中小企業倒産防止共済掛金の損金算入要件等

 企業や個人事業者の節税対策として、中小企業倒産防止共済が利用されることがあります。
 決算間近になって利益が予想よりも多く出ていた場合、中小企業倒産防止共済に加入し1年分の掛金を前納することで、最大で240万円の経費を計上することができます。

1.損金算入要件

 ただし、この掛金は本来は積立金ですので、経費にするためには明細書の添付が必要です。
 法人の場合は、「別表10(6)」と「適用額明細書」の添付が必要です。具体的には、別表10(6)の「Ⅲ 特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」欄 に、次のように記載します。

① 基金に係る法人名 → 独立行政法人中小企業基盤整備機構
② 基金の名義 → 中小企業倒産防止共済
③ 告示番号 → 記入しません
④ 当期に支出した負担金等の額 → 掛金の支出金額
⑤ 同上のうち損金の額に算入した金額 → 掛金の支出金額

 個人事業者の場合は、中小企業基盤整備機構ホームページにある様式例「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」を任意の用紙で作成し、確定申告書に添付する必要があります。

2.前納申出書の提出期限

 この節税対策は加入初年度のみ効果がありますが、次年度以降も前納を希望する場合は、事前に前納申出書の提出が必要です。
 この前納申出書は、前納を希望する月の5日(土曜・日曜・祝日の場合は翌営業日)までに中小機構に届くように提出しないといけないのですが、委託団体を通して中小機構に提出する場合は、前納希望月の前月中に委託団体に提出する必要がありますので注意して下さい。
 なお、前納申出書を提出しない場合や残高不足で口座振替できなかった場合は、月払いになります。

3.個人事業の場合の注意点

 このように中小企業倒産防止共済の掛金は、法人の場合は「損金」に、個人事業の場合は「必要経費」に算入できます。
 ただし、個人事業の場合は、事業所得以外の収入(不動産所得等)は必要経費としての算入が認められていません。

4.解約手当金

 掛金の一部を引き出すことはできませんが、解約はいつでもできます。解約の手続きをすることで、掛金の納付月数と掛金総額に応じた解約手当金(最大で800万円)を受け取ることができます。
 ただし、納付月数が12か月未満の場合、解約手当金は受け取れません。また、納付月数が40か月未満の場合は、受け取れる金額が掛金総額を下回りますのでご注意ください。
 なお、解約手当金は税法上、法人の場合は益金の額、個人の場合は事業所得の収入金額となります。

特別償却と割増償却の違い

 減価償却は、大きく分けると「普通償却」と「特別償却」があります。
 法人税法で定める定額法や定率法で計算する通常の減価償却を「普通償却」といいます。
 この償却とは別に、租税政策的な目的などから通常の計算をした償却費に加えて余分に減価償却することが認められています。これを「特別償却」といいます。
 さらに、この特別償却は「初年度特別償却」と「割増償却」に分かれます。実務上、特別償却というときは初年度特別償却を指す場合が多いことから、ここでは初年度特別償却のことを特別償却と呼びます。
 この特別償却と割増償却ですが、よく似た制度なので両者を混同してしまうケースも見受けられます。
 以下では、両者の相違点について整理してみます。

1.メリット

 特別償却も割増償却も、早期に費用化することによる固定資産の陳腐化リスクに備えるメリットがあります。

2.計算方法

 特別償却は、特別償却限度額(取得価額×特別償却率)が、普通償却に上乗せされます。割増償却は、割増償却限度額(普通償却限度額×割増償却率)が、普通償却に上乗せされます。
  特別償却限度額=取得価額×特別償却率
  割増償却限度額=普通償却限度額×割増償却率
 つまり、特別償却は取得価額を基礎として計算するのに対し、割増償却は普通償却を基礎として計算します。

3.計算例

 次の簡単な数値を使って両者の計算例を示します。
  取得価額100万円
  耐用年数4年(償却率0.25)
  特別償却率20%
  割増償却率20%(適用期間2年)

(1) 特別償却を行った場合

 ①1年目
  普通償却限度額=100万円×0.25=25万円
  特別償却限度額=100万円×20%=20万円
  合計=25万円+20万円=45万円
 ②2年目
  普通償却限度額=100万円×0.25=25万円
  特別償却限度額=0(適用があるのは初年度だけです
  合計=25万円+0=25万円
 ③3年目
  普通償却限度額=100万円×0.25=25万円
 ④4年目
  普通償却限度額=100万円-(45万円+25万円+25万円)=5万円

(2) 割増償却を行った場合

 ①1年目
  普通償却限度額=100万円×0.25=25万円
  割増償却限度額=25万円×20%=5万円
  合計=25万円+5万円=30万円
 ②2年目
  普通償却限度額=100万円×0.25=25万円
  割増償却限度額=25万円×20%=5万円
  合計=25万円+5万円=30万円
 ③3年目
  普通償却限度額=100万円×0.25=25万円
  割増償却限度額=0(計算例では適用期間を2年としています
  合計=25万円+0=25万円
 ④4年目
  普通償却限度額=100万円-(30万円+30万円+25万円)=15万円

4.適用期間

 特別償却は初年度だけですが、割増償却は一定期間の適用があります。

5.減価償却費の総額

 特別償却も割増償却も、減価償却費の総額は普通償却の場合と同じです。