自動車売買における消費税の取扱いーリサイクル預託金と未経過自動車税

1.自動車リサイクル預託金の譲渡は5%を課税売上割合の分母へ

 2014年度(平成26年度)税制改正で課税売上割合の計算上、金銭債権の譲渡が行われた場合、有価証券の譲渡等があった場合と同様に譲渡対価の5%を分母に含めることとされました。
 この金銭債権には自動車リサイクル預託金(リサイクル料金から資金管理料金を除く部分)も対象となっています。

 自動車リサイクル預託金は、使用済自動車から発生する廃棄物の処理やリサイクルを行うための費用として車両の購入者が支払い、廃車まで資金管理法人(自動車リサイクル促進センター)により管理運用される仕組みです。 

 リサイクル預託金は、消費税の課税実務上は次のように処理されます。

 (1) 自動車の取得時・・・不課税
 (2) 中古車の譲渡時・・・非課税売上
 (3) 自動車の廃車時・・・課税仕入

 注意を要するのは(2)です。中古車を販売した場合のリサイクル預託金は非課税売上となりますが、課税売上割合の計算上は、譲渡対価全額ではなくその5%相当額のみを分母に含めることとなります。

2.中古車売買時の未経過自動車税等の消費税の処理

 顧問先の会計担当者の方から、年に数回、車両売買時の仕訳を聞かれることがあります。その際、注意しなければならないのは、自動車税等の消費税の取扱いです。
 自動車税は、その年4月1日(賦課期日)における自動車の所有者に対し、翌年3月31日までの1年分が課税されます。年の中途で中古車の売買をする場合は、売買時から年度末までの未経過期間分の自動車税を精算することが商慣行となっています。 

 自動車税の精算金は法律等で義務付けられたものではないので、売買する中古車の譲渡対価に含めることとされています(消費税基本通達10-1-6)。つまり、自動車税の精算金は租税ではなく、車両の譲渡対価の一部を構成するものとして取扱います。
 したがって、消費税については、譲渡者が受け取る精算金は課税売上げ、購入者が支払う精算金は課税仕入れとして処理することになります。

 また、自賠責保険料の未経過期間分について精算する場合も同様です。