2017年度(平成29年度)改正で、2019年(平成29年)3月末で廃止された生産性向上設備投資促進税制(B類型)では、医療機器を含むすべての器具及び備品が適用対象となっていました。
しかし、新設された中小企業経営強化税制では、医療保健業を行う事業者(医療法人や個人開業医等)が取得する医療機器は、A類型及びB類型ともに適用対象外となりました。
今回は、医療業と中小企業経営強化税制との関係について述べていきます。
1.「医療保健業を行う事業者」とは?
「医療保健業を行う事業者」とは、医療業及び保健衛生業を行う事業者、すなわち、医療業(日本標準産業分類の「大分類P-医療、福祉」・「中分類83-医療業」医師又は歯科医師等が患者に対して医業又は医業類似行為を行う事業所及びこれに直接関連するサービスを提供する事業所)及び保健衛生業(日本標準産業分類の「大分類P-医療、福祉」・「中分類84-保健衛生」保健所、健康相談施設、検疫所(動物検疫所、植物防疫所を除く)など保健衛生に関するサービスを提供する事業所)を行う事業者のことをいいます。
2.適用対象資産
医療保険業を行う事業者(医療法人や個人開業医等)が取得又は制作をする医療機器、建物附属設備は経営力向上設備等から除外されています。
中小企業経営強化税制の適用対象資産は、中小企業等経営強化法施行規則第8条第2項の経営力向上設備等に該当することが必要ですが、その経営力向上設備等の「器具及び備品」と「建物附属設備」では、生産性向上設備(A類型)・収益力強化設備(B類型)ともに、「医療保険業を行う事業者が取得又は制作をする器具及び備品中の医療機器と建物附属設備」は除かれています(中小企業等経営強化法第19条第3項、中小企業等経営強化法施行規則第8条第2項)。
したがって、医療法人や個人開業医が取得する医療機器(器具及び備品に該当)及び建物附属設備は、中小企業経営強化税制の適用対象とはなりません。
3.医療機器とは?
ここで、医療機器とは、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」「8医療機器」に掲げられる消毒殺菌用機器、手術機器、血液透析又は血しょう交換用機器、ハバードタンクその他の作動部分を有する機能回復訓練機器、調剤機器、歯科診療用ユニット、光学検査機器及びレントゲンその他の電子装置を使用する機器等が該当し、病院、診療所等における診療用又は治療用の器具及び備品をいいます(耐用年数取扱通達2-7-13)。
また、建物附属設備は、耐用年数省令別表第一の「建物附属設備」に掲げられているものが該当します。
なお、医療保健業を営む者が取得する医療用の機械及び装置並びに器具及び備品については、別途、医療用機器の特別償却(租税特別措置法45の2)の検討が必要です。