個人の申告漏れ所得金額が高額な上位10業種(令和6事務年度)

 国税庁は2025(令和7)年12月に、2024(令和6)事務年度(令和6年7月~令和7年6月)における「所得税及び消費税調査等の状況」を報道発表資料として公表しました。

 以下では、2024(令和6)事務年度について、所得税の調査等の状況と事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種についてみていきます。

1.所得税の調査等の状況

 国税庁の公表資料によると、調査の選定にAIを活⽤するなどして効率的に調査を⾏った結果、追徴税額の総額は、前事務年度に引き続き過去最高を記録しています。

 「実地調査」と「簡易な接触」を合わせた「調査等」の合計件数は、73万6千件(対前年比121.7%)で、そのうち申告漏れ等の⾮違があった件数は36万9千件(同118.5%)となっています。

 「実地調査」と「簡易な接触」を合わせた「調査等」による申告漏れ所得⾦額は、9,317億円(同93.5%)となっています。

 「実地調査」と「簡易な接触」を合わせた「調査等」による追徴税額は、1,431億円(同102.4%)と、過去最⾼となっています。

  実地調査 簡易な接触 調査等合計
特別・一般 着眼
調査等件数(件) 36,404(98.1%) 10,492(100.5%) 46,896(98.7%) 689,440(123.7%) 736,336(121.7%)
申告漏れ等の非違件数(件) 32,001(97.9%) 7,177(96.4%) 39,178(97.6%) 329,549(121.5%) 368,727(118.5%)
申告漏れ所得金額(億円) 5,411(106.5%) 404(92.9%) 5,815(105.4%) 3,502(78.7%) 9,317(93.5%)
追徴税額(億円) 1,090(107.0%) 42(89.4%) 1,132(106.2%) 299(90.1%) 1,431(102.4%)
1件当たり追徴税額(万円) 299(108.7%) 40(88.9%) 241(107.6%) 4(66.7%) 19(82.6%)

(備考)
(1) 上表のカッコ内の数字は、対前年比の割合を示しています。

(2) 実地調査(特別調査・一般調査)とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものです。

(3) 実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査です。

(4) 簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。

2.直近5年間の申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

 国税庁は、公表している「所得税及び消費税調査等の状況」の中で、「参考計表」として「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」を挙げています。
 
 2024(令和6)事務年度(令和6年7月~令和7年6月)から2020(令和2)事務年度(令和2年7月~令和3年6月)までの直近5事務年度における上位10業種は、以下のとおりです。

順位 R6 R5 R4 R3 R2
1 キャバクラ 経営コンサルタント 経営コンサルタント 経営コンサルタント プログラマー
2 眼科医 ホステス、ホスト くず金卸売業 システムエンジニア 畜産農業(肉用牛)
3 ホステス、ホスト コンテンツ配信 ブリーダー ブリーダー 内科医
4 経営コンサルタント くず金卸売業 焼肉 商工業デザイナー キャバクラ
5 太陽光発電 ブリーダー タイル工事 不動産代理仲介 太陽光発電
6 バー 焼き鳥 冷暖房設備工事 外構工事 建築士
7 コンテンツ配信 太陽光発電 鉄骨、鉄筋工事 型枠工事 経営コンサルタント
8 ブリーダー 内科医 太陽光発電 機械部品受託加工 小売業・犬
9 スナック スナック バー 一般貨物自動車運送 不動産代理仲介
10 システムエンジニア 西洋料理 電気通信工事 司法書士、行政書士 商工業デザイナー

※ 上記調査事績は、特別調査及び一般調査に基づく実施結果です。