個人事業者が押さえておきたい令和7年度税制改正の内容

 2025(令和7)年度税制改正において、物価上昇局面における税負担の調整や就業調整対策の観点から、所得税の基礎控除や給与所得控除の引き上げ、扶養親族等の所得要件の見直し、特定親族特別控除の新設等が行われました。

 これらの改正は、2025(令和7)年12月1日に施行され、2025(令和7)年分以後の所得税から適用されます。

 以下では、これらの改正のうち、個人事業者が令和7年分の所得税の確定申告をするにあたって、押さえておきたい主な改正項目の内容を確認します。

1.収入(年収)と所得の違い

 改正の内容を確認する前に、混同しやすい「収入(年収)」と「所得」の違いを確認します。

(1) 給与所得者(会社員、パート、アルバイトなど)の場合

 収入-給与所得控除=所得 → 所得-所得控除=課税所得

 給与所得者の場合、「収入」は会社から支払われる1年間の給与等の総支給額(いわゆる「額面」)をいい、源泉徴収票の「支払金額」欄に記載されています。
 この「収入」から給与所得控除を引いたものが「所得」であり、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されています。

(2) 個人事業者(青色申告の自営業など)の場合

 収入-必要経費-青色申告特別控除=所得 → 所得-所得控除=課税所得

 個人事業者の場合、「収入」は事業活動で得た1年間の売上高をいい、青色申告決算書・損益計算書の「売上(収入)金額(雑収入を含む)①」欄に記載されています。
 この「収入」から必要経費と青色申告特別控除を引いたものが「所得」であり、損益計算書の「所得金額㊺」欄に記載されています。

 (1)(2)ともに、「収入」から必要経費(給与所得控除は給与所得者の必要経費)を引いたものが「所得」となります。

 なお、(1)(2)ともに「所得」から「所得控除」(社会 保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、基礎控除、医療費控除など)を引いたものが「課税所得」であり、この「課税所得」に税率を掛けて所得税を算出します。

 「所得」とは、「収入」から必要経費等を引いた後の金額であり、各所得を合計した「合計所得金額」は扶養親族等を判定する際に用いられます(確定申告書第一表・所得金額等の「合計⑫」欄の金額)

 
 「課税所得」とは、「所得」から社会保険料控除などの所得控除を引いた後の金額であり、所得税を算出する際に用いられます(確定申告書第一表・税金の計算の「課税される所得金額㉛」欄の金額)。


※ 合計所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

2.押さえておきたい令和7年度税制改正:基礎控除

 令和7年度税制改正で、基礎控除が下表のように変わりました。

 なお、基礎控除の改正は所得税のみの改正であり、住民税の基礎控除額は従前通りの43万円です。

本人の合計所得金額 基礎控除額
改正前 令和7・8年分 令和9年分以後
132万円以下
(200万3,999円以下)
48万円 95万円 95万円
132万円超~336万円以下
(200万3,999円超~475万1,999円以下)
88万円 58万円
336万円超~489万円以下
(475万1,999円超~665万5,556万円以下)
68万円
489万円超~655万円以下
(665万5,556円超~850万円以下)
63万円
655万円超~2,350万円以下
(850万円超~2,545万円以下)
58万円
2,350万円超~2,400万円以下
(2,545万円超~2,595万円以下)
48万円
2,400万円超~2,450万円以下
(2,595万円超~2,645万円以下)
32万円
2,450万円超~2,500万円以下
(2,645万円超~2,695万円以下)
16万円
2,500万円超
(2,695万円超)
0円

※カッコ内の金額は収入が給与だけの場合の収入金額

 確定申告をする個人事業者(以下「本人」といいます)の合計所得金額(確定申告書第一表・所得金額等の「合計⑫」欄の金額)が、上表の合計所得金額のどの区分に当てはまるかに応じて、基礎控除額を算定します。

 例えば、本人の合計所得金額が400万円の場合、令和7年・8年分の基礎控除は68万円、令和9年分以後の基礎控除は58万円となります。

 なお、給与所得控除についても改正されましたが、給与所得のある個人事業者が確定申告をする際には、給与の支払者(会社など)から発行された源泉徴収票の内容を転記するだけですので、給与所得控除の改正内容については省略します。

3.押さえておきたい令和7年度税制改正:扶養親族等の所得要件

 令和7年度税制改正で、扶養親族等の所得の範囲(所得要件)が以下のように変わりました。ただし、所得要件以外の要件(同一生計である、事業専従者ではないなど)は変わっていません。

(1) 扶養控除・配偶者控除・ひとり親控除

 扶養控除・配偶者控除・ひとり親控除の対象となる扶養親族等の所得要件が、改正前の48万円以下(給与収入だけの場合は年収103万円以下)から58万円以下(給与収入だけの場合は年収123万円以下)に変わりました。

 この所得要件を満たす扶養親族、同一生計配偶者、ひとり親の生計を一にする子がいる場合は、本人の所得控除額は次のようになります。

対象者の区分 所得控除の種類 所得控除額
一般の扶養親族(16歳以上) 扶養控除 38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満) 63万円
老人扶養親族(70歳以上の同居老親等) 58万円
老人扶養親族(70歳以上の同居老親等以外) 48万円
同一生計配偶者(70歳未満) 配偶者控除 38万円
同一生計配偶者(70歳以上) 48万円
ひとり親の生計を一にする子 ひとり親控除 35万円

※ 扶養親族(一般・特定・老人)は、本人と同一生計であることが必要です。同一生計については、「所得控除における『生計を一にする』の判定基準」をご参照ください。※ 配偶者控除は、本人の合計所得金額が900万円以下の場合の控除額です。

(2) 配偶者特別控除

 配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得要件が、改正前の48万円超133万円以下(給与収入だけの場合は年収103万円超201万5,999円以下)から58万円超133万円以下(給与収入だけの場合は年収123万円超201万5,999円以下)に変わりました。

 この所得要件を満たす同一生計配偶者がいる場合は、本人の配偶者特別控除額は次のようになります。

配偶者の合計所得金額 本人の合計所得金額
900万円以下 900万円超950万円以下 950万円超1,000万円以下
58万円超95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超133万円以下 3万円 2万円 1万円
133万円超 0円 0円 0円

 配偶者の合計所得金額が58万円以下の場合は配偶者控除を適用し、58万円超133万円以下の場合は配偶者特別控除を適用します。

4.押さえておきたい令和7年度税制改正:特定親族特別控除の新設

 令和7年度税制改正で、特定親族特別控除が新設されました。

 特定親族とは、本人と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入だけの場合は年収123万円超188万円以下)の人をいいます。

 この特定親族がいる場合は、本人の特定親族特別控除額は次のようになります。

特定親族の合計所得金額 特定親族特別控除額
58万円超 85万円以下 (123万円超 150万円以下) 63万円
85万円超 90万円以下(150万円超 155万円以下) 61万円
90万円超 95万円以下(155万円超 160万円以下) 51万円
95万円超 100万円以下(160万円超 165万円以下) 41万円
100万円超 105万円以下(165万円超 170万円以下) 31万円
105万円超 110万円以下(170万円超 175万円以下) 21万円
110万円超 115万円以下(175万円超 180万円以下) 11万円
115万円超 120万円以下(180万円超 185万円以下) 6万円
120万円超 123万円以下(185万円超 188万円以下) 3万円

※カッコ内の金額は収入が給与だけの場合の収入金額

 19歳以上23歳未満の扶養親族の合計所得金額が58万円以下の場合は扶養控除を適用し、58万円超123万円以下の場合は特定親族特別控除を適用します。

5.年収の壁(参考)

 令和7年度税制改正により、従前からあった給与所得者の年収の壁も変わっています。
 新たな年収の壁については、「令和7年度税制改正で年収の壁はこのように変わった!」をご参照ください。

令和7年分基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書の書き方と記載例

 2025(令和7)年度税制改正において、所得税の基礎控除と給与所得控除の見直し、特定親族特別控除の新設が行われました。

 この税制改正に伴い、令和7年分の年末調整の際に会社に提出する次の書類の様式が変更・追加されていますので、注意が必要です。

・給与所得者の基礎控除申告書
・給与所得者の配偶者控除等申告書
・給与所得者の特定親族特別控除申告書
・所得金額調整控除申告書

 これらの各申告書は、下図のように4つが一体の書式になって、1つの書類にまとめられています。

 以下では、令和7年度税制改正を踏まえて、令和7年分基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書の書き方を確認します。

 なお、令和7年分扶養控除等(異動)申告書については様式に変更はありませんが、改正内容に留意した書き方をしなければなりません。令和7年分扶養控除等(異動)申告書については、「令和7年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方と記載例」をご参照ください。

1.氏名、住所などの記入

(1) 所轄税務署長
 給与の支払者(勤務先)の所在地等の所轄税務署長を記入します。

(2) 給与の支払者の法人番号
 この申告書を受理した給与の支払者が、給与の支払者の法人番号を付記しますので、あなた(給与所得者)が記入する必要はありません。

2.給与所得者の基礎控除申告書の記入

(1) あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算
 給与所得については、令和7年中の給与の収入金額(給与を2か所以上から受けている場合は、その合計額)の見積額を「収入金額」欄に記入し、その給与の収入金額を基に下表を使用して「所得金額」を計算します。

給与の収入金額(A) 給与所得の金額
1円以上    650,999円以下 0円
651,000円以上 1,899,999円以下 A-650,000円
1,900,000円以上 3,599,999円以下 A÷4(千円未満切捨て)…B
B×2.8-80,000円
3,600,000円以上 6,599,999円以下 A÷4(千円未満切捨て)…B
B×3.2-440,000円
6,600,000円以上 8,499,999円以下 A×0.9-1,100,000円
   8,500,000円以上 A-1,950,000円

 ただし、所得金額調整控除の適用を受ける人は、上の表に従って求めた給与所得の金額から所得金額調整控除の控除額を差し引いた額を記入してください。
 所得金額調整控除の額の計算方法は、次のとおりです(①②の両方がある場合は、その合計額)。
① (給与の収入金額※1-850万円)×10%
 ※1 1,000万円を超える場合は1,000万円
② 給与所得控除後の給与等の金額※2+公的年金等に係る雑所得の金額※2-10万円
 ※2 10万円を超える場合は10万円

 例えば、給与の収入金額が8,970,000円の場合、上の表より給与所得の金額は8,970,000円-1,950,000円=7,020,000円と計算されますが、所得金額調整控除の額(8,970,000円-8,500,000円)×10%=47,000円を差し引いた6,973,000円を「所得金額」欄に記入します。

(2) 控除額の計算
 上記(1) の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の表で計算した合計額を基に「判定」欄の該当箇所に✓を付け、判定結果に対応する控除額を「基礎控除の額」欄に記入します。

(3) 区分Ⅰ
 配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする人は、「控除額の計算」の「判定」欄の判定結果に対応する記号(A~C)を記入します。

3.給与所得者の配偶者控除等申告書の記入

(1) 配偶者の氏名、個人番号など
 一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください(本ブログ記事「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のマイナンバー記載を省略する方法」をご参照ください)。
 また、配偶者が非居住者である場合には、「非居住者である配偶者」欄に○を付け、「生計を一にする事実」欄にその年に送金等をした金額の合計額を記入します。この場合、親族関係書類及び送金関係書類の添付等が必要ですが、親族関係書類については、扶養控除等(異動)申告書を提出した際に添付等をしているときは必要ありません。

(2) 配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算
 上記 2.(1)を参考に、配偶者の収入金額、所得金額を記入して下さい。例えば、給与収入の見積額が1,190,000円の場合には、所得金額は1,190,000円-650,000円=540,000円となります。

(3) 判定及び区分Ⅱ
 上記3.(2)で計算した合計所得金額及び配偶者の生年月日を基に、「判定」欄の該当箇所に✓を付け、判定結果に対応する記号(①~④)を「区分Ⅱ」欄に記入します。

(4) 控除額の計算
 「控除額の計算」の表に基礎控除申告書の区分Ⅰの判定結果(A~C)とこの申告書の区分Ⅱの判定結果(①~④)を当てはめ、配偶者控除額又は配偶者特別控除額を求めます。

(5) 配偶者控除の額又は配偶者特別控除の額
 区分Ⅱが①又は②の場合は「配偶者控除の額 」欄に、区分Ⅱが③又は④の場合は「 配偶者特別控除の額 」欄に、「控除額の計算」の表で求めた配偶者控除額又は配偶者特別控除額を記入します。

4.給与所得者の特定親族特別控除申告書の記入(新設)

(1) 特定親族の氏名、個人番号など
 「特定親族」とは、あなたと生計を一にする年齢19歳以上23歳未満(平成15年1月2日~平成19年1月1日生)の親族(里子を含み、配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、合計所得金額が58万円超123万円以下である人をいいます。
 特定親族が非居住者である場合には、「非居住者である特定親族」欄に○を付け、「生計を一にする事実」欄に送金額等を記載します。この場合、親族関係書類及び送金関係書類の添付等が必要ですが、親族関係書類については、扶養控除等(異動)申告書を提出した際に添付等をしているときは、必要ありません。

(2) 特定親族の本年中の合計所得金額の見積額の計算
 上記2.(1)を参考に、特定親族の収入金額、所得金額を記入して下さい。例えば、給与収入の見積額が1,290,000円の場合には、所得金額は1,290,000円-650,000円=640,000円となります。

(3) 特定親族特別控除の額
 「控除額の計算」の表に特定親族の本年中の合計所得金額の見積額を当てはめ、対応する控除額を「特定親族特別控除の額」欄に記載します。例えば、合計所得金額が640,000円の場合は「58万円超85万円以下」の区分に該当しますので、特定親族特別控除の額は63万円となります。

※ 特定親族特別控除の詳細については、「特定親族特別控除の創設と源泉徴収事務への影響(令和7年度税制改正)」をご参照ください。

5.所得金額調整控除申告書の記入

(1) 要件
 該当する要件に✓を付けます。複数の項目に該当する場合は、いずれか1つを選んで✓を付けます。
 「特別障害者」とは、障害者のうち身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級である者として記載されている人など、精神又は身体に重度の障害のある人をいいます。
 「同一生計配偶者」とは、あなたと生計を一にする配偶者(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、令和7年中の合計所得金額の見積額が58万円以下の人をいいます。
 「扶養親族」とは、あなたと生計を一にする親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、令和7年中の合計所得金額の見積額が58万円以下の人をいいます。 なお、児童福祉法の規定により養育を委託されたいわゆる里子や老人福祉法の規定により養護を委託されたいわゆる養護老人で、あなたと生計を一にし、令和7年中の合計所得金額の見積額が58万円以下の人も扶養親族に含まれます。

(2) ☆扶養親族等
 「要件」欄で「同一生計配偶者が特別障害者」、「扶養親族が特別障害者」、「扶養親族が年齢23歳未満」の項目に✓を付けた場合、その要件に該当する同一生計配偶者又は扶養親族の氏名、個人番号及び生年月日等を記入します。
 なお、「扶養親族が特別障害者」、「扶養親族が年齢23歳未満」の項目に✓を付けた場合でその扶養親族が2人以上いる場合は、いずれか1人の氏名、個人番号及び生年月日を記入します(扶養親族が年齢23歳未満の場合については、「所得金額調整控除における『23歳未満の扶養親族』とは?」をご参照ください)。
 また、 一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください (上記3.(1)参照)。

(3) ★特別障害者
 「特別障害者に該当する事実」欄には、障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(障害の等級)などの特別障害者に該当する事実を記入します。
 なお、特別障害者に該当する人が「扶養控除等(異動)申告書」に記載している特別障害者と同一である場合には、特別障害者に該当する事実の代わりに「扶養控除等申告書のとおり」と記載することも認められています。

※所得金額調整控除については、本ブログ記事「令和2年分から適用される基礎控除の改正と所得金額調整控除の新設」をご参照ください。

ふるさと納税の寄附金控除の計算方法とよくある誤解(令和7年度個人住民税)

 ふるさと納税は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設されました。

 「納税」という言葉がついていますが、実際には、都道府県、市区町村への「寄附」のことをいい、ふるさと納税の限度額をきちんと把握しておけば、ふるさと納税額から2,000円を除いた全額が寄附金控除の対象となります。

 所得税からの寄附金控除は、ふるさと納税を行った年の所得税から控除され、個人住民税からの寄附金控除は、ふるさと納税を行った翌年度の個人住民税から控除されます。

 以下では、個人住民税におけるふるさと納税の寄附金控除の計算方法を確認し、ふるさと納税に関するよくある誤解について解説します。

1.個人住民税からの控除額の計算方法

 個人住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があり、それぞれ次のように計算します。

① 個人住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
 控除の基本分は、上記①の計算式で計算します。なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。
② 個人住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)×個人住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を控除した金額に応じた割合
 控除の特例分は、この特例分が個人住民税所得割額の2割を超えない場合は、上記②の計算式で計算します。なお、「個人住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を控除した金額に応じた割合」は、下表のとおりです。
課税総所得金額から人的控除差調整額を控除した金額 割合
0円以上195万円以下 84.895%
195万円超330万円以下 79.79%
330万円超695万円以下 69.58%
695万円超900万円以下 66.517%
900万円超1,800万円以下 56.307%
1,800万円超4,000万円以下 49.16%
4,000万円超 44.055%
 この特例分が個人住民税所得割額の2割を超えない場合は、個人住民税からの控除額は①(基本分)と②(特例分)の合計額となります。
③ 住民税からの控除(特例分)=個人住民税所得割額×20%
 上記②で計算した特例分が個人住民税所得割額の2割を超える場合は、上記③の計算式で計算します。このときの個人住民税からの控除額は、①(基本分)と③(特例分)の合計額となります。

2.個人住民税からの控除額の計算例

 以下の説例で、個人住民税からの寄附金控除額を計算してみます。

・個人住民税の課税総所得金額:150万円(基礎控除43万円のみ適用あり)
・ふるさと納税額:2万5千円(ふるさと納税の限度額の範囲内)

① 個人住民税からの控除(基本分)=(25,000円-2,000円)×10%=2,300円
市民税分:2,300円×3/5=1,380円
県民税分:2,300円×2/5=920円

② 個人住民税からの控除(特例分)=(25,000円-2,000円)×84.895%=19,525.85円
市民税分:19,525.85円×3/5=11,715.51円≒11,716円(端数切り上げ)
県民税分:19,525.85円×2/5=7,810.34円≒7,811円(端数切り上げ)

 したがって、個人住民税額からの寄附金控除の合計額は、①+②=21,827円(=1,380円+920円+11,716円+7,811円)となります。

3.ふるさと納税のよくある誤解

 ふるさと納税の個人住民税からの寄附金控除額は上記のように計算しますが、この寄附金控除額に関して、納税者の方から次のような質問をよく受けます。

(1) ふるさと納税から2千円を引いた全額が住民税から控除されていないのはなぜか?

 例えば、上記2の計算例では、25,000円のふるさと納税に対して、個人住民税から控除された額は21,827円となっています。このときに次の質問をよく受けます。

 「ふるさと納税額25,000円から自己負担額の2,000円を引いた23,000円が個人住民税から控除されるはずなのに21,827円しか控除されていないのはなぜですか?」

 これに対する回答は、次のとおりです。

 「ふるさと納税は、限度額の範囲内で行う限り、所得税(復興特別所得税を含む)と個人住民税を合わせて23,000円の控除となるようになっています。

 所得税から(25,000円-2,000円)×所得税率5%=1,150円、復興特別所得税から(25,000円-2,000円)×0.1021%≒23円、合計1,173円が控除されていますので、個人住民税からの控除額21,827円と合わせると23,000円になります。」

(2) ワンストップ特例を受けたら所得税から寄付金控除が受けられない?

 給与所得しかない納税者の方で医療費控除などの所得控除を受けない方は、ふるさと納税のワンストップ特例を適用することができます。

 この場合、所得税の確定申告をする必要はないのですが、確定申告をしないということは、個人住民税ではふるさと納税の寄附金控除を受けることができても所得税では寄附金控除を受けられないのではないか?という疑問を持つ納税者の方もいます。

 確かに、ふるさと納税のワンストップ特例を適用した場合は、所得税で寄附金控除を受けることはありません。
 ただし、この場合は、個人住民税から(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されます
(先の説例では25,000円-2,000円=23,000円が個人住民税から控除されます)。

 ワンストップ特例を適用して損をするということはありませんので、ご安心ください。

令和7年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方と記載例

 年末調整では、勤務先に扶養控除等申告書をはじめとする各種申告書を提出することで、いろいろな控除を受けることができます。
 
 令和7年分扶養控除等申告書は今年(令和7年)の1月から支払われる給与の計算や年末調整に使用するため、勤務先に提出します※1

 令和7年分扶養控除等申告書は昨年(令和6年)の年末調整時に提出済み、途中入社の方は入社時に提出するものと思われますが、今年(令和7年)の年末調整時に異動事項(結婚や出産により扶養者が増えた等)の有無を確認するため、勤務先より再度配布されます。

 令和7年分の年末調整は、令和7年度税制改正※2で給与所得控除や基礎控除の引き上げ、特定親族特別控除の創設等が行われたことにより、申告書の様式や所得の計算方法等が変わりましたので、例年に比べて複雑になると思われます※3

 令和7年分扶養控除等申告書については、様式の改定は予定されていませんが、税制改正の影響で記入にあたっては注意を要する箇所もあります。
 以下で、令和7年分扶養控除等申告書の書き方について確認します(税制改正部分は赤文字で表示しています)。

※1 令和7年1月1日以後に支給される給与等について提出する「令和7年分給与所得者の扶養控除等申告書」及び「令和7年分従たる給与についての扶養控除等申告書」に「簡易な申告書」が創設されました。詳細については、「簡易な扶養控除等申告書とは?」をご参照ください。

※2 令和7年度税制改正については、「令和7年度税制改正で年収の壁はこのように変わった!」をご参照ください。

※3 令和7年分基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書の書き方については、「令和7年分基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書の書き方と記載例」をご参照ください。

1.氏名、住所などの記入

(1) 所轄税務署長等
 給与の支払者(勤務先)の所在地等の所轄税務署長とあなた(給与所得者)の住所地等の市区町村長を記載します。

(2) 給与の支払者の法人(個人)番号
 この申告書を受理した給与の支払者が、給与の支払者の個人番号又は法人番号を付記します。給与の支払者が法人の場合は、給与の支払者の法人番号をあらかじめ記載(印字)して、給与所得者に配付しても差し支えありません。

(3) あなたの個人番号
 あなたの個人番号を記載する必要がありますが、一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください。

※一定の要件については、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のマイナンバー記載を省略する方法」をご参照ください。

(4) あなたの住所又は居所
 令和7年分は、令和7年12月31日時点の住所を記載します(給与の支払者の指示に従ってください)。令和8年分は、令和8年1月1日時点の住所を記載します。

(5) 配偶者の有無
 ここでいう配偶者とは、一定の要件を満たす必要のある源泉控除対象配偶者のことではありません。単に配偶者がいれば「有」に○、いなければ「無」に○を付けます。

(6) 従たる給与についての扶養控除等申告書の提出
 2か所以上から給与の支払を受けている人が、他の給与の支払者に「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している場合に◯を付けます。

※ 従たる給与についての扶養控除等申告書については、「『従たる給与についての扶養控除等申告書』とは?」をご参照ください。

2.源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族の記入

(1) 源泉控除対象配偶者
 配偶者が「源泉控除対象配偶者」となるには、以下の要件を満たす必要があります。

① あなたの所得金額※1が900万円以下である(給与収入のみならば年収1,095万円以下)
② 配偶者の所得金額※1が95万円以下である(給与収入のみならば年収160万円以下※2
③ あなたと生計を一にする配偶者である※3
④ 青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者のいずれにも該当しない

 上記4要件を満たす場合は、配偶者の情報を記入します。なお、年末調整において配偶者(特別)控除の適用を受けるには、この欄の記載の有無に関わらず「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要です。

※1 ここでいう所得金額は合計所得金額です(以下、同じ)。合計所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

※2 所得要件は95万円以下で変更はありませんが、令和7年度税制改正で給与所得控除の最低保障額が10万円引き上げられて65万円になったことに伴い、給与収入のみの場合は従前の年収150万円以下から年収160万円以下に変わりました。

※3 「生計を一にする」については、「所得控除における『生計を一にする』の判定基準」をご参照ください。
 
(2) 控除対象扶養親族
 親族が「控除対象扶養親族」となるには、以下の要件を満たす必要があります(①~③は扶養親族の要件)。

① 親族の所得金額が58万円以下である(給与収入のみならば年収123万円以下)※1
② あなたと生計を一にする親族である
③ 配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者のいずれにも該当しない
④ 居住者のうち、年齢16歳以上である人(平成22年1月1日以前生)
⑤ 非居住者※2のうち、次のイ~ハのいずれかに該当する人
イ 年齢16歳以上30歳未満の人(平成8年1月2日から平成22年1月1日までの間に生まれた人)
ロ 年齢70歳以上の人(昭和31年1月1日以前に生まれた人)
ハ 年齢30歳以上70歳未満の人(昭和31年1月2日から平成8年1月1日までの間に生まれた人)のうち、「留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人」、「障害者」又は「あなたから令和7年中において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受ける人」

 上記の要件(①~④又は①~③⑤)を満たす場合は、親族の情報を記入します。なお、児童福祉法の規定により養育を委託されたいわゆる里子や老人福祉法の規定により養護を委託されたいわゆる養護老人で、あなたと生計を一にし、令和7年中の合計所得金額の見積額が58万円以下の人も扶養親族に含まれます※1

※1 令和7年度税制改正で、申告書に記載する「扶養親族」、「同一生計配偶者」、「ひとり親控除を受ける場合の生計を一にする子」の範囲が変わりました。これまでは、所得の見積額が48万円以下(給与収入のみならば年収103万円以下)の場合に記載していましたが、令和7年分からは、所得の見積額が58万円以下(給与収入のみならば年収123万円以下)の場合に記載します。

※2 「非居住者」とは、国内に住所を有せず、かつ、現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない個人をいいます。

(3) 個人番号
 源泉控除対象配偶者及び控除対象扶養親族の個人番号を記載する必要がありますが、一定の要件の下、個人番号の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください(上記1.(3)参照)。

(4) 老人扶養親族
 控除対象扶養親族が年齢70歳以上(昭和31年1月1日以前生)の場合には、次のとおりいずれかに✓を付けます。

① その人があなた又はあなたの配偶者の直系尊属で、あなた又はあなたの配偶者のいずれかと同居を常況としている人であるとき→「同居老親等」に✓を付けます。
② その人が①以外の人であるとき →「その他」に✓を付けます。

(5) 特定扶養親族
 控除対象扶養親族が年齢19歳以上23歳未満(平成15年1月2日~平成19年1月1日生)の場合に、✓を付けます

年齢19歳以上23歳未満所得58万円超123万円以下(給与収入のみの場合は年収123万円超188万円以下)の親族については、令和7年度税制改正で新設された特定親族特別控除の適用を受けることができます(特定親族特別控除については、「特定親族特別控除の創設と源泉徴収事務への影響(令和7年度税制改正)」をご参照ください)
 年末調整で特定親族特別控除の適用を受けるには、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。


(6) 非居住者である親族
 源泉控除対象配偶者が非居住者である場合に「非居住者である親族」欄に○を付けます。
 また、控除対象扶養親族が非居住者であり、その非居住者の年齢が16歳以上30歳未満又は70歳以上である場合には「非居住者である親族」欄の「16歳以上30歳未満又は70歳以上」に✓を付け、30歳以上70歳未満の場合には、「留学」、「障害者」又は「38万円以上の支払」のうち該当するいずれかの項目に✓を付けます。
 源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族が非居住者である場合、親族関係書類の添付等が必要です。
 また、上記の「留学」に✓を付けた場合は、留学ビザ等書類の添付等が必要です。

3.障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生の記入

(1) 同一生計配偶者
 同一生計配偶者が一般の障害者、特別障害者又は同居特別障害者に該当する場合には、該当する欄に✓を付けます。

※「同一生計配偶者」とは、あなたと生計を一にする配偶者(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、令和7年中の合計所得金額の見積額が58万円以下の人をいいます。

(2) 扶養親族
 扶養親族が一般の障害者、特別障害者又は同居特別障害者に該当する場合には、該当する欄に✓を付けます。
 なお、障害者控除の対象となる扶養親族は、控除対象扶養親族とは異なり、年齢16歳未満(平成22年1月2日以後生)の扶養親族も対象となります。

(3) 寡婦、ひとり親、勤労学生
 あなたが寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合に✓を付けます
 寡婦は、ひとり親に該当しない女性で、以下のいずれかに当てはまる人です。

① 所得金額が500万円以下で、夫と離婚した後に婚姻をしておらず、扶養親族がいる
② 所得金額が500万円以下で、夫と死別した後婚姻をしていない、もしくは夫の生死が明らかでない

 ひとり親は、現在婚姻していない人、もしくは配偶者の生死が明らかでない一定の人のうち、以下のすべてに当てはまる人です。

① 所得金額が500万円以下である
② 生計を一にする子がいる
③ 事実上の婚姻関係にある人がいない

※寡婦、ひとり親については、本ブログ記事「ひとり親控除の新設と寡婦(夫)控除の改正」をご参照ください。

 勤労学生は、以下のすべてに当てはまる人です。

① あなたが学生である(小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学の学生、国や地方公共団体、学校法人などが設立した専修学校、各種学校、または職業訓練学校のうち一定の要件を満たす学校の学生)
② アルバイトなどの勤労による所得金額が85万円以下である(収入が1つの勤務先からのアルバイト代(給与収入)のみならば、年収150万円以下)

令和7年度税制改正による基礎控除の引き上げに伴い、所得要件が従前の75万円から85万円に変わりました。

(4) 障害者又は勤労学生の内容
 左記の障害者又は勤労学生に該当する(人がいる)場合、その該当する事実やその人の氏名を記載します。
(例)障害者の場合・・・障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(等級)などの障害者に該当する事実を記載します。

(注)寡婦、ひとり親に該当する方について、死別、離婚、生死不明の別、生計を一にする子の氏名及びその子の所得の見積額など、寡婦又はひとり親に該当する事実の記載は必要ありません。

4.他の所得者が控除を受ける扶養親族等の記入

 他の所得者が控除を受ける扶養親族等の欄については、共働きなどで子供を扶養親族としなかった方が子供の氏名等を記入する欄ですが、空欄でも構いません。記入しなかったとしても「控除額が減り、損をする」というわけではありません。

5.住民税に関する事項の記入

(1) 16歳未満の扶養親族
 年齢16歳未満(平成22年1月2日以後生)の扶養親族について記載します。16歳未満の扶養親族は「扶養控除」の対象外ですが、住民税の計算で利用するためあわせて記載します。

(2) 控除対象外国外扶養親族
 国内に住所を有しない16歳未満の扶養親族に該当する場合に○を付けます。この場合、親族関係書類及び送金関係書類を令和8年3月16日までに住所所在地の市区町村に提出しなければならない場合があります。

(3) 退職手当等を有する配偶者・扶養親族
 退職手当等(源泉徴収されるものに限ります。以下同じです)の支払を受ける配偶者(あなたと生計を一にする配偶者で、令和7年中の退職所得を除いた合計所得金額の見積額が133万円以下であるものに限ります)又は扶養親族について記載します。

(4) 非居住者である親族
 退職手当等の支払を受ける配偶者が非居住者である場合には、「非居住者である親族」欄の「配偶者」に✓を付けます。
 また、退職手当等の支払を受ける扶養親族が非居住者であり、その非居住者の年齢が30歳未満又は70歳以上である場合には「非居住者である親族」欄の「30歳未満又は70歳以上」に✓を付け、30歳以上70歳未満の場合には、「留学」(留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人)、「障害者」又は「38万円以上の支払」(あなたから令和7年中において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受ける人)のうち該当するいずれかの項目に✓を付けます。
 この場合、親族関係書類、留学ビザ等書類、送金関係書類及び38万円送金書類を令和8年3月16日までに住所所在地の市区町村に提出しなければならない場合があります。

(5) 令和7年中の所得の見積額(退職所得を除く)
 令和7年中の退職所得の金額を除いた合計所得金額の見積額を記載します。

(6) 障害者区分
 退職手当等の支払を受ける配偶者のうち同一生計配偶者(あなたと生計を一にする配偶者で、令和7年中の退職所得を除いた合計所得金額の見積額が58万円以下である人をいいます)又は扶養親族について、その配偶者又は扶養親族が障害者である場合は「一般」に✓を付け、特別障害者である場合は「特別」に✓を付けます。

(7) 寡婦又はひとり親
 退職所得を除くと令和7年中の合計所得金額の見積額が58万円以下となる扶養親族を有することにより、あなたが寡婦又はひとり親に該当する場合に、✓を付けます。

(注)記載欄が足りない場合は、適宜の様式に記載してこの申告書に添付します。なお、住民税では、扶養親族等の要件とされる所得の金額には、退職所得の金額は含めないこととされています。

個人事業主が所得税・社会保険の扶養に入るための要件(令和7年度税制改正)

1.年収の壁

 扶養の範囲内で働きたいパートの方は、収入が一定額を超えないように労働調整をする場合があります。
 例えば、夫が配偶者控除38万円の適用を受けられるように、妻はパート先での収入を123万円以下に抑えようとします
 また、夫の社会保険の扶養の範囲内で働きたい場合は、妻はパート先での収入を130万円未満に抑えようとします(パート先の従業員が50人以下の場合)。
 この所得税と社会保険(健康保険・厚生年金)における年収の壁は、いずれも収入額が基準となっていますので、パートで働く給与所得者の場合はわかりやすいと言えます。

 一方、個人事業主として開業しても、事業が軌道に乗るまでは親や配偶者の扶養の範囲内で仕事をしたいという場合があります。
 ここで、個人事業主が扶養に入るための判定基準はどのように考えたらいいのか、という疑問が生じます。
 所得税と社会保険の年収の壁について、個人事業主も給与所得者と同じように収入(年商)で判定することができるのでしょうか、それとも収入から経費を差し引いた所得で判定するのでしょうか?
 結論を先に述べると、個人事業主の所得税と社会保険の年収の壁は、どちらも収入から経費を差し引いた「所得」で判定します。
 以下において、若干の注意点を踏まえながら確認します。

2025(令和7)年度税制改正で、夫が配偶者控除を受けるための妻の年収は、従前の103万円以下から123万円以下に変わりました。その他の年収の壁も変わっています詳細については、「令和7年度税制改正で年収の壁はこのように変わった!」をご参照ください。

2.所得税の扶養の判定は確定申告書の合計所得金額を見る

 所得税における扶養の範囲(扶養親族)は、所得者と生計を一にする親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で合計所得金額が58万円以下の人をいいます(2025(令和7)年度税制改正で、所得要件が合計所得金額58万円以下に変わりました)。
 給与所得だけの場合は、給与の年間収入が123万円以下であれば、合計所得金額が58万円以下になります

 個人事業主の場合は、先に述べたとおり収入から経費を差し引いた所得が58万円以下であれば、扶養に入ることができます。
 58万円以下であるかどうかを判定するにあたっては、次の点に注意が必要です。

(1) 事業所得の他に所得がある場合は、それらの合計額で58万円以下であるかどうかを判定します。
(2) 青色申告者の場合は、青色申告特別控除額を差し引いた後の所得で判定します。
(3) 社会保険料控除や基礎控除などの所得控除を差し引く前の金額で判定します。

 つまり、確定申告書第1表の合計所得金額(下図の黄色マーカーを付した⑫欄の数字)が58万円以下であるかどうかを判定します。

2025(令和7)年度税制改正では、基礎控除と給与所得控除が引き上げられたため、扶養親族等の所得要件も変わっています。
 したがって、給与所得だけの場合は、給与の年間収入が123万円以下であれば、合計所得金額が58万円以下になります(給与収入123万円-給与所得控除額65万円=給与所得58万円)。
 詳細については、「扶養親族等の所得要件・住宅借入金等特別控除・生命保険料控除の見直し(令和7年度税制改正)」をご参照ください。
 なお、合計所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

3.社会保険の扶養の判定(協会けんぽの場合)

 社会保険(健康保険・厚生年金)の被扶養者に該当する条件は、日本国内に住所(住民票)を有しており、被保険者(扶養する人)により主として生計を維持されていること、および「収入要件」と「同一世帯の条件」のいずれにも該当した場合です(同一世帯の条件の説明は省略します)。

【収入要件】
 年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ
 ・同居の場合は収入が被保険者(扶養する人)の収入の半分未満
 ・別居の場合は収入が被保険者(扶養する人)からの仕送り額未満

 上記の収入要件に関する注意点は、次のとおりです。

(1) 年間収入とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます(給与所得等の収入がある場合は月額108,333円以下、雇用保険等の受給者の場合は日額3,611円以下であれば要件を満たします)。
 また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます。

(2) 収入が被保険者(扶養する人)の収入の半分以上の場合であっても、被保険者(扶養する人)の年間収入を上回らないときで、日本年金機構がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、被保険者(扶養する人)がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは被扶養者となることがあります。

 このような収入要件がありますが、先に述べたように個人事業主の場合は、収入から経費を差し引いた所得が130万円未満(又は180万円未満)であれば、扶養に入ることができます。
 130万円未満であるかどうかを判定するにあたっては、次の点に注意が必要です。

(1) 事業所得の他に所得がある場合は、それらの合計額で130万円未満であるかどうかを判定します。
(2) 青色申告者の場合は、青色申告特別控除額を差し引く前の所得で判定します。
(3) 社会保険料控除や基礎控除などの所得控除を差し引く前の金額で判定します。

 (2)の青色申告特別控除額は、あくまでも税制上の特典ですので、社会保険の扶養を判定する際の所得の算定上は控除できません。それ以外の青色申告決算書に記載した経費は差し引くことができます。

令和7年度税制改正によって19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合における特定扶養控除の要件の見直し等が行われたことを踏まえ、扶養認定日が2025(令和7)年10月1日以降で、扶養認定を受ける人(被扶養者)が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く)は、現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変わります。この「年間収入要件」以外の要件に変更はありません。

 年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します。例えば、扶養認定を受ける人が令和7年11月に19歳の誕生日を迎える場合には、令和7年(暦年)における年間収入要件は150万円未満となります。

 ただし、令和7年10月1日以降の届出で、令和7年10月1日より前の期間について認定する場合は、19歳以上23歳未満の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判定します。

 詳細については、「令和7年10月1日から19歳以上23歳未満の人の健康保険の被扶養者認定基準が年収150万円未満に変わります」をご参照ください。

4.社会保険の扶養の判定(健康保険組合の場合)

 上記3で確認した内容は、政府が管掌する全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合です。
 被保険者(扶養する人)の勤め先が、大手企業やグループ企業で構成される健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合ごとに収入要件の取扱いが異なります。
 例えば、A健康保険組合の場合は、収入(売上)から差し引ける経費は売上原価のみであるのに対し、B健康保険組合の場合は、売上原価と人件費が差し引ける、などです。
 被保険者(扶養する人)の勤め先が加入しているのは協会けんぽなのか健康保険組合なのか、健康保険組合に加入している場合はどのような扶養条件があるのか、事前に確認しておくことが大事です。

確定申告と年末調整でよく出てくる用語の意味

 確定申告と年末調整の際には、いろんな用語が出てきます。

 例えば、「合計所得金額・総所得金額・総所得金額等」や「同一生計配偶者・控除対象配偶者」、「扶養親族・控除対象扶養親族」など多々あり、なんとなくわかっているけれどきちんと説明できない方もいるかもしれません。

 これらの内容を正しく理解しておくことが正しい処理や判断を行う上で必要ですので、以下では確定申告と年末調整でよく出てくる用語の意味について確認します。

1.合計所得金額・総所得金額・総所得金額等

 所得税や個人住民税の計算に用いられる用語として「合計所得金額」と「総所得金額等」があり、さらには「総所得金額」という用語もあります。

 これらの用語の意味の違いを理解するポイントは、課税所得を計算する過程のどの段階で出てくるのかを把握することです。
 詳細については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

2.生計を一にする(同一生計)

 「生計を一にする」(同一生計)とは、日常の生活の資を共にすることをいいます。

 会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、次のようなケースは生計を一にするものとして取り扱われます。

(1) 生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているとき
(2) 日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているとき

 詳細については、「所得控除における『生計を一にする』の判定基準」をご参照ください。

3.障害者・特別障害者・同居特別障害者

 障害者とは、その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には、その死亡の日)の現況において、次のいずれかに該当する精神や身体に障害のある方をいいます。

(1) 身体障害者手帳や療育手帳、戦傷病者手帳、精神障害者保健福祉手帳の発行を受けている方
 なお、「療育手帳」は、「愛護手帳」、「愛の手帳」や「みどりの手帳」など各自治体によって別の名称で呼ばれていることがあります。
(2) 精神保健指定医などにより知的障害者と判定された方
(3) 65歳以上の方で障害の程度が障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている方 など

 特別障害者とは、障害者のうち、次の特に重度の障害のある方をいいます。

(1) 身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級と記載されている方
(2) 療育手帳に障害の程度が重度として「A」(「マルA」、「A2」など)と表示されている方
(3) 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級と記載されている方
(4) 重度の知的障害者と判定された方
(5) いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない方 など

 同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族で、納税者やその配偶者、生計を一にする親族の誰かとの同居を常としている方をいいます。
 なお、老人ホームなどへ入所している場合は、同居を常としているとはいえません。

4.同一生計配偶者・控除対象配偶者・老人控除対象配偶者

 同一生計配偶者とは、納税者の配偶者で次のいずれにも該当する方をいいます。

(1) その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には、その死亡の日)の現況において、納税者と生計を一にしている
(2) 合計所得金額が48万円以下である
(3) 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない又は白色申告者の事業専従者でない

 控除対象配偶者とは、同一生計配偶者のうち、納税者の合計所得金額が1,000万円以下である場合の配偶者をいいます。

 老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、年齢が70歳以上の方をいいます。

2025(令和7)年度税制改正で、(2)の要件は「48万円以下」から「58万円以下」に変わりました(下記5の扶養親族の合計所得金額についても同じ)。詳細については、「扶養親族等の所得要件・住宅借入金等特別控除・生命保険料控除の見直し(令和7年度税制改正)」をご参照ください。

5.扶養親族・控除対象扶養親族・特定扶養親族・老人扶養親族・同居老親等・国外居住親族

 扶養親族とは、その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には、その死亡の日)の現況において、次のいずれにも該当する方をいいます。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)又は市町村長から養護を委託された老人である
(2) 納税者と生計を一にしている
(3) 合計所得金額が48万円以下である(2025(令和7)年度税制改正で58万円以下に変わりました)
(4) 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない又は白色申告者の事業専従者でない

 控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、年齢が16歳以上の方をいいます。
 なお、扶養親族が国外居住親族である場合には、次のいずれかに該当する方に限り、控除対象扶養親族に該当します。

(1) 年齢が16 歳以上30 歳未満の方
(2) 年齢が70 歳以上の方
(3) 年齢が30歳以上70歳未満で、留学により国内に住所及び居所を有しなくなった方
(4) 年齢が30歳以上70歳未満で、障害者である方
(5) 年齢が30歳以上70歳未満で、納税者からその年中において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている方

 特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、年齢が19歳以上23歳未満の方をいいます。

 老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、年齢が70歳以上の方をいいます。

 同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者やその配偶者の直系尊属(父母、祖父母など)で、納税者やその配偶者との同居を常としている方をいいます。
 なお、老人ホームなどへ入所している場合は、同居を常としているとはいえません。

 国外居住親族とは、非居住者(国内に住所を有せず、かつ、現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない個人)である親族をいいます。
 確定申告において、国外居住親族に係る扶養控除、配偶者(特別)控除又は障害者控除の適用を受ける場合には、その親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」(扶養控除の場合は、扶養親族の区分に応じて、「38万円送金書類」又は「留学ビザ等書類」が必要になる場合があります)の添付等が必要です。

6.特定取得・特別特定取得・特例取得・特別特例取得・特例特別特例取得

 特定取得とは、住宅の新築、取得又は増改築等に係る対価の額等に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額が10%又は8%の税率により課されるべきものである場合の住宅の取得等をいいます。

 特別特定取得とは、住宅の新築、取得又は増改築等に係る対価の額等に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額が10%の税率により課されるべきものである場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合を除きます)の住宅の取得等をいいます。

 特例取得とは、特別特定取得のうち、特別特定取得に係る契約が次の区分に応じ、それぞれ以下の日までに締結されているものをいいます。

(1) 居住用家屋の新築…令和2年9月30日までの期間
(2) 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの(新築住宅)若しくは既存住宅の取得又は居住の用に供する家屋の増改築等…令和2年11月30日までの期間

 特別特例取得とは、特別特定取得のうち、特別特定取得に係る契約が次の区分に応じ、それぞれ次に定める期間内に締結されているものをいいます。

(1) 居住用家屋の新築…令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間
(2) 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの(新築住宅)若しくは既存住宅の取得又は居住の用に供する家屋の増改築等…令和2年12月1日から令和3年11月30日までの
期間

 特例特別特例取得とは、特別特例取得に該当する場合で、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅の取得等をいいます。

 

個人事業者の賃上げ促進税制に係る明細書の書き方と記載例

1.個人事業者にも適用がある

 賃上げ促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を税金から税額控除できる制度です。

 賃上げ促進税制の前身である所得拡大促進税制は、2021(令和3)年度税制改正において、適用要件の見直し(中小企業者等の継続雇用要件の撤廃等)が行われたことにより、以前に比べて使いやすいものとなりました(2021(令和3)年度税制改正については、「中小企業者等の所得拡大促進税制の令和3年度改正《令和3年4月1日以後開始事業年度》」をご参照ください)。

 また、2022(令和4)年度税制改正において、所得拡大促進税制から賃上げ促進税制に呼称が改められると同時に適用要件の見直しが行われました。
 基本的な内容は所得拡大促進税制を踏襲しつつも、制度自体はより簡素化されたものとなりました(2022(令和4)年度税制改正については、「中小企業者等の賃上げ促進税制《令和4年4月1日~令和6年3月31日開始事業年度》」をご参照ください)。

 賃上げ促進税制は、法人だけではなく個人事業者にも適用がありますので、要件を満たしているかどうかの検討は必要です。
 要件を満たしていれば所得税から税額控除ができ、所得控除よりも大きな節税効果があります。
 中小企業者等については継続雇用要件が撤廃されましたので、個人事業者の方も賃上げ促進税制の適用を積極的に検討してはいかがでしょうか?

2.個人事業者の明細書の記載例

 個人事業者が賃上げ促進税制を適用する場合は、『給与等の支給額が増加した場合の所得税額の特別控除に関する明細書』(以下、「明細書」といいます)と『給与等支給額及び比較教育訓練費の額の計算に関する明細書(付表1)』(以下、「付表1」といいます)を確定申告書に添付しなければなりません。

 以下の説例を用いて、2024(令和6)年分についてこれらの明細書の記載上のポイントと記載例を示します。

 なお、令和6年分の所得税確定申告で適用可能な賃上げ促進税制の制度詳細については、「中小企業者等の賃上げ促進税制《令和4年4月1日~令和6年3月31日開始事業年度》」をご参照ください。

【設例】
業種:飲食業(個人事業者・青色申告)
開業:令和5年9月1日
前年(令和5年)の給与支給額:1,107,620円(うち専従者給与320,000円)
本年(令和6年)の給与支給額:3,822,218円(うち専従者給与960,000円)

 まず、付表1から記載します。記載上のポイントは次のとおりです。

(1) ①欄(国内雇用者に対する給与等の支給額)は、賃上げ促進税制を適用する令和6年の給与支給額を記載しますが、専従者給与の960,000円は除きます。
 したがって、①欄には3,822,218円-960,000円=2,862,218円と記載します。
 もっとも個人の青色申告決算書では、専従者給与は独立した項目で表示されますので、間違うことはないものと思われます。

(2) ⑥欄(適用年の前年分)には、令和5年分と記載します。

(3) ⑦欄(国内雇用者に対する給与等の支給額)は、適用年の前年である令和5年分の給与支給額を記載しますが、①欄と同じく専従者給与を除きます。
 したがって、⑦欄には1,107,620円-320,000円=787,620円と記載します。

(4) ⑩欄(12/⑥の月数)は、適用年の前年(令和5年)において事業を営んでいた月数と適用年(令和6年)において事業を営んでいた月数とが異なる場合は要注意です。
 今回の説例では、令和5年9月1日に開業していますので、令和5年に事業を営んでいた月数は暦に従って計算した4か月(9月1日~12月31日)となります。
 したがって、⑩欄には12/4と記載します。

 なお、今回の説例では9月1日という切りのいい日に開業していますが、もし開業日が9月18日などのような場合は、月数に1月未満の端数が生じます。
 このように月数に1月未満の端数が生じた場合は、賃上げ促進税制ではこれを1か月とカウントします(詳細については、「賃上げ促進税制における1月未満の端数の取扱い」をご参照ください)。

(5) ⑪欄(比較雇用者給与等支給額)には、787,620円×12/4=2,362,860円と記載します(今回の説例では⑫欄も同じ金額を記載します)。
 つまり、適用年の前年分の雇用者給与等支給額を、適用年の月数分に合わせて換算するということです。

 次に明細書を記載します。記載上のポイントは次のとおりです。

(1) ①欄(雇用者給与等支給額)には、付表1の④から金額を転記します。

(2) ②欄(比較雇用者給与等支給額)には、付表1の⑪から金額を転記します。

(3) ③欄(比較雇用者給与等支給増加額)は、①欄2,862,218円から②欄2,362,820円を引いた499,358円を記載します。

(4) ④欄(雇用者給与等支給増加割合)は、③欄499,358円を②欄2,362,820円で割った0.2113を記載します。
 今回の説例では、この増加割合が1.5%以上(0.2113≧0.015)であることから適用要件(通常要件)を満たし、賃上げ促進税制の適用を受けることができます(税額控除率15%)。

 なお、②欄の金額が0であるときは④欄の増加割合も0となり、賃上げ促進税制の適用はありません。
 つまり、開業初年は賃上げ促進税制の適用はないということです。

(5) ⑤⑥⑦欄についても、①②③欄と同様の手順で記載します。

(6) 継続雇用者給与等支給増加割合の計算(⑧欄~⑪欄)は、中小企業者等については継続雇用要件が撤廃されましたので記載不要です。

(7) ⑯欄には③欄と⑦欄のうち少ない金額を記載し、⑱欄には⑯欄から⑰欄を引いた金額を記載します。

(8) 中小企業者等は、「第2項適用の場合」の㉓欄~㉔欄を記載します。
 これは適用要件(税額控除率の上乗せ要件)に関する欄であり、④欄の増加割合が2.5%以上の場合に通常の税額控除率15%にさらに15%が上乗せされ、合計の税額控除率が30%になるというものです。

 今回の説例では、増加割合が2.5%以上(0.2113≧0.025)あります。
 このように適用要件(上乗せ要件)を満たす場合は、㉒欄には上乗せされる税額控除率の「0.15」を記載します。

 また、㉔欄(中小事業者税額控除限度額)には、⑱欄499,358円×(0.15+0.15)=149,807円を記載します。

(9) ㉕欄~㉙欄は、賃上げ促進税制による税額控除額を計算する欄です。
 今回の説例では税額控除率が30%になりましたが、税額控除額は所得税額の20%が上限となりますので、その制限を受けるかどうかをここで計算します。

 ㉕欄(調整前事業所得税額)は、『令和6年分の所得税の確定申告書』第一表の㉛欄の金額を転記します。

 ㉖欄(本年税額基準額)は、㉕欄435,100円×20/100=87,020円を記載します。

 ㉗欄(本年税額控除可能額)には、㉔欄と㉖欄のうち少ない金額である87,020円を記載します。

 ㉘欄は、『所得税の額から控除される特別控除額の明細書』の⑯欄のBの金額を転記しますが、他に特別控除の特例を受けていない場合は記載不要です。

 ㉙欄(所得税額の特別控除額)87,020円が、最終的な税額控除額となります。

 最後に、賃上げ促進税制を適用した場合の確定申告書第一表と第二表の記載例を以下に示します。
 第二表の特例適用条文等の欄に「措法10の5の4」と記載するのを忘れないように注意しなければなりません。



 

子どもの養育費を支払っている親はその子どもを扶養控除の対象にできるか?

 離婚によって子どもと離れて暮らすことになった親は、その子どもの生活や教育のために、子どもを引き取った親(元配偶者)に対して養育費を支払わなければなりません。

 一般的には子どもを引き取った親が親権者になりますが、親権者でなくなった親であっても子どもの親であることに変わりはありませんので,親として養育費の支払義務を負います。

 子どもの養育費を支払っている親にとっては、その子どもを扶養控除の対象とすることができれば、自らの税負担を減らすことができます。

 しかし、離れて暮らしていてもいいのか?あるいは親権者でなくてもいいのか?など、扶養控除を受けるにあたって判然としない点もあります。

 この点について結論を先に述べると、扶養控除を受けるにあたって「同居していること」や「親権者であること」という要件はありませんので、離れて暮らしていても親権者でなくても、扶養控除の適用要件を満たしていれば扶養控除を受けることができます。

 以下において、離婚に伴う養育費の支払いと扶養控除の適用関係について確認します。

1.扶養控除の適用要件

 扶養控除とは、納税者に特定の要件に該当する扶養親族がいる場合、一定の金額(38万円~63万円)を所得金額から控除できる制度です。
 特定の要件に該当する扶養親族とは、次の要件すべてに該当する親族をいいます。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること

(2) 納税者と生計を一にしていること

(3) 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

 上記4要件を満たす扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人を控除対象扶養親族といい、扶養控除の対象となります。

 離れて暮らす子どもが控除対象扶養親族であるか否かについて、上記の(1)、(3)、(4)、16歳以上という要件については、形式的に判断できますので特に問題はないと思います。

 判断に迷うのは、養育費の支払いが上記(2)の「生計を一にしていること」に該当するか否かだと思われますので、この点について次に確認します。

※ 2025(令和7)年度税制改正で、(3)の要件は「年間の合計所得金額が58万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が123万円以下)」に変わりました。
 詳細については、「
扶養親族等の所得要件・住宅借入金等特別控除・生命保険料控除の見直し(令和7年度税制改正)」をご参照ください。

2.「生計を一にする」とは?

 「生計を一にする」とは、必ずしも同居していることを要件とするものではありません。
 例えば、勤務、修学、療養等のために別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

 したがって、離れて暮らす子どもが「生計を一にしている」とみることができるかどうかは、離婚に伴う養育費の支払いが「常に生活費等の送金が行われている場合」に当たるか否かによることとなりますが、次のような場合には、扶養控除の対象として差し支えないものとされています。

(1) 扶養義務の履行として支払われる場合

(2) 子が成人に達するまでなど一定の年齢等に限って支払われる場合


 なお、離婚に伴う養育費の支払いが(1)及び(2)のような状況にある場合において、それが一時金として支払われる場合は、「常に生活費等の送金が行われている場合」に該当しないと考えられるため、扶養控除を受けることはできません。

 一方、一時金として支払われる場合であっても、子どもを受益者とする信託契約(契約の解除については元夫婦の両方の同意を必要とするものに限ります)により養育費に相当する給付金が継続的に給付されているときには、その給付されている各年について「常に生活費等の送金が行われている場合」に該当すると考えられるため、扶養控除を受けることができます。
 ただし、信託収益は子どもの所得となりますので、信託収益を含めて子どもの所得金額の判定を行う必要があります。

 また、離れて暮らす親と引き取った親の両方の控除対象扶養親族に子どもが該当する場合には、いずれか一方の親だけしか扶養控除を受けることができません(重複適用はありません)。

※ 離婚に伴う財産分与の課税関係については、本ブログ記事「離婚により自宅を財産分与した場合にかかる税金は?」をご参照ください。

国民年金保険料が免除される所得基準の計算方法~確定申告書との違いに注意!

 国民年金保険料の納付が経済的に困難な場合は、本人の申請により保険料の納付が免除される制度があります。

 免除される額には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4つの区分があり、所得に応じて免除の区分が承認(決定)されます。

 以下では、国民年金保険料の免除を受けるための所得基準の計算方法と、計算の際に注意を要する確定申告書の控除額との違いについて確認します。

※ 本記事の前編である保険料免除制度の内容については、「国民年金保険料の免除・納付猶予の申請について」をご参照ください。

1.日本年金機構が公表している所得基準の計算式

 国民年金保険料の免除を受けるためには、本人、配偶者(別世帯の配偶者を含む)、世帯主それぞれの前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下でなければなりません。

 この「一定額以下」という所得基準については、日本年金機構ホームページにおいて次の計算式が公表されています。

(1) 全額免除
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円

(2) 4分の3免除
88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

(3) 半額免除
128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

(4) 4分の1免除
168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等


 本人、配偶者(別世帯の配偶者を含む)、世帯主それぞれの前年所得が、上記計算式で計算した金額以下であれば、保険料の免除を受けることができます。

 ところが、実際に計算しようとすると、いくつかの疑問が生じます。

 例えば、計算式(1)における「扶養親族等の数」の「等」には配偶者や事業専従者も含まれるのか、(2)~(4)における「扶養親族等控除額」や「社会保険料控除額等」の「等」には所得税における扶養控除や社会保険料控除以外に何が含まれるのか、などです。

 しかし、日本年金機構のホームページでは、これらの内容に関する詳細な記載は見当たりません。

 保険料が免除される所得を計算する際のベースとなるのは、確定申告書の数字です。そこで、確定申告書との異同点を中心に「扶養親族等の数」、「扶養親族等控除額」、「社会保険料控除額等」の内容について、以下で確認していきます。

2.計算式の「扶養親族等の数」とは?

 全額免除の所得基準は、「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」の計算式で求められます。

 この計算式における「扶養親族等の数」は、扶養控除の対象親族(控除対象扶養親族)だけではなく、16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)と同一生計配偶者(控除対象配偶者)も該当します。

 一方、青色事業専従者として給与の支払を受けている人または白色事業専従者は該当しません。

3.計算式の「扶養親族等控除額」とは?

 一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)の所得基準は、「〇〇万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」の計算式で求められます。

 この計算式における「扶養親族等控除額」は、以下のものが該当します。

(1) 老人控除対象配偶者(70歳以上の同一生計配偶者)または老人扶養親族1人につき48万円
(2) 16歳以上23歳未満の扶養親族1人につき63万円
(3) それ以外の同一生計配偶者または扶養親族1人につき38万円

 ここで注意を要するのは、所得基準の計算式における「扶養親族等控除額」は、必ずしも確定申告書の控除額と一致しないということです。

 具体的な相違点は、次のとおりです。

所得基準の計算式 確定申告書の控除額との違い
老人控除対象配偶者(70歳以上の同一生計配偶者)または老人扶養親族1人につき48万円 老人扶養親族のうち、同居老親等については1人につき58万円の控除額となるが、計算式では同居老親等についても48万円の控除額となる。
16歳以上23歳未満の扶養親族1人につき63万円 16歳以上19歳未満の一般控除対象扶養親族については1人につき38万円の控除額となるが、計算式では一般控除対象扶養親族についても63万円の控除額となる(19歳以上23歳未満の特定扶養親族と同額)。
それ以外の同一生計配偶者または扶養親族1人につき38万円 16歳未満の年少扶養親族については扶養控除の対象外であるが、計算式では年少扶養親族についても38万円の控除額となる。

4.計算式の「社会保険料控除額等」とは?

 一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)の所得基準の計算式における「社会保険料控除額等」は、以下のものが該当します。

(1) 障がい者1人につき27万円
(2) 特別障がい者1人につき40万円
(3) 寡婦または寡夫1人につき27万円
(4) 特別寡婦1人につき35万円
(5) 勤労学生1人につき27万円
(6) 雑損控除額
(7) 医療費控除額
(8) 社会保険料控除額
(9) 小規模企業共済等掛金控除額
(10) 配偶者特別控除額
(11) 純損失及び雑損失の控除額 など

 ここでも注意を要するのは、確定申告書の控除額との違いです。具体的には次のとおりです。

所得基準の計算式 確定申告書の控除額との違い
特別障がい者1人につき40万円 同居特別障害者については1人につき75万円の控除額となるが、計算式では同居特別障害者についても40万円の控除額となる。

 なお、確定申告書の所得控除のうち、以下のものは保険料免除を受けるための所得基準の計算式には含まれません。

(1) 生命保険料控除
(2) 地震保険料控除
(3) 基礎控除
(4) 寄附金控除

5.所得基準の計算方法と免除の区分

 国民年金保険料の免除を受けるための所得基準を計算するにあたっては、上記2,3、4における「扶養親族等の数」、「扶養親族等控除額」、「社会保険料控除額等」の範囲を把握し、確定申告書の控除額との違いに注意する必要があります。

 例えば、次の家族構成を例にした場合、免除を受けるための所得基準の計算方法と免除の区分は以下のようになります。

【家族構成5人】
① 本人・・・・・令和5年分の事業所得295万円(青色申告)、世帯主
② 配偶者・・・・青色事業専従者で令和5年分の給与所得41万円、46歳
③子ども・・・・小学生(12歳)と高校生(16歳)、無収入
④母親・・・・・令和5年分の年金所得15万円、71歳、同居
⑤所得控除・・・社会保険料控除30万円、生命保険料控除10万円、寄附金控除5万円
【所得基準の計算と免除の区分】

A.全額免除
所得基準:(3(子ども2人、母親)+1)×35万円+32万円=172万円
→本人の所得295万円>所得基準172万円のため、全額免除は受けられない。

B.4分の3免除
所得基準;88万円+48万円(同居老親)+38万円(年少扶養)+63万円(一般扶養)+30万円(社保控除)=267万円
→本人の所得295万円>267万円のため、4分の3免除は受けられない。

C.半額免除
所得基準:128万円+48万円(同居老親)+38万円(年少扶養)+63万円(一般扶養)+30万円(社保控除)=307万円
→本人の所得295万円≦307万円のため、半額免除を受けられる。

※ 配偶者の所得は41万円であるため、A、B、Cにおける所得基準をクリアしている。

 最後に、上記の例における本人の確定申告書を以下に示します。青枠で囲んだ箇所が所得基準の計算対象となりますが、確定申告書の控除額との違いに注意してください。

(1) 確定申告書では扶養控除が96万円(同居老親58万円+一般扶養親族38万円)となりますが、所得基準の計算では149万円(同居老親48万円+年少扶養親族38万円+一般扶養親族63万円)となります。

(2) 確定申告書では生命保険料控除10万円、基礎控除48万円、寄附金控除5万円が記載されていますが、所得基準の計算では対象外となります。

「合計所得金額」「総所得金額」「総所得金額等」の違いとは?

 年末調整や確定申告において所得控除を適用する場合に、適用可能かどうかを判定するための基準として所得金額が設けられています。

 例えば、配偶者控除の適用要件は配偶者の所得金額が48万円以下とされていますが、ここでいう所得は「合計所得金額」です。
 一方、寄附金控除額は寄附した金額と所得金額の40%のいずれか少ない金額から2,000円を控除した額とされていますが、ここでいう所得は「総所得金額等」です。

 また、個人住民税においては、均等割の非課税限度額は「合計所得金額」で判定するのに対して、所得割の非課税限度額は「総所得金額等」で判定します。

 このように「合計所得金額」や「総所得金額等」(さらに「総所得金額」もあります)は、所得税や個人住民税の計算に用いられています。
 どれも所得の合計を表すよく似た用語ですが、税法上少しずつ違いがありますので、それらが用いられる場面によって使い分けが必要です。

 以下では、「合計所得金額」、「総所得金額」、「総所得金額等」という3つの用語について確認します。

2025(令和7)年度税制改正により、配偶者控除や扶養控除などの適用要件は合計所得金額が58万円以下とされました。

1.課税所得金額の計算過程のどの金額か?

 国税庁のホームページや書籍等では、「合計所得金額」、「総所得金額」、「総所得金額等」について詳細な説明がされています。
 例えば、国税庁ホームページでは、「合計所得金額」について以下のように説明されています。

次の①と②の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。

※ 申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です。

① 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)
② 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額


ただし、「◆総所得金額等」で掲げた繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいいます。

 確かにこの説明を読みくだいていけば「合計所得金額」がどういうものであるかがわかります。
 また、「総所得金額」と「総所得金額等」についても説明を読み解けば個々の理解はできます。
 しかし、3者の違いまでわかろうとすると、説明文を読むだけでは困難だと思われますので、ここでは図を用いて理解の一助とします。

 「合計所得金額」、「総所得金額」、「総所得金額等」は、課税所得金額の計算過程で出てくる用語ですので、これらの違いを理解するには、課税所得金額の計算構造を示した下図が参考になると思われます。

 課税所得金額は、各種所得の金額を一定の順序に従い損益通算し、純損失、雑損失等の繰越控除をして課税標準を求め、その課税標準から所得控除額を差し引いて計算します。
 詳細な説明は省きますが、「合計所得金額」、「総所得金額」、「総所得金額等」の違いを理解するにあたっては、これらが課税所得金額の計算過程のどの時点で出てくるかに注目することがポイントです。
 つまり、損益通算の前なのか後なのか、繰越控除の前なのか後なのか、分離課税の譲渡所得の特別控除の前なのか後なのか、所得控除の前なのか後なのか、ということです。

2.合計所得金額で判定するもの

 合計所得金額を用いて判定するものには、以下のものがあります。

・配偶者控除(本人の所得1,000万円以下、配偶者の所得48万円以下等)、配偶者特別控除
・扶養控除(扶養親族の所得48万円以下等)
・寡婦、ひとり親控除(500万円以下)
・基礎控除(2,500万円以下)
・住宅借入金特別控除(2,000万円以下)
・均等割の非課税限度額
・障がい者、未成年者、寡婦、ひとり親の非課税限度額 等

2025(令和7)年度税制改正により、配偶者控除や扶養控除などの適用要件は合計所得金額が58万円以下とされました。

3.総所得金額で判定するもの

 総所得金額には分離所得が含まれていないので、判定基準として使用されることはあまりありません。

4.総所得金額等で判定するもの

 総所得金額等を用いて判定するものには、以下のものがあります。

・雑損控除
・医療費控除
・寄附金控除
・所得割の非課税限度額 等