間違って提出した消費税の選択届出書は取下げ可能?

 消費税の課税事業者選択届出書や簡易課税制度選択届出書の効力は、通常はこれらの届出書を提出した課税期間の翌課税期間の初日から発生します。
 もし、間違ってこれらの届出書を提出してしまった場合、翌課税期間は必ず課税事業者として納税義務が発生するのでしょうか?あるいは、簡易課税制度を必ず適用しなければならないのでしょうか?
 今回はこのような事例について述べていきます。

1.届出書を提出した課税期間の末日までに取下書を提出する!

 私が以前に勤めていた会計事務所で実際にあった事例ですが、消費税課税事業者届出書を提出しようとしていたところ、間違って消費税課税事業者選択届出書を提出してしまったということがありました。届出書のタイトルや内容をよく確認せずに出してしまったケアレスミスでした。
 このような場合、本来は免税事業者であったのに、翌課税期間から消費税の納税義務は発生するのでしょうか?

 答えは「否」です。
 消費税課税事業者選択届出書は提出した課税期間の末日まで(選択の効力が発生するまで)は、その取下げが可能であると解されています(簡易課税制度選択届出書も同じ)。

 つまり、翌課税期間が始まる前であれば効力は生じていないため、選択届出書を取下げることができます。

 具体的には、取下げを申請する旨、同届出書を提出した日付等を記載した下記の書面(いわゆる「取下書」)を税務署に郵送・持参によって提出します(電子での提出はできません)。法律に照らした手続きではないため、所定のフォーマット等はありません。

消費税課税事業者選択届出書の取下書
○○税務署長殿
令和○年○月○日
 
                                                                                   整理番号:○○○○○○○○
利用者識別番号:○○○○○○○○
本店所在地:○○○○○○○○○○
                                                                                    電話番号:○○○○○○○○○○
                                                                                    商号:株式会社○○
                                    代表取締役:○○○○   印
令和〇年〇月〇日に電子申請にて提出しました下記書類を取り下げます。
「消費税課税事業者選択届出書」
尚、参考資料として当該取下げ書面の控えを添付させて頂きます。
以上

 ただし、設立1期目から課税事業者を選択する届出書を提出した場合には、その提出時において効力が生じてしまっているため、その届出書を取下げることはできません。

※関連記事:「消費税の各種届出書の提出期限と効力

2.新型コロナウイルス感染症の影響による課税事業者選択届出の特例

 新型コロナウイルス感染症の影響で2020年(令和2年)2月1日から2021年(令和3年)1月31日までの期間のうち、任意の期間(1か月以上)の収入が前年同期比おおむね50%以上減少した事業者が、申告期限までに申請書を提出し、税務署長の承認を受けた場合は、課税期間開始後でも消費税の課税事業者を選択又はやめることができる特例が設けられます。
 この特例で課税事業者を選択した課税期間の翌課税期間において、課税事業者の選択をやめることも可能です。

 なお、本特例の実施については、関係法案が国会で成立すること等が前提となります。

※2020年(令和2年)4月30日に 「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律案」が成立・公布・施行されました。