賃貸用マンションの修繕積立金は支払期日に必要経費算入可、意外な盲点は管理費の消費税の取扱い

 分譲マンションのオーナー(区分所有者)が、転勤等のため長期間自室を留守にする場合、賃貸に出して家賃収入を得ることがあります。
 賃貸に出した場合でも、修繕積立金と管理費をマンション管理組合に支払うのは、オーナーである区分所有者です(家賃に転嫁して賃借人の負担とするかどうかは別として)。
 今回は、修繕積立金を必要経費に算入する時期の確認と、意外な盲点である(間違った処理が多い)管理費の消費税の取扱いを確認します。

1.原則は修繕完了時に必要経費算入

 修繕積立金は、原則として、実際に修繕等が行われその修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になります。
 修繕積立金は、マンションの共用部分について行う将来の大規模修繕等の費用の額に充てられるために長期間にわたって計画的に積み立てられるものであり、実際に修繕等が行われていない限りにおいては、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していないことから、原則的には、管理組合への支払期日の属する年分の必要経費には算入されず(所得税基本通達37-2)、実際に修繕等が行われ、その費用の額に充てられた部分の金額について、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費に算入されることになります。

2.一定の場合は支払期日に必要経費算入可

 しかしながら、修繕積立金は区分所有者となった時点で、管理組合へ義務的に納付しなければならないものであるとともに、管理規約において、納入した修繕積立金は、管理組合が解散しない限り区分所有者へ返還しないこととしているのが一般的です(マンション標準管理規約(単棟型)(国土交通省)第60条第6項)。
 そこで、修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、次の事実関係の下で行われている場合には、その修繕積立金について、その支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものとされています。

(1) 区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
(2) 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
(3) 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
(4) 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法により算出されていること

3.管理費の消費税課税区分は不課税!

 不動産所得の計算上、修繕積立金を必要経費に算入する時期については上記のとおりです。また、管理費については、支払期日に必要経費に算入することに関して疑義は生じません。
 しかし、マンション管理組合に支払う管理費の消費税課税区分には要注意です。支払った管理費の課税区分を「課税仕入」としているケースが多いのですが、これは間違いです。
 マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しません。したがって、マンション管理組合に支払う管理費の消費税課税区分は「不課税(課税対象外)」となります。
 区分所有者が支払う管理費が、マンション管理組合を介して、マンションを管理する不動産業者に渡るとしても、現行の消費税法では不課税となります。

相続財産を売却した場合の取得費加算の特例

 相続開始後3年10か月以内に相続財産を譲渡(売却)した場合は、相続税額の一部を取得費に加算することにより、譲渡所得に係る所得税額を軽減することができます。
 今回は、この取得費加算の特例の内容と計算例を確認します。

1.取得費加算の特例

(1) 特例の概要

 相続又は遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、相続開始の日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合は、実際の取得費又は概算取得費に一定の相続税額を加算して、譲渡所得に係る所得税額額を軽減することができます。

譲渡所得の計算式
譲渡所得=収入金額-〔(取得費+加算する相続税額)+譲渡費用〕-特別控除額

(2) 取得費に加算する相続税額

 取得費に加算する相続税額は、次の計算式で計算した金額となります。ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額が取得費に加算する相続税額となります。
 なお、譲渡した財産ごとに計算します。

取得費に加算する相続税額の計算式
取得費に加算する相続税額=その者の相続税額×その者の譲渡資産の相続税の課税価格/その者の債務控除前の相続税の課税価格

(3) 特例を受けるための要件

 この特例を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

① 相続や遺贈により財産を取得した者であること
② その財産を取得した人に相続税が課税されていること
③ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

(4) 特例を受けるための手続き

 この特例を受けるためには、確定申告をすることが必要です。
 確定申告書には、①相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書、②譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書【土地・建物用】)や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書などの添付が必要です。

(5) 留意点

 この特例を受けるにあたって、留意しなければならない点は次のとおりです。

① この特例は譲渡所得のみに適用がある特例ですので、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得については、適用できません。
② この特例と空き家の譲渡所得の特例とは、選択適用となります。なお、空き家の譲渡所得の特例については、本ブログ記事「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例」をご参照ください。

2.計算例

 相続により令和元年10月に取得した土地のうち、その2分の1を令和3年4月に譲渡した場合の譲渡所得の金額と所得税額は以下のようになります(下表を前提とします)。

取得した相続財産の課税価格 1億円
上記のうち土地の相続税課税価格 8,000万円
譲渡した土地の相続税課税価格 4,000万円
土地の譲渡価額 5,000万円
取得費 不明
仲介手数料 50万円
譲渡した者の納付すべき相続税額 1,000万円

取得費に加算する相続税額は、1,000万円×4,000万円/1億円=400万円になります。
譲渡所得の金額は、5,000万円-(5,000万円×5%+400万円+50万円)=4,300万円になります。
所得税額は、4,300万円×20.315%=873万5,450円になります。
なお、取得費加算の特例の適用がない場合の所得税額は、954万8,050円です。

個人年金保険の一時金は一時所得以外に雑所得でも申告可能

 個人年金保険は、毎年「年金」として受け取る人が多いと思われますが、将来の年金を「一時金」として一括受給することもできます。
 年金と一時金、どちらで受け取った方が良いのかについては、たびたび議論されるところではありますが、今回はその議論はさておき、一時金として一括受給した場合の所得区分について述べていきます。

1.所得税基本通達35-3

 一般的には、個人年金保険を「年金」として受給した場合の所得区分は雑所得、「一時金」として一括受給した場合の所得区分は一時所得と考えられています。
 ところが、所得税基本通達35-3(年金に代えて支払われる一時金)では、次のように規定されています。

35-3 令第183条第1項、令第184条第1項、令第185条又は令第186条の規定の対象となる年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち、当該年金の受給開始日以前に支払われるものは一時所得の収入金額とし、同日後に支払われるものは雑所得の収入金額とする。ただし、同日後に支払われる一時金であっても、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものは、一時所得の収入金額として差し支えない。

 つまり、①受給開始日以前に支払われる一時金(解約返戻金等)は一時所得、②同日に支払われる一時金は雑所得、③同日に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われる一時金一時所得として差し支えない、とされています。
 ①の受給開始日以前に支払われる一時金とは解約返戻金等であり、これは一時所得になります。今回問題としているのは、②③の受給開始日後に支払われる一時金です。
 そうすると、上記通達の「差し支えない」という文言から、受給開始日後に支払われる一時金は雑所得が原則であり、一時所得とするのは例外のようにも読み取れます。
 この点について、以下で確認します。

2.有期年金の場合は雑所得又は一時所得

 個人年金保険は、有期年金と終身年金に大別されます。
 有期年金とは、年金の支払期間(保証期間)終了後に受給資格者が生存していても、年金は支払われないものをいいます。例えば、10年有期年金であれば、支払開始から10年間だけ年金が支払われ、その後は受給資格者が生存していても、年金は支払われないことになります。
 一方、終身年金は、終身にわたって年金が支払われるもの、つまり、受給資格者が生存している限り年金が支払われるものをいいます。

 ここで少し整理すると、受給開始日後に支払われる一時金のうち、今回問題としているのは有期年金です。
 有期年金は、年金の保証期間終了をもって年金の支払がストップする仕組みですので、有期年金の一時金は、所得税基本通達35-3でいう「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」に該当し、「一時所得の収入金額として差し支えない」ことになります。
 すなわち、同通達における一時金の所得区分は雑所得を原則とし、将来の年金給付の総額に代えて支払われる一時金については、一時所得とすることもできるということです。
 個人年金保険の一時金は、税務メリットのあるケースが多いと考えられる一時所得で申告するのが一般的だと思われますが、「一時金=一時所得」と定型的に考えるのではなく、雑所得とした場合の税務メリット(例えば、他の雑所得の損失との内部通算が認められる等)も考慮した方がいいかもしれません。
 ただし、次の保証期間付終身年金の一時金については、一時所得とすることはできず雑所得になります。

3.保証期間付終身年金の場合は雑所得

 保証期間付終身年金は、受給資格者が保証期間終了後も生存していれば、引き続き年金が支払われるというものです。
 保証期間に係る一時金を受給しても、その後生存していれば再び年金を受給できる仕組みですので、保証期間付終身年金の一時金は、一時所得となる「将来の年金給付の総額に代えて支払われる一時金」に該当しないとされています(国税庁・質疑応答事例参照)。
 したがって、保証期間付終身年金の一時金の所得区分は雑所得になります。

生命保険金を受け取ったときの税金

 生命保険金を受け取った場合、その保険金が死亡に基づくものか、満期によるものか、また、保険料の負担者は誰なのかなどによって課税関係が異なります。
 今回は、生命保険金を受け取ったときの課税関係について整理します。

1.死亡保険金を受け取ったとき

 例えば、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻」の生命保険契約の保険料を、夫が支払っていたとします。
 このような状況で夫が亡くなった場合は、妻は保険会社から死亡保険金を受け取ります。このとき、妻が受け取った死亡保険金は相続税の課税対象(みなし相続財産)となります。
 また、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻」の生命保険契約の保険料を、妻が支払っていたとします。
 このような状況で夫が亡くなった場合も、妻は保険会社から死亡保険金を受け取るのですが、さきほどの例とは異なり、妻が受け取る死亡保険金はみなし相続財産にはなりません。
 妻が自分で保険料を支払って、自分で保険金をもらったわけですから、一時所得として所得税の課税対象になります。
 さらに一例を挙げると、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻」の生命保険契約の保険料を、子が支払っていたとします。
 この場合も、妻が受け取る死亡保険金はみなし相続財産にはなりません。子が保険料を支払っていたからこそ、妻は保険金を受け取っているのですから、この場合は子から妻への贈与となり、贈与税の課税対象(みなし贈与財産)となります。
 死亡保険金に限らず、生命保険金を受け取った場合の課税関係において重要なことは、誰が保険料を支払っていたか(誰が保険料の負担者なのか)ということです。
 保険契約者が保険料負担者であることが一般的ですが、必ずしもそうではないケースもありますので、注意しなければなりません。
 下表は、被保険者が死亡した場合の課税関係の例を示したものです。

  負担者 被保険者 受取人 課税関係
死亡保険金 妻に相続税:保険金-(500万円×法定相続人)
妻の一時所得※:(保険金-支払保険料-50万円)×1/2
妻に贈与税:保険金-110万円
夫の一時所得※:(保険金-支払保険料-50万円)×1/2
子に贈与税:保険金-110万円

※ 一定の一時払養老保険等の差益は、源泉徴収だけで納税が完了する源泉分離課税となります。また、年金方式で保険金を受け取った場合は、その年ごとの雑所得として所得税及び復興特別所得税がかかります。

2.満期保険金・解約返戻金を受け取ったとき

 上記1は死亡保険金を受け取ったときの課税関係でしたが、満期保険金や解約返戻金を受け取ったときの課税関係はどうなるでしょうか。
 例えば、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻」の生命保険契約の保険料を、夫が支払っていたとします。
 このような状況で保険契約が満期を迎えた場合は、妻は保険会社から満期保険金を受け取ります。満期保険金は、夫がまだ亡くなっていませんので、みなし相続財産にはなりません。この満期保険金は、夫が保険料を支払っていたからこそ、保険会社から妻に支払われるものです。したがって、夫から妻への贈与となり、贈与税の課税対象(みなし贈与財産)となります。
 また、「契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻」の生命保険契約の保険料を、妻が支払っていたとします。
 このような状況で、保険契約が満期を迎えた場合に妻が受け取る満期保険金は、みなし贈与財産にはなりません。
 妻が自分で保険料を支払って、自分で保険金をもらったわけですから、一時所得として所得税の課税対象になります。
 満期保険金や解約返戻金を受け取ったときの課税関係についても、誰が保険料を支払っていたか(誰が保険料負担者なのか)ということが重要です。
 下表は、満期保険金や解約返戻金を受け取った場合の課税関係の例を示したものです。

  負担者 被保険者 受取人 課税関係
満期保険金解約返戻金 妻に贈与税:保険金-110万円
妻の一時所得※:(保険金-支払保険料-50万円)×1/2
妻に贈与税:保険金-110万円
夫の一時所得※:(保険金-支払保険料-50万円)×1/2
子に贈与税:保険金-110万円

※ 一定の一時払養老保険等の差益は、源泉徴収だけで納税が完了する源泉分離課税となります。また、年金方式で保険金を受け取った場合は、その年ごとの雑所得として所得税及び復興特別所得税がかかります。

副業の給与所得が会社にバレない方法とは?

 かつては副業を禁止する会社が多かったのですが、最近は副業を容認(あるいは推奨)する会社が増えてきています。公務員でも、届出さえしておけば副業が許される自治体もあるようです。
 今は世の中が副業に対して寛容になったとはいえ、一方で副業を禁止する会社もあり、また、副業が解禁されている会社に勤めていても、副業していることを会社に知られたくない場合もあるかと思います。
 今回は、副業が会社にバレない一般的な方法と、副業の「給与所得」が会社にバレないイレギュラーな方法について述べます。

1.副業がバレない一般的な方法

 会社員が会社勤めの傍ら行う副業には、様々なものがあります。例えば、アフィリエイト、FX取引、仮想通貨取引、原稿執筆、講演、UBER EATS ドライバーなどがあります。これらの活動によって得た所得は、雑所得に区分されます。
 また、自分が所有するマンションの一室を賃貸して家賃収入を得ることもありますが、これは不動産所得に区分されます。
 さらに、副業ではありませんが、例えば自分の居住する住宅を売って売却代金を受け取ると、これは譲渡所得になります。
 これらの活動によって得た所得は、基本的には確定申告をする必要があります。その結果、これらの所得は本業の給与所得と合算されて住民税が課税され、会社で給与から天引き(特別徴収)されますので、会社の経理担当者に給与以外に所得があると気づかれる可能性があります。
 このような副業が会社にバレないようにするために、一般的によく行われるのは次の方法です。

 所得税の確定申告書第二表には、「住民税・事業税に関する事項」欄に住民税の徴収方法を選択する箇所があります(上図参照)。この箇所の「自分で納付」に〇をつけて申告すると、副業による所得に関する住民税の通知・納付書が自宅に届きますので、その分を自分で納付すれば、副業を会社に知られずに済みます(自分で納付する方法のことを「普通徴収」といいます)。

 なお、会社員の副業による雑所得等が20万円以下の場合は、確定申告をしなくてもよいことになっています(詳しくは、本ブログ記事「給与所得者と公的年金等受給者の確定申告不要制度の注意点」をご参照ください)。

2.副業が給与所得の場合はどうする?

 一般的には上記1の方法により副業を会社に知られないようにするのですが、副業で得た収入が給与所得に該当する場合はどうでしょうか?
 例えば、コンビニ、スーパー、レストラン、居酒屋、塾、専門学校などでアルバイトをしている場合、これらで得た収入は給与所得になります。副業が給与所得の場合、上記1の方法は使えません。
 上記1の図をよく見ると、「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」となっているのがわかります。
 つまり、給与所得以外の所得(雑所得や不動産所得など)については、確定申告書第二表で住民税の徴収方法を選択できるのですが、給与所得の場合は住民税の徴収方法は選択できず、原則として特別徴収になります。
 また、本業と副業の2か所から給与所得を得ていますので、たとえ副業の給与所得が20万円以下だったとしても、確定申告不要制度は使えません。
 そうすると、副業で得た所得を確定申告して、さらに住民税を特別徴収されると、会社に副業がバレる可能性があります。
 このような場合は、どうすることもできないのでしょうか?

 残された唯一の方法は、自分が住んでいる市区町村に住民税の普通徴収の申し出をすることです。
 本来は2か所からの給与所得は合算され、その合計に対して住民税が課税され、一律特別徴収されますので、副業分の住民税だけを普通徴収にするというのはイレギュラーな手続きになります。
 しかし、副業を会社に知られたくない旨を伝えると、この普通徴収の申し出に対応してくれる市区町村もあります。
 イレギュラーな手続きになりますので、原則として納税者本人が市区町村の窓口で手続きをする必要があります(同居家族であれば委任状がなくても手続きできる場合があります)。申し出といっても何か特別な様式があるわけではなく、2か所分の源泉徴収票と印鑑を持参して、本業は特別徴収、副業は普通徴収を希望することを担当者に相談するだけです。相談できる期限は所得税の確定申告期限と同じであり、所得税の確定申告が済んでいなくても相談できます。
 市区町村によって対応は異なると思いますが、一度相談してみる価値はあります。

青色申告と白色申告の特典比較

1.白色申告は現金主義で記帳できるという誤解

 青色申告と白色申告には、それぞれ適用できる特典がありますが、両者を混同して適用を誤ってはいけません。
 例えば、「青色申告の記帳は発生主義によらないといけないが、白色申告の場合は現金主義で記帳することができる」という認識があるとすれば、これは誤解です。
 青色申告も白色申告も、原則として発生主義による記帳を行わなければなりません。現金主義による記帳は、一定の要件を満たす青色申告者のみに認められた特典であり、白色申告者に現金主義の適用はありません。
 また、白色申告者が取得価額30万円未満の少額減価償却資産を必要経費に算入することはできません。これも青色申告者のみに認められた特典です。
 このような適用誤りを防止するために、青色申告と白色申告について、それぞれに認められている特典の比較を行います。

2.主な特典の比較

 青色申告と白色申告の特典は、次のとおりです。

特典 青色申告 白色申告
青色申告特別控除 最高65万円又は10万円を不動産所得、事業所得、山林所得から順次控除できる 適用なし
青色事業専従者給与
事業専従者控除
事業的規模の所得において、労務の対価として相当と認められる金額の範囲内で支払われた給与は、全額必要経費に算入できる 事業的規模の所得において、専従者1人あたり最高50万円(配偶者は86万円)を必要経費に算入できる
現金主義 前々年の不動産所得及び事業所得の合計額が300万円以下の場合は、現金主義による所得計算ができる 適用なし
少額減価償却資産の特例 取得価額が30万円未満の少額減価償却資産は、業務の用に供した年に、全額必要経費に算入できる(年間300万円が限度) 適用なし
貸倒引当金 事業的規模の所得において、個別評価、一括評価(事業所得に限る)による貸倒引当金の計上ができる 事業的規模の所得において、個別評価のみ認められる
低価法 棚卸資産は低価法により評価できる 適用なし
純損失の繰越控除 損失額のうち、同一年中の所得と通算しても控除しきれない金額は、翌年以降3年間にわたり控除できる 変動所得又は被災事業用資産の損失に限り繰越控除できる
純損失の繰戻し還付 前年分の所得に対する税金から還付を受けられる 適用なし

中古住宅を取得した場合の住宅借入金等特別控除の適用要件

 住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)は、新築住宅から中古住宅、増改築まで幅広く適用があります。
 中古住宅の場合は住宅ローン控除を受けられないと思っている方も見受けられますが、要件を満たせば適用を受けることができますので、確定申告をして税負担を軽くしましょう。 
 個人が中古住宅を取得した場合で、次の1~5の要件をすべて満たすときは、住宅ローン控除の適用を受けることができます。
 なお、居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合、控除の適用対象は主として居住の用に供する一つの住宅に限られます。

1.家屋等に関する要件〈築年数等〉

 取得した中古住宅が、次の(1)~(4)のいずれにも該当する住宅であること

(1) 建築後使用されたものであること

(2) 次の①~③のいずれかに該当する住宅であること

① 家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下であること

※ 「耐火建築物」とは、建物登記簿に記載された家屋の構造のうち、建物の主たる部分の構成材料が、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造(軽量鉄骨造は含みません)、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造のものをいいます。

② 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの (耐震基準)に適合する建物であること

※ 次の証明書等が付された家屋の場合は、上記①の築年数の要件を満たすものとされます。
イ.耐震基準適合証明書(家屋取得の日前2年以内に証明のための調査が終了したもの)
ロ.建設住宅性能評価書(評価等級が1~3のもの)の写し(家屋取得の日前2年以内に評価されたもの)
ハ.既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類(家屋取得の日前2年以内に締結されたもの)

③ 2014年(平成26年)4月1日以後に取得した中古住宅で、上記①又は②のいずれにも該当しない一定のもの(要耐震改修住宅)のうち、その取得の日までに耐震改修を行うことについて申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修(租税特別措置法41条の19の2(既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除)第1項又は41条の19の3(既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除)第6項若しくは第8項の適用を受けるものを除きます。)により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること

(3) 取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得でないこと

(4) 贈与による取得でないこと

2.家屋等に関する要件〈床面積〉

 取得した住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること

※ この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。

(1) 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。

(2) マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分(共有部分)については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。

(3) 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。

(4) 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。
 ただし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する部分(専有部分)の床面積によって判断します。

3.取得者に関する要件

次の(1)~(3)のいずれにも該当すること

(1) 取得者は居住者であること(2016年(平成28年)4月1日以後の取得については、非居住者でも可)

(2) 取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること

※ 個人が死亡した日の属する年にあっては、同日まで引き続き住んでいれば適用を受けることができます。

※ 中古住宅を取得した後、その住宅に入居することなく増改築等工事を行った場合の住宅借入金等特別控除については、新型コロナウイルス感染症の影響によって工事が遅延したことなどにより、その住宅への入居が控除の適用要件である入居期限要件(取得の日から6か月以内)を満たさないこととなった場合でも、次の①~③の要件を満たすときは、その適用を受けることができます(新型コロナ税特法6条、新型コロナ税特令4条)。

① 中古住宅の取得をした日から5か月を経過する日又は新型コロナ税特法の施行の日(2020年(令和2年)4月30日)から2か月を経過する日のいずれか遅い日までに、増改築等の契約を締結していること

② 増改築等の終了後6か月以内に、中古住宅に入居していること

③ 2021年(令和3年)12月31日までに中古住宅に入居していること

(3) この特別控除の適用を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること

※ 合計所得金額とは、次の①~⑦の合計額をいいます。

① 純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失、上場株式等に係る譲渡損失、特定投資株式に係る譲渡損失及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用する前の総所得金額

② 特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額

③ 株式等に係る譲渡所得等の金額

④ 上場株式等の配当所得等(上場株式等に係る譲渡損失との損益通算後の金額)

⑤ 先物取引に係る雑所得等の金額

⑥ 山林所得金額

⑦ 退職所得金額

4.借入金に関する要件

 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている中古住宅の取得のための一定の借入金又は債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます)があること

※ 一定の借入金又は債務とは、例えば銀行等の金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、勤務先などからの借入金や独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、建設業者などに対する債務です。
 ただし、勤務先からの借入金の場合には、無利子又は0.2%(2016年(平成28年)12月31日以前に居住の用に供する場合は1%)に満たない利率による借入金は、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。
 また、親族や知人からの借入金は全て、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。

5.重複適用排除の対象となる譲渡所得の特例

 取得した家屋をその居住の用に供した個人が次の(1)(2)の期間において、その取得をした家屋及びその敷地の用に供している土地等以外の資産(それまでに住んでいた家屋など)について、居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと

(1) 2020年(令和2年)4月1日以後に譲渡した場合
 その居住の用に供した年とその前2年・後3年の計6年間

(2) 2020年(令和2年)3月31日以前に譲渡した場合
 その居住の用に供した年とその前後2年ずつの計5年間

※ 重複適用排除の対象となるのは、以下の譲渡所得の特例です。
・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3)
・居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35①)
・特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2、36の5)
・既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の5)

屋号付き口座は所得税の還付口座にできません

 令和2年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書の受付は、令和3年2月16日(火)から同年3月15日(月)までです
 また、確定申告の必要がない方でも、ふるさと納税等の寄附金控除や医療費控除などにより、源泉徴収された税金の還付を受けるための申告(還付申告)をすることができます。
 この還付申告については、令和3年2月15日(月)以前でも行えます。令和2年分であれば、令和3年1月1日から令和7年12月31日まで申告することができます。
 今回は、還付申告する際の還付口座(還付される税金の受取口座)の留意点を確認します。

※ 国税庁より、2021年(令和3年)2月2日、申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限について、全国一律で令和3年4月15日(木)まで延長されることが発表されました。
 これに伴い、振替納税に係る振替日についても、申告所得税は令和3年5月31日(月)、個人事業者の消費税は令和3年5月24日(月)とされました。

1.還付金の受取方法

 還付金の受取りには、「預貯金口座への振込みによる方法」と「最寄りのゆうちょ銀行各店舗又は郵便局に出向いて受け取る方法」とがあります。
 あまり利用されていないように思うのですが、後者の受取方法の場合は、後日、国庫金送金通知書が送付されますので、指定したゆうちょ銀行の各店舗や郵便局窓口に国庫金送金通知書と身分証明書(運転免許証又は国民健康保険被保険者証など、本人であることを証するもの)を持参して還付金を受け取ります。
 前者の受取方法の場合は、指定した金融機関の預貯金口座に還付金が直接振り込まれます。税務署もこの方法を推しているように思います。

2.還付口座の記載方法と留意点

 還付金の受取りに預貯金口座への振込みを希望する場合は、確定申告書第一表の「還付される税金の受取場所」欄に、申告者本人の取引している金融機関名、預貯金の種別及び口座番号を記載します。
 具体的には、次のように記載します。

(1) 銀行等の預金口座の場合の記載方法

「預金種類」欄は、該当する預金種類に印を付けます(総合口座の場合は「普通」に印を付けます)。
「口座番号記号番号」欄は、口座番号のみを左詰めで記入します。

(2) ゆうちょ銀行の貯金口座の場合の記載方法

「口座番号記号番号」欄は、貯金総合通帳の記号番号のみを左詰めで記入します。その際、以下の点に注意してください。
① 他の金融機関との振込用の「店名(店番)」「口座番号」は記入しません。
② 記号部分と番号部分の間に1桁の数字(通帳再発行時に表示される「-2」などの枝番)がある場合は、その数字の記入は不要です。例えば、「12340 - 2 - 12345671」の「-2」は不要です。

※ ゆうちょ銀行の各店舗又は郵便局窓口での受取りを希望する場合は、受取りを希望する郵便局名等を記入します。

(3) 還付口座の留意点

 預貯金口座への振込みを希望する場合は、原則として、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、漁業協同組合及びゆうちょ銀行の預貯金口座を指定することができます。
 ただし、以下の点に留意する必要があります。
① 還付金の振込みに指定できる預貯金口座については、申告者本人名義のものに限られます。申告者本人の氏名のほかに店名、事務所名などの名称(屋号)が含まれる場合は振込みできないことがありますので、申告者本人の氏名のみの口座を指定します。
旧姓のままの名義である場合には、振込みができません。
③ 納税管理人の指定をしている場合は、その納税管理人の名義の預貯金口座となります。
一部のインターネット専用銀行については還付金の振込みができませんので、振込みの可否について、あらかじめ利用しているインターネット専用銀行に確認する必要があります。

事業税の計算上の留意点(所得税との相違点)

 前回、所得税の確定申告の際に見落とされがちな第二表の「事業税に関する事項」欄の記載方法について確認しました。
 今回はその続編として、個人事業税の計算方法と留意点についてみていきます。

1.税額の計算式

 個人事業税の計算は、所得税の事業所得・不動産所得をもとに行います。計算式を示すと、次のようになります。なお、所得税における雑損控除、医療費控除、配偶者控除などの「所得控除」については、個人事業税では適用がありませんのでご注意ください。

(1) 所得税の事業所得・不動産所得の金額
(2) 所得税の事業専従者控除(給与)額
(3) 個人事業税の事業専従者控除(給与)額
(4) 青色申告特別控除額
(5) 非課税所得金額
(6) 損失の繰越控除額
(7) 被災事業用資産の損失の繰越控除額
(8) 事業用資産の譲渡損失の控除額
(9) 事業用資産の譲渡損失の繰越控除額
(10) 事業主控除額(年290万円)
(11) 課税標準額
× (12) 税率
(13) 年税額

 以下では、この計算式の各項目の留意点についてみていきます。

2.計算上の留意点(所得税との相違点)

(1) 所得税の事業所得・不動産所得の金額

 所得税の確定申告の際に次の算式で計算した事業所得・不動産所得の金額です。

 総収入金額-必要経費-青色事業専従者給与又は事業専従者控除-青色申告特別控除=所得金額

(2) 所得税の事業専従者控除(給与)額

 所得税の確定申告で「事業税が課税される事業」に係る所得金額の計算上認められた事業専従者控除(給与)額です。
※ 「事業税が課税される事業」については、前回記事「確定申告書B第二表『事業税に関する事項』欄の記載」(以下「前回記事」といいます)をご参照ください。

(3) 個人事業税の事業専従者控除(給与)額

 原則として、上記(2)の「所得税の事業専従者控除(給与)額」と同額となりますが、所得税で「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していない場合で、事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上のその他の親族でその事業に専ら従事している人に対して、実際に給与の支払いがされている場合は、事業税では事業専従者にできますのでその給与額を控除します。

(4) 青色申告特別控除額

 所得税の所得の計算上認められた青色申告特別控除額は、事業税の所得の計算上は適用がありませんので加算します。

(5) 非課税所得金額

 非課税所得については、前回記事をご参照ください。

(6) 損失の繰越控除額

 所得税と同様の要件のもとに認められます。ただし、事業税が課税される所得に対する損失額に限られます。

(7) 被災事業用資産の損失の繰越控除額

 所得税と同じ対象の資産について同じ要件のもとに、事業税の所得計算上生じた損失額で当該年度に控除される損失額です。

(8) 事業用資産の譲渡損失の控除額

 譲渡損失が生じた年分の所得から控除します。青色申告者で譲渡損失が生じた年分の所得から控除しきれなかった場合は、一定の要件のもと、翌年以降3年間繰越控除が認められます。

(9) 事業用資産の譲渡損失の繰越控除額

 上記(8)と同じです。

(10) 事業主控除額(年290万円)

 事業を開廃業した場合は、事業を行っていた月数(1月に満たない端数は1月とします)に応じて次の額を控除します(単位:万円)。

事業期間 1月 2月 3月 4月 5月 6月
事業主控除額 24.2 48.4 72.5 96.7 120.9 145
事業期間 7月 8月 9月 10月 11月 12月
事業主控除額 169.2 193.4 217.5 241.7 265.9 290

(11) 課税標準額

 上記(1)~(10)までの計算を終えた段階(課税標準額)で1,000円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。

(12) 税率

 税率については、前回記事をご参照ください。

(13) 年税額

 年税額に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。なお、年税額が100円未満の場合は0円となります。
 年税額が1万円を超える場合は、8月及び11月の2期に分割して納付します。また、年税額が1万円以下の場合は、全額を8月に納付します。

3.計算例

 昨年7月に夫婦で飲食店を開業し、昨年の年間収入は1,000万円で必要経費は600万円でした。また、「青色申告承認申請書」「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しており、妻に75万円の給与を支給し、青色申告特別控除額は65万円でした。
 この場合の個人事業税の計算は、次のようになります。

 総収入金額(1,000万円)-必要経費(600万円)-青色事業専従者給与(75万円)-青色申告特別控除(65万円)=所得金額260万円

 {所得金額(260万円)+青色申告特別控除(65万円)-事業主控除(145万円)}×税率(5%)=年税額(90,000円)
 
 年税額90,000円を、8月(第1期分)と12月(第2期分)にそれぞれ45,000円ずつ納付します。

確定申告書B第二表の「事業税に関する事項」欄の記載

 個人事業税は、個人の行う物品販売業、製造業などの事業に対し、前年中の所得を課税標準として、その個人の事務所又は事業所(事務所又は事業所を設けないで行う事業については、住所又は居所)所在の都道府県が課税する税金です。
 通常は、所得税の確定申告をすれば、住民税(市・県民税)の申告と個人事業税の申告があったものとして取り扱われますので、別途申告は不要です。ただし、所得税の確定申告の際に、第二表の住民税・事業税に関する事項を記載しなければなりません。
 今回は、第二表の住民税・事業税に関する事項のうち、見落とされがちな「事業税に関する事項」欄の記載について確認します。

1.事業税が課税される事業

 個人事業税が課税される事業は、第1種事業(37業種)、第2種事業(3業種)及び第3種事業(30業種)に区分されており、所得税及び住民税の区分でいえば、概ね営業等所得及び不動産所得の一部に対して課税されます。

区分 標準税率
【第1種事業】
物品販売業、保険業、金銭貸付業、物品貸付業、製造業、請負業、印刷業、出版業、写真業、旅館業、料理店業、飲食店業、遊技場業、不動産売買業、不動産貸付業、駐車場業、広告業、運送業、運送取扱業、倉庫業、席貸業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、サウナ風呂等の公衆浴場業、演劇興行業、遊覧所業、興信所業、案内業、冠婚葬祭業、電気供給業、土石採取業、電気通信事業、船舶ていけい場業、両替業、商品取引業
5%
【第2種事業】
畜産業、水産業、薪炭製造業
4%
【第3種事業】
医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、行政書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、設計監督者業、不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業、歯科衛生士業、歯科技工士業、測量士業、土地家屋調査士業、海事代理士業、理容業、美容業、クリーニング業、第1種事業以外の公衆浴場業(銭湯)、印刷製版業
5%
【第3種事業】
あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業
3%

2.事業税が課税されない所得

 林業、鉱物の掘採事業にかかる所得については課税されません。また、上表に記載のある事業に該当する場合でも、次の所得については課税されません。

区分
【第2種事業】
畜産業、水産業及び薪炭製造業で自家労力(事業を行う人又はその同居の親族の労力)によって事業を行った日数の合計がその年中における延べ労働日数の2分の1を超える場合はその所得
【第3種事業】
医業、歯科医業、薬剤師業、あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業を行っている人の社会保険診療に係る所得
【第3種事業】
あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業を行うもので、両眼の視力を喪失した人及び万国式視力表により測定した両眼の視力が0.06以下の視力障害のある人が行うものはその所得

3.申告

 所得税の確定申告又は住民税(市町村税・県民税)の申告をした場合は、個人事業税の申告があったものとして取り扱われますので、重ねて申告する必要はありません。
 ただし、次のような場合には、県税事務所に個人事業税の申告をする必要があります。以下に該当するときで申告をしなかった場合は、事業税の各種控除(損失の繰越控除、事業用資産の譲渡損失の控除等)を受けることができません。

(1) 法人成りなどで年の中途で事業を廃止した場合は、事業廃止後1か月以内
(2) 事業主の死亡で年の中途で事業を廃止し、準確定申告(廃止した年分に係る所得税の確定申告)を行っていない場合は、死亡後4か月以内

4.「事業税に関する事項」欄の記載

 所得税の確定申告書B第二表には、このような「事業税に関する事項」欄が設けられています。
 この欄は個人事業税の計算上必要ですから、個人事業税が課税される事業所得などがある人は、該当項目があれば記載しなければなりません。該当項目があるにもかかわらず記載がない場合は、事業税の各種控除を受けることができません。
 以下で、各項目の記載上の留意点を述べていきます。

(1) 所得税で控除対象配偶者などとした専従者

 所得税で「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していない場合で、事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上のその他の親族でその事業に専ら従事している人に対して、実際に給与の支払いがされている場合は、事業税では事業専従者にできますので、その人の氏名及び給与額を記載します。

(2) 非課税所得など

 個人事業税には非課税の事業がありますので、事業所得のうち個人事業税が課税されない所得(上記2参照)がある場合は、下記の非課税所得番号を番号欄に、その所得金額(事業専従者控除(給与)額を差し引く前の金額)を所得金額欄に記載します。
 ただし、8番の社会保険診療報酬に係る所得がある場合は、所得ではなく収入金額を記載します。これは、収入金額をもとに県税事務所で所得金額が計算されるからです。

① 複数の事業を兼業している人で、そのうち次に掲げる事業により生ずる所得がある場合

番号 所得
1 畜産業(農業に付随して行うものを除く)から生ずる所得
2 水産業(小規模な水産動植物の採捕の事業を除く)から生ずる所得
3 薪炭製造業から生ずる所得
4 あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業(両眼の視力を喪失した人その他両眼の視力0.06以下の人が行うものを除く)から生ずる所得
5 装蹄師業から生ずる所得

② 次に掲げる所得(非課税所得)がある場合

番号 非課税所得
6 林業から生ずる所得
7 鉱物掘採業から生ずる所得
8 社会保険診療報酬に係る収入
9 外国での事業に係る所得(外国に有する事務所等で生じた所得)
10 地方税法第72条の2に定める個人の行う事業に該当しないものから生ずる所得

(3) 損益通算の特例適用前の不動産所得

 個人事業税では、所得税における不動産所得の損益通算の特例措置(損失の金額のうち、土地等を取得するために要した負債の利子の額に相当する部分の損益通算不適用)の規定は適用されませんので、これに該当する金額がある場合は、適用前の不動産所得を記載します。
※ 所得税における不動産所得の損益通算の特例措置については、本ブログ記事「賃貸用不動産取得に要した借入金利子の必要経費算入と損益通算」をご覧ください。

(4) 不動産所得から差し引いた青色申告特別控除額

 所得税で青色申告者に認められている青色申告特別控除は、個人事業税では認められていません。
 青色申告特別控除額を不動産所得から控除した場合は、その金額を記載します。

(5) 事業用資産の譲渡損失など

 事業税が課税される事業に使用していた機械装置、車両運搬具、工具器具備品など事業用資産を、その事業に使用しなくなってから1年以内に譲渡した場合で、譲渡損失があれば記載します。
 なお、譲渡益と譲渡損がある場合は損益通算せず、損失額のみを記載します。ただし、土地、建物、無形の固定資産は対象になりません。
 また、白色申告者において、事業の所得の計算上生じた損失のうち、被災事業用資産の損失の金額がある場合は、その金額を記載します。
 これらの損失の内容は、第二表の「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得・譲渡所得、一時所得に関する事項」欄にも記載します。
 この「事業用資産の譲渡損失など」欄に記載がない場合は控除できませんので、ご注意ください。

(6) 前年中の開(廃)業

 事業主控除額(年290万円)は年間事業月数により算出しますので、新たに事業を開始した場合又は事業を廃止した場合は、記入欄の「開始・廃止」の該当する文字を〇で囲み、その月日を記載します。

(7) 他都道府県の事務所等

 個人事業税は、事業所等が所在する都道府県により課税され、また、他の都道府県にも事務所等がある場合には、所得金額をその事務所等の従業員数で按分して課税されます。
 したがって、他都道府県に事務所等がある場合は〇印を記入し、その所在地と月末ごとの従業員数を、それぞれ事務所や事業所ごとに適宜用紙に書いて添付します。

※ 第二表「事業税に関する事項」欄の記載方法については、個人事業税の計算構造を知れば理解が深まります。個人事業税の計算については、この記事の続編である「事業税の計算上の留意点(所得税との相違点)」をご覧ください。