滞納していた国民健康保険料・国民年金保険料と延滞金は社会保険料控除の対象となるか?

 個人事業者が、自分や家族(同一生計)の分の国民健康保険料(税)や国民年金保険料を支払った場合は、その支払った金額について、確定申告の際に社会保険料控除を受けることができます。

 給与所得者が、給与から差し引かれた健康保険料や厚生年金保険料以外に、自分や家族(同一生計)の分の国民健康保険料(税)や国民年金保険料を支払った場合も、その支払った金額について、年末調整や確定申告の際に社会保険料控除を受けることができます。

 では、滞納していた前年分以前の国民健康保険料(税)や国民年金保険料及びその延滞金を支払った場合は、その支払った金額について社会保険料控除を受けることができるのでしょうか?

 今回は、この点について確認します。

1.滞納分の国民健康保険料・国民年金保険料を支払った場合

 社会保険料控除を受けることができる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

 したがって、前年以前の滞納分(過去の未納分)の保険料を支払った場合は、その支払った年においてその全額について社会保険料控除を受けることができます。

 国民健康保険料(税)について年末調整や確定申告で社会保険料控除を受ける場合は、原則として領収証書や納付証明書類を添付する必要はありません(これは滞納分であったとしても同じです)。

 一方、国民年金保険料について年末調整や確定申告で社会保険料控除を受ける場合は、「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の添付が必要です(家族の国民年金保険料も支払っている場合は、家族の控除証明書も必要です)。

 滞納分の保険料を追加で支払うなどした場合に、実際に支払った金額が控除証明書の証明欄にある「①納付済額」や「②見込額」以上になることがあります。

 この場合は、12月31日までに支払った保険料の全額が支払った年の社会保険料控除の対象となりますので、控除証明書の①納付済額(②見込額がある場合は、③合計額)に追加で支払った保険料の金額を合算し、控除証明書に加えて、追加で支払った保険料の領収証書を添付して申告を行ってください。

※ 「②見込額」とは、11月発送の控除証明書を作成した時点の納付方法で、引き続き、12月31日まで納付した場合の納付見込額が表示されています。2月発送の対象者は、納付済額が確定しているため、見込額欄はありません。

2.延滞金を支払った場合

 滞納分の国民健康保険料(税)・国民年金保険料を支払った場合は、その全額がその支払った年において社会保険料控除の対象となります。

 しかし、滞納分の保険料に係る延滞金は社会保険料控除の対象となりませんので、延滞金については社会保険料控除を受けることはできません。

※ 法人の場合の社会保険料の延滞金については、「社会保険料の延滞金は損金算入できます」をご参照ください。