「不動産の使用料等の支払調書」の注意事項

 支払調書を作成していて毎年悩むのが「不動産の使用料等の支払調書」です。以下では、その作成上と提出上の注意点をまとめていきます。

1.不動産管理会社に家賃を支払った場合

 法人が個人に支払った不動産の①地代、②家賃、③権利金、④礼金、⑤更新料は、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が15万円を超えるものについては、支払調書を作成して税務署に提出しなければなりません。
 一方、法人が法人に支払った上記①~⑤のうち、15万円を超える③~⑤については支払調書を税務署に提出しなければなりませんが、①と②は提出不要です。

 では、法人が法人である不動産管理会社に支払った家賃については、支払調書の提出義務はあるのでしょうか?

 例えば、個人から不動産を賃借していても、家賃はその不動産の管理会社である法人に支払っていることがあります。 この場合は、個人に対する支払となるために所有者である個人名を支払調書の「支払を受ける者」の欄に記載し、支払金額合計が15万円を超えるときは税務署に提出しなければなりません。

2.前払家賃の支払調書への記載

 顧問先であるA社が、昨年新たに駐車場の賃貸借契約を結びました。家主さんは個人です。この契約書には、各月分の家賃を前月の末日までに支払う旨が定められています。
 A社は平成30年11月から駐車場の賃借を始めており、契約に基づいて、11月分・12月分・翌年1月分の家賃を平成30年中に支払っています。
 この場合、不動産の使用料等の支払調書の「支払金額」欄に、11月分と12月分の2か月分を記載すればいいのか、平成30年中に支払った3か月分を記載すればいいのか迷いました。 

 そこで調べてみると、国税庁ホームページの質疑応答事例に次のように回答が載っていました。
「『不動産の使用料等の支払調書』の支払金額は、所得税法施行規則第90条第1項第2号において『その年中に支払の確定した対価の金額』と規定されています。この『確定した対価の金額』とは、原則として、相手方にその支払を請求し得ることとなった金額をいうものと解されています。」

 したがって、A社の場合、その年中に支払うべきことが確定している対価の金額は、11月分から翌年1月分の3か月分の家賃の金額となり、その3か月分の家賃に相当する金額を「支払金額」欄に記載することとなります。
 なお、法人の企業会計においては、地代、家賃のような期間収益については、貸付期間の経過に応じて益金に算入することとされ、また、所得税においても、一定の要件の基に企業会計の処理にしたがって所得計算を行うことが認められていますが、支払調書については、上記により作成・提出することとなります。

3.共有持分が不明の場合の記載方法

 共有持分に係る不動産を賃借している場合、不動産の使用料等の支払調書は不動産賃貸借契約書等から共有者ごとに作成することとされています。
 ところが、契約書等を見てもそれぞれの共有持分が不明の場合があります。この
ような場合には、支払った総額を記載した支払調書を共有者の人数分の枚数だけ作成することとなっていますが、支払を受ける者の欄には共有者連名ではなく各人ごとに記載します。
 また、摘要欄には①「共有持分不明につき総額を記載」とし、②他の共有者の数、③他の共有者の氏名及び個人番号を記載します。