令和8年度税制改正で年収の壁はこのように変わった!

 2026(令和8)年度税制改正による所得税の基礎控除や給与所得控除の引き上げに伴い、配偶者控除や扶養控除などの所得要件も見直されています※。

 以下では、令和8年度税制改正を踏まえて、令和8年分と令和9年分の給与・賞与について適用される年収の壁について確認します。

※ 令和8年度税制改正の内容については、「基礎控除・給与所得控除の引き上げと源泉徴収事務・年収の壁への影響(令和8年度税制改正)」、「扶養控除・配偶者(特別)控除・ひとり親控除・特定親族特別控除の所得要件の見直し(令和8年度税制改正)」をご参照ください。

1.106万円の壁(社会保険)

 令和8年度税制改正は、以下の社会保険制度上の年収の壁である106万円(105.6万円)の壁には影響ありません。

 下記①~⑤の条件を満たす場合は、パートやアルバイトで働く人は社会保険の扶養から外れ、自ら国民健康保険・国民年金の被保険者となり保険料を負担することになります(関連記事「従業員51人以上の会社で働くパート・アルバイトの社会保険加入義務(令和6年10月1日~)」)。

 ①従業員が51人以上の会社で働いている(2024(令和6)年10月以降)※1
 ②週の労働時間が20時間以上30時間未満である
 ③月収8.8万円以上(年収106万円以上)である※2
 ④2か月を超える雇用の見込がある
 ⑤学生でない(休学中・夜間学生は除く)

※1 2025(令和7)年6月13日に成立した年金制度改正法により、2027(令和9)年10月から、「企業規模要件」が段階的に撤廃されます。

※2 2025(令和7)年6月13日に成立した年金制度改正法により、法律の公布から3年以内に「賃金要件」は撤廃されます。2026(令和8)年10月に賃金要件は撤廃される予定ですので、「106万円の壁」はなくなる見込みです。

2.119万円の壁(住民税)

 令和8年度税制改正で給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられたことにより、住民税が非課税となる年収が119万円に変わりました(令和9年度・10年度の住民税について適用)。

 住民税は、所得金額に応じて課税される「所得割と、定額で課税される「均等割」から成りますが、住んでいる地域や家族構成によって住民税が非課税となる所得金額は異なります。

 例えば、兵庫県宝塚市で均等割が非課税となる所得は、次の算式で算出します。

 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+本人)+10万円+21万円(同一生計配偶者または扶養親族を有する場合のみ)

 単身の場合は、35万円×1+10万円=45万円が非課税となる所得であり、給与収入に置き換えると119万円(45万円+給与所得控除74万円)となります。

 したがって、年収が119万円を超えると住民税がかかります(自治体によって異なりますのでご注意ください)。

3.130万円の壁(社会保険)

 令和8年度税制改正は、上記1と同様に、社会保険制度上の年収の壁である130万円の壁には影響ありません。

 130万円の壁とは、本人の年収が130万円以上になると、パートやアルバイトで働く人が自ら国民健康保険・国民年金の被保険者となり、社会保険の扶養から外れる年収ラインのことをいいます。

 なお、年収130万円以上であるかどうかを判定する際の年収の取扱いが、2026(令和8)年4月1日から変わっています。詳細は、「令和8年4月1日から「130万円の壁」の年間収入は労働契約の内容で判定されます」をご参照ください。

4.136万円の壁(所得税:配偶者控除・扶養控除)

 令和8年度税制改正で基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられたことにより、配偶者控除と扶養控除を適用できる年収の壁も136万円に変わっています。

 改正により、配偶者控除や扶養控除の対象となる合計所得金額が58万円以下から62万円以下に変わりましたので、配偶者や扶養親族の年収が136万円以下であれば、配偶者控除や扶養控除の対象となります(合計所得金額62万円+給与所得控除74万円=給与収入136万円)。

5.150万円の壁(社会保険)

 2025(令和7)年度税制改正によって、所得税における19歳以上23歳未満の扶養親族(以下「大学生年代」といいます)の特定扶養控除の要件の見直し等が行われたことを踏まえ、社会保険制度についても、扶養認定日が2025(令和7)年10月1日以降で、扶養認定を受ける人(被扶養者)が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く)における年収の壁が「年間収入150万円未満」に変わりました

 2026(令和8)年度税制改正が行われましたが、現時点でこの150万円の壁について変更はありません。

 上記3でみたように、年収が130万円以上になると社会保険の扶養から外れますが、大学生年代については、年収が130万円以上となっても150万円未満であれば社会保険の扶養に入ることができます。

 年収が150万円以上になると、大学生年代が自ら国民健康保険・国民年金の被保険者となり保険料を負担することになります。

 150万円の壁とは、社会保険の扶養に入れるかどうかの年収の分岐点のことをいいます。

※ 社会保険の150万円の壁については、「令和7年10月1日から19歳以上23歳未満の人の健康保険の被扶養者認定基準が年収150万円未満に変わります」をご参照ください。

6.159万円の壁(所得税:特定親族特別控除)

 上記4でみたように、扶養親族の年収が136万円を超えると扶養控除の対象から外れますので、年齢19歳以上23歳未満の扶養親族について、63万円の扶養控除を適用することができません。

 しかし、大学生年代については、年収が136万円を超えても特定親族特別控除を適用することができ、年収が159万円以下であれば、特定親族特別控除について満額の63万円を適用することができます。

 さらに、大学生年代の年収が159万円を超えても197万円以下であれば、納税者本人は段階的に逓減する特定親族特別控除を受けることができます。

7.163万円の壁(所得税:勤労学生控除)

 令和8年度税制改正で基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられたことにより、勤労学生本人が受けられる勤労学生控除の合計所得金額の要件が、従前の85万円以下から89万円以下に変わりました。

 したがって、勤労学生本人の給与収入が163万円以下であれば、勤労学生控除27万円を受けることができます(89万円+給与所得控除74万円=給与収入163万円)。

8.169万円の壁(所得税:配偶者特別控除)

 上記4でみたように、配偶者の年収が136万円を超えると配偶者控除の対象から外れますが、配偶者特別控除を適用することができます。
 この配偶者特別控除について満額の38万円を適用できる年収の壁が、従前の160万円から169万円に変わりました。

 満額の38万円を適用できる合計所得金額の上限は従前どおりの95万円ですが、給与所得控除最低保障額が74万円に引き上げられたことにより、配偶者の年収が169万円以下であれば、納税者本人は配偶者特別控除38万円の適用を受けることができます(ただし、納税者の合計所得金額が900万円以下の場合です)。

 また、配偶者の年収が169万円を超えても207万円以下であれば、納税者本人は段階的に逓減する配偶者特別控除を受けることができます。

9.178万円の壁(所得税)

 税制改正で基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられたことにより、所得税が非課税となる年収が178万円に変わりました。

 2025(令和7年)度税制改正で、所得税がかからない年収の壁として広く知られていた103万円の壁が160万円の壁に変わりましたが、さらに2026(令和8)年度税制改正により178万円の壁に変わりました。

 給与所得者の年収が178万円以下であれば、給与所得者本人に所得税はかかりません(給与所得控除74万円+基礎控除104万円=給与収入178万円)

10.197万円の壁(所得税:特定親族特別控除)

 大学生年代の年収が159万円を超えると段階的に特定親族特別控除が減っていき、年収197万円を超えると特定親族特別控除はゼロとなります(上記6)。

 197万円の壁とは、特定親族特別控除が適用されるか否かの年収の分岐点のことをいいます。

11.207万円の壁(所得税:配偶者特別控除)

 配偶者の年収が169万円を超えると段階的に配偶者特別控除が減っていき、年収207万円を超えると配偶者特別控除はゼロとなります(上記8)。

 207万円の壁とは、配偶者特別控除が適用されるか否かの年収の分岐点のことをいいます。