請求書に印紙は必要?不要?

 印紙税の課税文書のうち、代表的なものとして領収書があります。売上代金を受領した際に発行する領収書について、そこに記載された受取金額が5万円以上の場合は、印紙を貼らなければならないことはよく知られています。
 一方、請求書を発行する際は、その請求金額にかかわらず基本的に印紙を貼る必要はありませんが、内容によっては印紙が必要となるケースもあります。
 今回は、請求書と印紙について確認します。

1.請求書に印紙は原則として不要

 印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の3つのすべてに当てはまる文書をいいます。

(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること
※ 課税物件表については、国税庁ホームページ「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」及び「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」をご参照ください。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと

 請求書は、上記(1)の課税物件表に掲げられている課税文書に該当しませんので、原則として印紙を貼る必要はありません。
 しかし、課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている内容に基づいて判断しなければなりません。当事者の約束や慣習により文書の名称や文言は種々の意味に用いられるため、その文書の内容判断に当たっては、その名称、呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号等の実質的な意味を汲み取って行う必要があります。

2.請求書に印紙が必要となる場合

 例えば、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は売上代金の受領書(第17号の1文書)に該当することになります。
 つまり、請求書が領収書を兼ねる場合(請求書内で「領収済」というような請求代金の受け取りを証明する文言がある場合)は、タイトルが請求書となっていたとしても領収書の扱いになりますので、印紙を貼る必要があります。
 この場合は、記載金額によって印紙税額が変わります。印紙税額については、上記課税物件表(印紙税額の一覧表)の第17号文書をご参照ください。