2024(令和6)年度から改正される個人住民税

 2024(令和6)年度から適用される個人住民税に関連する改正項目について、以下で確認します。

1.上場株式等の配当所得等に係る課税方式の統一

 上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得等に係る所得の課税方式を、所得税と住民税で一致させることとなりました。
 これまでは、上場株式等の配当所得等・譲渡所得等については所得税と住民税で異なる課税方式を選択できましたが、2024(令和6)年度課税分からは所得税において選択した課税方式が個人住民税にも適用され、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができなくなりました
 この改正により、扶養控除や配偶者控除等の適用、非課税判定、国民健康保険税の保険料算定など、各種行政サービスに影響する場合がありますのでご注意下さい。

※ これに伴い、2023(令和5)年分所得税確定申告書(第二表)における「住民税・事業税に関する事項」の「住民税」のうち、「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄が削除されています。

2.国外居住親族に係る扶養控除等の見直し

 30歳以上70歳未満の国外居住親族(国内に住所がなく、かつ、1年以上国内に居住していない親族)は、「扶養控除等の適用」及び「非課税限度額を算定するための扶養親族」の対象外となります。
 ただし、以下のいずれかに該当する人は対象となります。

(1) 留学により国外居住者となった人
(2) 障碍者
(3) 扶養親族等を申告する納税義務者から、生活費又は教育費に充てるための支払いを、税額の計算対象となる年(2024(令和6)年度の個人住民税の場合は2023(令和5)年中)において38万円以上受けている人

 これらに該当する人に係る扶養控除等の適用を受けようとする場合には、年末調整や確定申告等の際に各種証明書類を添付する必要があります(関連記事:「令和6年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方と記載例」)。

3.森林環境税(国税)の課税開始

 森林環境税は、温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るため、森林の整備などに必要な地方財源を安定的に確保するための国税で、年額1,000円が個人の市・県民税の均等割と併せて課税されます。
 その税収は全額が森林環境贈与税として国から自治体へ譲与され、森林整備などに充てられます。
 一方、東日本大震災からの復興を図ることを目的とした均等割1,000円(市・県500円ずつ)の課税は、2023(令和5)年度で終了します。
 これにより、個人住民税均等割と森林環境税の合計額は従前の個人住民税均等割の額と同額となります(下表は兵庫県宝塚市の場合)。

税目 平成26~令和5年度 令和6年度~
森林環境税 1,000円
市民税均等割 3,500円 3,000円
県民税均等割 2,300円 1,800円
合計 5,800円 5,800円