不足額給付の申請受付開始時期と提出書類(兵庫県宝塚市の場合)

 宝塚市では2024(令和6)年8~10月に、定額減税しきれないと見込まれる方へ給付金(調整給付)が支給されました※。

 調整給付は2023(令和5)年の課税情報に基づき算定されていましたので、2024(令和6)年分所得税や定額減税の実績額が確定した際に、調整給付に不足が生じる方がいます。

 また、青色事業専従者など、税制度上定額減税の対象外であった方もいます。

 今回は、現時点の情報に基づいて、これらの方に対して行われる宝塚市の不足額給付について確認します。

※ 調整給付の詳細については、「調整給付金(定額減税補足給付金)の算定方法と疑問点の検証」をご参照ください。

1.不足額給付の対象者と手続き

 不足額給付の対象者は、2025(令和7)年1月1日時点で宝塚市に住民登録がある、下記の表A~Cに該当する方です。
 対象者には、2025(令和7)年8月下旬~9月に宝塚市から書面が送付される予定ですので、案内に従い申請手続きをしてください。

対象者 不足額給付 実施時期 実施自治体
A
・所得税の実績値と推計値が異なることにより調整給付額に不足が生じる人
・税額修正により令和6年度住民税所得割額が減少したことにより不足が生じる人
調整給付(当初)と調整給付(実績)の差額を支給(端数は1万円単位に切上げ) 令和7年8月以降(予定) 令和7年1月1日の課税自治体
B
税制度上、定額減税の扶養親族の対象外(合計所得48万円超の者、青色事業専従者、事業専従者(白色)など)で諸要件を満たす人
原則、4万円を支給(令和6年1月1日に国外居住であった場合は3万円)
C
・令和5年の合計所得が1805万円超で当初調整給付の対象外だったが、令和6年の合計所得が1805万円以下だった人
・令和6年1月1日時点で非居住だったが、令和7年1月1日以前に入国して居住者となり、令和6年分の所得税が発生した人
所得税分(3万円)のみを基礎として不足額給付を算定して支給(住民税は対象外)

Aの詳細については、「定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となる人の具体例と給付額の計算例」をご参照ください。
Bの詳細については、「所得税・住民税が非課税でも青色事業専従者等は定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となる!」をご参照ください。

2.転入者の場合の手続き

 不足額給付の対象となる方のうち、転入者(2024(令和6)年1月2日~2025(令和7)年1月1日に宝塚市へ転入した方)については、転入前の自治体で発行された調整給付支給要件確認書(調整給付額の算出根拠となる資料)を添えて、2025(令和7)年9月~10月末(予定)にご自身で申し出・申請を行う必要があります。

 転入者については、当初調整給付に関する情報を宝塚市で把握できず、対象者を特定できないことから宝塚市から通知書面などは送付されませんのでご注意ください。

3.申請時に提出する書類

 不足額給付の申請をするにあたって、提出が必要な書類は以下のとおりです(宝塚市の場合)。

(1) 青色事業専従者等(上記1の表のBに該当する人)

 青色事業専従者、事業専従者(白色)、合計所得48万円超の者など、上記1の表のBに該当する人については、以下の書類の提出が必要です。

① 申請者の令和6年分源泉徴収票(または令和6年分確定申告書)
② 申請者の令和6年度税額決定通知書(または令和6年度(非)課税証明書)
③ 住民票の写し(世帯全員)
④ 世帯全員の令和5年度および令和6年度課税証明書
⑤ 低所得世帯向け給付および当初調整給付を受給していない旨の確認書(後日ホームページで公開されます)
⑥ 事業主の令和6年分確定申告書、青色事業専従者給与に関する届出書(または青色申告決算書)
※ ⑥は専従者のみ
※ 提出書類の概要については、「所得税・住民税が非課税の青色事業専従者等が不足額給付を申請する際に必要な書類」をご参照ください。

(2) 転入者

 転入者については、以下の書類の提出が必要です。

① 転入前の自治体で発行された調整給付支給要件確認書(調整給付額の算出根拠となる資料)
※ 紛失した場合は、調整給付を受給した自治体へご自身で再発行依頼をしてください。
※ 税額修正や扶養是正があった場合はその旨が分かる資料も必要です。
② 所得税分控除不足額(令和6年分の実績)が分かる資料
※ 令和6年分の源泉徴収票と、確定申告していない旨の誓約書(後日ホームページで公開されます)
※ 令和6年分確定申告書 など
③ 住民票(令和7年1月1日以降さらに転居があった場合)

所得税・住民税が非課税の青色事業専従者等が不足額給付を申請する際に必要な書類

 定額減税の調整給付(不足額給付)の給付方法には、プッシュ型給付と申請型給付があります。

 プッシュ型給付とは、市区町村が支給要件を確認し、給付対象者に2025(令和7)年6月頃~7月頃に通知を発送する方法です。
 したがって、原則として自ら申請する必要はありません(プッシュ型給付の詳細については、「定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となる人の具体例と給付額の計算例」をご参照ください)。

 一方、申請型給付とは、下記の支給要件をすべて満たす人が、自ら申請書を使用して申請する方法です。

(1) 2025(令和7)年1月1日時点で当該市区町村に住民票がある
(2) 2024(令和6)年分所得税及び2024(令和6)年度個人住民税所得割ともに定額減税前税額がゼロ(≒本人として定額減税対象外)
(3) 税制度上、「扶養親族」から外れてしまう(≒扶養親族等としても定額減税対象外)
(4) 低所得世帯向け給付の対象世帯の世帯主・世帯員に該当していない(≒一体措置の対象外)


 上記要件を満たして申請型給付に該当する可能性があるのは、事業専従者(青色事業専従者、白色申告者の事業専従者)と合計所得が48万円を超えている人です(申請型給付の詳細については、「所得税・住民税ともに非課税の青色事業専従者等は定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となるか?」をご参照ください)。

 これらの人が申請によって不足額給付を受ける際に、申請書と一緒に提出が必要となるのは以下の書類です。

提出書類 確認事項
①申請者の令和6年分源泉徴収票又は令和6年分確定申告書の控え 令和6年分所得税の税額・合計所得金額を把握するための資料
②申請者の令和6年度税額決定通知書又は令和6年度(非)課税証明書 令和6年度個人住民税所得割の税額・合計所得金額を把握するための資料
③事業主の令和6年分確定申告書の控え、青色事業専従者給与に関する届出書又は青色申告決算書の控え 青色事業専従者・事業専従者(白色)を把握するための資料
④住民票の写し(世帯全員) 世帯員を把握するための資料
⑤世帯全員の令和5年度及び令和6年度(非)課税証明書 世帯主及び世帯員の令和5年度及び令和6年度個人住民税の税額を把握するための資料
⑥低所得世帯向け給付、調整給付(当初)を受給していない旨の確認書(誓約書) 受給していないことを確認するための資料(書類がなく確認できない場合の誓約書含む)

 提出書類を対象者ごとにまとめると、下表のようになります。

対象者 支給要件の確認
所得税・個人住民税所得割がゼロ 制度上、扶養親族対象外 低所得世帯向け給付の受給なし
青色事業専従者・事業専従者(白色) ①②⑥ ①③ ④⑤⑥
合計所得金額48万円超の人 ①②⑥ ①② ④⑤⑥

 上記書類のうち、申請者の市区町村間の異動がない場合など、市区町村で容易に把握できる情報については提出不要とされることがあります(例えば、②、④、⑤や①、③の一部)。

 現時点では、多くの市区町村が申請スケジュールや申請方法等を公表していませんが、不足額給付の対象となる人はご自身がお住いの市区町村への確認が必要です。

 なお、すでに申請の受付を開始し、申請期限を2025(令和7)年5月下旬に設定している市区町村もありますので、早めに確認することをお勧めします。

令和7年度の雇用保険料率が改定されます(労災保険料率・子ども子育て拠出金率は据え置き)

 2025(令和7)年4月から厚生労働省関係の制度変更が実施されますので、給与計算ソフトを使用している場合等はその設定を見直す必要があります。
 以下では、2025(令和7)年度の雇用保険料率、労災保険料率、子ども・子育て拠出金率について確認します。

1.令和7年度の雇用保険料率

 雇用保険法等の一部を改正する法律の施行により、2025(令和7)年度の雇用保険料率が改定されます(適用開始:2025(令和7)年4月1日)。
 改定前(2025(令和7)年3月まで)と改定後(2025(令和7)年4月~2026(令和8)年3月)の雇用保険料率は、以下のとおりです。

(1) 改定前

事業の種類 一般事業 農林水産業・清酒製造業 建設業
被保険者負担率 6.0/1000 7.0/1000 7.0/1000
事業主負担率 9.5/1000 10.5/1000 11.5/1000
合計負担率 15.5/1000 17.5/1000 18.5/1000

(2) 改定後

事業の種類 一般事業 農林水産業・清酒製造業 建設業
被保険者負担率 5.5/1000 6.5/1000 6.5/1000
事業主負担率 9.0/1000 10.0/1000 11.0/1000
合計負担率 14.5/1000 16.5/1000 17.5/1000


 園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖及び特定の船員を雇用する事業については、一般事業の率が適用されます。

2.令和7年度の労災保険料率

 労働保険は労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険に分かれますが、改定されるのは雇用保険料率であり、労災保険料率は前年度(2024(令和6)年度)の料率から改定されていません。
 2025(令和7)年度の業種ごとの労災保険料率は、次のとおりです(単位:1/1,000)。

事業の種類の分類 番号 事業の種類 令和7年度料率
林業 02・03 林業 52
漁業 11 海面漁業 18
12 定置網漁業又は海面魚類養殖業 37
鉱業 21 金属鉱業、非金属鉱業又は石炭鉱業 88
23 石灰石鉱業又はドロマイト鉱業 13
24 原油又は天然ガス鉱業 2.5
25 採石業 37
26 その他の鉱業 26
建設事業 31 水力発電施設、ずい道等新設事業 34
32 道路新設事業 11
33 舗装工事業 9
34 鉄道又は軌道新設事業 9
35 建築事業 9.5
38 既設建築物設備工事業 12
36 機械装置の組立て又は据付けの事業 6
37 その他の建設事業 15
製造業 41 食料品製造業 5.5
42 繊維工業又は繊維製品製造業 4
44 木材又は木製品製造業 13
45 パルプ又は紙製造業 7
46 印刷又は製本業 3.5
47 化学工業 4.5
48 ガラス又はセメント製造業 6
66 コンクリート製造業 13
62 陶磁器製品製造業 17
49 その他の窯業又は土石製品製造業 23
50 金属精錬業 6.5
51 非鉄金属精錬業 7
52 金属材料品製造業 5
53 鋳物業 16
54 金属製品製造業又は金属加工業 9
63 洋食器、刃物、手工具又は一般金属製造業 6.5
55 めつき業 6.5
56 機械器具製造業 5
57 電気機械器具製造業 3
58 輸送用機械器具製造業 4
59 船舶製造又は修理業 23
60 計量器、光学機械、時計等製造業 2.5
64 貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業 3.5
61 その他の製造業 6
運輸業 71 交通運輸事業 4
72 貨物取扱事業 8.5
73 港湾貨物取扱事業 9
74 港湾荷役業 12
電気、ガス、水道又は熱供給の事業 81 電気、ガス、水道又は熱供給の事業 3
その他の事業 95 農業又は海面漁業以外の漁業 13
91 清掃、火葬又はと畜の事業 13
93 ビルメンテナンス業 6
96 倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業 6.5
97 通信業、放送業、新聞業又は出版業 2.5
98 卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業 3
99 金融業、保険業又は不動産業 2.5
94 その他の各種事業 3
船舶所有者の事業 90 船舶所有者の事業 42

3.令和7年度の子ども・子育て拠出金率

 2025(令和7)年度の子ども・子育て拠出金率は据え置きとなり、2024(令和6)年度の拠出金率(3.600/1000)から改定はありません。

所得税・住民税が非課税でも青色事業専従者等は定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となる!

 2024(令和6)年度に実施された調整給付金(当初給付)の支給額に不足が生じる人を対象に、その不足する金額を支給する給付(不足額給付)が各市区町村(2025(令和7)年1月1日時点で住民登録がある自治体)によって行われます。

 この不足額給付の対象となる人は、次の2つのケースに分かれます。

(1) 令和5年所得等を基に推計した令和6年分推計所得税額により算定された調整給付金(当初給付)と、令和6年分所得税および定額減税の実績額等により算定した本来給付すべき金額との間で差額(不足)が生じた人

(2) 本人が非課税または扶養親族に該当しなかったため定額減税の対象外であり、低所得世帯向け給付の対象世帯主・世帯員にも該当しなかった人

 上記のうち(1)のケースについては前回の記事「定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となる人の具体例と給付額の計算例」で確認しましたので、今回は、(2)のケースに該当する人の要件を確認し、不足額給付の対象となる具体例を2例挙げます。

※ 調整給付金(当初給付)については、「調整給付金(定額減税補足給付金)の算定方法と疑問点の検証」をご参照ください。

1.申請型給付の対象となる要件

 先に見たように、不足額給付の対象となる人は2つのケースに分かれます。

 前回に確認した(1)のケースでは、市区町村が支給要件を確認し、給付対象者には2025(令和7)年6月頃から7月頃にかけて「支給のお知らせ」「確認書」などの通知が発送される予定です(プッシュ型給付)。

 今回確認する(2)のケースでは、下記の支給要件のいずれも満たす人が、原則として自ら申請書により申請する必要があります(申請型給付)※1

① 所得税及び個人住民税所得割ともに定額減税前税額がゼロ(≒本人として定額減税対象外)
② 税制度上、「扶養親族」から外れてしまう(≒扶養親族等としても定額減税対象外)
③ 低所得世帯向け給付※2の対象世帯の世帯主・世帯員に該当していない(≒一体措置の対象外)


 これら①~③の要件をすべて満たす人は不足額給付の対象となり、原則4万円が給付されます。
 ただし、2024(令和6)年1月1日時点で国外居住者であった場合は3万円となります(個人住民税分の1万円は給付されません)。

 不足額給付の対象となり得る可能性があるのは、次の①②の人です。

① 青色事業専従者、事業専従者(白色
② 合計所得金額48万超の人※3

 以下では、この2例について具体的にみていきます。

※1 多くの市区町村では、現時点で申請スケジュール等が公表されていませんが、すでに申請の受付を開始している市区町村もありますのでご注意ください。
 また、申請書による申請がない場合でも、課税資料等を基に上記支給要件を満たすことが確認できた場合には、給付金の通知を発送する市区町村もあります。
 申請開始時期や申請方法等は市区町村によって異なりますので、ご自身がお住いの市区町村にご確認ください。
 なお、申請に必要な書類については、「所得税・住民税が非課税の青色事業専従者等が不足額給付を申請する際に必要な書類」をご参照ください。

※2 低所得世帯向け給付金とは、令和5年度非課税世帯への給付(7万円)、令和5年度均等割のみ課税世帯への給付(10万円)、令和6年度新たに非課税世帯もしくは均等割のみ課税となった世帯への給付(10万円)をいいます。

※3 合計所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

2.青色事業専従者、事業専従者(白色)

 下図における妻は、上記1の①~③の要件を満たすため、不足額給付の対象となります。

 下図における妻は、個人事業主である夫の個人商店を手伝う事業専従者ですので、税法上、配偶者控除・扶養控除の対象とならず、夫の定額減税において扶養親族等となりません(要件②)。

 また、妻自身の給与収入が概ね100万円に満たないため、所得税・住民税が課税されず、本人として定額減税の対象外となります(要件①)。

 さらに、世帯内に納税者(個人住民税所得割課税者)である夫がいるため、低所得世帯向け給付の対象に該当しません(要件③)。

 以上から、下図における妻は、不足額給付の対象となります。

3.合計所得金額48万超の人

 下図における父は、上記1の①~③の要件を満たすため、不足額給付の対象となります。

 下図における父は、年金収入が158万円以上あるため、合計所得金額が48万円を超えていますので、息子の定額減税において扶養親族等となりません(要件②)。

 また、父の年金収入は158万円~概ね170万円以下ですが、所得控除等により所得税・住民税ともに非課税となり、本人としても定額減税の対象外となります(要件①)。

 さらに、世帯内に納税者(個人住民税所得割課税者)である息子がいるため、低所得世帯向け給付の対象に該当しません(要件③)。

 以上から、下図における父は、不足額給付の対象となります。

定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となる人の具体例と給付額の計算例

 2024(令和6)年度に実施された調整給付金(当初給付)の支給額に不足が生じる人を対象に、その不足する金額を支給する給付(不足額給付)が各市区町村(2025(令和7)年1月1日時点で住民登録がある自治体)によって行われます。

 この不足額給付の対象となる人は、次の2つのケースに分かれます。

(1) 令和5年所得等を基に推計した令和6年分推計所得税額により算定された調整給付金(当初給付)と、令和6年分所得税および定額減税の実績額等により算定した本来給付すべき金額との間で差額(不足)が生じた人

(2) 本人が非課税または扶養親族に該当しなかったため定額減税の対象外であり、低所得世帯向け給付の対象世帯主・世帯員にも該当しなかった人

 今回は、上記のうち(1)のケースに該当する人の具体例を4例挙げ、それぞれの場合の不足額給付の計算例について確認します((2)のケースについては、次回に確認します)。

※ 調整給付金(当初給付)については、「調整給付金(定額減税補足給付金)の算定方法と疑問点の検証」をご参照ください。

1.令和5年所得よりも令和6年所得が減少した人

 令和5年所得に基づく推計所得税額が6万円、所得税分のみの定額減税額が9万円、調整給付(当初)は3万円でした。

 その後令和6年所得が確定し、所得税額(実績)が4万5千円、所得税分のみの定額減税額が9万円となり、調整給付(実績)は4万5千円となります。

 この場合、調整給付(当初)3万円と調整給付(実績)4万5千円の差額は1万5千円となりますが、端数は1万円単位で切上げされるため、2万円が不足額給付として給付されます。

2.令和5年所得がなく、令和6年所得がある人

 令和5年中は学生で所得がなかったため、令和6年分推計所得税額、定額減税額がともに0円となり(定額減税の対象外)、調整給付(当初)も0円でした。

 令和6年中に就職したことにより、令和6年所得税額(実績)が6万円となったので、定額減税額(所得税分)の3万円分が減税され、所得税額は3万円となります。したがって、定額減税しきれない所得税の金額はありません。

 一方、定額減税額(住民税分)については、令和6年度分住民税が発生していないことから減税することができないため、住民税分の1万円が不足額給付として給付されます。

3.令和6年中に扶養親族が増えた人

 令和5年の扶養状況は2人(妻、子1人)だったため、所得税分のみの定額減税額は9万円((本人+同一生計配偶者1人+扶養親族1人)×3万円)でしたが、その後令和6年中に子どもが生まれて扶養人数が1人増えたため、所得税分のみの定額減税額が12万円((本人+同一生計配偶者1人+扶養親族2人)×3万円)となりました。

 令和5年所得に基づく令和6年分推計所得税額が6万円、定額減税額が9万円で調整給付(当初)は3万円でしたが、令和6年の所得税額(実績)が6万円、定額減税額が12万円となったことで、調整給付(実績)は6万円となります。

 これより、調整給付(当初)3万円と調整給付(実績)6万円との差額の3万円が不足額給付として給付されます。

4.税額修正により、令和6年度分個人住民税所得割が減少した人

 令和6年度住民税の当初決定時には個人住民税所得割額が2万円、個人住民税分のみの定額減税額が2万円のため、調整給付(当初)は0円でした。

 その後(当初決定後)に申告の修正を行い、個人住民税所得割が1万円に減少しました。

 不足額給付の計算時には減少後の個人住民税所得割で計算するため、個人住民税所得割が1万円、個人住民税分のみの定額減税額が2万円、不足額給付時の調整給付(実績)が1万円となりますので、調整給付(当初)0円と不足額給付時の調整給付(実績)1万円との差額の1万円が不足額給付として給付されます。

令和7年3月分(4月納付分)から健康保険料率と介護保険料率が改定されます(協会けんぽ)

 2025(令和7)年度の全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険料率および介護保険料率が3月分(4月納付分)から改定されますので、以下で確認します

※ 組合管掌健康保険については、健康保険組合ごとに改定時期・保険料率が決定されていますので、詳細は加入している健康保険組合にご確認ください。

1.健康保険料率

 全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険料率は、都道府県ごとに異なります。

 2025(令和7)年度の保険料率の全国平均は10.00%であり、保険料率の高い都道府県は、佐賀県(10.78%)、徳島県(10.47%)、長崎県(10.41%)、保険料率の低い都道府県は、沖縄県(9.44%)、新潟県(9.55%)、岩手県・福島県(9.62%)となっています。

出所:全国健康保険協会ホームページ















 令和7年度と前年度(令和6年度)の各都道府県の保険料率は下表のようになっており、3月分(4月納付分)から適用されます。

  令和7年度 令和6年度
北海道 10.31% 10.21%
青森県 9.85% 9.49%
岩手県 9.62% 9.63%
宮城県 10.11% 10.01%
秋田県 10.01% 9.85%
山形県 9.75% 9.84%
福島県 9.62% 9.59%
茨城県 9.67% 9.66%
栃木県 9.82% 9.79%
群馬県 9.77& 9.81%
埼玉県 9.76% 9.78%
千葉県 9.79% 9.77%
東京都 9.91% 9.98%
神奈川県 9.92% 10.02%
新潟県 9.55% 9.35%
富山県 9.65% 9.62%
石川県 9.88% 9.94%
福井県 9.94% 10.07%
山梨県 9.89% 9.94%
長野県 9.69% 9.55%
岐阜県 9.93% 9.91%
静岡県 9.80% 9.85%
愛知県 10.03% 10.02%
三重県 9.99% 9.94%
滋賀県 9.97% 9.89%
京都府 10.03% 10.13%
大阪府 10.24% 10.34%
兵庫県 10.16% 10.18%
奈良県 10.02% 10.22%
和歌山県 10.19% 10.00%
鳥取県 9.93% 9.68%
島根県 9.94% 9.92%
岡山県 10.17% 10.02%
広島県 9.97% 9.95%
山口県 10.36% 10.20%
徳島県 10.47% 10.19%
香川県 10.21% 10.33%
愛媛県 10.18% 10.03%
高知県 10.13% 9.89%
福岡県 10.31% 10.35%
佐賀県 10.78% 10.42%
長崎県 10.41% 10.17%
熊本県 10.12% 10.30%
大分県 10.25% 10.25%
宮崎県 10.09% 9.85%
鹿児島県 10.31% 10.13%
沖縄県 9.44% 9.52%

※ 40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、これに全国一律の介護保険料率(1.59%)が加わります。
 
 これらの料率改定を反映した令和7年度の各都道府県ごとの「保険料額表」については、全国健康保険協会ホームページをご参照ください。

2.介護保険料率

 介護保険料率は、16.0/1000(1.60%)から15.9/1000(1.59%)に改定されます。

  令和7年度 令和6年度
介護保険料率 15.9/1000(1.59%)
従業員:7.950/1000
事業主:7.950/1000
16.0/1000(1.60%)
従業員:8.000/1000
事業主:8.000/1000

3.給与計算ソフトの保険料率改定時期

 給与計算ソフトの健康保険料と介護保険料の料率を改定(変更)するタイミングは、事業所によって異なります。

 その事業所が新しい保険料率で徴収する給与の支給月に、保険料率の変更を行います。具体的には次のとおりです。

(1) 当月徴収の場合
 3月分保険料を「3月支給給与」で徴収する「当月徴収」の場合は、3月に支給する給与から保険料率を変更します。

(2) 翌月徴収の場合
 3月分保険料を「4月支給給与」で徴収する「翌月徴収」の場合は、4月に支給する給与から保険料率を変更します。

(3) 翌々月徴収の場合
 3月分保険料を「5月支給給与」で徴収する「翌々月徴収」の場合は、5月に支給する給与から保険料率を変更します。

Amazon Payでスマホアプリ納付をする方法(決済手数料0円)

 スマホアプリ納付とは、e-Taxで申告等データを送信した後に、スマートフォン決済専用のWebサイト「国税スマートフォン決済専用サイト」から、「○○Pay」といったスマホ決済アプリを使用して納付する方法です(税額は30万円以下に限られます)。

 クレジットカード納付の場合は、納付税額に応じた決済手数料(税抜き76円+税額10,000円を超えるごとに税抜き76円)がかかりますが、スマホアプリ納付の場合は決済手数料はかかりません。

 また、スマホアプリ納付という名称のとおりスマホアプリ納付には「○○Pay」のインストールが必要ですが、Amazon Payの場合はアプリのインストールは不要で、Amazonアカウントがあればスマホアプリ納付が利用できます。
 
 今回は、Amazon Payを使用してスマホアプリ納付をする具体的な方法等を以下に記します。

1.アクセス方法がe-Tax経由に一本化された

 2025(令和7)年2月1日から、スマホアプリ納付のアクセス方法が変更されています。

 2025(令和7)年1月までは、国税スマートフォン決済専用サイトへのアクセスは、次の3つの方法がありました。

(1) 国税庁ホームページからのアクセス
(2) 確定申告書等作成コーナーで出力されるQRコードからのアクセス
(3) e-Tax受信通知からのアクセス

 2025(令和7)年2月からは、スマホ又はパソコンからe-Taxでの申告等の手続を行った上で、e-Taxを経由して「国税スマートフォン決済専用サイト」へアクセスする(3)の方法に1本化されています。

 以下では(3)の方法の具体的手順をみていきます。

2.スマホアプリ納付の具体的手順(Amazonギフトカード利用)

 スマホアプリ納付の手続きの流れは次のようになります。

(1) e-Taxで電子申告
(2) ○○Pay(Pay払い)へのアカウント登録及び残高へのチャージ
(3) スマホアプリ納付

 以下、手順を確認していきます(本記事では(3)について具体的にみていきます)。

(1) e-Taxで電子申告

 スマホアプリ納付の前提として、e-Taxで電子申告しておく必要があります。

 書面で申告をした場合でも、税額が30万円以下であれば、スマートフォンやパソコンを利用して、税目や金額などの納付内容をe-Taxに登録すること(納付情報登録依頼)により、スマホアプリ納付を行うことができます。

 しかし、e-Taxで電子申告した場合には、申告から納付までの一連の手続をデジタルでシームレスに行うことができますので、e-Taxで電子申告することをお勧めします。

(2) 「○○Pay」(Pay払い)へのアカウント登録及び残高へのチャージ

 スマホアプリ納付はアカウント残高を利用した支払方法のみ利用可能なため、事前に利用するPay払いへのアカウント登録及び残高へのチャージが必要です。

 Amazon Payの場合は、アカウント残高へのチャージにAmazonギフトカードが利用できます。

 Amazonギフトカードをクレジットカードで購入し、その金額がAmazonアカウントに登録されたら、Amazon Payの残高への反映(チャージ)は完了です。

 なお、「○○Pay」で納税する際のポイント付与については、利用する「○○Pay」によって取扱いが異なりますが、Amazon Payでは、Amazonギフトカードをクレジットカードで購入する際に、通常の買い物と同様にクレジットカードのポイントが貯まります。

(3) スマホアプリ納付

 上記1で述べたように、2025年2月からは、スマホ又はパソコンからe-Taxでの申告等を行った上で、e-Tax受信通知から国税スマートフォン決済専用サイトへアクセスする方法に1本化されています。

 具体的な手順について国税庁ホームページに記載がありますので、それに従って一部を補完する形で確認していきます。

① e-Taxにスマホ又はパソコンでログインし、メッセージボックス「お知らせ・受信通知」を開きます(下図はスマホでログインしている場合の画面です)。


② 納付する「納付情報登録依頼」を選択します。

出所:国税庁ホームページ


③ 画面をスクロールし、「スマホアプリ納付」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


④ 「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスします。
・パソコンでログインしている場合は、表示されたQRコードをスマホで読み取ります。
・スマホでログインしている場合は、表示された「専用サイトへ」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑤ 下図の画面が表示されますので、「国税スマートフォン決済専用サイト」をタップします。


⑥ 「国税スマートフォン決済専用サイト」が表示されたら注意事項を確認し、チェック欄に✓を入れて「次へ」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑦ 支払方法の選択画面が表示されたら「amazon pay」を選択し、チェックを入れて「次へ」をタップします

出所:国税庁ホームページ


⑧ 納付情報の確認画面が表示されたら、メールアドレスを入力します(任意です)。
 メールアドレスを入力すると「納付手続き完了メール」を受け取ることができますので、国税庁は入力を推奨しています。
 メールアドレスを入力したら、「次へ」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑨ Amazonへログインする画面が表示されたら、「amazon pay」をタップします。


⑩ Amazonアカウントでログインします。メールアドレスまたは携帯電話番号を入力して「次へ進む」をタップします。


⑪ Amazonアカウントでログインするためのパスワードを入力して「ログイン」をタップします。


⑫ 支払い方法の画面が表示されたら、ギフトカード残高を確認して「続行」をタップします。


⑬ 納付情報の確認画面が表示されます。表示された内容をよく確認し、「納付」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑭ 納付手続の完了画面が表示されたら、手続き完了です。
 手続き完了と同時に、上記⑧で入力したメールアドレスに「国税のスマホアプリ納付手続き完了のお知らせ」と「税務署からのお知らせ【スマホアプリ納付手続完了に関するお知らせ】」が届きますので、そちらも確認します。

 最後に「納付内容をダウンロード」をタップします。

出所:国税庁ホームページ


⑮ 「納付内容をダウンロード」をタップすると、納付情報が表示されます。
 納付情報は再表示できませんので、国税庁では保存を推奨しています。スマホアプリ納付では領収書が発行されませんので、納付情報の保存は必須だといえます。

出所:国税庁ホームページ

確定申告と年末調整でよく出てくる用語の意味

 確定申告と年末調整の際には、いろんな用語が出てきます。

 例えば、「合計所得金額・総所得金額・総所得金額等」や「同一生計配偶者・控除対象配偶者」、「扶養親族・控除対象扶養親族」など多々あり、なんとなくわかっているけれどきちんと説明できない方もいるかもしれません。

 これらの内容を正しく理解しておくことが正しい処理や判断を行う上で必要ですので、以下では確定申告と年末調整でよく出てくる用語の意味について確認します。

1.合計所得金額・総所得金額・総所得金額等

 所得税や個人住民税の計算に用いられる用語として「合計所得金額」と「総所得金額等」があり、さらには「総所得金額」という用語もあります。

 これらの用語の意味の違いを理解するポイントは、課税所得を計算する過程のどの段階で出てくるのかを把握することです。
 詳細については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

2.生計を一にする(同一生計)

 「生計を一にする」(同一生計)とは、日常の生活の資を共にすることをいいます。

 会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、次のようなケースは生計を一にするものとして取り扱われます。

(1) 生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているとき
(2) 日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているとき

 詳細については、「所得控除における『生計を一にする』の判定基準」をご参照ください。

3.障害者・特別障害者・同居特別障害者

 障害者とは、その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には、その死亡の日)の現況において、次のいずれかに該当する精神や身体に障害のある方をいいます。

(1) 身体障害者手帳や療育手帳、戦傷病者手帳、精神障害者保健福祉手帳の発行を受けている方
 なお、「療育手帳」は、「愛護手帳」、「愛の手帳」や「みどりの手帳」など各自治体によって別の名称で呼ばれていることがあります。
(2) 精神保健指定医などにより知的障害者と判定された方
(3) 65歳以上の方で障害の程度が障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けている方 など

 特別障害者とは、障害者のうち、次の特に重度の障害のある方をいいます。

(1) 身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級と記載されている方
(2) 療育手帳に障害の程度が重度として「A」(「マルA」、「A2」など)と表示されている方
(3) 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級と記載されている方
(4) 重度の知的障害者と判定された方
(5) いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない方 など

 同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族で、納税者やその配偶者、生計を一にする親族の誰かとの同居を常としている方をいいます。
 なお、老人ホームなどへ入所している場合は、同居を常としているとはいえません。

4.同一生計配偶者・控除対象配偶者・老人控除対象配偶者

 同一生計配偶者とは、納税者の配偶者で次のいずれにも該当する方をいいます。

(1) その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には、その死亡の日)の現況において、納税者と生計を一にしている
(2) 合計所得金額が48万円以下である
(3) 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない又は白色申告者の事業専従者でない

 控除対象配偶者とは、同一生計配偶者のうち、納税者の合計所得金額が1,000万円以下である場合の配偶者をいいます。

 老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、年齢が70歳以上の方をいいます。

5.扶養親族・控除対象扶養親族・特定扶養親族・老人扶養親族・同居老親等・国外居住親族

 扶養親族とは、その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には、その死亡の日)の現況において、次のいずれにも該当する方をいいます。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)又は市町村長から養護を委託された老人である
(2) 納税者と生計を一にしている
(3) 合計所得金額が48万円以下である
(4) 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない又は白色申告者の事業専従者でない

 控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、年齢が16歳以上の方をいいます。
 なお、扶養親族が国外居住親族である場合には、次のいずれかに該当する方に限り、控除対象扶養親族に該当します。

(1) 年齢が16 歳以上30 歳未満の方
(2) 年齢が70 歳以上の方
(3) 年齢が30歳以上70歳未満で、留学により国内に住所及び居所を有しなくなった方
(4) 年齢が30歳以上70歳未満で、障害者である方
(5) 年齢が30歳以上70歳未満で、納税者からその年中において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている方

 特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、年齢が19歳以上23歳未満の方をいいます。

 老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、年齢が70歳以上の方をいいます。

 同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者やその配偶者の直系尊属(父母、祖父母など)で、納税者やその配偶者との同居を常としている方をいいます。
 なお、老人ホームなどへ入所している場合は、同居を常としているとはいえません。

 国外居住親族とは、非居住者(国内に住所を有せず、かつ、現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない個人)である親族をいいます。
 確定申告において、国外居住親族に係る扶養控除、配偶者(特別)控除又は障害者控除の適用を受ける場合には、その親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」(扶養控除の場合は、扶養親族の区分に応じて、「38万円送金書類」又は「留学ビザ等書類」が必要になる場合があります)の添付等が必要です。

6.特定取得・特別特定取得・特例取得・特別特例取得・特例特別特例取得

 特定取得とは、住宅の新築、取得又は増改築等に係る対価の額等に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額が10%又は8%の税率により課されるべきものである場合の住宅の取得等をいいます。

 特別特定取得とは、住宅の新築、取得又は増改築等に係る対価の額等に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額が10%の税率により課されるべきものである場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合を除きます)の住宅の取得等をいいます。

 特例取得とは、特別特定取得のうち、特別特定取得に係る契約が次の区分に応じ、それぞれ以下の日までに締結されているものをいいます。

(1) 居住用家屋の新築…令和2年9月30日までの期間
(2) 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの(新築住宅)若しくは既存住宅の取得又は居住の用に供する家屋の増改築等…令和2年11月30日までの期間

 特別特例取得とは、特別特定取得のうち、特別特定取得に係る契約が次の区分に応じ、それぞれ次に定める期間内に締結されているものをいいます。

(1) 居住用家屋の新築…令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間
(2) 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの(新築住宅)若しくは既存住宅の取得又は居住の用に供する家屋の増改築等…令和2年12月1日から令和3年11月30日までの
期間

 特例特別特例取得とは、特別特例取得に該当する場合で、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅の取得等をいいます。

 

損失申告と確定申告書第四表の記載例

 志を持って起業しても、事業が軌道に乗るまでに時間を要することがあります。特に起業初年度は赤字となることもあります。

 事業で赤字が出た場合は、その赤字を他の所得と損益通算(控除)することができ、損益通算しても控除しきれない赤字が残るときは翌年に繰り越すこともできます。

 この控除しきれない赤字(損失)を繰り越すために行う確定申告のことを損失申告といいます。

 以下では、青色申告を行う個人事業者の損失申告と、その際に提出が必要な確定申告書第四表の記載例を示します。

1.損失申告とは?

 純損失の金額とは、事業所得、不動産所得、総合譲渡所得、山林所得の4つの所得の損失のうち、損益通算しても控除しきれない損失の金額をいいます。

 この純損失の金額※1を、純損失の生じた年の翌年から3年間繰り越すために行う確定申告のことを損失申告といいます。

 繰り越した純損失の金額は、翌年以降の総所得金額※2、退職所得金額または山林所得から控除することができ、これを純損失の繰越控除といいます。

 純損失の繰越控除を受けるためには、純損失の生じた年分について青色申告書を提出し、翌年以降の年分について連続して確定申告書を提出する必要があります。

※1 青色申告の場合は、純損失の金額のすべてが対象になります。白色申告の場合は、純損失の金額のうち、変動所得の損失と被災事業用資産の損失の金額が対象となります(関連記事:「白色申告に関する誤解~損益通算・繰越控除・青色申告承認後の白色申告」)。

※2 総所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

2.損失申告ではないケース

 事業から損失が生じた場合に、ただちに損失申告になるわけではありません。

 損失申告とは、他の所得と損益通算しても控除しきれない損失を繰り越すために行う申告ですので、次のような場合は損失申告に該当しません。


 上記の例は、年の途中に開業し、会社員時代の給与所得と開業後の事業所得があるケースです。

 この場合、事業所得で800,000円の損失が生じていますが、給与所得850,000円との損益通算によって、損失金額800,000円の全額が控除できています。

 つまり、他の所得と損益通算しても控除しきれない損失の金額はありませんので、損失申告には該当しません。

3.損失申告の場合の第四表記載例

 以下のようなケースは損失申告に該当します。


 上記の例では、事業所得で生じた損失1,000,000円を給与所得850,000円と損益通算しても控除しきれない損失の金額が150,000円残っています。

 この純損失の金額150,000円を翌年以降に繰り越すため、確定申告書第一表・第二表と一緒に第四表(一)と(二)を税務署に提出します。
 第四表(一)と(二)の記載例は次のとおりです。

後期高齢者の医療費の自己負担割合(1割・2割・3割)の判定基準となる所得額はいくら?

 後期高齢者医療制度は、75歳(一定の障害があり申請により認定を受けた65歳)以上の人が対象となる医療保険制度です。

 75歳以上の後期高齢者は、病気やケガで診療を受けるときは、被保険者証を医療機関の窓口で提示して、かかった医療費の1割・2割・3割のいずれかを負担します。

 この窓口での自己負担割合は、毎年8月1日に当該年度の住民税課税所得額に基づき判定されます。

 令和7年度(令和7年8月~令和8年7月)の医療費自己負担割の場合は、令和7年度の住民税課税所得額と令和6年中の収入金額で判定されますので、令和6年分の所得税確定申告の内容が大きくかかわってきます。

 例えば、配当所得のある後期高齢者が、配当から源泉徴収された所得税の還付を受けるため配当所得を総合課税で申告したら、医療費の自己負担割合が1割から2割に上がってしまったという事例をよく耳にします。

 配当所得は課税方法(総合課税・申告分離課税・申告不要)の選択ができますので、所得税だけではなく医療費の自己負担割合も考慮すると、結局は確定申告しない方がよかったということもあります(関連記事:「配当所得に係る総合課税・申告分離課税・申告不要制度の選択上の注意点」)。

 このような事態を避けるため、後期高齢者の医療費の自己負担割合を決定する所得ライン(所得の判定基準)がどれくらいであるのかについて知っておくことは有意義だと思われますので、以下で確認します。

1.住民税課税所得額とは?

 先述したように、後期高齢者の医療費の自己負担割合は、毎年8月1日に当該年度の住民税課税所得額に基づき決定されます。

 住民税課税所得額とは、年金や給与、配当などの「収入金額」からそれぞれ公的年金等控除額や給与所得控除額、必要経費などを差し引いて各「所得金額」(給与所得、雑所得、配当所得など)を求め、その合計である「総所得金額」から「所得から差し引かれる金額」(社会保険料控除、医療費控除、扶養控除、基礎控除などの所得控除)を差し引いた後の金額をいいます(総所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください)。
 
 この住民税課税所得額(課税標準の合計)は、住民税を自分で納めている人(普通徴収の人)の場合は、市(区)町から送付される「納税通知書」で確認できます。

 また、給与所得者のうち給与天引きで納税している人(特別徴収の人)の場合は、会社などを通じて交付される「給与所得等に係る市・県民税特別徴収税額決定通知書」で確認することができます。

 なお、所得税と住民税で基礎控除額などが異なるため(令和6年度基礎控除:所得税48万円、住民税43万円など)、確定申告書に記載されている「課税される所得金額」と住民税の課税所得額の金額が異なりますので注意が必要です。

2.自己負担割合を決定する所得基準

 後期高齢者の医療費の自己負担割合が1割・2割・3割となる所得区分と判定基準(所得基準)は、次のとおりです。

負担割合 所得区分 判定基準
3割 現役並み所得者 同一世帯に住民税課税所得額145万円以上の後期高齢者医療の被保険者がいる人
2割 一般Ⅱ 以下の(1)(2)の両方に該当する人
(1)同一世帯に住民税課税所得額が28万円以上145万円未満の後期高齢者医療の被保険者がいる人
(2)「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が
・被保険者が1人……………200万円以上
・被保険者が2人以上………合計320万円以上
1割 一般Ⅰ・低所得 同一世帯の後期高齢者医療の被保険者全員が住民税課税所得額28万円未満の場合、または上記(1)に該当するが(2)には該当しない人

 なお、住民税課税所得額が145万円以上の人でも、下に記載している基準収入額適用申請により条件を満たす人は、3割負担の対象外となります。

3.基準収入額適用申請で3割負担の対象外

 自己負担割合が3割と判定された人であっても、収入額が一定の基準に満たない場合は、申請により3割負担の対象外となります。

 収入基準に該当するかどうかについては、下表をご参照ください。

同一世帯の被保険者数 収入額による判定基準
被保険者が1人 以下の条件のうち、どちらかにあてはまる人
(1)被保険者の前年の収入額が383万円未満
(2)同一世帯に70歳以上75歳未満の人がいる場合は、被保険者と70歳以上75歳未満の人全員の前年の収入合計額が520万円未満
被保険者が2人以上 本人及び同一世帯の被保険者の前年の収入合計額が520万円未満

 収入額とは、所得税法上の収入額(退職所得に係る収入額を除く)であり、必要経費や特別控除を差し引く前の金額です。
 不動産や上場株式等の譲渡損失を損益通算又は繰越控除するために確定申告した場合の売却金額は、収入額に含まれます。