月次支援金の申請受付が令和3年6月より開始されます

 一時支援金の申請受付は、2021(令和3)年5月31日(月)で終了しますが、この一時支援金とは別に、新たに「月次支援金」の制度概要が経済産業省から公表されました。
 月次支援金は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として2021(令和3)年4月以降に実施される緊急事態措置やまん延防止等重点措置により、「飲食店の休業・時短営業」や「外出自粛等」の影響を受けている中小法人と個人事業者に向けた継続的な支援制度です。
 月次支援金の給付にあたっては、一時支援金の仕組みを用いることで、事前確認や提出資料の簡略化が図られており、申請者の利便性を高めるように措置されています。
 そのため、登録確認機関の事前確認を経て一時支援金を受給した方にとっては、月次支援金の申請はしやすいものと思われます。
 制度の詳細は5月中旬に公表される予定ですが、4月30日付で公表されている制度概要は次のとおりです。

※ 2021(令和3)年5月18日に公表された「緊急事態措置又はまん延防止等重点措置の影響緩和に係る月次支援金の詳細について」が6月3日に更新されました。今後、随時更新されていきます。

1.月次支援金の概要

 

給付対象

①緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業又は外出自粛等の影響を受けていること※
②2021(令和3)年の月間売上が、2019(令和1)年又は2020(令和2)年の同月比で50%以上減少していること
給付額 2019年又は2020年の基準月の売上-2021年の対象月の売上

対象月:緊急事態措置又はまん延防止等重点措置が実施された月のうち、同措置の影響を受けて、2019年又は2020年の同月比で、売上が50%以上減少した2021年の月
基準月:2019年又は2020年における対象月と同じ月
給付額上限 中小法人等:20万円/月
個人事業者等:10万円/月

※ 2021(令和3)年4月以降に実施される緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴い、同措置が実施される地域において、休業または時短営業の要請を受けて休業又は時短営業を実施している飲食店と直接・間接の取引があること、又はこれらの地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けていることが必要です。
 なお、外出自粛等の影響には、人流抑制を目的とする休業又は時短営業の要請を受けた事業者に対して、商品・サービスを提供していることによる影響も含みます。
 ただし、地方公共団体による休業又は時短営業の要請に伴う協力金の支払対象の事業者については、当該協力金が新型コロナウイルス感染症対策対応地方創生臨時交付金を用いている場合には、月次支援金の給付対象外です。

2.月次支援金の申請手続き等の留意点

 月次支援金は一時支援金の仕組みを利用することから、その申請手続き等も一時支援金の場合と共通点が多いといえます。以下では、月次支援金の申請に際しての留意点を列挙します。

(1) 申請者の利便性向上のために一時支援金の仕組みを用いることから、一時支援金事務局が月次支援金事務局を兼ねることとされています。

(2) 月次支援金の申請をする際は、初回のみ登録確認機関の事前確認を受ける必要があります。事前確認を受けて月次支援金を受給すれば、2回目以降の申請では、基本的には事前確認は不要です。
 なお、事前確認を経て一時支援金を受給した事業者は、基本的には、月次支援金の申請のために改めて事前確認を受ける必要はありません

(3) 緊急事態措置又はまん延防止等重点措置が複数月に及ぶ場合や新たに同措置が実施されて対象月が増えた場合などは、それぞれの月において、売上が50%以上減少し必要な要件を満たせば、申請を行うことができます。
 ただし、1つの対象月につき、申請・受給は1回のみとされています。

(4) 初めて月次支援金の申請を行う場合は、下表の①~⑤の提出書類をすべて提出する必要がありますが、2回目以降の申請における提出書類は、基本的には、対象月の売上台帳となります(2回目以降の申請では、宣誓・同意書を改めて提出する必要はありませんが、オンライン上で宣誓・同意事項の確認がされます)。
 なお、一時支援金の受給に際して提出した書類は、改めて提出する必要はありません。
 ただし、既存の提出書類に修正・追加の必要がある場合には、修正後・追加の書類を提出します。

  一時支援金受給者の1回目の申請 一時支援金受給者の2回目以降の申請 一時支援金未受給者の1回目の申請 一時支援金未受給者の2回目以降の申請
事前確認 必要
①2019年・2020年の確定申告書 提出
②2021年の対象月の売上台帳 提出 提出 提出 提出
③通帳 提出
④宣誓・同意書 提出 オンライン上で確認 提出 オンライン上で確認
⑤履歴事項全部証明書(中小法人等)
本人確認書類(個人事業者等)
提出

(5) 提出書類の他に、緊急事態措置又はまん延防止等重点措置の影響を受けたことを示す証拠書類の保存が必要です。

(6) 証拠書類等及び給付額の算定等に関する特例が措置される予定です。

個人が受け取る新型コロナ関連助成金等の課税・非課税の例示

 新型コロナウイルス感染症の影響により、国や地方公共団体から個人に対して助成金や給付金等が支給されています。今回は、こうした助成金等が所得税の課税対象となるかどうかについて確認します(参考;国税庁ホームページFAQ)。

1.新型コロナ関連助成金等の課税関係

 新型コロナウイルス感染症の影響に関連して、国等から支給される主な助成金等の課税関係は次のとおりです。

(1) 非課税とされるもの

① 支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの

イ.新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
ロ.新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)

② 新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの

イ.特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条1号)
ロ.子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号)

③ 所得税法が非課税の根拠となるもの

【学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)】
イ.学生支援緊急給付金

【心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)】
イ.低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
ロ.新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
ハ.新型コロナウイルス感染症に感染したことによる見舞金
ニ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
ホ.東京都のベビーシッター利用支援事業における助成

※緊急事態宣言中にも事業継続が求められる感染リスクが高い事業に勤務しなければならない心身の負担が相当高い従業員に対する事業主からの見舞金。慶弔規定で定められており、社会通念上相当であるものに限る。感染リスクの大小にかかわらず支給されるものや、感染リスクが同じであるにもかかわらず、特定の者のみにだけ支給されるものは給与所得として課税される。

(2) 課税されるもの

① 事業所得等に区分されるもの

イ.持続化給付金(事業所得者向け)
ロ.小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型〉
ハ.家賃支援給付金
ニ.農林漁業者への経営継続補助金
ホ.文化芸術・スポーツ活動の継続支援
ヘ.東京都の感染拡大防止協力金などの自治体独自の給付金
ト.雇用調整助成金
チ.小学校休業等対応助成金
リ.小学校休業等対応支援金

② 一時所得に区分されるもの

イ.持続化給付金(給与所得者向け)
ロ.しながわ活力応援給付金などの自治体独自の給付金

※東京都品川区は、外出自粛要請等に伴う区民の負担を軽減し、区全体の活力を取り戻すための取組として、2020年(令和2年)4月27日時点で品川区に住民登録のある区民に「しながわ活力応援給付金」を1人当たり3万円を給付。中学生以下の児童には2万円を加算して5万円を給付。4月28日以降に出生した子どもにも1人につき5万円を給付。

③ 雑所得に区分されるもの

イ.持続化給付金(雑所得者向け)

2.新型コロナに関連しない助成金等の課税関係

 新型コロナウイルス感染症の影響とは関係なく、国等から支給される主な助成金等の課税関係は次のとおりです。

(1) 非課税とされるもの

① 支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの

イ.雇用保険の失業等給付(雇用保険法12条)
ロ.生活保護の保護金品(生活保護法57条)
ハ.児童(扶養)手当(児童手当法16条、児童扶養手当法25条)
ニ.被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法21条)

② 租税特別措置法が非課税の根拠となるもの

イ.簡素な給付措置(臨時福祉給付金)(措置法41条の81項1号)
ロ.子育て世帯臨時特例給付金(措置法41条の81項2号)
ハ.年金生活者等支援臨時福祉給付金(措置法41条の81項3号)

③ 所得税法が非課税の根拠となるもの

イ.学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
ロ.東京都認証保育所の保育料助成金(所得税法9条1項15号)
ハ.休業補償(所得税法9条1項17号)

※労働基準法76条により、労働者が業務上の負傷等により休業した場合に支給。

(2) 課税されるもの

① 事業所得等に区分されるもの

イ.肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金
ロ.小規模事業者持続化補助金(一般型)

② 一時所得に区分されるもの

イ.すまい給付金
ロ.地域振興券
ハ.通学先から支給される目的を特定していない支援金

③ 雑所得に区分されるもの

イ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券(通常時のもの)
ロ.東京都のベビーシッター利用支援事業における助成(通常時のもの)

④ 給与所得に区分されるもの

イ.慶弔規定によらない危険手当などの手当
ロ.休業手当
ハ.緊急事態宣言解除後相当期間経過後に支給が決定される事業主からの見舞金

※労働基準法26条により、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給。

新型コロナ支援で大学等から支給される助成金の課税関係は?

 国税庁の「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」が2020年(令和2年)5月15日に更新・追加されました。

 今回は、更新・追加されたもののうち、新型コロナウイルス感染症の影響による学生支援策として、学生が大学から受け取る以下の助成金等の所得税の課税関係について紹介します。

1.学費を賄うために支給された支援金

 学費を賄うために支給された支援金は、非課税所得となる「学資金」(所得税法9条1項十五号)に該当しますので、所得税の課税対象になりません
 ただし、その支援金の使途が特に限定されていないと認められる場合には、下記②と同様の取扱いになります。

2.生活費を賄うために支給された支援金

 生活費を賄うために支給された支援金は、一時所得として収入金額に計上する必要があります。
  ただし、その年の他の一時所得とされる金額との合計額が50 万円を超えない場合は、所得税の課税対象にはなりません。

3.感染症に感染した学生に対する見舞金(5万円)

 感染症に感染した学生に対する見舞金は、非課税所得となる「心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金」(所得税法9条1項十七号)に該当しますので、所得税の課税対象になりません

4.遠隔授業を受けるために供与された機械(パソコン等)

 遠隔授業を受けるために供与された機械(パソコン等)は、非課税所得となる「学資金」(所得税法9条1項十五号)に該当しますので、所得税の課税対象になりません

持続化給付金・休業協力金・特別定額給付金に関するホームページ一覧と留意点

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、国・都道府県・市町村が、事業者等を対象とした様々な支援制度を講じています。これらの支援制度の申請要件や申請方法等の情報は各ホームページから入手することになりますが、情報が日々更新されるため、どのサイトを見たらいいのかわからないという問い合わせも増えています。
 そこで今回は、これらの支援制度のうち、持続化給付金、休業協力金、特別定額給付金に関するホームページと主な留意点を紹介します。

1.持続化給付金

(1) ホームページ

 持続化給付金は、国が行う支援制度です。その概要は、売上が前年同月比で50%以上減少している等の要件を満たす事業者を対象に、中小法人等の法人は200万円、フリーランスを含む個人事業者は100万円を上限に、現金を給付するというものです。様々な業種、会社以外の法人など、幅広く対象としています。
 持続化給付金については、経済産業省のホームページをご参照ください。

HP 支給額(上限) 受付期間
経済産業省 法人 200万円
個人 100万円
令和2年5月1日~
令和3年1月15日

(2) 留意点

 持続化給付金に関する主な留意点は次のとおりです。

① 持続化給付金の給付対象の要件に、「売上が前年同月比で50%以上減少している事業者」というものがあります。ここでいう売上とは、確定申告書類において事業収入として計上するものであり、不動産収入や給与収入、雑所得等は含みません。したがって、不動産所得のある個人事業者の場合、不動産収入(家賃収入)が50%以上減少しても持続化給付金の支給対象とはなりません

持続化給付金は課税の対象になります。税務上、法人の場合は益金、個人事業者の場合は、総収入金額に算入されます。

③ 持続化給付金は、都道府県の休業協力金や特別定額給付金と併給可能です。

2.休業協力金・休業支援金

(1) ホームページ

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う休業の協力要請等に応じた中小企業・個人事業主を対象とした休業協力金(名称は都道府県によって様々です)が都道府県から支給されます。申請要件や申請方法等の詳細は都道府県によって異なります。
 ここでは近畿2府4県のホームページをご紹介します(2020年(令和2年)5月8日時点)。

HP 支給額 受付期間
大阪府 中小100万円 個人50万円 令和2年4月27日~
令和2年5月31日
兵庫県 中小100万円 個人50万円
※飲食店・旅館は
中小30万円 個人15万円
令和2年4月28日~
令和2年6月30日(予定)
京都府 中小20万円 個人10万円 令和2年5月7日~
令和2年6月15日(予定)
奈良県 中小20万円 個人10万円 令和2年4月28日~
令和2年6月1日
滋賀県 中小20万円 個人10万円 令和2年5月7日~未定
和歌山県 20万円~100万円 未定

(2) 留意点

 休業協力金も持続化給付金と同様に課税の対象になります。休業協力金の税務上の取扱いについて東京都が国に非課税とするように要望したところ、国からは法令に則ると、所得税や法人税の計算上、収入金額や益金に加える必要があるとの回答が示されたようです。
 このことから、東京都以外の自治体が支払う協力金等も同様になるとみられます。

3.特別定額給付金

(1) ホームページ

 特別定額給付金は、基準日(2020年(令和2年)4月27日)において住民基本台帳に記録されている者に一律10万円を給付するというものです。
 実施主体は市区町村になりますが、ここでは総務省の特別定額給付金ポータルサイトをご紹介します。

HP 支給額 受付期間
総務省 1人につき10万円 郵送方式の申請受付開始日から3か月以内
※受付開始日は、居住市区町村ごとに異なります。

(2) 留意点

 特別定額給付金は、持続化給付金や休業協力金と異なり、課税の対象ではありません。したがって、所得税、住民税ともに非課税となります。

非課税所得と勘違いしやすい給付金

 所得税が課税されないものとして、雇用保険法の「失業給付」や「再就職手当」などがよく知られています。
 また、求職者支援制度に基づき厚生労働省から支給される「職業訓練受講給付金」なども非課税所得です。
 これらの非課税所得のイメージ(役所から支給されるもの=非課税)から、本来は課税所得であるにもかかわらず、次のように非課税所得と混同されやすいものがあります(参考:国税庁ホームページ・文書回答事例)。

1.厚生労働省から支給される「訓練・生活支援給付金」は雑所得

 緊急人材育成支援事業による職業訓練等を受講する者に支給される訓練・生活支援給付金は、非課税ではなく雑所得となります。

2.厚生労働省による「訓練・生活支援資金融資による貸付金の返済免除益」は一時所得

 厚生労働省では、上記1の給付金の支給のみでは生活費が不足する者等を対象に、訓練・生活支援資金融資を実施し、生活に必要な資金を貸し付けています。
 この訓練・生活支援資金の融資を受けた訓練受講者が、訓練受講後に一定の要件を満たすこととなったときには、貸付元本額の50%に相当する額の返済が免除されます。
 この返還債務が免除されたことによる経済的利益は、非課税ではなく一時所得となります。