Amazon Payでスマホアプリ納付をする方法(決済手数料0円)

 スマホアプリ納付とは、e-Taxで申告等データを送信した後に、スマートフォン決済専用のWebサイト「国税スマートフォン決済専用サイト」から、「○○Pay」といったスマホ決済アプリを使用して納付する方法です(税額は30万円以下に限られます)。

 クレジットカード納付の場合は、納付税額に応じた決済手数料(税抜き76円+税額10,000円を超えるごとに税抜き76円)がかかりますが、スマホアプリ納付の場合は決済手数料はかかりません。

 また、スマホアプリ納付という名称のとおりスマホアプリ納付には「○○Pay」のインストールが必要ですが、Amazon Payの場合はアプリのインストールは不要で、Amazonアカウントがあればスマホアプリ納付が利用できます。
 
 今回は、Amazon Payを使用してスマホアプリ納付をする具体的な方法等を以下に記します。

1.アクセス方法がe-Tax経由に一本化された

 2025(令和7)年2月1日から、スマホアプリ納付のアクセス方法が変更されています。

 2025(令和7)年1月までは、国税スマートフォン決済専用サイトへのアクセスは、次の3つの方法がありました。

(1) 国税庁ホームページからのアクセス
(2) 確定申告書等作成コーナーで出力されるQRコードからのアクセス
(3) e-Tax受信通知からのアクセス

 2025(令和7)年2月からは、スマホ又はパソコンからe-Taxでの申告等の手続を行った上で、e-Taxを経由して「国税スマートフォン決済専用サイト」へアクセスする(3)の方法に1本化されています。

 以下では(3)の方法の具体的手順をみていきます。

2.スマホアプリ納付の具体的手順(Amazonギフトカード利用)

 スマホアプリ納付の手続きの流れは次のようになります。

(1) e-Taxで電子申告
(2) ○○Pay(Pay払い)へのアカウント登録及び残高へのチャージ
(3) スマホアプリ納付

 以下、手順を確認していきます(本記事では(3)について具体的にみていきます)。

(1) e-Taxで電子申告

 スマホアプリ納付の前提として、e-Taxで電子申告しておく必要があります。

 書面で申告をした場合でも、税額が30万円以下であれば、スマートフォンやパソコンを利用して、税目や金額などの納付内容をe-Taxに登録すること(納付情報登録依頼)により、スマホアプリ納付を行うことができます。

 しかし、e-Taxで電子申告した場合には、申告から納付までの一連の手続をデジタルでシームレスに行うことができますので、e-Taxで電子申告することをお勧めします。

(2) 「○○Pay」(Pay払い)へのアカウント登録及び残高へのチャージ

 スマホアプリ納付はアカウント残高を利用した支払方法のみ利用可能なため、事前に利用するPay払いへのアカウント登録及び残高へのチャージが必要です。

 Amazon Payの場合は、アカウント残高へのチャージにAmazonギフトカードが利用できます。

 Amazonギフトカードをクレジットカードで購入し、その金額がAmazonアカウントに登録されたら、Amazon Payの残高への反映(チャージ)は完了です。

 なお、「○○Pay」で納税する際のポイント付与については、利用する「○○Pay」によって取扱いが異なりますが、Amazon Payでは、Amazonギフトカードをクレジットカードで購入する際に、通常の買い物と同様にクレジットカードのポイントが貯まります。

(3) スマホアプリ納付

 上記1で述べたように、2025年2月からは、スマホ又はパソコンからe-Taxでの申告等を行った上で、e-Tax受信通知から国税スマートフォン決済専用サイトへアクセスする方法に1本化されています。

 具体的な手順について国税庁ホームページに記載がありますので、それに従って一部を補完する形で確認していきます。

① e-Taxにスマホ又はパソコンでログインし、メッセージボックス「お知らせ・受信通知」を開きます(下図はスマホでログインしている場合の画面です)。


② 納付する「納付情報登録依頼」を選択します。

出所:国税庁ホームページ


③ 画面をスクロールし、「スマホアプリ納付」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


④ 「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスします。
・パソコンでログインしている場合は、表示されたQRコードをスマホで読み取ります。
・スマホでログインしている場合は、表示された「専用サイトへ」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑤ 下図の画面が表示されますので、「国税スマートフォン決済専用サイト」をタップします。


⑥ 「国税スマートフォン決済専用サイト」が表示されたら注意事項を確認し、チェック欄に✓を入れて「次へ」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑦ 支払方法の選択画面が表示されたら「amazon pay」を選択し、チェックを入れて「次へ」をタップします

出所:国税庁ホームページ


⑧ 納付情報の確認画面が表示されたら、メールアドレスを入力します(任意です)。
 メールアドレスを入力すると「納付手続き完了メール」を受け取ることができますので、国税庁は入力を推奨しています。
 メールアドレスを入力したら、「次へ」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑨ Amazonへログインする画面が表示されたら、「amazon pay」をタップします。


⑩ Amazonアカウントでログインします。メールアドレスまたは携帯電話番号を入力して「次へ進む」をタップします。


⑪ Amazonアカウントでログインするためのパスワードを入力して「ログイン」をタップします。


⑫ 支払い方法の画面が表示されたら、ギフトカード残高を確認して「続行」をタップします。


⑬ 納付情報の確認画面が表示されます。表示された内容をよく確認し、「納付」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑭ 納付手続の完了画面が表示されたら、手続き完了です。
 手続き完了と同時に、上記⑧で入力したメールアドレスに「国税のスマホアプリ納付手続き完了のお知らせ」と「税務署からのお知らせ【スマホアプリ納付手続完了に関するお知らせ】」が届きますので、そちらも確認します。

 最後に「納付内容をダウンロード」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑮ 「納付内容をダウンロード」をタップすると、納付情報が表示されます。
 納付情報は再表示できませんので、国税庁では保存を推奨しています。スマホアプリ納付では領収書が発行されませんので、納付情報の保存は必須だといえます。

出所:国税庁ホームページ

税務署・確定申告会場で電子申告しても65万円控除は受けられない

 2018年度(平成30年度)改正で青色申告特別控除の適用要件が改正され、2020年(令和2年)分の所得税確定申告から、65 万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、これまでの要件に加え、e-Tax による申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うことが必要になりました。
 今回は、65万円控除を受けるためのe-Tax による申告(電子申告)の概要と、税務署や確定申告会場における電子申告の注意点について確認します。

※ これまでの要件については、本ブログ記事「青色申告特別控除と青色申告承認申請書の提出期限の注意点」をご参照ください。

1.電子申告による65万円控除

 65 万円の控除を受けるためには、国税庁ホームページや市販の会計ソフトで作成した確定申告書及び青色申告決算書のデータを、自宅や事業所等のパソコンから送信(電子申告)する必要があります。
 電子申告には、次の2通りの方法があります。

(1) マイナンバーカード方式
 マイナンバーカード方式とは、マイナンバーカードを使って、e-Taxへログインする方法です。
 原則、e-Taxへログインするためには、利用者識別番号(数字16桁)及び暗証番号を入力する必要がありますが、マイナンバーカード方式を利用すれば、マイナンバーカードを読み取り、利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)を 入力することでe-Taxへログインができます。
 マイナンバーカード方式では、利用者識別番号(数字16桁)及び暗証番号の管理やe-Taxを利用するために事前準備として必要であった電子証明書の登録が不要です。
 なお、マイナンバーカード方式で電子申告するためにはICカードリーダライタが必要でしたが、2021(令和3)年分からはマイナンバーカード読取対応のスマホであれば、パソコンの画面に表示された2次元バーコードをスマホで読み取って(ICカードリーダライタ無しで)電子申告することができます(2022(令和4)年1月以降)。

(2) ID・パスワード方式
 マイナンバーカードを取得していない場合は、ID・パスワード方式により電子申告することができます。
 原則として、申告・申請データをe-Taxへ送信する際には、利用者本人がデータを作成し、そのデータが改ざんされていないことを確認するため、電子証明書による電子署名が必要です。
 しかし、ID・パスワード方式を利用すれば、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」や市販の会計ソフト(電子申告に対応しているもの)で作成した申告データを送信する際に、 電子証明書による電子署名が不要となります(ただし、e-Taxのメッセージボックスの閲覧については、原則として電子証明書が必要です)。
 ID・パスワード方式を利用するためには、税務署に行ってID・パスワード方式を利用するための手続きが必要です。
 税務署で職員の対面による本人確認のうえ(運転免許証などの本人確認書類を提示します)、ID・パスワード方式の届出を作成・送信すると、利用者識別番号を取得できます。

2.税務署・確定申告会場では青色申告決算書を送信できない

 上記のように、マイナンバーカード方式かID・パスワード方式を利用して自宅等のパソコンから電子申告をすると、65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。
 また、確定申告時期になると各地に確定申告会場が設けられ、毎年多くの方が申告のために訪れます。
 この確定申告会場や税務署で確定申告をする場合は、気を付けなければならないことがあります。
 それは、税務署や確定申告会場のパソコンでは、青色申告決算書のデータを e-Tax で送信することができないということです。
 したがって、電子申告により65万円控除を受けようとする方は、自宅や事業所等のパソコンから確定申告書及び青色申告決算書のデータを送信(電子申告)しなければなりません。
 なお、税務署や確定申告会場で電子申告する場合でも、電子帳簿保存を利用している方は65万円控除の適用を受けることができます。

※ 関連記事「電子申告したのに青色申告特別控除額が55万円?」
 
 

電子申告したのに青色申告特別控除額が55万円?

 2018年度(平成30年度)改正で、2020年(令和2年)分の所得税確定申告から、青色申告特別控除額が65万円から55万円に変わります。
 ただし、e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うと、引き続き65万円控除を受けることができます。
 そこで、令和2年分は是非とも電子申告を行って65万円控除を受けたいところですが、電子申告の方法を誤ると55万円控除しか受けられない場合があります。
 今回は、この電子申告をはじめ、青色申告に関する間違いやすい事例を3点確認します。

1.電子申告と65万円控除

 令和2年分の確定申告において、青色申告者(電子帳簿保存法に係る承認は受けていません)が確定申告書を電子申告により期限内に提出し、青色申告決算書を別途書面(郵送)により提出しました。この場合、65万円控除を受けることができるでしょうか?

 答えは「否」です。
 青色申告特別控除額65万円を適用することができるのは、次のいずれかの要件を満たす場合です(措法25の2③④⑥)。

(1) 所定の期限内に電子帳簿保存法第4条第1項又は第5条第1項の承認申請書を提出し、その年中の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について税務署長の承認を受けて、電磁的記録による備付け及び保存を行い、かつ、期限内に貸借対照表及び損益計算書等を添付した確定申告書を提出した場合
(2) 期限内に電子申告により確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等を送信(提出)した場合

 (1)は電子帳簿の保存、(2)は電子申告に関する規定ですが、(2)の太字部分に注目すると、確定申告書だけではなく貸借対照表と損益計算書も電子申告しなければならないことがわかります。
 本事例の場合、青色申告決算書(貸借対照表及び損益計算書)は書面により提出していますので要件を満たさず、55万円控除しか受けることができません。意外と見落としやすいポイントかもしれませんので、注意が必要です。

※ 2022(令和4)年1月1日から施行される改正電子帳簿保存法では、税務署長の事前承認は不要になります。

関連記事:「税務署・確定申告会場で電子申告しても65万円控除は受けられない」

2.貸倒引当金は青色申告者の特典?

 白色申告者が、貸倒引当金は青色申告者でなければ適用できないと判断しましたが、この判断は妥当でしょうか?

 答えは「否」です。
 貸倒引当金は青色申告の特典の一つですが、個別評価による貸倒引当金については、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む者であれば、青色申告者でなくても適用を受けることができます(所法52①)。
 なお、一括評価による貸倒引当金については、事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者のみが適用を受けることができます(所法52②)。

3.青色申告の純損失を翌年の白色申告で繰越控除できる?

 前年に青色申告者の純損失の金額が生じた場合で、翌年分が白色申告(給与所得のみ)の場合は、繰越控除ができるでしょうか?

 答えは「正」です。
 純損失の繰越控除の要件に、連続して確定申告書を提出していることとありますが、翌年以後については青色申告書の提出は要件ではないので、白色申告でも繰越控除ができます(所法70①④)。
 
 なお、白色申告者に純損失の金額が生じた場合、一切繰越控除が認められないということではありません。
 白色申告者であっても、純損失の金額のうち、変動所得の損失と被災事業用資産の損失については、その純損失の発生した年分の確定申告書を提出していれば、繰越控除ができます(所法70②)。
 さらに、当初申告要件及び期限内提出要件はないため、期限後申告又は更正の請求でも繰越損失を生じさせることができます(所法70④)。