1.両制度の比較の意義
2018年度(平成30年度)税制改正で、新たに生産性向上特別措置法(2018年(平成30年)6月6日施行)による固定資産税の特例(以下、「新固定資産税の特例」といいます)が創設されました。
この創設に伴い、中小企業等経営強化法による固定資産税の特例(以下、旧固定資産税の特例」といいます)は、2019年(平成31年)3月31日をもって終了します。
両制度とも地方税における設備投資税制であり、赤字企業でも減税が受けられるなど基本的には同様の制度といえますが、特例措置の内容など異なる点もあります。
旧固定資産税の特例の廃止を間近に控えた今、両制度を比較することによって、新固定資産税の特例に対する理解も深まるものと思われますので、今回は両制度の比較を行います。
※ 新固定資産税の特例については、対象範囲に建物と構築物を加えた上で、2年間延長し、2023年(令和5年)3月取得設備までの適用期限に改正されました。
2.両制度の相違点
両制度の主な相違点は、以下のとおりです。
項目 | 旧固定資産税の特例 | 新固定資産税の特例 |
---|---|---|
適用法律 | 中小企業等経営強化法 | 生産性向上特別措置法 |
適用期限 | 2019年(平成31年)3月31日 | 2021年(平成33年)3月31日 |
対象地域 | 全国(一部地域で業種の限定あり) | 導入促進基本計画の同意を受けた市区町村 |
計画書 | 経営力向上計画 | 先端設備等導入計画 |
労働生産性 | 5年計画の場合、5年後の伸び率は2%以上 | 3年計画の場合、3年後の伸び率は9%以上(年平均3%以上) |
申請先 | 主務大臣(担当省庁) | 市区町村 |
認定支援機関の事前確認 | 不要 | 必要 |
設備取得後の申請 | 可能(取得後60日以内) | 不可 |
工業会証明書の追加提出 | 不可 | 可能 |
減免割合 | 2分の1 | ゼロ~2分の1(市区町村による) |
その他 | 国税における特別償却又は税額控除あり | 金融支援(追加保証)、予算支援(補助金審査時の加点)あり |
なお、旧固定資産税の特例については本ブログ記事「中小企業等経営強化法の認定が必要な設備投資税制」を、新固定資産税の特例については「生産性向上特別措置法による新固定資産税の特例」を参照してください。