個人経営の飲食業・理美容業等は社会保険加入を強制されない

 会計事務所に寄せられる相談は税金のことだけではありません。先日も飲食業を営む個人事業主さんから、社会保険に関する次のような質問を受けました。
 「従業員を10人に増やしたいが、社会保険に加入しなければならないか?」 

1.個人事業は5人以上の雇用で強制加入

 法人の場合、たとえ1人でも従業員を雇ったときは、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入しなければなりません。
 個人事業の場合は、5人以上の従業員を雇ったときは社会保険の加入が強制されます。
 では、10人の従業員を雇用する個人経営の飲食店に社会保険の加入義務はあるのでしょうか?

2.「法定16業種」以外は任意加入

 答えは「否」です。
 5人以上の従業員を雇用する個人事業主でも、「法定16業種」に該当しない農業、漁業、一部のサービス業(旅館、飲食、理美容業、弁護士事務所、税理士事務所など)を営む者は、社会保険への加入が任意とされています。
 したがって、個人経営の飲食店は、5人以上の従業員を雇っても社会保険の加入を強制されることはありません。

3.「法定16業種」とは?

 法定16業種とは、製造業・土木建築業・鉱業・電気ガス事業・運送業・貨物積みおろし業・清掃業・物品販売業・金融保険業・保管賃貸業・媒介周旋業・集金案内広告業・教育研究調査業・医療業・通信報道業・社会福祉事業及び更生保護事業をいいます。

外国人・年金受給者を雇用した場合や試用期間中の社会保険の取扱い

1.健康保険・厚生年金保険の加入要件

 健康保険・厚生年金保険は正社員だけではなく、法人の代表者や役員も被保険者になります。
 また、パートやアルバイトの方でも、1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である場合は、被保険者になります。
 さらに、正社員の4分の3未満であっても、次の5要件をすべて満たす方は被保険者になります。

(1) 週の所定労働時間が20時間以上
(2) 勤務期間が1年以上見込まれること
(3) 月額賃金が8.8万円以上
(4) 学生以外
(5) 従業員501人以上の企業に勤務していること
 
 では、次のような場合の被保険者はどのようになるのでしょうか?

2.外国人を雇用した場合

 上記1の加入要件を満たす方は、国籍を問わず被保険者になります。

3.年金受給者を雇用した場合

 70歳未満で老齢厚生年金(特別支給を含む)を受給している人を雇用した場合でも、上記1の加入要件を満たす方は被保険者になります。

4.試用期間中の場合

 法律上の雇用契約や本人の同意にかかわりなく、上記1の加入要件を満たす方は、試用期間中であっても被保険者になります。