から生じた所得については、実際にその相続財産を相続により取得した相続人に帰属することとなります。
 詳しくは、本ブログ記事「未分割の相続財産から生じた不動産所得の帰属は?」をご参照ください。
 

役員報酬月額を低額に抑えて賞与を支給する社会保険料節約術の税務上のリスク

1.社会保険料節約スキーム

 社会保険料の負担を軽減するため、役員の報酬月額を極端に低く抑え、その代わりに賞与(事前確定届出給与)を支給するという方法を、数年前から耳にするようになりました。
 この方法では社会保険料の負担を減らすことができますが、それは、賞与に係る健康保険料と厚生年金保険料に上限が設けられているためです。

 賞与に係る社会保険料の上限は、賞与の支給額が健康保険料については年間累計で573万円、厚生年金保険料については1回の支給につき150万円となっています。
 つまり、賞与の支給額がこれらの上限を超える場合、例えば1,000万円の賞与を支給したとしても、健康保険料については573万円、厚生年金保険料については150万円をベースに社会保険料が計算されることになります。
 したがって、毎月の役員報酬を低く抑える一方、上限を超える役員賞与を支給すると、上限を超える部分の社会保険料は支払わなくてよいことになるので、社会保険料の節約になります。

 例えば、毎月100万円(年間1,200万円)の役員報酬の支給を、毎月10万円の役員報酬と1080万円の役員賞与の支給に変更した場合は、どれくらいの節約になるでしょうか?
 以下において、次の前提の下でシミュレーションをしてみます。

【前提】
・年齢50歳(配偶者あり)
・健康保険組合は協会けんぽ(兵庫)、一般の事業
・2021(令和3)年4月時点の税率、保険料に基づいて計算

 毎月100万円(年間1,200万円)の役員報酬を支給した場合の社会保険料(会社負担分+個人負担分)は、次のとおりです。

健康保険料 117,992円
厚生年金保険料 118,950円
子ども・子育て拠出金 2,340円
合計(月額) 239,282円
合計(年額) 2,871,384円

 毎月10万円の役員報酬と1,080万円の役員賞与を支給した場合の社会保険料(会社負担分+個人負担分)は、次のとおりです。

  役員報酬10万円 役員賞与1,080万円
健康保険料 11,799.2円 689,892円
厚生年金保険料 17,934円 274,500円
子ども・子育て拠出金 353円 5,400円
合計(月額) 30,086円 969,792円
合計(年額) 361,032円 969,792円

 以上の結果から、毎月100万円(年間1,200万円)の役員報酬の支給を、毎月10万円の役員報酬と1,080万円の役員賞与の支給に変更した場合は、2,871,384円-(361,032円+969,792円)=1,540,560円の社会保険料の節約(年額)になります。

2.税金を考慮しても有利?

 役員報酬月額を低く抑えて役員賞与を支給する方法は、上記のとおり社会保険料の節約になりますが、社会保険料が減るということは、会社の利益や個人の所得から控除できる額も減ることになりますので、その分の法人税等や所得税、住民税が増えることになります。

 社会保険料は、会社と個人が折半して負担しますので、1,540,560円を節約することにより、会社の利益と個人の所得がそれぞれ770,280円ずつ増えることになります。
 この増えた部分に対して税金がどれくらいかかるのかをシミュレーションすると、下表のようになります。税率は、法人税等31%、所得税33%、住民税10%としています。

法人税等 238,786円
所得税 254,192円
住民税 77,028円
合計 570,006円

 社会保険料を1,540,560円節約した結果、税金が570,006円増えますが、それでも1,540,560円-570,006円=970,554円だけ社会保険料の節約効果の方が大きいことがわかります。税金を考慮しても、この社会保険料節約スキームは有利であるといえます。

3.税務上のリスク

 この社会保険料節約スキームを実行するには、税務署に事前確定届出給与に関する届出をし、その届出通りの支給をしなければなりません。
 では、届出通りの支給をしている場合、役員賞与は損金の額に算入できるのでしょうか?

 法人が役員に対して支給する給与の額については、定期同額給与、事前確定届出給与及び業績連動給与に該当する場合は、原則として損金の額に算入されますので、事前確定届出給与の届出をし、そのとおりに給与と賞与を支給しているのであれば、その点では損金の額に算入することが認められます(法人税法34条1項2号)。

 一方、法人税法34条2項は、役員給与のうち不相当に高額な部分の金額は損金に算入しない旨を規定しています。
 ここで懸念されるのは、各月の役員報酬の支給額と役員賞与の支給額に大きな差がある場合、その差額部分の金額は不相当に高額であるとして損金の額に算入されないのではないか、ということです。
 先の例では、年間の給与総額が120万円で賞与の額が1,080万円、合計で1,200万円ですが、税法が定める不相当に高額な給与とは、各月の給与の支給額や個々の賞与の額で判定するのか、年間の支給総額で判定するのか、について疑問が生じます。

 この不相当に高額な部分の判定基準は、以下の実質基準と形式基準の2つが規定されており、これらの基準により算出される超過金額のうち、多い方の額を過大とすることとされています(法人税法施行令70条)。

(1) 法人が各事業年度においてその役員に支給した給与の額が、その役員の職務の内容、その法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況その法人と同種の事業を営む法人で事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、その役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額(実質基準)
(2) 定款の規定又は株主総会等の決議により役員に対する給与として支給することができる金銭の額の限度額若しくは算定方法等を定めている法人が、各事業年度においてその役員に対して支給した給与の額の合計額がその事業年度に係るその限度額及びその算定方法により算定された金額等を超えるにはその超える部分の金額(形式基準)

 税法の規定振りを見ると、「 各事業年度においてその役員に支給した給与の額 」又は「 各事業年度においてその役員に対して支給した給与の額の合計額 」とされており、各月の給与の支給額とも個々の賞与の額とも書かれていません。
 つまり、不相当に高額な部分の金額は、 各月の給与の支給額や個々の賞与の額で判定するのではなく、年間の支給総額で判定する ことになります。先の例では、報酬月額10万円や賞与1,080万円で判定するのではなく、支給総額の1,200万円で判定します。

 したがって、各月の役員報酬の支給額と役員賞与の支給額に大きな差があったとしても、事前確定届出給与の届出のとおりに支給されており、その支給した給与の合計額が不相当に高額であると認められない場合には、損金の額に算入されます
 結局のところ、この問題は、役員に支給した給与と賞与の総額が不相当に高額であるか否かという点に帰結します。