子どもの養育費を支払っている親はその子どもを扶養控除の対象にできるか?

 離婚によって子どもと離れて暮らすことになった親は、その子どもの生活や教育のために、子どもを引き取った親(元配偶者)に対して養育費を支払わなければなりません。

 一般的には子どもを引き取った親が親権者になりますが、親権者でなくなった親であっても子どもの親であることに変わりはありませんので,親として養育費の支払義務を負います。

 子どもの養育費を支払っている親にとっては、その子どもを扶養控除の対象とすることができれば、自らの税負担を減らすことができます。

 しかし、離れて暮らしていてもいいのか?あるいは親権者でなくてもいいのか?など、扶養控除を受けるにあたって判然としない点もあります。

 この点について結論を先に述べると、扶養控除を受けるにあたって「同居していること」や「親権者であること」という要件はありませんので、離れて暮らしていても親権者でなくても、扶養控除の適用要件を満たしていれば扶養控除を受けることができます。

 以下において、離婚に伴う養育費の支払いと扶養控除の適用関係について確認します。

1.扶養控除の適用要件

 扶養控除とは、納税者に特定の要件に該当する扶養親族がいる場合、一定の金額(38万円~63万円)を所得金額から控除できる制度です。
 特定の要件に該当する扶養親族とは、次の要件すべてに該当する親族をいいます。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること

(2) 納税者と生計を一にしていること

(3) 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

 上記4要件を満たす扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人を控除対象扶養親族といい、扶養控除の対象となります。

 離れて暮らす子どもが控除対象扶養親族であるか否かについて、上記の(1)、(3)、(4)、16歳以上という要件については、形式的に判断できますので特に問題はないと思います。

 判断に迷うのは、養育費の支払いが上記(2)の「生計を一にしていること」に該当するか否かだと思われますので、この点について次に確認します。

2.「生計を一にする」とは?

 「生計を一にする」とは、必ずしも同居していることを要件とするものではありません。
 例えば、勤務、修学、療養等のために別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

 したがって、離れて暮らす子どもが「生計を一にしている」とみることができるかどうかは、離婚に伴う養育費の支払いが「常に生活費等の送金が行われている場合」に当たるか否かによることとなりますが、次のような場合には、扶養控除の対象として差し支えないものとされています。

(1) 扶養義務の履行として支払われる場合

(2) 子が成人に達するまでなど一定の年齢等に限って支払われる場合


 なお、離婚に伴う養育費の支払いが(1)及び(2)のような状況にある場合において、それが一時金として支払われる場合は、「常に生活費等の送金が行われている場合」に該当しないと考えられるため、扶養控除を受けることはできません。

 一方、一時金として支払われる場合であっても、子どもを受益者とする信託契約(契約の解除については元夫婦の両方の同意を必要とするものに限ります)により養育費に相当する給付金が継続的に給付されているときには、その給付されている各年について「常に生活費等の送金が行われている場合」に該当すると考えられるため、扶養控除を受けることができます。
 ただし、信託収益は子どもの所得となりますので、信託収益を含めて子どもの所得金額の判定を行う必要があります。

 また、離れて暮らす親と引き取った親の両方の控除対象扶養親族に子どもが該当する場合には、いずれか一方の親だけしか扶養控除を受けることができません(重複適用はありません)。

※ 離婚に伴う財産分与の課税関係については、本ブログ記事「離婚により自宅を財産分与した場合にかかる税金は?」をご参照ください。

他の者の青色事業専従者を配偶者控除・扶養控除の対象とできるか?

 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人または白色申告者の事業専従者である人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。

 例えば、青色申告者である夫が、その夫の事業に従事している同一生計の妻に給与を支払っている場合、たとえ給与の支払総額が年間で103万円以内であったとしても、夫は妻を控除対象配偶者とすることができません(夫は配偶者控除を受けることができません)。

 これはよく知られた一般的な例ですが、事業専従者と配偶者控除・扶養控除との関係については、その判断に迷うケースもあります。
 例えば、次のようなケースです。

1.他の者の青色事業専従者である場合

 サラリーマンであるAさんの妻Bさんは、AさんBさんと生計を一にする父Cさんの青色事業専従者として月額8万円(年間96万円)の給与の支給を受けています。
 この場合、AさんはBさんを控除対象配偶者とすることができるでしょうか(Aさんは配偶者控除を受けることができるでしょうか)?

 答えは「否」です。AさんはBさんを控除対象配偶者とすることができません。

 このケースでは、BさんはAさんの事業に従事しているのではなく、Cさんの事業に従事して青色事業専従者給与の支給を受けています。
 したがって、CさんがBさんを扶養控除の対象にすることができないことに疑問の余地はありません。

 一方、Aさんにとっては、Bさんは自分の青色事業専従者ではないため、Bさんを配偶者控除の対象にできそうにも思えます。
 しかし、AさんはBさんを控除対象配偶者とすることができません。

 理由は次のとおりです。

2.誰の青色事業専従者であるかは問わない

 まず、配偶者控除の適用要件を確認すると、控除対象配偶者となるのは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。

(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
(2) 納税者と生計を一にしていること
(3) 年間の合計所得金額が48万円以下であること
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

 上記要件のうち(2)~(4)は同一生計配偶者の要件ですが、(4)に注目すると、BさんはAさんの事業専従者として給与の支払を受けていませんので、要件をクリアしているように見えます。

 しかし、同一生計配偶者について条文にかえって確認すると、所得税法第2条第1項第33号に次のように定義されています。

三十三 同一生計配偶者 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第57条第1項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第3項に規定する事業専従者に該当するもの(第33号の4において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が48万円以下である者をいう。

 所得税法第2条第1項第33号の「同一生計配偶者」の定義では、同法第57条第1項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するものを除くとされているのみであって、その居住者の専従者であるとする規定ぶりではないことがわかります。

 つまり、BさんがAさんの専従者であるかどうかは関係なく、Bさんが青色事業専従者に該当するならば同一生計配偶者から除かれるということです。

 したがって、いったん生計を一にする他の者(Cさん)の事業専従者となった者(Bさん)については、その年においてAさんの控除対象配偶者とすることはできません。

 

令和6年6月1日以後に退職した人の定額減税(年調未済の場合)

 2024(令和6)年6月1日以後最初に支払われる給与・賞与から、所得税の定額減税(月次減税)が開始されています。

 定額減税(月次減税)の対象となるのは、令和6年6月1日(以下「基準日」といいます)現在において給与の支払者のもとで勤務している人のうち、給与所得の源泉徴収税額表の甲欄が適用される居住者の人(その給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している居住者の人)です。

 今回は、定額減税(月次減税)の対象である給与所得者が、年末調整を受けずに年の中途で退職した場合の定額減税について確認します。

※ 定額減税の対象である給与所得者の年末調整については、「定額減税の年調減税事務の流れ」をご参照ください。

1.退職日までの給与について会社は月次減税を行う

 基準日以後に退職した人は、退職日まではその給与の支払者のもとに勤務していますので、基準日現在において扶養控除等申告書を提出していれば、退職日までの給与について会社は定額減税(月次減税)を行います。

2.退職者に渡す源泉徴収票の記載方法

 基準日以後に給与所得者が退職した場合には、源泉徴収の段階で定額減税の適用を受けた上、再就職先での年末調整又は確定申告で最終的な定額減税との精算を行うこととなるため、「令和6年分給与所得の源泉徴収票」の「摘要」欄には、定額減税に関する情報(源泉徴収時所得税減税控除済額×××円、控除外額××× 円)を記載する必要はありません。

 なお、「源泉徴収税額」欄には、控除前税額から月次減税額を控除した後の実際に源泉徴収した税額の合計額を記載することになります。

3.再就職後の月次減税

 前の勤務先で定額減税(月次減税)を受けていた人が、基準日以後に年末調整を受けずに年の中途で退職し、その後において国内にある他の企業等へ再就職して再就職先で主たる給与の支給を受ける場合は、月次減税は行われません。
 この場合は、年末調整時に年調減税を受けることになります。

4.退職所得に係る源泉所得税の定額減税

 退職所得の源泉徴収の際に定額減税は実施されませんが、令和6年分の退職所得を有する人(居住者)は、その退職所得を含めた所得に係る所得税について、確定申告により定額減税額の控除を受けることができます。

 したがって、給与等に係る源泉徴収において控除しきれなかった定額減税額がある場合には、令和6年分の確定申告書を提出することで、退職所得を含めた所得に係る所得税について、定額減税の適用を受けることができます。

※ 関連記事:「退職所得の受給に関する申告書を提出した人が還付を受けるためにする確定申告」、「給与所得者と公的年金等受給者の確定申告不要制度の注意点

定額減税額を追加するための「予定納税額の減額申請書」の書き方と記載例

1.同一生計配偶者等の分は申請により予定納税額より控除

 給与所得者については2024(令和6)年6月1日以後最初に支払われる給与等から、公的年金等の受給者についても令和6年6月1日以後最初に支払われる公的年金等から、それぞれ所得税の定額減税が開始されます※1
 所得税の定額減税額は、次の金額の合計額です。

(1) 本人(居住者に限ります)・・・3万円
(2) 同一生計配偶者及び扶養親族(居住者に限ります)※2・・・1人につき3万円

 一方、個人事業主については原則として令和6年分の所得税確定申告で定額減税を行うことになりますが、予定納税の対象者については、令和6年分確定申告を待たずに、令和6年6月以後に通知される令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)※3から本人分の定額減税額3万円が控除されています

 また、予定納税額の減額申請の手続により、本人分に加えて同一生計配偶者及び扶養親族分の定額減税額を予定納税額から控除することもできます(令和6年分の合計所得金額の見積額が1,805万円以下の居住者に限ります)。

※1 給与所得者の定額減税については「給与支払者の定額減税の方法(月次減税事務:計算から納付まで)」を、公的年金等受給者の定額減税については「定額減税を受ける公的年金等の受給者は確定申告の要否に注意」をご参照ください。

※2 青色申告者の事業専従者としてその年に給与の支払を受けている人または白色申告者の事業専従者を除きます。
 したがって、個人事業主本人の定額減税額の計算においては、これらの者を計算対象人数としてカウントしません。
 なお、青色事業専従者自身が定額減税を受けることができるか否かについては、「青色事業専従者自身の定額減税について」をご参照ください。

※3 特別農業所得者(その年において農業所得の金額が総所得金額の7割を超え、かつ、その年9月1日以後に生じる農業所得の金額がその年の農業所得の金額の7割を超える者)については、第2期分予定納税額(11月)から控除されます。

2.予定納税額の減額申請書の書き方と記載例

 同一生計配偶者及び扶養親族分の定額減税額の追加のみが減額申請書の提出理由となる場合は、簡易的な記載方法で申請することが認められています。
 以下では、次の家族構成(いずれも居住者)を前提として、本人が同一生計配偶者及び扶養親族分の定額減税額を追加する場合の減額申請書の書き方について確認します。

・給付 椎名(本人 合計所得金額の見積額は1,805万円以下)
・給付 瀬名(妻 平成7年7月7日生まれ パート給与収入見積額は100万円)
・給付 瀬世(子 令和3年3月3日生まれ 所得なし)


① 提出先の税務署、提出年月日、住所、氏名、職業、電話番号を記入します。

② 「通知を受けた金額」欄及び「申請金額」欄は、次のように記入します。


 「通知を受けた金額」欄のa、b、cは、税務署から通知された「令和6年分の所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」から転記します。

 参考までにb、cの金額は次のように計算されています。
 b=a予定納税基準額181,800円÷3-本人分の定額減税額30,000円=30,600円
 c=a予定納税基準額181,800円÷3=60,600円

 「申請金額」欄のA、B、Cは、次のとおり記入します。

 Aは、aと同額を記入します。

 Bは、b第1期分30,600円-同一生計配偶者・扶養親族分の定額減税額60,000円=△29,400円となるので0と記入します(計算結果が0円以下となる場合は0と記入します)。

 Cは、c第2期分60,600円-Bで引ききれなかった29,400円=31,200円を記入します(計算結果が0円以下となる場合は0と記入します)。

③ 「減額申請の理由」は、予定納税特別控除額を〇で囲みます。
 「減税申請の具体的理由」には、同一生計配偶者等の氏名、続柄、生年月日を記入します。

④ 「本人分㊵」欄は、30,000と記入します。
 「同一生計配偶者等分㊶」欄は、同一生計配偶者・扶養親族1人につき3万円の金額を記入します(記載例では、30,000円×2人=60,000円)。
 「合計㊷」欄は、㊵欄と㊶欄の合計額を記入します。
 ㊴欄、㊸欄、㊹欄は、上記②で計算した「申請金額」欄のA、B、Cの金額を記入します。

3.減額申請書の提出期間

 令和6年分所得税の定額減税の実施に伴い、7月減額申請(第1期分及び第2期分の減額申請)の期限が変更され、令和6年7月1日(月)から同年7月31日(水)までとなっています(通常であれば、その年の7月1日から7月15日までに減額申請書を提出します)。

青色事業専従者自身の定額減税について

 給与所得者については、2024(令和6)年6月1日以後最初に支払われる給与等から所得税の定額減税(月次減税)が開始されます。

 個人事業主については、原則として令和6年分の所得税確定申告で定額減税を行うことになりますが、その個人事業主のもとで給与を支給されている青色事業専従者(個人事業主の配偶者など)は定額減税を受けることができるのでしょうか?
 
 今回は、青色事業専従者の定額減税について確認します。

※ 個人事業主の定額減税については、本ブログ記事「個人事業主の定額減税の概要」をご参照ください。

1.定額減税の対象者と減税額

 定額減税の対象となるのは、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である人です。

 また、所得税の定額減税額は、次の金額の合計額です。

(1) 本人(居住者に限ります)・・・3万円
(2) 同一生計配偶者及び扶養親族(居住者に限ります)・・・1人につき3万円

2.青色事業専従者は定額減税の計算対象外

 定額減税は本人分だけではなく、上記1(2)にあるように、同一生計配偶者及び扶養親族(居住者に限ります)についても、1人につき3万円の減税を受けることができます。
 例えば、同一生計配偶者と扶養親族1人がいる場合は、3万円(本人分)+3万円×2(同一生計配偶者及び扶養親族分)=9万円の減税を受けることができます。

 本人が給与所得者の場合はこのように定額減税額を計算しますが、本人が個人事業主(事業所得者等)の場合は若干の疑問が生じます。
 すなわち、同一生計配偶者や扶養親族に対して青色事業専従者として給与を支給していても、定額減税の計算対象に含めてもいいのかどうか?ということです。

 国税庁の「令和6年分所得税の定額減税Q&A」(令和6年4月11日改訂)には、同一生計配偶者(問1-4)と扶養親族(問1-5)について、次のように記載されています(下線は筆者による)。

問 「同一生計配偶者」とは、どのような人をいうのですか。
[A]「同一生計配偶者」とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、納税者と生計を一にする配偶者(青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない人又は白色申告者の事業専従者でない人に限ります。)で、年間の合計所得金額が48万円(給与所得だけの場合は給与等の収入金額が103万円)以下の人をいいます。

問 「扶養親族」とは、どのような人をいうのですか。
[A]「扶養親族」とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人をいいます。
⑴ 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
⑵ 納税者と生計を一にしていること。
⑶ 年間の合計所得金額が48万円以下であること。
青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

 上記の問答から、納税者本人の定額減税額の計算においては、給与を支給している青色事業専従者は含めない(計算対象人数としてカウントしない)ことがわかります。

3.青色事業専従者自身は定額減税を受けることができる!

 上記2より、個人事業主本人の定額減税の計算対象に青色事業専従者は含めないことがわかりますが、ここで新たな疑問が生じます。
 すわなち、個人事業主のもとで給与を支給されている青色事業専従者自身は、定額減税を受けることができるのか?ということです。
 青色事業専従者といえども、給与所得者であることに変わりはありません。給与所得者であるならば、給与所得者本人として定額減税を受けることができるとも考えられます。

 この点については、「令和6年分所得税の定額減税Q&A」(令和6年4月11日改訂)の問2-9に次のように記載されています(下線は筆者による)。

問 青色事業専従者は定額減税の適用を受けますか。
[A]青色事業専従者として給与の支払を受ける人についても、主たる給与の支払者のもとで、令和6年6月1日以後最初に支払を受ける給与等に係る源泉徴収において、月次減税額を順次控除することとされ、年末調整や確定申告においても定額減税の適用を受けます。

 なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、納税者の同一生計配偶者や扶養親族とはされませんので、その納税者と生計を一にしていたとしても、定額減税の計算には含まれません。

 上記の問答より、個人事業主の定額減税の計算対象に青色事業専従者は含まれませんが、青色事業専従者自身は、給与所得者として定額減税を受けることができるとわかります※1。

 なお、給与所得者の定額減税の計算対象にも青色事業専従者は含まれません。
 個人事業主ではない給与所得者に青色事業専従者がいるのかと疑問が生じるかもしれませんが、例えば、給与所得者であるAの妻Bが、個人事業主である父C(妻Bの父)の青色事業専従者として給与の支給を受けている場合などが想定されます。
 この場合、Aは妻BをAの定額減税の計算対象に含めることはできませんが、一方で妻Bは父Cから支給される給与で定額減税を受けることができます※2。

※1 専従者給与を103万円以下としている青色事業専従者の定額減税については、本ブログ記事「給与収入103万円以下の青色事業専従者は自分の定額減税を受けることができるか?」をご参照ください。

※2 父Cが給与支払者として行う定額減税の方法については、本ブログ記事「給与支払者の定額減税の方法(月次減税事務:計算から納付まで)」をご参照ください。

個人事業主の定額減税の概要

 給与所得者については、2024(令和6)年6月1日以後最初に支払われる給与等から所得税の定額減税(月次減税)が開始されます※1
 公的年金等の受給者についても、令和6年6月1日以後最初に支払われる公的年金等から所得税の定額減税が開始されます※2
 個人事業主については、原則として令和6年分の所得税確定申告で定額減税を行うことになります。
 今回は、個人事業主の定額減税の概要について確認します。

※1 給与所得者の定額減税については、「給与支払者の定額減税の方法(月次減税事務:計算から納付まで)」をご参照ください。
※2 公的年金等受給者の定額減税については、「定額減税を受ける公的年金等の受給者は確定申告の要否に注意」をご参照ください。

1.定額減税の対象者と減税額

 定額減税の対象となるのは、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である人です。

 また、所得税の定額減税額は、次の金額の合計額です。

(1) 本人(居住者に限ります)・・・3万円
(2) 同一生計配偶者及び扶養親族(居住者に限ります)・・・1人につき3万円

青色申告者の事業専従者としてその年に給与の支払を受けている人または白色申告者の事業専従者を除きます。
 したがって、個人事業主本人の定額減税額の計算においては、これらの者を計算対象人数としてカウントしません。
 なお、青色事業専従者自身が定額減税を受けることができるか否かについては、本ブログ記事「青色事業専従者自身の定額減税について」をご参照ください。

2.本人分3万円は予定納税額から控除(申請不要)

 事業所得や不動産所得などがある個人事業主の定額減税は、原則として令和6年分の所得税確定申告の際に行います。

 予定納税の対象者については、令和6年分確定申告を待たずに、令和6年6月以後に通知される令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)から本人分の定額減税額3万円が控除されます

※ 特別農業所得者(その年において農業所得の金額が総所得金額の7割を超え、かつ、その年9月1日以後に生じる農業所得の金額がその年の農業所得の金額の7割を超える者)については、第2期分予定納税額(11月)となります。

3.同一生計配偶者等の分は申請により予定納税額より控除

 定額減税は本人分だけではなく、上記1(2)にあるように、同一生計配偶者及び扶養親族(居住者に限ります)についても、1人につき3万円の減税を受けることができます。
 例えば、同一生計配偶者と扶養親族1人がいる場合は、3万円(本人分)+3万円×2(同一生計配偶者及び扶養親族分)=9万円の減税を受けることができます。

 同一生計配偶者及び扶養親族分の定額減税額については、予定納税額の減額申請の手続により定額減税額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
 予定納税額の減額申請書の書き方については、本ブログ記事「本人分以外の定額減税額を追加するための『予定納税額の減額申請書』の書き方と記載例」をご参照ください。

4.令和6年分予定納税額の納期と減額申請期限

 令和6年分所得税の定額減税の実施に伴い、令和6年分の所得税に係る予定納税額の第1期分の納期並びに第1期分及び第2期分の予定納税額の減額申請期限が次のとおり変更されていますので、ご注意ください。

項目 変更後の納期と申請期限
第1期分の納期 令和6年7月1日(月)から同年9月30日(月)まで
第1期分及び第2期分の予定納税額の減額申請期限 令和6年7月31日(水)

 なお、第2期分の納期と申請期限については、次のとおり変更されていません。

項目 納期と申請期限
第2期分の納期 令和6年11月1日(金)から同年12月2日(月)まで
第2期分のみの予定納税額の減額申請期限 令和6年11月15日(金)



定額減税を受ける公的年金等の受給者は確定申告の要否に注意

 給与所得者については、2024(令和6)年6月1日以後最初に支払われる給与等から所得税の定額減税(月次減税)が開始されます。
 公的年金等の受給者についても、令和6年6月1日以後最初に支払われる公的年金等から所得税の定額減税が開始されます。
 
 今回は、公的年金等受給者が定額減税を受ける場合の注意点について確認します。

1.定額減税の対象者と減税額

 定額減税の対象となるのは、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である人です。

 また、所得税の定額減税額は、次の金額の合計額です。

(1) 本人(居住者に限ります)・・・3万円
(2) 同一生計配偶者及び扶養親族(居住者に限ります)・・・1人につき3万円※1

※1 公的年金等の支払者に「令和6年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(以下「扶養親族等申告書」といいます)が提出されている場合は、その扶養親族等申告書の記載内容に基づき計算されます。

2.扶養親族等申告書に異動があった場合

 公的年金等の受給者に対する所得税の定額減税は、令和6年6月1日以後最初に支払われる公的年金等から実施されます※2
 6月に支給される公的年金等に係る源泉所得税から定額減税額が控除され、控除しきれない部分の金額が残った場合は、以後に支給される公的年金等から順次控除されていきます。

 もし、扶養親族等申告書に記載した事項の異動等(令和6年中に扶養親族の人数に増減があった場合など)により定額減税額が増減する場合は、2025(令和7)年1月以降に行う令和6年分の所得税の確定申告において、最終的な定額減税額を受給者が自ら計算した上で、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。

 つまり、扶養親族等申告書の記載内容に異動があっても、定額減税額の再計算は行われませんので、受給者自身で確定申告を行う必要があるということです。

 例えば、扶養親族が増えた場合は定額減税額も増えますので、「令和6年分公的年金等の源泉徴収票」に記載された源泉徴収税額の一部又は全部が還付されます。
 このような場合は、所得税の還付を受けるために確定申告が必要になります(確定申告をした方がよいといえます)。

 一方、扶養親族が減った場合は定額減税額も減りますので、「令和6年分公的年金等の源泉徴収票」に記載された源泉徴収税額を超えて追加の所得税額(納付税額)が発生します※3
 このような場合は、控除しすぎた定額減税額を返還(納付)するために、原則として確定申告が必要になります(確定申告をしなければなりません)。
 ただし、年金所得者の申告不要制度※4を適用する場合は、定額減税額を返還するための確定申告は不要ということにもなります。
 どちらになるのかについては、この記事の執筆時点では未定となっていますので、今後の情報を待つことになります。
 
 いずれにしても、扶養親族等申告書の記載内容に異動があった場合は、確定申告の要否について注意が必要です。
 
※2 住民税の定額減税は、令和6年10月に支払われる公的年金等から実施されます。

※3 医療費控除など他の所得控除を受ける場合は、還付となる可能性もあります。

※4 公的年金等の収入金額が400万円以下で公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は、計算の結果、納税額がある場合でも所得税等の確定申告は不要とする制度です。
 確定申告不要制度については、本ブログ記事「給与所得者と公的年金等受給者の確定申告不要制度の注意点」をご参照ください。

「合計所得金額」「総所得金額」「総所得金額等」の違いとは?

 年末調整や確定申告において所得控除を適用する場合に、適用可能かどうかを判定するための基準として所得金額が設けられています。

 例えば、配偶者控除の適用要件は配偶者の所得金額が48万円以下とされていますが、ここでいう所得は「合計所得金額」です。
 一方、寄附金控除額は寄附した金額と所得金額の40%のいずれか少ない金額から2,000円を控除した額とされていますが、ここでいう所得は「総所得金額等」です。

 また、個人住民税においては、均等割の非課税限度額は「合計所得金額」で判定するのに対して、所得割の非課税限度額は「総所得金額等」で判定します。

 このように「合計所得金額」や「総所得金額等」(さらに「総所得金額」もあります)は、所得税や個人住民税の計算に用いられています。
 どれも所得の合計を表すよく似た用語ですが、税法上少しずつ違いがありますので、それらが用いられる場面によって使い分けが必要です。

 以下では、「合計所得金額」、「総所得金額」、「総所得金額等」という3つの用語について確認します。

1.課税所得金額の計算過程のどの金額か?

 国税庁のホームページや書籍等では、「合計所得金額」、「総所得金額」、「総所得金額等」について詳細な説明がされています。
 例えば、国税庁ホームページでは、「合計所得金額」について以下のように説明されています。

次の①と②の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。

※ 申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です。

① 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)
② 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額


ただし、「◆総所得金額等」で掲げた繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいいます。

 確かにこの説明を読みくだいていけば「合計所得金額」がどういうものであるかがわかります。
 また、「総所得金額」と「総所得金額等」についても説明を読み解けば個々の理解はできます。
 しかし、3者の違いまでわかろうとすると、説明文を読むだけでは困難だと思われますので、ここでは図を用いて理解の一助とします。

 「合計所得金額」、「総所得金額」、「総所得金額等」は、課税所得金額の計算過程で出てくる用語ですので、これらの違いを理解するには、課税所得金額の計算構造を示した下図が参考になると思われます。

 課税所得金額は、各種所得の金額を一定の順序に従い損益通算し、純損失、雑損失等の繰越控除をして課税標準を求め、その課税標準から所得控除額を差し引いて計算します。
 詳細な説明は省きますが、「合計所得金額」、「総所得金額」、「総所得金額等」の違いを理解するにあたっては、これらが課税所得金額の計算過程のどの時点で出てくるかに注目することがポイントです。
 つまり、損益通算の前なのか後なのか、繰越控除の前なのか後なのか、分離課税の譲渡所得の特別控除の前なのか後なのか、所得控除の前なのか後なのか、ということです。

2.合計所得金額で判定するもの

 合計所得金額を用いて判定するものには、以下のものがあります。

・配偶者控除(本人の所得1,000万円以下、配偶者の所得48万円以下等)、配偶者特別控除
・扶養控除(扶養親族の所得48万円以下等)
・寡婦、ひとり親控除(500万円以下)
・基礎控除(2,500万円以下)
・住宅借入金特別控除(2,000万円以下)
・均等割の非課税限度額
・障がい者、未成年者、寡婦、ひとり親の非課税限度額 等

3.総所得金額で判定するもの

 総所得金額には分離所得が含まれていないので、判定基準として使用されることはあまりありません。

4.総所得金額等で判定するもの

 総所得金額等を用いて判定するものには、以下のものがあります。

・雑損控除
・医療費控除
・寄附金控除
・所得割の非課税限度額 等

申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

1.政治家の申告漏れ

 2023(令和5)年分の確定申告を巡っては、自民党派閥の政治資金規正法違反事件(いわゆる裏金問題)に端を発して、SNS上では確定申告ボイコットや納税拒否などの呼びかけが拡散されていました。

 キックバックされた資金(裏金)のうち、それが政治資金として使用された場合は非課税になり、政治活動以外に使用した場合や未使用の場合は議員個人の雑所得として課税されるというのが国税庁の見解です。

 だとすると、自民党のアンケートに対してキックバックされた資金を使用していないと回答した議員は確定申告をして納税をしなければなりませんが、今のところそのような動きにはなっていないようです。

 全国商工団体連合会の試算によると、自民党のアンケートで政治資金収支報告書への不記載が判明した議員85人に対する追徴税額(本税や重加算税など)は、約1億3,500万円に上るということです。

2.一般納税者の申告漏れ

 一般の納税者の申告漏れ所得等については、各事務年度における「所得税及び消費税調査等の状況」を国税庁が報道発表資料として毎年11月に公開しています。

 この「所得税及び消費税調査等の状況」の中で「参考計表」として「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」が挙げられています。
 
 2022(令和4)年事務年度(令和4年7月~令和5年6月)から2018(平成30)年事務年度(平成30年7月~令和1年6月)までの直近5事務年度における上位10業種は、以下のとおりです。

順位 R4 R3 R2 R1 H30
1 経営コンサルタント 経営コンサルタント プログラマー 風俗業 風俗業
2 くず金卸売業 システムエンジニア 畜産農業(肉用牛) 経営コンサルタント キャバクラ
3 ブリーダー ブリーダー 内科医 キャバクラ 経営コンサルタント
4 焼肉 商工業デザイナー キャバクラ 太陽光発電 システムエンジニア
5 タイル工事 不動産代理仲介 太陽光発電 システムエンジニア 特定貨物自動車運送
6 冷暖房設備工事 外構工事 建築士 土木工事 不動産代理仲介
7 鉄骨、鉄筋工事 型枠工事 経営コンサルタント ダンプ運送 貨物軽車両運送
8 太陽光発電 機械部品受託加工 小売業・犬 タイル工事 ダンプ運送
9 バー 一般貨物自動車運送 不動産代理仲介 冷暖房設備工事 畜産農業(肉用牛)
10 電気通信工事 司法書士、行政書士 商工業デザイナー 清掃業 機械部品受託加工

※ 上記調査事績は、特別調査及び一般調査に基づく実施結果です。

(参考)
 実地調査(特別調査・一般調査)とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものです。

 実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査です。

 簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。

還付申告でも青色控除55万円・65万円の適用を受けるなら期限内申告が必要!

 2023(令和5)年分の所得税の確定申告期間は、2024(令和6)年2月16日から同年3月15日までとなっています。
 基本的にはこの期間内に確定申告をする必要がありますが、還付申告の場合は確定申告期間に関わりなく、その年の翌年1月1日から5年間は還付申告書を提出することができます。
 2023(令和5)年分であれば、2024(令和6)年1月1日から2028(令和10)年12月31日までの間に申告書を提出すれば還付を受けることができます(還付申告書の提出期限については、本ブログ記事「所得税還付申告書を提出できる期間とその最終日とは?」をご参照ください)。
 しかし、還付申告であっても、青色申告者が青色申告特別控除(55万円・65万円)の適用を受ける場合は期限内申告が必要です。
 この点について、以下で確認します。

1.還付申告とは?

 確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。
 例えば給与所得者であれば、次のような場合には、原則として還付申告をすることができます。

(1) 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
(2) 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
(3) マイホームに特定の改修工事をしたとき
(4) 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)
(5) 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
(6) 特定支出控除の適用を受けるとき
(7) 多額の医療費を支出したとき
(8) 特定の寄附をしたとき
(9) 上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき

 先に述べたように、還付申告の場合は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間は還付申告書を提出することができます。
 ただし、青色申告特別控除(55万円・65万円)の適用を受けようとする場合は、還付申告であっても法定申告期限(原則として翌年3月15日)までに提出する必要があります。

2.なぜ期限内申告が必要なのか?

 なぜ、青色申告特別控除55万円や65万円の適用を受ける場合は、期限内申告が必要なのでしょうか?
 
 青色申告者は、下記の要件を満たす場合に最高65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます(55万円控除の場合は(1)~(5)、65万円控除の場合は(1)~(6)の要件を満たす必要があります)。

(1) 現金主義を選択していないこと
(2) 事業的規模の不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む者であること
(3) 正規の簿記の原則に従い取引を記録していること
(4) 貸借対照表、損益計算書を確定申告書に添付すること
(5) 期限内に申告書を提出すること
(6) 次のいずれかに該当すること
① その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について電子帳簿保存を行っていること
② その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと

 55万円控除でも65万円控除でも青色申告特別控除の適用を受けるためには、上記要件(5)にあるように期限内に申告書を提出することが要件となっています。
 このように法定申告期限までに確定申告書を提出することがその適用要件となっている特例を適用する場合には、還付申告であっても法定申告期限までに提出する必要があります。

 青色申告者が法定申告期限までに確定申告書を提出しなかった場合は、青色申告特別控除額は10万円となります。
 その報酬・料金から所得税が源泉徴収される事業を営んでいる事業者(例えば、原稿、写真、作曲、講演、翻訳、通訳、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士など)は、55万円控除又は65万円控除を受けた場合は還付申告であっても、10万円控除の場合では還付額が減るか還付申告ではなくなる可能性があります。

 「還付申告だから申告期限を過ぎても大丈夫」ということにはならないケースもありますので、注意しなければなりません。