定額減税の年調減税事務の流れ

 2024(令和6)年分所得税については定額減税が実施されていますので、年末調整の際には、例年の年末調整と異なり年調減税事務を行う必要があります。

 年調減税事務では、年末調整の際、年末調整時点の定額減税額(以下「年調減税額」といいます)に基づき、年間の所得税額との精算を⾏います。

 今回は、定額減税の年調減税事務の流れ(手順)について確認します。

1.年調減税事務の対象となる人

 令和6年の年末調整において年調減税事務の対象となる人は、原則として、年末調整の対象となる人です。

 具体的には、前年以前から引き続き勤務している人や年の中途で就職し年末まで勤務している人(青色事業専従者を含みます)で、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書※1」を年末調整を行う日までに提出している人です(給与の収入金額が2,000万円を超える人を除きます)。

 この年末調整の対象となる⼈が、原則として、年調所得税額から年調減税額を控除する対象者(年調減税事務の対象者)となります※2

 ただし、年末調整の対象となる⼈のうち、給与所得以外の所得を含めた合計所得⾦額が1,805万円を超えると⾒込まれる⼈については、年調減税額を控除しないで年末調整を⾏うことになります※3

※1 扶養控除等(異動)申告書については、本ブログ記事「令和6年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方と記載例」をご参照ください。

※2 年調所得税額とは、年末調整により算出された所得税額で、住宅借入⾦等特別控除の適用を受ける場合には、その控除後の⾦額をいいます。つまり、例年通りの計算方法で年調所得税額を算出します。

※3 年末調整において合計所得⾦額が1,805万円を超えるかどうかは、基礎控除申告書により把握した合計所得⾦額を用います。

2.年調減税額の計算

 年調減税額は、「本人30,000円」と「同一生計配偶者と扶養親族1人につき30,000円」との合計額となります。

 年調減税額の計算に当たっては、「扶養控除等(異動)申告書」や「配偶者控除等申告書」などから、年末調整を行う時の現況における同一生計配偶者の有無及び扶養親族(同一生計配偶者及び扶養親族はいずれも居住者に限ります)の人数を確認することになります※4

 なお、同一生計配偶者(居住者に限ります)を年調減税額の計算に含めるためには、従業員本人が「配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」にその配偶者を記載して提出する必要があります※5

※4 定額減税における「同一生計配偶者」と「扶養親族」の内容については、本ブログ記事「定額減税と年末調整で異なる『同一生計配偶者』『扶養親族』の範囲に注意!」をご参照ください。

※5 基礎控除申告書および配偶者控除等申告書に、本人(配偶者)定額減税対象のチェック欄が追加されました。所得金額などから、年調減税額の対象となる場合はチェックを付けます。
 また、年末調整に係る定額減税のための申告書が追加されました。従業員本人の令和6年中の合計所得金額の見積額が1,000万円超で、かつ居住者である同一生計配偶者(令和6年中の合計所得金額の見積額が48万円以下)を年調減税額の計算対象とする場合は、こちらに記載します。

3.年調年税額の計算(年調減税額の控除)

 年調減税額の控除は、住宅借入金等特別控除後の所得税額(年調所得税額)から、その住宅借入金等特別控除後の所得税額を限度に行います。年調年税額の計算手順は次のとおりです。

(1) 年調所得税額の計算
 例年通りの計算方法で、年調所得税額を算出します。

(2) 年調減税額の控除
 年調所得税額から年調減税額を控除します。この金額(下図の「定額減税額控除後の所得金額」)に102.1%(復興特別所得税)を乗じて年調年税額を算出し、過不足額の精算を行います。

出所:国税庁ホームページ

4.源泉徴収簿の作成

 上記2で求めた「年調減税額」、上記3で求めた「年調所得税額から年調減税額を控除した金額」、「年調減税額のうち控除しきれなかった金額(控除外額)」がある場合はその額(無い場合は0円)を、それぞれ源泉徴収簿の余白に記載します。

出所:国税庁ホームページ

 上の例において、「年調所得税額㉔163,600円」を算出するところまでは例年通りです。例年と変わるのは、「年調年税額㉕44,500円」の記入方法です。

 まず、源泉徴収簿の余白に「㉔-2 120,000円」(年調減税額)を記入します。

 次に、源泉徴収簿の余白に「年調所得税額㉔163,600円」から「㉔-2 120,000円」(年調減税額)を控除し、その控除後の残額を「㉔-3 43,600円」と記入します。
 このとき、年調減税額のうち控除しきれなかった⾦額はありませんので、余白に「㉔-4 0円」(控除外額)と記入します。
 年調減税額のうち控除しきれなかった⾦額があるときは、余白に「㉔-3 0円」と記入し、「㉔-4 〇〇〇円」(控除外額)と記入します。

 最後に、「㉔-3 43,600円」(年調減税額控除後の年調所得税額)に102.1%を乗じて復興特別所得税を含む年調年税額44,500円を算出し(100円未満切り捨て)、「年調年税額㉕」欄に記入します。

 この後の手順は例年通りです。「年調年税額㉕44,500円」と「税額⑧204,810円」とを比べて過不⾜額160,310円を「差引超過額⼜は不⾜額㉖」欄に記入し、通常の年末調整と同様にその過不⾜額の精算(160,310円の還付)を⾏います。

5.源泉徴収票の記載例

(1) 年末調整を行った一般的な場合

 年末調整終了後に作成する「令和6年分給与所得の源泉徴収票」には、その「(摘要)」欄に、実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額120,000円」と記載します。
 また、年調減税額のうち年調所得税額から控除しきれなかった⾦額がない場合は「控除外額0円」と記載します。
 控除しきれなかった⾦額がある場合は、「控除外額〇〇〇円」と記載します。

出所:国税庁ホームページ

(2) 非控除対象配偶者分の定額減税を受けた場合

 合計所得⾦額が1,000万円超である居住者の同一生計配偶者(以下「非控除対象配偶者」といいます)分を年調減税額の計算に含めた場合には、上記(1)に加えて「非控除対象配偶者減税有」と「(摘要)」欄に記載します。

出所:国税庁ホームページ

(3) 非控除対象配偶者が障害者に該当する場合

 非控除対象配偶者を有する人で、その同一生計配偶者が障害者、特別障害者⼜は同居特別障害者に該当する場合は、「(摘要)」欄に同一生計配偶者の氏名及び同一生計配偶者である旨を記載することとされていますが、この場合に当該非控除対象配偶者分を年調減税額の計算に含めた場合には、「減税有」の追記で差し⽀えありません。

出所:国税庁ホームページ

(4) 年末調整を行っていない場合

 年末調整を⾏わずに退職した人や、令和6年分の給与の収入⾦額が2,000万円を超えるなどの理由により年末調整の対象とならなかった人については、その「令和6年分給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄には、定額減税の情報を記載する必要はありません※6
 なお、「源泉徴収税額」欄には、控除前税額から月次減税額を控除した後の実際に源泉徴収した税額の合計額を記載することになります。

※6 関連記事:「令和6年6月1日以後に退職した人の定額減税(年調未済の場合)

交際費等から除かれる「1人当たり10,000円以下の飲食費」について

 2024(令和6)年度税制改正で、交際費等の範囲から除かれる一定の飲食費に係る金額基準が「1人当たり10,000円以下(改正前:5,000円以下)」に引き上げられました。
 以下では、この1人当たり10,000円以下の飲食費について確認します。

1.交際費等とは?

 交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます)のために支出するものをいいます。

 これらの交際費等は、会計上はその事業年度の費用として処理されますが、法人税の所得計算上は一定限度額までしか損金に算入されません。

 2024(令和6)年4月1日以後開始事業年度の交際費等の損金算入額は、下表のとおりです(表中における「接待飲食費」とは、飲食その他これに類する行為のために要する費用で、専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するもの(社内飲食費)を除きます)。

企業規模 損金算入額
期末の資本金又は出資金の額が1億円以下の法人
※ 資本金又は出資金の額が5億円以上の会社の100%子会社等は、1億円超の法人と同じ取扱いとなります。
次のいずれかを選択できます。
(A)交際費等のうち、接待飲食費50%相当額以下の金額
(B)交際費等の金額の年800万円(定額控除限度額)以下の金額
期末の資本金又は出資金の額が1億円超の法人 交際費等のうち、接待飲食費50%相当額以下の金額
期末の資本金又は出資金の額が100億円超の法人 なし

2.交際費等の範囲から除かれるもの

 上記1のように、交際費等の損金算入には一定の制限がかかりますが、次に掲げる費用は交際費等から除かれます。つまり、損金算入の制限はありません。

(1) 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
(2) カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
(3) 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
(4) 新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、または放送のための取材に通常要する費用
(5) 1人当たり10,000円以下の飲食費

 上記(5)の金額基準が、2024(令和6)年度税制改正において、1人当たり5,000円以下から10,000円以下に引き上げられました。

3.1人当たり10,000円以下の飲食費とは?

 1人当たり10,000円以下の飲食費とは、飲食その他これに類する行為のために要する費用で、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が10,000円以下である費用をいいます。

 ただし、専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するもの(社内飲食費)を除きます。

 また、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。

(1) 飲食等のあった年月日
(2) 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
(3) 飲食等に参加した者の数
(4) その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
(5) その他参考となるべき事項(その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項)

 なお、1人当たり10,000円以下の飲食費の判定や交際費等の額の計算は、法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行います。

4.飲食費に該当するもの・しないもの

 上記3の飲食費については、租税特別措置法に「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)」と規定されています。
 したがって、次のような費用については、社内飲食費に該当するものを除き、飲食費に該当します。

(1) 自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
(2) 飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
(3) 飲食等のために支払う会場費
(4) 得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
(5) 飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

 一方、次の費用は飲食費に該当しません。

(1) ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
(2) 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
(3) 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用

※ 飲食等が催事とは別に単独で行われていると認められる場合、例えば、企画した旅行の行程の全てが終了して解散した後に一部の取引先の者を誘って飲食等を行った場合などは、飲食費に該当します。

5.保存書類への参加者の氏名等の具体的な記載方法

 上記3(2)で見たように、1人当たり10,000円以下の飲食費の規定の適用要件として、「飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係」を記載した書類を保存しなければなりません。

 これは、社内飲食費でないことを明らかにするためのものであり、飲食等を行った相手方である社外の得意先等に関する事項を「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)、卸売先」というように、原則として、相手方の氏名や名称の全てを記載する必要があります。

 ただし、相手方の氏名について、その一部が不明の場合や多数参加したような場合には、その参加者が真正である限りにおいて、「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)部長他10名、卸売先」という記載であっても差し支えないものとされています(氏名の一部又は全部が相当の理由があることにより明らかでないときには、記載を省略しても差し支えありません)。

 また、その保存書類の様式は法定されているものではありませんので、記載事項を欠くものでなければ、適宜の様式で作成して差し支えありません。

 なお、一の飲食等の行為を分割して記載すること、相手方を偽って記載すること、参加者の人数を水増しして記載すること等は、事実の隠ぺい又は仮装に当たりますのでご注意ください。

家屋と一体の建築設備は家屋と償却資産のどちらに該当するか?

 家屋(建物)には、家屋と一体となって家屋の効用を高める設備(電気設備、給排水設備、衛生設備、空調設備、消火設備、運搬設備等の建築設備)が取り付けられていますが、固定資産税においては、これらを家屋と償却資産に区分して評価します。

 家屋として評価するものには固定資産税が課され、償却資産として評価するものについては償却資産税が課されますので、家屋と償却資産の区分は重要です。

 しかし、家屋と一体となっているが故に、その区分が判然としないケースもあります。区分のポイントは、家屋と設備の所有者が同じであるか否かという点です。
 この観点から、建築設備における家屋と償却資産の区分について確認します。

1.家屋と設備の所有者が同じ場合

 家屋と一体となって家屋の効用を高める建築設備のうち、取り外しが容易で別の場所に自在に移動のできるもの、屋外に設置された配線又は配管、特定の生産又は業務の用に供されるもの等については、償却資産として取り扱います。

 家屋と建築設備の所有者が同じである場合の家屋と償却資産の区分について、代表的なものを以下に例示します。

建築設備の種類 設備の分類 設備の内容 家屋 償却資産
建築工事 内装・造作等 床・壁・天井仕上、造作・建具、外壁の仕上げ等
店舗造作等工事一式
 
電気設備 受変電設備 設備一式(配線・配管を含む)  
予備電源設備 発電機設備、蓄電池設備、無停電電源設備等(配線・配管を含む)  
中央監視設備 設備一式(配線・配管を含む)  
動力照明設備 屋外設備一式、特定の生産又は業務用設備(ネオンサイン、投光器、スポットライト等)  
屋内設備一式、分電盤  
電力引込設備 引込工事  
動力配線設備 特定の生産又は業務用設備(工場等機械の動力源である動力配線)  
上記以外の設備  
電話設備 電話機、交換機等の機器  
配管・配線、端子盤等  
LAN設備 設備一式  
放送・拡声設備 マイク、スピーカー、アンプ等の機器  
配管・配線等  
監視カメラ
( ITV)設備
受像機(テレビ)、カメラ、録画装置等の機器  
配管・配線等  
給排水衛生設備 給排水設備 屋外設備、引込工事、特定の生産又は業務用設備  
配管、高架水槽、受水槽、ポンプ等  
給湯設備 局所式給湯設備(電気温水器・湯沸器用)  
局所式給湯設備(ユニットバス用、床暖房用等)、
中央式給湯設備
 
ガス設備 屋外設備、引込工事、特定の生産又は業務用設備  
屋内の配管、バルブ、排気筒等  
衛生設備 設備一式(洗面器、大小便器等)  
消火設備 消火器、避難器具、ホース及びノズル、ガスボンベ等  
消火栓設備、スプリンクラー設備等  
空調設備 空調設備 壁掛型ルームエアコン、特定の生産又は業務用設備  
上記以外の設備  
換気設備 特定の生産又は業務用設備  
上記以外の設備  
その他の設備等 運搬設備 工場用ベルトコンベア、垂直搬送機  
エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機  
厨房設備 顧客の求めに応じるサービス設備(飲食店・ホテル・百貨店等)、寮・病院・社員食堂等の厨房設備  
上記以外の設備  
その他の設備 冷凍・冷蔵倉庫における冷却装置、ろ過装置、POSシステム、広告塔、文字看板、袖看板、簡易間仕切(衝立)、機械式駐車設備(ターンテーブルを含む)、駐輪設備、ゴミ処理設備、メールボックス、カーテン・ブラインド等  
外構工事 外構工事 工事一式(門・塀・フェンス・植栽等)  

2.家屋と設備の所有者が異なる場合

 賃貸ビル等を借り受けて事業をしている賃借人(テナント)が、自己の費用により附加施工又は譲渡等によって取得した建築設備で事業の用に供することができるものについては、賃借人(テナント)がその建築設備を償却資産として申告することとなります。

 この場合(家屋と建築設備の所有者が異なる場合)上記1の表において「家屋」と区分されているものについても、償却資産として申告しなければなりません。

 具体的には、次のとおりです(は上記1の表において家屋と区分されているものです)。

建築設備の種類 設備の分類 設備の内容 家屋 償却資産
建築工事 内装・造作等 床・壁・天井仕上、造作・建具、外壁の仕上げ等
店舗造作等工事一式
 
電気設備 受変電設備 設備一式(配線・配管を含む)  
予備電源設備 発電機設備、蓄電池設備、無停電電源設備等(配線・配管を含む)  
中央監視設備 設備一式(配線・配管を含む)  
動力照明設備 屋外設備一式、特定の生産又は業務用設備(ネオンサイン、投光器、スポットライト等)  
屋内設備一式、分電盤  
電力引込設備 引込工事  
動力配線設備 特定の生産又は業務用設備(工場等機械の動力源である動力配線)  
上記以外の設備  
電話設備 電話機、交換機等の機器  
配管・配線、端子盤等  
LAN設備 設備一式  
放送・拡声設備 マイク、スピーカー、アンプ等の機器  
配管・配線等  
監視カメラ
( ITV)設備
受像機(テレビ)、カメラ、録画装置等の機器  
配管・配線等  
給排水衛生設備 給排水設備 屋外設備、引込工事、特定の生産又は業務用設備  
配管、高架水槽、受水槽、ポンプ等  
給湯設備 局所式給湯設備(電気温水器・湯沸器用)  
局所式給湯設備(ユニットバス用、床暖房用等)、
中央式給湯設備
 
ガス設備 屋外設備、引込工事、特定の生産又は業務用設備  
屋内の配管、バルブ、排気筒等  
衛生設備 設備一式(洗面器、大小便器等)  
消火設備 消火器、避難器具、ホース及びノズル、ガスボンベ等  
消火栓設備、スプリンクラー設備等  
空調設備 空調設備 壁掛型ルームエアコン、特定の生産又は業務用設備  
上記以外の設備  
換気設備 特定の生産又は業務用設備  
上記以外の設備  
その他の設備等 運搬設備 工場用ベルトコンベア、垂直搬送機  
エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機  
厨房設備 顧客の求めに応じるサービス設備(飲食店・ホテル・百貨店等)、寮・病院・社員食堂等の厨房設備  
上記以外の設備  
その他の設備 冷凍・冷蔵倉庫における冷却装置、ろ過装置、POSシステム、広告塔、文字看板、袖看板、簡易間仕切(衝立)、機械式駐車設備(ターンテーブルを含む)、駐輪設備、ゴミ処理設備、メールボックス、カーテン・ブラインド等  
外構工事 外構工事 工事一式(門・塀・フェンス・植栽等)  

償却資産税の申告対象となる資産とは?

 償却資産に対する固定資産税を償却資産税といいます。
 償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、所得税法又は法人税法の所得の計算上減価償却の対象となる資産です。

 毎年1月1日現在において償却資産を所有している法人や個人事業者は、1月31日までにその償却資産を市役所等に申告しなければなりません。

 しかし、実際に申告書を作成する際には、どの資産が申告対象であるのか判断に迷うケースもありますので、以下では償却資産税の申告対象となる資産について、基本的事項の確認をします。

1.申告対象となる資産

 申告対象となる資産は、毎年1月1日現在において事業の用に供することができる資産です。
 なお、次に掲げる資産も申告が必要ですのでご注意ください。

(1)建設仮勘定で経理されている資産
(2)簿外資産(帳簿に記載されていない資産)
(3)償却済資産(減価償却を終わって帳簿上残存価額のみ計上されている資産)
(4)遊休資産(稼働を休止しているが利用可能な資産)
(5)未稼働資産(既に完成または据付済であるが未だ稼働していない資産)
(6)大型特殊自動車(陸運局への登録の有無にかかわらず償却資産に該当)
(7)賃貸ビル等を借り受けて事業をしている者が、自己の費用で付加施工した内部造作等及び譲渡等によって取得した内部造作等で、事業の用に供することができる資産
(8)美術品等のうち取得価額が1点100万円未満であるもの
(9)使用可能期間が1年未満又は取得価額が20万円未満の償却資産であっても個別に減価償却しているもの
(10)租税特別措置法の規定を適用し、即時償却等をしているもの(中小企業者等の少額資産(取得価額30万円未満)の損金算入の特例適用資産

※ 下記3をご参照ください。

2.申告対象とならない資産

 次の(1)~(9)に該当する資産は、償却資産税の課税対象にならないので申告の必要はありません。

(1)使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の償却資産で、税務会計上一時に損金算入または必要経費に算入しているもの(固定資産として計上しないもの)
(2)取得価額が20万円未満の償却資産で、税務会計上3年間で一括償却しているもの
(3)無形減価償却資産(ソフトウェア、営業権、特許権等)
(4)繰延資産(創立費、開業費等)
(5)自動車税又は軽自動車税の課税対象となる自動車等
(6)平成20年4月1日以降に締結されたリース契約のうち、法人税法第64条の2第1項又は所得税法第67条の2第1項に規定するリース資産(所有権移転外リース及び所有権移転リース)で、取得価額20万円未満のもの
(7)生物(ただし、観賞用・興行用のものは申告対象)、立木、果樹
(8)美術品等のうち取得価額が1点100万円以上であるもの
(9)1月2日以降に取得し、翌年1月1日までの間に減少した資産

※ 下記3をご参照ください。

3.少額の減価償却資産の取扱い

 地方税法第341条第4号及び地方税法施行令第49条の規定により、下記(1)~(3)の資産については、償却資産税の申告対象から除かれます。

(1)取得価額10万円未満の資産のうち一時に損金算入したもの
(2)取得価額20万円未満の資産のうち3年間で一括償却したもの
(3)平成20年4月1日以降に締結されたリース契約のうち、法人税法第64条の2第1項又は所得税法第67条の2第1項に規定するリース資産で、取得価額20万円未満のもの

 一方、中小企業者等の少額資産(取得価額30万円未満)の損金算入の特例適用資産は、償却資産税の申告対象となっています。

 少額の減価償却資産の償却資産税における取扱いをまとめると、次のようになります。

区分 償却資産税の申告
少額の減価償却資産の損金(必要経費)算入の対象となる減価償却資産(使用可能期間1年未満又は取得価額10万円未満) 申告対象外
一括償却資産の損金(必要経費)算入の対象となる減価償却資産(取得価額20万円未満) 申告対象外
リース資産でそのリース資産の所有者が取得した際における取得価額が20万円未満のもの 申告対象外
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金(必要経費)算入の対象となる減価償却資産(取得価額30万円未満) 申告対象
取得価額10万円未満又は20万円未満でも個別償却を選択したもの 申告対象

4.まとめ

 上記1~3について、償却方法と取得価額により申告対象をまとめると、次のようになります。

  10万円未満 10万円以上20万円未満 20万円以上30万円未満 30万円以上
一時損金算入 申告対象外      
3年一括償却 申告対象外 申告対象外    
リース資産 申告対象外 申告対象外 申告対象 申告対象
中小企業特例 申告対象外 申告対象 申告対象  
個別減価償却 申告対象 申告対象 申告対象 申告対象

資本的支出を行った資産を譲渡した場合の長期・短期の考え方

 譲渡所得の計算では、資産の所有期間が5年を超えれば長期譲渡、5年以下であれば短期譲渡となり、その取扱いを異にしていますので、長期と短期の区分は重要です。

 単独資産の場合は、その所有期間が5年を超えるか否かで長期・短期の区分を判定しますが、資産本体に資本的支出を行った場合は、本体と資本的支出のどちらの所有期間で判定するのか疑問が生じます。

 今回は、資本的支出を行った資産を譲渡した場合の長期と短期の区分の判定について、業務用資産と非業務用資産に分けて確認します。

※ 分離課税の場合は所有期間で、総合課税の場合は保有期間で長期・短期の区分の判定をします。詳細については、本ブログ記事「譲渡所得の短期と長期の判定基準」をご参照ください。

1.業務用資産の場合

 2007(平成19)年4月1日以後に資本的支出を行った場合には、その資本的支出の金額を取得価額とする減価償却資産を新たに取得したものとされますが、これは減価償却資産に関する取扱いです(関連記事:「資本的支出に少額減価償却資産の損金算入の特例は適用できるか?」)。

 他方、譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいい、その資産の保有期間中の価値の増加益(キャピタル・ゲイン)について、資産が売買等によりその所有者の手を離れるのを機会に、その保有期間中の価値の増加益に相当する所得の実現があったものとして課税するものです。
 この場合の資産、すなわち譲渡所得の基因となる資産とは、一般にその経済的価値が認められて取引の対象となる資産をいうものと解されています。

 ところで、業務用資産に対して資本的支出を行い、その資本的支出の金額を取得価額とする新たな減価償却資産を取得したものとされたとしても、その資本的支出は、既存の減価償却資産につき改良、改造等のために行われた支出です。
 
 その資本的支出のみが減価償却資産本体と区分され、単独資産として取引の対象となるのであれば別ですが、通常は減価償却資産本体と一体となって取引の対象となる資産が形成されます。

 そうすると、資本的支出を行った資産の譲渡は資本的支出を含めた減価償却資産全体の譲渡となり、減価償却資産本体の所有期間により長期または短期の区分を判定するものと考えられます。

 したがって、例えば、所有期間5年超の業務用資産について、それを譲渡する3か月前に資本的支出を行ったとしても、業務用資産本体を長期譲渡、資本的支出を短期譲渡とはしません。
 原則として、業務用資産本体の所有期間5年超で判定しますので、資本的支出を含めたすべてが長期譲渡となります。

2.非業務用資産の場合

 上記1の業務用資産に行った資本的支出に対する長期と短期の区分の判定は、非業務用資産でも同様の取扱いと考えられます。

 したがって、自宅等の非業務用資産に対する資本的支出についても、原則として、その非業務用資産本体の所有期間により長期または短期の区分を判定するものと考えられます。

産前産後期間は国民年金保険料が免除されます(届出必要)!

 次世代育成支援の観点から、国民年金第1号被保険者が出産を行った際には、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度があります。
 今回は、国民年金保険料の産前産後期間の免除制度について確認します。

※ 国民年金第1号被保険者とは、20歳以上60歳未満の自営業者・農林漁業者とその家族、学生、無職の人をいいます。

1.届出時期

 産前産後期間の国民年金保険料の免除を受けるためには、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ届書を提出しなければなりません。

 この届出は出産予定日の6か月前から可能であり、出産後でも届出することができます。

 すでに国民年金保険料免除・納付猶予、学生納付特例が承認されている場合でも、届出は可能です。

 また、すでに保険料を納付していても届出はできます。保険料を納付している場合は、産前産後期間の保険料は還付されます。

※ 国民年金保険料免除・納付猶予については、本ブログ記事「国民年金保険料の免除・納付猶予の申請について」をご参照ください。

2.対象者

 この免除制度の対象となるのは、国民年金第1号被保険者です。ただし、国民年金の任意加入期間は対象になりません。

3.免除される期間(産前産後期間)

 出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されます。
 例えば、出産予定日が属する月が9月の場合は、その前月の8月から11月までの4か月間が免除期間となります。

 多胎妊娠(双子等)の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます。
 例えば、出産予定日が属する月が9月の場合は、その3か月前の6月から11月までの6か月間が免除期間となります。

※ 「出産予定日が属する月」と実際の「出産日が属する月」が乖離した場合でも、原則として変更は行われません。出産後に届け出た場合は、「出産日が属する月」が基準となります。
 なお、出産とは、妊娠85日(4か月)以上の出産をいいます(早産、死産、流産及び人工妊娠中絶を含みます)。 

4.将来の年金受給額は?

 産前産後期間は国民年金保険料が免除されますが、気になるのは、将来の年金受給額にどのような影響があるかということです。

 この点については、産前産後期間に係る保険料免除期間は、保険料納付済期間に算入されることになっています。
 したがって、「保険料が免除された期間」も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。

資本的支出に少額減価償却資産の損金算入の特例は適用できるか?

 2007(平成19)年4月1日以後に行った資本的支出は、原則として、その資本的支出の金額を取得価額とする減価償却資産を新たに取得したものとされます。
 では、その資本的支出の金額を取得価額として新たに取得したものとされる減価償却資産に、少額減価償却資産の損金算入の特例は適用できるのでしょうか?
 以下では、この点について確認します。

※ 少額減価償却資産の損金算入の特例については、本ブログ記事「30万円未満の少額減価償却資産の損金算入制度と別表16(7)の記載例」をご参照ください。

1.原則として適用不可

 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(以下「少額資産の特例」といいます)とは、青色申告の中小企業者等が2006(平成18)年4月1日から2026(令和8)年3月31日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産で、その取得価額が30万円未満のものについては、その取得価額の合計額が300万円に達するまでは損金の額に算入できるという制度です(租税特別措置法第67条の5第1項)。

 2007(平成19)年度税制改正により、2007(平成19)年4月1日以後に行った資本的支出は、原則として、その資本的支出の金額を取得価額とする減価償却資産を新たに「取得」したものとされますが、この場合の「取得」は、少額資産の特例における「取得」又は「製作」若しくは「建設」に該当するのでしょうか?

 2007(平成19)年度税制改正において、資本的支出の金額を取得価額として、減価償却資産本体と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされたのは、減価償却資産本体に係る取得価額と区分して、資本的支出に係る費用を別の取得価額とすることにより、2007(平成19)年3月31日以前に取得された減価償却資産に対する資本的支出についても新しい償却方法により償却ができることとされるなど、償却限度額の計算上の単なる取得価額の区分に関するものであると考えられます

 したがって、資本的支出の金額を取得価額として新たに取得したものとされる減価償却資産であっても、既存の減価償却資産につき改良、改造等のために行った支出であることから、原則として、少額資産の特例における「取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産」には該当しません(租税特別措置法関係通達67の5-3前段)。

※ 資本的支出がその資産全体の使用可能期間の延長又は価額の増加といった効果を与えるものであること及び資産本体と物理的に一体であることは、従前と変わりません。

2.例外的に適用可能

 しかしながら、資本的支出といってもその内容は様々であり、資産本体に単に付随して機能するようなものばかりでなく、その資本的支出自体が一個の資産として機能し、資産本体とは別個の資産として管理・償却を行うとしても問題のないものも見受けられ、既存の取扱いの中にも、そのようなものが存在します。

 例えば、その資本的支出の内容が規模の拡張である場合や単独資産としての機能の付加である場合など、実質的に新たな資産を取得したと認められる場合には、例外的に少額資産の特例を適用することができるとされています(租税特別措置法関係通達67の5-3後段)

 なお、「規模の拡張である場合や単独資産としての機能の付加である場合など」としては、例えば、ソフトウエアのバージョンアップを行った場合であって、既存の機能の強化・拡充にとどまらず、それ自体機能的独立性が高い新機能を追加した場合などが考えられます。

※ 個人に関しては、このような通達は発遣されていませんが、租税特別措置法の規定振りが法人と同様であることから、同じ結論になるものと考えられます。

譲渡所得の短期と長期の判定基準

 譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいい、短期譲渡所得と長期譲渡所得では適用される税率が異なります。

 短期譲渡所得の税率(所得税及び復興特別所得税と住民税の合計税率)は39.63%ですが長期譲渡所得は20.315%であり、短期と長期のどちらに該当するかで課される税金の額も大きく変わります。

 短期と長期の区分は、資産を取得した日からの期間が5年を超えるか否かで判定し、その期間の考え方に「所有期間」と「保有期間」があります。

 以下では、「所有期間」と「保有期間」について確認します。

1.譲渡所得の5区分

 譲渡所得は、譲渡する資産の種類とその資産の所有期間(保有期間)によって、以下のように区分されます。

(1)分離短期譲渡所得
 土地(借地権を含む)、建物、構築物等の譲渡で、譲渡年の1月1日における所有期間が5年以下のものをいいます。

(2)分離長期譲渡所得
 土地(借地権を含む)、建物、構築物等の譲渡で、譲渡年の1月1日における所有期間が5年超のものをいいます。

(3)株式等に係る譲渡所得等
 株式等の譲渡で、所有期間は関係ありません。

(4)総合短期譲渡所得
 上記(1)~(3)以外の資産の譲渡で、保有期間が5年以下のものをいいます。

(5)総合長期譲渡所得
 上記(1)~(3)以外の資産の譲渡で、保有期間が5年超のものをいいます。

2.所有期間と保有期間

 上記1より、分離課税の譲渡所得は所有期間が5年を超えるか否かで短期と長期の判定をします。
 一方、総合課税の譲渡所得は保有期間が5年を超えるか否かで短期と長期の判定をします。

 これらを図解すると、次のようになります。

 つまり、所有期間とは取得した日から譲渡した年の1月1日までの期間をいい、保有期間とは取得した日から譲渡した日までの期間をいいます。

3.「取得した日」、「譲渡した日」とは?

 譲渡所得の短期と長期の判定は、上記2のように分離課税は所有期間、総合課税は保有期間で行います。

 では、「取得した日」と「譲渡した日」とはいかなるものをいうのでしょうか?

 譲渡所得の収入を計上すべき時期は、原則として「資産の引渡しがあった日」となりますが、「売買契約の効力発生日」を収入すべき時期として選択することもできます(所得税基本通達36-12)。

 つまり、買い手の「取得した日」と売り手の「譲渡した日」は、原則として「資産の引渡しがあった日」となりますが、「売買契約の効力発生日」とすることもできます。

 また、資産を「取得した日」と「譲渡した日」の判定基準は、異なっても差し支えないこととされています。
 例えば、取得した日は契約日で、譲渡した日は引渡し日とすることも可能です。

 なお、「売買契約の効力発生日」を選択して申告した後、修正申告または更正の請求等で収入すべき時期を「資産の引渡しがあった日」に変更することはできません。

令和6年6月1日以後に退職した人の定額減税(年調未済の場合)

 2024(令和6)年6月1日以後最初に支払われる給与・賞与から、所得税の定額減税(月次減税)が開始されています。

 定額減税(月次減税)の対象となるのは、令和6年6月1日(以下「基準日」といいます)現在において給与の支払者のもとで勤務している人のうち、給与所得の源泉徴収税額表の甲欄が適用される居住者の人(その給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している居住者の人)です。

 今回は、定額減税(月次減税)の対象である給与所得者が、年末調整を受けずに年の中途で退職した場合の定額減税について確認します。

※ 定額減税の対象である給与所得者の年末調整については、「定額減税の年調減税事務の流れ」をご参照ください。

1.退職日までの給与について会社は月次減税を行う

 基準日以後に退職した人は、退職日まではその給与の支払者のもとに勤務していますので、基準日現在において扶養控除等申告書を提出していれば、退職日までの給与について会社は定額減税(月次減税)を行います。

2.退職者に渡す源泉徴収票の記載方法

 基準日以後に給与所得者が退職した場合には、源泉徴収の段階で定額減税の適用を受けた上、再就職先での年末調整又は確定申告で最終的な定額減税との精算を行うこととなるため、「令和6年分給与所得の源泉徴収票」の「摘要」欄には、定額減税に関する情報(源泉徴収時所得税減税控除済額×××円、控除外額××× 円)を記載する必要はありません。

 なお、「源泉徴収税額」欄には、控除前税額から月次減税額を控除した後の実際に源泉徴収した税額の合計額を記載することになります。

3.再就職後の月次減税

 前の勤務先で定額減税(月次減税)を受けていた人が、基準日以後に年末調整を受けずに年の中途で退職し、その後において国内にある他の企業等へ再就職して再就職先で主たる給与の支給を受ける場合は、月次減税は行われません。
 この場合は、年末調整時に年調減税を受けることになります。

4.退職所得に係る源泉所得税の定額減税

 退職所得の源泉徴収の際に定額減税は実施されませんが、令和6年分の退職所得を有する人(居住者)は、その退職所得を含めた所得に係る所得税について、確定申告により定額減税額の控除を受けることができます。

 したがって、給与等に係る源泉徴収において控除しきれなかった定額減税額がある場合には、令和6年分の確定申告書を提出することで、退職所得を含めた所得に係る所得税について、定額減税の適用を受けることができます。

※ 関連記事:「退職所得の受給に関する申告書を提出した人が還付を受けるためにする確定申告」、「給与所得者と公的年金等受給者の確定申告不要制度の注意点

令和6年度地域別最低賃金が10月1日から順次引き上げられます

 最低賃金は、パート、アルバイト、正社員、臨時、嘱託など雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者に適用されます。
 近年は最低賃金引き上げの流れが続いており、2024(令和6)年度の全国加重平均は時給1,055円と過去最高となっており、引き上げ幅51円も過去最高となっています。
 以下では、2024(令和6)年度の最低賃金について確認します。

1.最低賃金とは?

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
 仮に、最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
 また、使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。
 地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています※1
 なお、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています※2

※1 「地域別最低賃金」とは、産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。

※2 「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業について設定されている最低賃金です。関係労使が基幹的労働者を対象として、「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されており、全国で224件の最低賃金が定められています(令和6年3月31日現在)。

2.最高額は東京都の時給1,163円

 厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した2024(令和6)年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめました。改定額及び発効予定年月日は、次の別紙のとおりです。

出所:厚生労働省ホームページ

 この「令和6年度地域別最低賃金答申状況」は、厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が令和6年7月25日に示した「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果を、厚生労働省が取りまとめて令和6年8月29日に公表したものです。

 答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から11月1日までの間に順次発効される予定です。

 地域別最低賃金の全国整合性を図るため目安額のランクが設けられていますが、4区分だったランクが前年度から3区分に変更されています。
 改定額を見ていくとAからCの47都道府県すべてで50円以上引き上げられ、東京都は時給1,163円と最高です。
 最高額1,163円(東京都)と最低額951円(秋田県)の金額差は212円です。最高額に対する最低額の割合は81.8%(951円÷1,163円≒81.8%)と8割を超えており、地域格差は少しずつ改善しています※3

※3 前年度の比率は80.2%でした。なお、この比率は10年連続で改善されています。

3.令和6年度の引き上げ幅は50円~84円

 また、地域経済の活性化や若年層の流出を防ぎ労働人口を確保するには、目安より高い金額の上乗せが必至とした回答が27県あり、目安を上回る引き上げが賃金の低い地方で相次ぎました。
 下表は、2024(令和6)年度の改定額を引き上げ幅ごとに見たものです。

引き上げ幅 改定額
50円

北海道1010円 宮城 973円 栃木 1004円 群馬 985円 埼玉1078円 千葉1076円 東京1163円 神奈川1162円 富山998円 山梨988円 長野 998円 静岡1034円 愛知1077円 三重 1023円 滋賀1017円 京都1058円 大阪1114円 奈良 986円 岡山982円 広島 1020円

51円

石川 984円 岐阜1001円 兵庫1052円 和歌山980円 山口979円 福岡992円

52円

茨城 1005円 香川970円

53円

福井984円

54円

秋田951円 新潟985円 熊本952円

55円

青森953円 山形955円 福島955円 高知952円 長崎953円 大分954円 宮崎952円  

56円

佐賀956円 鹿児島953円 沖縄952 円    

57円

鳥取957円

58円

島根 962円

59円

岩手952円 愛媛 956円   

84円

徳島980円