不動産賃貸における立退料の取扱い

1.借主が立退料をもらったとき

 事務所や住居などを借りている個人が、その事務所などを明渡して立退料を受け取った場合には、所得税法上の各種所得の金額の計算上収入金額になります。
 受け取った立退料は、その内容から次の3つに区分され、その取扱いは次のようになります。

内容 立退料の取扱い
家屋の明渡しによって消滅する権利の対価の額に相当する金額 譲渡所得の収入金額
立ち退きに伴って、その家屋で行っていた事業の休業等による収入金額又は必要経費を補填する金額 事業所得等の収入金額
上記に該当する部分を除いた金額 一時所得の収入金額

2.貸主が立退料を支払ったとき

 建物を賃貸している場合に、借家人に立ち退いてもらうため、立退料を支払うことがあります。このような立退料の取扱いは次のようになります。

内容 立退料の取扱い
賃貸している建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料 譲渡所得の譲渡費用
土地、建物等を取得する際に、その土地、建物等を使用していた者に支払う立退料 土地、建物等の取得費又は取得価額
敷地のみを賃貸し、建物の所有者が借地人である場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料 土地の取得費(借地権の買い戻しの対価)
上記に該当しない立退料で、不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かせるために支払う立退料 不動産所得の必要経費

3.貸主が居住するために支払う立退料

 上記2で見たように、不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かせるために支払う立退料は、不動産所得の必要経費になります。
 では、次のような場合、立退料は不動産所得の必要経費になるのでしょうか?
 例えば、サラリーマンが転勤のためマイホームを賃貸していましたが、人事異動で再びマイホームに住む必要が生じたため、借家人に家屋の明渡しを求めて立退料を支払った場合です。
 このサラリーマンは、転勤の期間中、受領した家賃を不動産所得として年々確定申告をしていましたので、自己が居住するために支払う今回の立退料も必要経費にしたいところです。
 しかし、結論を先に述べると、自己が居住するために支払う立退料は不動産所得の必要経費にはなりません。
 所得税法の必要経費の理念は、「収入を得るために必要な経費」とされています。したがって、立退料を支払った場合には、その立退料が収入を得るために必要なものであるかどうかが必要経費か否かを判断する基準となります。
 今回のケースでは、賃貸していた家屋から発生した家賃収入は立退料を支払う以前のものであり、立退料を支払ったことにより発生したものではありません。よって、自己が居住するために支払う立退料は「収入を得るために必要な経費」に該当せず家事費となり、不動産所得の必要経費にはなりません。

事業者が経費支払時にポイントを使用した場合の経理処理

 VISAやJCBなどのクレジットカードで買い物をすると、利用金額に応じてポイントが付与されます。このポイントは、次回以降の買い物の際に購入代金に充てることができます。
 今回は、事業者(法人、個人)が経費支払時にこのようなポイントを使用した場合の経理処理について確認します。
 なお、一般消費者である個人がポイントを使用したときの課税関係については、本ブログ記事「個人が商品購入時に取得又は使用したポイントは所得税の課税対象となるか?」をご覧ください。
 

1.事業者が法人の場合

 法人がポイントで経費を支払った場合の経理処理は、次のいずれかの方法によります(消費税の会計処理は税込方式とします)。

(1) 値引処理(ポイント使用後の支払金額を経費算入する処理)

〇月〇日 消耗品11,000円をクレジットカードで購入した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 11,000 未払金 11,000

△月△日 〇月〇日の購入代金11,000円が決済され、110円分のポイントが付与された。

借方 金額 貸方 金額
未払金 11,000 現金預金 11,000

◇月◇日 消耗品5,500円をクレジットカードで購入し、△月△日に付与された110円分のポイントを使用した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 5,390 未払金 5,390

※ ポイント使用後の金額(5,500-110=5,390)を経費算入します。

(2) 両建処理(ポイント使用前の支払金額を経費算入し、ポイント使用額を雑収入に計上する処理)

〇月〇日 消耗品11,000円をクレジットカードで購入した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 11,000 未払金 11,000

△月△日 〇月〇日の購入代金11,000円が決済され、110円分のポイントが付与された。

借方 金額 貸方 金額
未払金 11,000 現金預金 11,000

◇月◇日 消耗品5,500円をクレジットカードで購入し、△月△日に付与された110円分のポイントを使用した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 5,500 未払金 5,390
    雑収入 110

※ ポイント使用前の金額(5,500)を経費算入し、ポイント使用額(110)を雑収入に計上します。雑収入の消費税課税区分は不課税です。

2.事業者が個人(個人事業主)の場合

 個人事業主がポイントで経費を支払った場合の経理処理は、法人より少し複雑です。
 個人事業主には一般消費者としての側面と事業者としての側面がありますが、クレジットカードの利用で貯まったポイントも、プライベートで貯まったものと事業で貯まったものがあります。
 事業で貯まったポイントを使用した場合の経理処理は、法人の場合と同様に値引処理と両建処理のいずれかの方法によります(両建処理における雑収入の所得区分は事業所得、消費税課税区分は不課税となります)。
 プライベートで貯まったポイントを事業で使用した場合の経理処理は、次のようになります。

〇月〇日 消耗品11,000円をクレジットカードで購入した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 11,000 未払金 11,000

△月△日 〇月〇日の購入代金11,000円が決済され、110円分のポイントが付与された。

借方 金額 貸方 金額
未払金 11,000 現金預金 11,000

◇月◇日 消耗品5,500円をクレジットカードで購入し、△月△日に付与された110円分のポイントを使用した。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 5,500 未払金 5,390
    事業主借 110

プライベートで貯まったポイントを使用したときは、使用前の金額(5,500)を経費算入し、ポイント使用額を事業主借とします。ポイント使用額は一時所得の課税対象になることもありますので、雑収入ではなく事業主借で処理して事業所得の収入金額に算入しないようにします。

 プライベートで貯まったポイントを事業で使用した場合の経理処理は、上記のようになります。このような処理は、プライベート用と事業用のクレジットカードを分けるなどして、ポイントが区分できることが前提です。
 しかし、現実的にはプライベートで貯まったポイントなのか事業で貯まったポイントなのかを区分することは煩雑であり、ポイント使用額を雑収入とするのか事業主借とするのか判断しかねることもあります。また、雑収入とすべきものを事業主借とすると、税務調査の際にポイント使用額分の課税漏れを指摘される懸念もあります。
 このような場合は、簡易的な処理として、ポイント使用後の金額を経費に算入する次の処理でも問題ありません(値引処理と同じになります)。

借方 金額 貸方 金額
消耗品費 5,390 未払金 5,390

給与の支払がない場合の法定調書合計表と給与支払報告書の提出の要否

 年末調整が終われば、その後の処理として「法定調書」「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(以下「合計表」といいます)と「給与支払報告書(個人別明細書、総括表)」(以下「報告書」といいます)を提出しなければなりません。
 基本的には、それぞれ税務署から郵送されてくる「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の作成と提出の手引」と「給与支払報告書等の作成及び提出についての手引書」に従って作業を進めていきます。
 この作業は、従業員に給与を支払っていることが前提になりますが、事業者(個人事業主)によっては、従業員を雇っておらず給与の支払がない場合もあります。このような事業者においては、従業員の年末調整という作業は必要ありませんが、その後の合計表と報告書の提出についてはどうでしょうか?
 今回は、給与の支払がない場合の合計表と報告書の提出の要否について確認します。

1.合計表の提出について

 個人事業主の中には、従業員を雇わず1人で事業を行っている場合があります。また、開業後間もない時期のため、青色事業専従者に給与を支払っていない個人事業主もいることと思います。
 このような場合、合計表を税務署に提出する必要はあるのでしょうか?
 これについては、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の作成と提出の手引」に記載があります。令和2年分であれば手引の32ページ右下に、次のように書かれています(太字加工は筆者による)。

 税務署へ提出する法定調書がない場合は、合計表の「(摘要)」欄に「該当なし」と記載の上、提出をお願いします。
 なお、e-Taxのメッセージボックス及びマイナポータルに「法定調書提出期限のお知らせ」(以下「お知らせ」といいます。)が届いている方で、お知らせを通じて「提出義務なし」と回答した場合には、上記の合計表の提出は必要ありません(おしらせは11月下旬から12月上旬に送信される予定です。)。

 つまり、給与の支払がない場合でも合計表の「1 給与所得の源泉徴収票合計表(375)」の摘要欄に「該当なし」と記載して提出する必要がありますが、メッセージボックスのお知らせを通じて「提出義務なし」と回答した場合は提出する必要はないということです。いずれにせよ、税務署に対する意思表示は必要であり、それを怠ると税務署から連絡がきますのでご注意ください。
 なお、合計表を提出しなかったり虚偽記載をした場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(所得税法242条5号)。

2.報告書の提出について

 一方、個人住民税の基礎資料となる報告書は市町村に提出します。報告書は税務署に提出する源泉徴収票と提出範囲が異なり、前年中に給与等を支払ったすべての従業員等(パート・アルバイト、役員等を含む)について提出が必要です。
 では、前年中に給与の支払がなかった場合、報告書は提出するのでしょうか?
 答えは「否」です。給与の支払がない場合、報告書は提出不要です。個人別明細書に0と記載して提出することも、総括表に0と記載して提出することも、市町村は求めていないようです。ただし、市町村によって対応が異なることもありますので、当該市町村に確認した方が良いかもしれません(連絡先については、「給与支払報告書等の作成及び提出についての手引書」の「市町村所在地一覧表」に載っています)。

個人が商品購入時に取得又は使用したポイントは所得税の課税対象となるか?

 個人がドラッグストアやスーパーなどで買い物をしたときに、商品購入額に応じてその店で使えるポイントが付与されることがあります。
 また、楽天カードなどのクレジットカードで買い物をしたときには、楽天市場や楽天トラベルなどで使えるポイントが付与されます。
 気になるのは、これらのポイントを取得又は使用したときに、確定申告をする必要があるか否かということです。
 今回は、企業が個人に付与するこれらのポイントの課税関係について確認します。なお、ここでいう個人とは、個人事業主ではない一般の消費者のことをいいます。また、個人事業主には一般消費者としての側面と事業者としての側面がありますが、今回話題にするのは、あくまでも一般消費者としての側面を持つ個人です。

※ 個人事業主がポイントを使用して経費を支払った場合の経理処理については、本ブログ記事「事業者が経費支払時にポイントを使用した場合の経理処理」をご覧ください。

1.代金決済に応じて付与されるポイントの場合

 これらのポイントの課税関係のうち、決済代金に応じて付与されるポイントについて国税庁ホームページ・タックスアンサーでは、「原則として、確定申告をする必要はありません。」としています。
 その理由については、次の2点が示されています。

(1) 商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っていること
(2) 一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられるので、こうしたポイントの取得又は使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしていること

 つまり、決済代金に応じて付与されるポイントについては、所得税の課税対象ではないしたがって、確定申告の必要はないということです。そういう意味でタックスアンサーでは「原則として、確定申告をする必要はありません。」という文言を使っています。
 しかし、「原則として、確定申告をする必要はありません。」ということは、例外的に確定申告が必要となるケースもある言い換えれば、所得税の課税対象となるケースもあるということです。これについては、下記3で述べます。

2.臨時・偶発的に取得したポイントの場合

 一方、タックスアンサーでは「ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられませんので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。」としています。
 つまり、臨時・偶発的に取得したポイントについては、所得税の課税対象になるということです。

 ただし、確定申告が必要かどうかは、使用したポイント相当額によります。一時所得として課税される金額は、次のように計算します。

 {総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最大50万円)}×1/2

 収入を得るため(ポイントの付与を受けるため)に支出した金額(いわゆる経費)は通常0と考えられますので、総収入金額(ポイント使用額)が50万円以下で他に一時所得に該当するものがなければ、確定申告は不要です。

 また、給与所得者については給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の場合に、公的年金等受給者については公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合に、それぞれ確定申告は不要とされています。
 したがって、給与所得者と公的年金等受給者については、ポイント使用額が90万円以下で他に一時所得に該当するものがなければ、確定申告は不要です。
(注)医療費控除を受けるため等の還付申告を行う場合等は、確定申告をする必要があります。詳しくは本ブログ記事「給与所得者と公的年金等受給者の確定申告不要制度の注意点」をご参照ください。

3.所得控除の対象となる支出にポイントを使用した場合

 決済代金に応じて付与されるポイントの使用に関する課税関係は上記1のとおりですが、ポイントを使用して医薬品購入の決済代金の値引きを受けた場合のように、所得控除の対象となる支出にポイントを使用したことが明らかな場合には、次のいずれかの方法により、所得金額及び所得控除額を計算することとされています。

(1) ポイント使用後の支払金額を基に所得控除額を計算する方法
(2) ポイント使用前の支払金額を基に所得控除額を計算するとともに、ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額として算入する方法

 (1)の方法では、例えば2,000円の医薬品の購入時に500円分のポイントを使用して1,500円を支払った場合、医療費控除額を1,500円として計算します。
 (2)の方法では、2,000円を医療費控除額として計算し、500円を一時所得の総収入金額に算入します。

 この2つの方法のうち、(2)についてはポイント使用相当額が所得税の課税対象になります。
 ただし、ポイント使用額について確定申告が必要か否かについては、上記2で述べたとおりです。

4.ポイントを使用して株式等を購入した場合

 最近では、買い物で貯まったポイントを使用して株式等に投資が行えるサービスもあります。例えば、Tポイントや楽天ポイント、Pontaポイント、dポイント、LINEポイントなどを使って株式等を購入することができます。
 国税庁ホームページ・タックスアンサーでは、これらについても次のように記載しています。

 「証券会社等においてポイントを使用して株式等を購入した場合、一般的には、その株式等の取得価額(取得費等)はポイント使用前の支払金額(ポイント使用相当額を含めた支払金額)を基に計算するとともに、ポイント使用相当額は一時所得の総収入金額に算入します。」

 つまり、ポイントを使用して株式等を購入した場合は、上記3.(2)の方法と同様に、ポイント使用額が所得税の課税対象になります。
 ただし、ポイント使用額について確定申告が必要か否かについては、上記2で述べたとおりです。

外交員報酬に係る源泉徴収税額の計算方法

 不動産業を営むA社の社長から、不動産外交員に支払う報酬の源泉徴収税額の計算方法を教えてほしいとのご依頼がありました。社長ご自身も、A社を設立する前は不動産外交員として報酬を受け取っていましたので、報酬から所得税と復興特別所得税を源泉徴収しなければならないことはご存じでしたが、その計算方法はご存じないようでした。
 今回は、外交員報酬に係る源泉徴収税額の具体的な計算方法について確認します。

1.外交員報酬とは?

 不動産や保険の外交員が、その地位に基づいて支払を受ける外交員報酬は、源泉徴収の対象とされます(所得税法第204条第1項第4号)。
 ここでいう外交員報酬に該当するかどうかについては、その支払を受ける者が、支払をする販売会社との間に会社法上の代理商契約に準ずる委任契約関係、すなわち媒介代理の契約関係にあるか否かにより決まります。このような契約関係があれば、外交員報酬として源泉徴収の対象となりますが、このような継続的な契約関係がなく、単に斡旋をするにすぎないときは外交員報酬とならず、源泉徴収の対象にもなりません。

※ 国税不服審判所の裁決(平11.3.11裁決、裁決事例集No.57 206頁)では、「所得税法第204条第1項第4号に規定する外交員とは、事業主の委託を受け、継続的に事業主の商品等の購入の勧誘を行い、購入者と事業主との間の売買契約の締結を媒介する役務を自己の計算において事業主に提供し、その報酬が商品等の販売高に応じて定められている者」と解されています。

 なお、外交員報酬に該当するかどうかについては、本ブログ記事「外注費か給与か・・・国税庁の判断基準」をご参照ください。

2.外交員報酬と給与等

 外交員が支払を受ける報酬については、それぞれ次のように取り扱われます(所得税法基本通達204-22)。

(1) その報酬の額がその職務を遂行するために必要な旅費とそれ以外の部分とに明らかに区分されている場合
 旅費部分は非課税とし、それ以外の部分は給与等とします。

(2) 旅費とそれ以外の部分とに明らかにされていないで、その報酬が固定給とそれ以外の部分に区分されているとき
 固定給は給与等とし、それ以外の部分(変動給)は外交員報酬とします。

(3) (1)及び(2)以外の場合
 その必要な旅費等の費用の多寡その他の事情を総合勘案し、給与等と認められるものはその総額を給与等とし、その他のものについてはその総額を外交員報酬とします。

 外交員が支払を受ける報酬が、給与等又は退職手当等に該当するものについては、それぞれ給与所得又は退職所得として源泉徴収を行います。
 外交員が支払を受ける報酬が、外交員報酬に該当するものについては、次のように源泉徴収を行います。

3.外交員報酬の源泉徴収税額の計算方法

 源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は、外交員報酬の額から1か月当たり12万円(同月中に給与等を支給する場合には、12万円からその月中に支払われる給与等の額を控除した残額)を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて算出します。
(注)求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

 源泉徴収税額={外交員報酬-(12万円-給与等)}×10.21%

 具体的には、以下のように計算します。

〈計算例1〉外交員報酬(変動給)を20万円支払う場合
 (20万円-12万円)×10.21%=8,168円

〈計算例2〉外交員報酬(変動給)20万円と給与(固定給)5万円を支払う場合
 {20万円-(12万円-5万円)}×10.21%=13,273円

〈計算例3〉外交員報酬(変動給)20万円と給与(固定給)15万円を支払う場合
 {20万円-(12万円-12万円)}×10.21%=20,420円
(注)給与の額15万円が控除額12万円を超えるため、控除額の残額は0円となります。

4.留意事項

 外交員報酬の額の中に消費税及び地方消費税の額(以下「消費税等の額」といいます)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書等において、外交員報酬の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その外交員報酬の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。 

 また、外交員報酬から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、支払った月の翌月の10日までに納めなければなりません。
 支払者が源泉所得税の納期の特例の適用を受けている場合であっても、外交員報酬については、納期の特例の対象とはなりませんのでご注意ください。

白色申告者の事業専従者控除の留意点

 青色申告者である個人事業主が、その事業に従事する奥さんに給与を支払った場合、一定の要件の下にその給与を必要経費にできることはよく知られています。一方、白色申告者である個人事業主が、その事業に従事する奥さんに給与を支払っても、その給与は原則として必要経費になりません。
 しかし、白色申告者であっても、奥さんに支払った給与の額に関係なく、一定金額での控除が認められる「事業専従者控除の特例」があります。
 今回は、この事業専従者控除について確認します。

1.事業専従者控除の要件

 白色申告者が事業専従者控除の適用を受けるためには、次の(1)と(2)の要件を満たす必要があります。

(1) 白色申告者の営む事業に事業専従者がいること
 事業専従者とは、次の要件の全てに該当する者をいいます。
① 白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
② その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
③ その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること

(2) 確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること
 具体的には、確定申告書第二表の「事業専従者に関する事項欄」に記載します。

2.事業専従者控除額の計算方法

 事業専従者控除額は、次の(1)又は(2)の金額のどちらか低い金額です。

(1) 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
(2) この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額(事業所得等÷(専従者の数+1))

 具体的には、以下のように計算します。

〈計算例1〉
事業所得150万円(収入600万円-経費450万円)、専従者1人(配偶者)の場合
(1)より、専従者が配偶者なので86万円
(2)より、150万円÷(1+1)=75万円
 したがって、この場合の専従者控除額は、86万円>75万円より75万円となります。

〈計算例2〉
事業所得200万円(収入800万円-経費600万円)、専従者1人(配偶者)の場合
(1)より、専従者が配偶者なので86万円
(2)より、200万円÷(1+1)=100万円
 したがって、この場合の専従者控除額は、100万円>86万円より86万円となります。

3.事業専従者控除の留意点

 事業専従者控除の留意点は、次のとおりです。

(1) 白色申告の事業専従者控除については、事前に税務署に届出をする必要はありません。
(2) 事業専従者控除の対象者は、配偶者控除や扶養控除の対象にはなれません。
(3) 事業専従者控除額は、その専従者(配偶者、親族)の給与所得に係る収入金額とみなされます。例えば、専従者が白色申告者の事業に従事する一方、空いた時間を利用して他でアルバイトをした場合には、事業専従者控除額とアルバイトで得た給与を合計した金額が、その専従者の年間給与収入となりますので注意が必要です。

個人が受け取る新型コロナ関連助成金等の課税・非課税の例示

 新型コロナウイルス感染症の影響により、国や地方公共団体から個人に対して助成金や給付金等が支給されています。今回は、こうした助成金等が所得税の課税対象となるかどうかについて確認します(参考;国税庁ホームページFAQ)。

1.新型コロナ関連助成金等の課税関係

 新型コロナウイルス感染症の影響に関連して、国等から支給される主な助成金等の課税関係は次のとおりです。

(1) 非課税とされるもの

① 支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの

イ.新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
ロ.新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)

② 新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの

イ.特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条1号)
ロ.子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号)

③ 所得税法が非課税の根拠となるもの

【学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)】
イ.学生支援緊急給付金

【心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)】
イ.低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
ロ.新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
ハ.新型コロナウイルス感染症に感染したことによる見舞金
ニ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
ホ.東京都のベビーシッター利用支援事業における助成

※緊急事態宣言中にも事業継続が求められる感染リスクが高い事業に勤務しなければならない心身の負担が相当高い従業員に対する事業主からの見舞金。慶弔規定で定められており、社会通念上相当であるものに限る。感染リスクの大小にかかわらず支給されるものや、感染リスクが同じであるにもかかわらず、特定の者のみにだけ支給されるものは給与所得として課税される。

(2) 課税されるもの

① 事業所得等に区分されるもの

イ.持続化給付金(事業所得者向け)
ロ.小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型〉
ハ.家賃支援給付金
ニ.農林漁業者への経営継続補助金
ホ.文化芸術・スポーツ活動の継続支援
ヘ.東京都の感染拡大防止協力金などの自治体独自の給付金
ト.雇用調整助成金
チ.小学校休業等対応助成金
リ.小学校休業等対応支援金

② 一時所得に区分されるもの

イ.持続化給付金(給与所得者向け)
ロ.しながわ活力応援給付金などの自治体独自の給付金

※東京都品川区は、外出自粛要請等に伴う区民の負担を軽減し、区全体の活力を取り戻すための取組として、2020年(令和2年)4月27日時点で品川区に住民登録のある区民に「しながわ活力応援給付金」を1人当たり3万円を給付。中学生以下の児童には2万円を加算して5万円を給付。4月28日以降に出生した子どもにも1人につき5万円を給付。

③ 雑所得に区分されるもの

イ.持続化給付金(雑所得者向け)

2.新型コロナに関連しない助成金等の課税関係

 新型コロナウイルス感染症の影響とは関係なく、国等から支給される主な助成金等の課税関係は次のとおりです。

(1) 非課税とされるもの

① 支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの

イ.雇用保険の失業等給付(雇用保険法12条)
ロ.生活保護の保護金品(生活保護法57条)
ハ.児童(扶養)手当(児童手当法16条、児童扶養手当法25条)
ニ.被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法21条)

② 租税特別措置法が非課税の根拠となるもの

イ.簡素な給付措置(臨時福祉給付金)(措置法41条の81項1号)
ロ.子育て世帯臨時特例給付金(措置法41条の81項2号)
ハ.年金生活者等支援臨時福祉給付金(措置法41条の81項3号)

③ 所得税法が非課税の根拠となるもの

イ.学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
ロ.東京都認証保育所の保育料助成金(所得税法9条1項15号)
ハ.休業補償(所得税法9条1項17号)

※労働基準法76条により、労働者が業務上の負傷等により休業した場合に支給。

(2) 課税されるもの

① 事業所得等に区分されるもの

イ.肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金
ロ.小規模事業者持続化補助金(一般型)

② 一時所得に区分されるもの

イ.すまい給付金
ロ.地域振興券
ハ.通学先から支給される目的を特定していない支援金

③ 雑所得に区分されるもの

イ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券(通常時のもの)
ロ.東京都のベビーシッター利用支援事業における助成(通常時のもの)

④ 給与所得に区分されるもの

イ.慶弔規定によらない危険手当などの手当
ロ.休業手当
ハ.緊急事態宣言解除後相当期間経過後に支給が決定される事業主からの見舞金

※労働基準法26条により、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給。

テレワークで支出した費用は特定支出控除の対象となるか?

 新型コロナウイルス感染症の影響により、時間や場所を固定しない柔軟な働き方であるテレワーク(在宅勤務)が社会全体で急速に普及・定着しつつあります。
 そこで気になるのが、テレワークを取り入れる企業のサラリーマン(給与所得者)がテレワークのために支出した費用は、特定支出控除の対象になるかどうか、ということです。
 今回は、コロナ禍における特定支出控除について確認します。

1.特定支出控除の概要

 特定支出控除とは、給与所得者が次のような支出(以下「特定支出」といいます)をした場合、その年の特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超える場合、その超える部分について、確定申告により給与所得の金額の計算上控除することができる制度です。

項目 内容
通勤費 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
職務上の旅費 勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅費
転居費 転任に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のうち一定のもの
研修費 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
資格取得費 職務に直接必要な資格を取得するための支出
帰宅旅費 単身赴任等で場合で、勤務地と自宅の間の旅行のために通常必要な支出のうち一定のもの
勤務必要経費 職務に関連する書籍・定期刊行物等の図書費、制服・事務服等の衣類及び職務上関係ある者に対する接待・供応・贈答等のための支出

2.特定支出控除の対象となるか?

 テレワーク(在宅勤務)を命じられたことに伴い、職務の遂行に直接必要なものとして次の費用を支出した場合、特定支出控除の対象となる勤務必要経費に該当するでしょうか?

(1) 机・椅子・パソコン等の備品購入のための費用
(2) 文房具等の消耗品の購入のための費用
(3) 電気代等の水道光熱費やインターネット回線使用のための費用
(4) インターネット上に掲載されている有料記事購入のための費用

 結論を先に述べると、上記のうち(4)のみが勤務必要経費に該当し、特定支出控除の対象になります。

 勤務必要経費は、①職務に関連する図書(書籍、新聞・雑誌その他の定期刊行物、不特定多数の者に販売することを目的として発行される図書)、②勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための支出、③給与等の支払者の得意先や仕入先などの職務上関係のある者に対する接待等のための支出のうち、その支出がその人の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明されたものとされています。
 上記(1)~(4)の各費用のうち「(4) インターネット上に掲載されている有料記事」については、一般的に不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものですので、勤務必要経費(図書費)に該当します。
 しかし、その他の費用は、上記①~③の勤務必要経費のいずれの支出にも該当しませんので、特定支出とはなりません。

離婚により自宅を財産分与した場合にかかる税金は?

 夫婦が離婚したとき、相手方の請求に基づいて一方の人が相手方に財産を渡すことを財産分与といいます。
 この財産分与の対象財産として、自宅(土地や建物)を相手方に渡すケースも多いと思います。
 今回は、離婚により夫が妻に自宅を財産分与した場合の課税関係についてみていきます。

1.財産分与をした者(夫)

(1) 譲渡所得として課税される

 結論を先に述べると、財産分与が自宅(土地や建物)で行われたときは、分与した人(夫)に譲渡所得の課税が行われることになります。

 夫は自宅を妻に渡しても、妻から金銭を受け取ることはありません。しかし、自宅という財産の移転は、夫の財産分与の義務を消滅させるものであり、それ自体が一つの経済的利益の享受といえます。
 したがって、その財産分与の義務の消滅という経済的利益を対価とする資産の譲渡があったものとして、夫に譲渡所得の課税が行われることになります。

(2) 譲渡所得の収入金額は?

 この場合、分与した時の自宅(土地や建物)の時価が譲渡所得の収入金額となります。

 民法768条の財産分与の規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者(夫)は、その分与をした時において、そのときの価額により資産を譲渡したことになります。
 したがって、自宅という譲渡所得の基因となる財産を分与した場合は、その分与時の時価で自宅の譲渡をしたものとして、譲渡所得の計算を行うことになります。

(3) 居住用財産の譲渡所得の特例(3,000万円控除と軽減税率)の適用はあるか?

 自宅を財産分与した場合でも、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除及び軽減税率の特例を、夫は受けることができます。

 3,000万円特別控除と軽減税率の特例は、配偶者等の親族及び居住用財産の譲渡者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者(以下「特殊関係者」といいます)への譲渡については、適用を受けることができません。つまり、夫から妻への自宅の譲渡は、特例の適用対象外ということになります。
 しかし、財産分与による資産の譲渡は、離婚後における譲渡になるため、親族(配偶者)に対する譲渡には該当しないこととなり、居住用財産の特例の適用を受けることができます。
 また、離婚に伴う財産分与として受け取っている金銭等により生計を維持している者は特殊関係者に該当しないことになるので、離婚後に養育費等の名目で元妻に金銭等を支払っている場合でも、元妻へ財産分与した自宅については、居住用財産の特例の適用を受けることができます。

2.財産分与を受けた者(妻)

(1) 財産分与により取得した自宅の取得費

 分与を受けた人(妻)は、分与を受けた日にその時の時価で自宅(土地や建物)を取得したことになります。

 自宅を財産分与した者(夫)の当初の取得費を引き継がないので、元妻が分与を受けた自宅を譲渡する際は、取得費として分与時の時価を算定する必要があります。
 また、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになります。

(2) 贈与税はかからない?

 離婚により相手方(夫)から自宅をもらった場合、通常、妻に贈与税がかかることはありません。

 離婚による財産分与によって取得した財産については、財産分与請求権(民法768条)に基づく財産の取得ですので、贈与により取得した財産とはなりません。つまり、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものといえます。
 したがって、原則として、財産分与を受けた者に贈与税はかかりません。

 ただし、次のいずれかに当てはまる場合には贈与税がかかります。

① 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
 この場合は、その多過ぎる部分に贈与税がかかることになります。
② 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
 この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。

低未利用土地等を譲渡した場合の100万円特別控除の創設

 空き地などの低未利用土地等が売却されずにそのまま放置され、都市が虫食い状にスポンジ化して問題となっています。
 そこで、2020年度(令和2年度)税制改正において、空き地の売却を促して有効活用を図るための特例措置が創設されました。
 保有期間が5年を超えていて売却額が500万円以下の土地を、市区町村長の確認を取得して親族や特別関係者以外へ譲渡した場合に、土地の売却益から最大100万円を控除するというものです。
 今回は、低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除制度について確認します。

1.適用対象となる譲渡の要件

(1) 要件

 特例措置の適用対象となる譲渡は、以下の要件に該当する譲渡とされています。

① 譲渡した者が個人であること
② 都市計画区域内にある低未利用土地又はその上に存する権利で、市区町村長の確認がされたもの
③ 譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡であること
④ 譲渡者の配偶者等、当該譲渡者と特別の関係がある者への譲渡でないこと
⑤ 低未利用土地等及び当該低未利用土地等とともにした当該低未利用土地等の上にある資産の譲渡の対価の額の合計が500万円を超えないこと
⑥ 一筆であった土地からその年の前年又は前々年に分筆された土地又は当該土地の上に存する権利の譲渡を当該前年又は前々年中にした場合において本特例措置の適用を受けていないこと

(2) 低未利用土地とは?

 上記(1)要件②における低未利用土地とは、都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内にある土地基本法第13条第4項に規定する低未利用土地(居住の用、業務の用その他の用途に供されておらず、又はその利用の程度がその周辺の地域における同一の用途若しくはこれに類する用途に供されている土地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる土地)をいいます。

 具体的には、空き地(一定の設備投資を行わずに利用がされている土地を含みます)及び空き家・空き店舗等の存する土地をいいます。
 ただし、コインパーキングについては、一定の設備投資を行い、業務の用に供しているものであっても、譲渡後に建物等を建ててより高度な利用をする意向が確認された場合は、従前の土地の利用の程度がその周辺の地域における同一の用途又はこれに類する用途に供されている土地の利用の程度に比し著しく劣っており、低未利用土地に該当すると考えて差し支えないとされています。

(3) 市区町村長の確認とは?

 上記(1)要件②における市区町村長の確認は、以下のいずれも満たす必要があります。

① 当該土地が低未利用土地であること
② 買主が利用意向を有すること
③ 譲渡の年1月1日において所有期間が5年を超えること

 上記①~③の確認のために、市区町村長に提出する書類は次のとおりです。

  提出書類
①の確認 イ.別記様式①-1
ロ.売買契約書の写し
ハ.以下のいずれかの書類
 (イ) 所在市区町村等が運営する空き地・空き家バンクへの登録が確
認できる書類
 (ロ) 宅地建物取引業者が、現況更地・空き家・空き店舗である旨を表
示した広告
 (ハ) 電気、水道又はガスの使用中止日が確認できる書類
 (ニ) その他要件を満たすことを容易に認めることができる書類
②の確認 別記様式②-1(宅地建物取引業者の仲介により譲渡した場合)
別記様式②-2(宅地建物取引業者を介さず相対取引にて譲渡した場合)

※ 別記様式②-1 及び②-2 を提出できない場合に限り、別記様式③(宅地建物取引業者が譲渡後の利用について確認した場合)によっても確認可能とする。
③の確認 土地等に係る登記事項証明書

(4) 特別の関係がある者とは?

 上記(1)要件④における特別の関係がある者とは、次に掲げる者をいいます。

① 当該個人の配偶者及び直系血族
② 当該個人の親族(①を除く)で当該個人と生計を一にしているもの
③ 当該個人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
④ ①~③に掲げる者及び当該個人の使用人以外の者で当該個人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
⑤ 当該個人、当該個人の①及び②に掲げる親族、当該個人の使用人若しくはその使用人の親族でその使用人と生計を一にしているもの又は当該個人に係る③④に掲げる者を判定の基礎となる所得税法第2条第1項第8号の2に規定する株主等とした場合に法人税法施行令第4条第2項に規定する特殊の関係その他これに準ずる関係のあることとなる会社その他の法人

(5) 500万円を超えないとは?

 上記(1)要件⑤における譲渡対価500万円には、当該土地と当該土地を敷地とする建物等だけではなく、それらの固定資産税精算金も含みます。

(6) 分割譲渡等への適用制限

 上記(1)要件⑥は、分割譲渡等への適用を制限するために設けられています。なお、要件⑥を満たすことについて、市区町村長は 別記様式①-1 (低未利用土地等確認書)に記載することとされています。

2.適用対象期間

 本特例措置は、2020年(令和2年)7月1日から2022年(令和4年)12月31日までの間に上記1(1)の要件を満たした譲渡をした場合に適用を受けることができます。