2019年(平成31年)2月13日に国税庁から各生命保険会社に対して、「法人契約の定期保険等の税務取扱について見直しを検討している」旨の連絡がありました。
これを受けて、翌14日から大手生命保険会社をはじめ、他の生命保険会社も当該商品の販売を一斉に停止しました。
1.見直しの具体的な内容は?
今回、税務取扱の見直しの対象になったのは、「ピーク時の解約返戻率が50%超」の法人契約の定期保険等です。
これに該当する保険商品は、支払保険料の全額又は一部が損金算入でき、かつ、ピーク時の解約返戻率が80%超に設定されており、中途解約すれば、払込保険料の多くを解約返戻金として受け取ることができるタイプのものです(今回の見直しの対象となった保険商品による節税と税務上のリスクについては、本ブログ記事「『低解約返戻金型逓増定期保険』の節税の仕組みと税務上のリスク」を参照)。
現時点では検討段階であるため、具体的な改正内容や改正時期については未定とのことですが、これらの保険契約にかかる支払保険料の経理処理について、損金算入できる金額が縮小される方向性が示されています。
2.既契約の保険料の経理処理は?
今回の見直しが、既契約の保険商品の経理処理にも及ぶのかどうかについては、現時点では不明です。
2008年(平成20年)の逓増定期保険、2012年(平成24年)のがん保険の改正の際は、通達改正日以降の新契約が対象となっており、既契約については従来の経理処理が認められました。
しかし、1996年(平成8年)の逓増定期保険に関する通達改正の際は、既契約であっても通達改正日以降に払い込む保険料から影響する取扱いとなりました。
※国税庁は2019年(平成31年)4月11日に、節税保険に対応した法人税基本通達の改正案を公表しました。改正案については、本ブログ記事「法人向け節税保険の改正後の税務取扱い」を参照してください。