納期の特例の要件に該当しなくなった場合の届出と納期限

1.納期の特例とは

 源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっています。
 ただし、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者は、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税を申請により年2回にまとめて納付することができ、これを納期の特例(納特)といいます。 

※ 源泉所得税の納期の特例については、本ブログ記事「納期の特例はいつから適用される?」をご参照ください。

2.納期の特例に該当しなくなった場合

 顧問先の納特用の源泉納付書を作成していて、給与の支給人員が10人以上になっていることに気づくことがあります。
 このような場合(納期の特例の要件に該当しなくなった場合)は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を税務署に提出しなければなりません。

3.該当しなくなった場合の納期限

 この届出書を提出した場合には、その提出した日の属する納期の特例の期間内に源泉徴収した税額のうちその提出の日の属する月分以前の各月に源泉徴収した税額は、その提出の日の属する月の翌月10日までに納付し、その後の各月に源泉徴収した税額は、原則通り支払った月の翌月10日までに納付することになります。

 具体的な納期限と使用する納付書は、次のようになります(カッコ内の「納特用」「毎月用」は使用する納付書の種類です)。

(1)提出日が2月中の場合・・・1月支給分は3月10日まで(納特用)、2月支給分は3月10日まで(毎月用)、3月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(2)提出日が3月中の場合・・・1月~2月支給分は4月10日まで(納特用)、3月支給分は4月10日まで(毎月用)、4月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(3)提出日が4月中の場合・・・1月~3月支給分は5月10日まで(納特用)、4月支給分は5月10日まで(毎月用)、5月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(4)提出日が5月中の場合・・・1月~4月支給分は6月10日まで(納特用)、5月支給分は6月10日まで(毎月用)、6月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(5)提出日が6月中の場合・・・1月~5月支給分は7月10日まで(納特用)、6月支給分は7月10日まで(毎月用)、7月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(6)提出日が7月中の場合・・・1月~6月支給分は7月10日まで(納特用)、7月支給分は8月10日まで(毎月用)、8月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(7)提出日が8月中の場合・・・7月支給分は9月10日まで(納特用)、8月支給分は9月10日まで(毎月用)、9月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(8)提出日が9月中の場合・・・7月~8月支給分は10月10日まで(納特用)、9月支給分は10月10日まで(毎月用)、10月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(9)提出日が10月中の場合・・・7月~9月支給分は11月10日まで(納特用)、10月支給分は11月10日まで(毎月用)、11月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(10)提出日が11月中の場合・・・7月~10月支給分は12月10日まで(納特用)、11月支給分は12月10日まで(毎月用)、12月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(11)提出日が12月中の場合・・・7月~11月支給分は1月10日まで(納特用)、12月支給分は1月10日まで(毎月用)、1月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)

(12)提出日が1月中の場合・・・7月~12月支給分は1月10日まで(納特用)、1月支給分は2月10日まで(毎月用)、2月支給分以降は翌月10日まで(毎月用)