個人の青色申告の承認が取り消される場合とは?

 個人の青色申告は、複式簿記による帳簿の作成や保存等を行う必要があるため、基本的に白色申告よりも事務負担が増えます。

 一方、事務負担が増加する見返りとして、青色申告には様々な特典が設けられています。
 例えば、青色申告特別控除、青色事業専従者給与、40万円未満の少額減価償却資産の特例、一括評価による貸倒引当金、純損失の繰越控除などです※。

 青色申告は、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられるため、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をしなければなりませんが、税務調査等で青色申告の承認が取り消される場合があります。

 今回は、個人の青色申告の承認が取り消される場合について確認します。

※ 青色申告の特典については、「青色申告と白色申告の特典比較」をご参照ください。

1.青色申告承認の取消事由

 個人の青色申告の承認取り消しについては、所得税法第150条第1項(青色申告の承認の取消し)に規定されています。

 また、税務署の取扱基準を示した「事務運営指針」では、所得税法第 150条第1項各号に掲げる事実及びその程度、記帳状況、改善可能性等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくない場合について、承認取り消しを行うこととされています。

 以下において、所得税法と事務運営指針を基に、個人の青色申告承認の取消事由についてみていきます。

(1) 帳簿書類を税務調査で提示しない場合(所得税法第 150条第1項第1号)

 帳簿書類の備付け、記録又は保存とは、単に物理的に帳簿書類が存在することのみを意味するにとどまらず、これを税務職員に提示することを含みます。

 したがって、税務調査の際に帳簿書類の提示を再三にわたり求められたにもかかわらず、正当な理由なくその提示を拒否した場合には、青色申告の承認の取消事由に該当することとなり、その提示がされなかった年分のうち最も古い年分以後の年分について、その承認が取り消されます。

(2) 税務署長の指示に従わない場合(所得税法第 150条第1項第2号)

 帳簿書類の備付け、記録又は保存について、税務署長の指示に従わない場合は、青色申告の承認の取消事由に該当することとなり、当該指示に係る年分以後の年分について、その承認が取り消されます。

(3) 隠ぺい又は仮装を行った場合等(所得税法第 150条第1項第3号)

 次のいずれかに該当する場合には、その該当することとなった年分以後の年分について、その承認が取り消されます。

① 決定又は更正がされた場合において、当該決定又は更正後の所得金額のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく所得金額が、当該決定又は更正に係る所得金額の50%に相当する金額を超えるとき(当該隠ぺい又は仮装の事実に係る所得金額が 500万円に満たないときを除く)

② 純損失の金額を減額する更正(所得金額があることとなる更正を含む)がされた場合において、当該更正により減少した部分の純損失の金額(所得金額があることとなる更正の場合にあっては、当該所得金額を加算した金額)のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく金額が、当初の申告に係る純損失の金額(所得金額があることとなる更正の場合にあっては、当該所得金額を加算した金額の50%に相当する金額を超えるとき(当該隠ぺい又は仮装の事実に係る純損失の金額が 500万円に満たないときを除く)

③ 帳簿書類への記載等が不十分である等のため、所得税法第 156条の規定による推計によらなければ適正な所得金額の計算ができないと認められる状況にある場合

2.取り消しに関するよくある誤解(期限後申告の場合)

 個人の青色申告の承認が取り消されるのは上記1の事由に該当した場合ですが、よくある誤解が、「2事業年度連続で期限内(2月16日~3月15日)に申告しなかった場合は、青色申告の承認が取り消される」というものです。

 2事業年度連続で期限後申告をした場合に青色申告の承認が取り消されるのは法人だけであって、個人については2年連続で期限後申告となっても、そのことが原因で青色申告の承認が取り消されることはありません

※ 詳細については、「無申告でも所得税の青色申告は取り消されない」をご参照ください。