仮契約書と本契約書のどちらに印紙を貼る?

 会計事務所への問い合わせで意外に多いのが「印紙」に関する事項です。税理士試験に「印紙税」の科目は無いため、印紙税に関する知識は実務経験を積んで身に付けることになります。

1.仮契約書と本契約書の両方に印紙を貼る

 昨日、顧問先であるA社(建設業)から、「仮契約書と本契約書のどちらに収入印紙を貼ればいいか?」という質問を受けました。
 A社が建設工事の請負(契約金額を仮に3,000万円とします)をする際に、まず仮契約を結ぶことになったそうです。

 早速調べてみると、国税庁ホームページ・タックスアンサーに次の記載がありました。
 「印紙税は、文書を作成する都度課税される税金です。文書が作成されるかぎり、たとえ1個の取引について数通の契約書が作成される場合でも、また、予約契約や仮契約と本契約の2度にわたって契約書が作成される場合でも、それぞれの契約書に印紙税が課税されます。」

 したがって、今回のように同一の取引について2文書以上の契約書を作成する場合は、仮契約書と本契約書の両方に10,000円の印紙を貼ることになります。
(「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」について、2014年(平成26年)4月1日から2020年(平成32年)3月31日までに作成されるものについては、印紙税の軽減措置が適用されますので、契約金額が3,000万円の場合は10,000円の印紙税になります。)

2.仮契約書の契約金額を引用すると節税になる

 このことをA社にお伝えしようと思ったのですが、念のため、さらに調べてみました。
 すると、国税庁ホームページ・質疑応答事例に次の記載がありました。
 「本契約書を作成すれば、その本契約書も第2号文書として課税の対象になりますが、例えば、本契約書に『○年○月○日付の仮請負契約書の内容を本契約とする。』旨を記載して契約金額を記載しない場合には、引用している『○年○月○日付の仮請負契約書』は課税文書ですから、本契約書は記載金額のない第2号文書として取り扱われます。」

 つまり、本契約書に契約金額を記載せずに「仮契約書」の契約金額を引用した場合は、本契約書は記載金額のない第2号文書(請負に関する契約書)として取り扱われ、200円(本来は10,000円)の印紙を貼るだけですみます。

 以上のことをA社にお伝えしました。

建物と土地の賃貸借契約書に貼る印紙はいくら?

1.建物の賃貸借契約書に印紙は不要

 建物の賃貸借契約書には、印紙税はかかりません。 しかし、土地について賃貸借契約を結んだ場合には、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税がかかります。
 なお、建物の賃貸借契約書の中には、その建物の所在地や使用収益の範囲を確定するために敷地の面積が記載されることがありますが、このような文書も建物の賃貸借契約書であるとして印紙税はかかりません。

 ただし、貸しビル業者などが、ビルなどの賃貸借契約又は予約契約を締結する際などに、そのビルなどの賃借人から建設協力金又は保証金などの名目で一定の金銭を受け取り、そのビルなどの賃貸借期間に関係なく一定期間据置き後に割賦償還することなどを約する場合があります。
 このような建設協力金又は保証金などの取り決めのある建物の賃貸借契約書は、印紙税額の一覧表の第1号の3文書「消費貸借に関する契約書」に該当し、印紙税がかかりますので注意が必要です。

2.土地賃貸借契約書に貼る印紙はいくら?

 上述したように、土地について賃貸借契約を結んだ場合には、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税がかかります。
 では、次のような土地賃貸借契約書にはいくらの印紙を貼ればいいでしょうか?

 「賃料は月100,000円とし、賃貸借期間は平成〇年〇月〇日から1年間とする。」

 印紙税額一覧表で印紙税額を調べるにあたって、契約書における記載金額を決定しなければなりません。
 この契約書の記載金額は100,000円×12か月=1,200,000円となり、印紙税額一覧表から2,000円の印紙を貼ればいいのでしょうか?

 答えは「否」です。 第1号の2文書として課税されるのは、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に対してです。
 印紙税法における土地の賃貸借契約書の記載金額とは、賃借権設定のための対価、すなわち権利金、名義変更料、更新料等の後日返還されないものをいいます。
 したがって、保証金や敷金等のように後日返還される予定のものや、目的物の使用収益のための対価(いわゆる地代)は記載金額ではありません。
 以上の理由から、上記契約書は記載金額のない第1号の2文書となり、200円の印紙を貼ります。
 賃料が記載金額になると誤解されているケースがありますので、注意が必要です。