被災地に義援金を送金した場合等の税務上の取扱い

 個人又は法人が、災害により被害を受けられた方を支援するために、被災地の地方公共団体に設置される災害対策本部等に義援金や支援金を支払った場合等の税務上の取扱いについて確認します。
 なお、義援金は「お悔やみや応援の気持ちを込めて被災者に直接届けるお金」のことをいい、支援金は「自分が応援したい団体に寄付し、被災地の支援活動に役立ててもらうお金」のことをいいますが、本稿では両者を合わせて「義援金」といいます。

1.被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部に対して義援金を支払った場合

 個人又は法人が、被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部に対して義援金を支払った場合の税務上の取扱いは、次のとおりです。

個人  個人の方が、被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部に対して支払った義援金は「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
 なお、当該義援金は、地方公共団体に対する寄附金として個人住民税の寄附金税額控除の対象となり、原則としてふるさと納税に該当します(ワンストップ特例制度の適用ができますが、通常は返礼品はありません)。
法人  法人が、被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部に対して支払った義援金は「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。

2.日本赤十字社又は社会福祉法人中央共同募金会等に対して義援金を支払った場合

 個人又は法人が、日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会等が被災者への支援を目的として設けた専用口座に対して義援金を支払った場合の税務上の取扱いは、次のとおりです。

個人  個人が、日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会等に対して支払った義援金については、その義援金が最終的に地方公共団体(義援金配分委員会等)に対して拠出されるものであるときは、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
 なお、当該義援金は、地方公共団体に対する寄附金として個人住民税の寄附金税額控除の対象となり、原則としてふるさと納税に該当します(ワンストップ特例制度の適用ができますが、通常は返礼品はありません)。
法人  法人が、日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会等に対して支払った義援金については、その義援金が最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。

※ 日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会等に対して支払った義援金であっても、例えば、日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会等の事業資金として使用されるなど、最終的に地方公共団体に拠出されるものでないものについては、上記と異なる取扱いになる場合がありますので、義援金の支払先に確認する必要があります。

3.被災地の救援活動等を行っている認定NPO法人等に対して義援金を支払った場合

 被災地の救援活動や被災者への救護活動を行っているNPO法人が「認定NPO法人等」であり、支払った義援金がその認定NPO法人等の行う特定非営利活動に係る事業に関連するものであるときには、その義援金は「認定NPO法人等に対する寄附金」に該当します。
 個人又は法人が、認定NPO法人に対して義援金を支払った場合の税務上の取扱いは、次のとおりです。

個人  個人の方が、「認定NPO法人等に対する寄附金」として支払った義援金は、寄附金控除(所得控除)又は寄附金特別控除(税額控除)の対象となります(選択適用)。ふるさと納税には該当しません。
法人  法人が、「認定NPO法人等に対する寄附金」として支払った義援金は、「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し(特別損金算入限度額)、その範囲内で損金の額に算入されます。

4.被災地の救援活動等を行っている認定NPO法人等以外の法人等に対して義援金を支払った場合

 個人又は法人が、認定NPO法人等以外の法人等に対して義援金を支払った場合(※)には、次に掲げるような支払先の区分に応じて、税務上の取扱いが異なります。
 支払先の区分や支払った義援金の税務上の取扱いについては、直接支払先の法人等に確認する必要があります。

※ 「国等に対する寄附金」及び「指定寄附金」に該当するものを支払った場合を除きます。

支払先

公益社団法人・公益財団法人の場合(その法人の主たる目的である業務に関連するものに限ります)

NPO法人(認定NPO法人等でないもの)、職場の有志で組織した団体などの人格のない社団等の場合
個人  寄附金控除(所得控除)の対象となります。
 支払先が一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人である場合には、寄附金特別控除(税額控除)との選択適用が可能です。
 寄附金控除等の対象となりません。
法人  特定公益増進法人に対する寄附金として、特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入できます。  一般の寄附金として、損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入できます。

5.募金団体を通じて地方公共団体に対して義援金を支払った場合

 関係する個人、法人から義援金を集め、これを取りまとめた上で、一括して地方公共団体に対して支払う場合(※)、義援金を取りまとめる団体(以下「募金団体」といいます)に寄附した個人、法人の税務上の取扱いは、次のとおりです。

※ 税務署において、募金団体に対して支払う義援金が、最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであるかどうかの確認が行われます。

個人  個人が、募金団体に対して支払った義援金については、その義援金が最終的に地方公共団体(義援金配分委員会等)に対して拠出されることが募金団体が発行する預り証において明らかにされているものであるときは、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
 なお、当該義援金は、地方公共団体に対する寄附金として個人住民税の寄附金税額控除の対象となり、原則としてふるさと納税に該当します(ワンストップ特例制度の適用ができますが、通常は返礼品はありません)。
法人  法人が、募金団体に対して支払った義援金については、その義援金が最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが募金団体が発行する預り証において明らかにされているものであるときは、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。

6.法人が被災した取引先に対して義援金を支払った場合

 法人が、被災した取引先に対し、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は、交際費等に該当せず損金の額に算入されます。

7.法人が自社製品を被災者に提供した場合

 法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等には該当せず、広告宣伝費に準ずるものとして損金の額に算入されます。