輸出業者など免税売上が多い事業者は、消費税の還付を早期に受けるために、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」(以下「特例選択届出書」といいます)を提出して、課税期間を短縮することがあります。
今回は、法人がその設立1期目から課税期間を3か月に短縮する場合の課税期間の注意点と特例選択届出書の提出期限について確認します。
なお、1期目から消費税の課税事業者になる要件は満たしているものとします(資本金1,000万円以上で設立する、課税事業者選択届出書を提出する、など)。
1.月初の1日に設立した法人の課税期間
消費税の教科書などに例としてよくあがっているのは、例えば、X1年10月1日に設立された法人(事業年度はX1年10月1日~X2年9月30日)が、その設立1期目から消費税の課税期間を3か月に短縮するケースです。
この場合の3か月ごとの課税期間は、次のようになります。
・X1年10月1日~X1年12月31日
・X2年1月1日~X2年3月31日
・X2年4月1日~X2年6月30日
・X2年7月1日~X2年9月30日
10月1日という切りのいい日に設立した法人の場合は、課税期間に関して特段の疑問は生じないと思われます。
なお、特例選択届出書の提出期限はX1年12月31日です(最初の課税期間から短縮特例を受ける場合)。
しかし、実務においては、必ずしも月初の1日に設立する法人ばかりではありません。
当初の予定では10月1日に設立する予定だったところ、設立準備に時間がかかったために月中の10月7日の設立になったり、あるいは10月10日という日付に思い入れがあるため10月10日に設立する場合などもあります。
このように月初の1日ではなく、月中の7日や10日に設立された法人が課税期間を短縮する場合の課税期間はどのようになるのでしょうか?
2.月中に設立した法人の課税期間
例えば、X1年10月10日に設立された法人(1期目の事業年度はX1年10月10日~X2年9月30日)が、その設立1期目から消費税の課税期間を3か月に短縮するケースでは、3か月ごとの課税期間はどのようになるのでしょうか?
課税期間の末日は月末になるという思い込みから、次のように考えてしまうことはないでしょうか?
・X1年10月10日~X1年12月31日
・X2年1月1日~X2年3月31日
・X2年4月1日~X2年6月30日
・X2年7月1日~X2年9月30日
課税期間の末日を切りのいい月末にしたいところですが、課税期間をこのように区切る根拠がありません。
したがって、このように課税期間を区切るのは誤りです。
根拠は後述するとして、正しい課税期間を先に示すと次のようになります。
・X1年10月10日~X2年1月9日
・X2年1月10日~X2年4月9日
・X2年4月10日~X2年7月9日
・X2年7月10日~X2年9月30日
月中で設立された法人は、3か月ごとに課税期間を短縮すると上記のようになり、各課税期間の末日は最後の課税期間を除いて月末にはなりません。
したがって、申告期限も最後の課税期間を除いて月末にはなりませんので注意しなければなりません。
なお、特例選択届出書の提出期限はX2年1月9日です(最初の課税期間から短縮特例を受ける場合)。
月中で設立された法人の課税期間をこのように区切る根拠は、特例選択届出書の裏面にある記載要領等で示されています。
記載要領等の1の(1)の②には、次のように記載されています(下線は筆者による)。
その事業年度が3月を超える法人の場合には、その事業年度をその開始の日以後3月ごとに区分した各期間(最後に3月未満の期間が生じたときは、その期間)
今回のケースに当てはめてみると、「その事業年度(X1年10月10日~X2年9月30日)をその開始の日(X1年10月10日)以後3月ごとに区分した各期間(最後に3月未満の期間(X2年7月10日~X2年9月30日)が生じたときは、その期間(X2年7月10日~X2年9月30日)」となります。
したがって、今回のように設立1期目から課税期間を短縮する場合は、各課税期間の末日を切りのいい月末にすることはできません(最後の期間を除いて)。
また、特例選択届出書は、原則としてこの特例を受けようとする短縮に係る課税期間の初日の前日までに提出しなければなりませんが、新規開業した事業者等については、この届出書を提出した日の属する課税期間からこの特例の適用を受けることができる旨が記載要領等に示されています。
3.設立2期目の課税期間
上記2のように月中に設立した法人であっても、設立2期目(事業年度はX2年10月1日~X3年9月30日)の課税期間は次のようになります。
・X2年10月1日~X2年12月31日
・X3年1月1日~X3年3月31日
・X3年4月1日~X3年6月30日
・X3年7月1日~X3年9月30日
このように設立2期目(以降)は、各課税期間の末日は月末になります。