1.税理士の役割が重要
新型コロナウイルス感染症拡大により、特に大きな影響を受ける中小法人・個人事業者に対して、 事業の継続を下支えし再起の糧とするために、事業全般に広く使える 持続化給付金が支給されています。
しかし、フリーランスを含む個人事業者については、 前年に事業所得として確定申告している者に対象が限られており、給与所得や雑所得として申告していた者は対象から外されていたため、批判の声がありました。
そこで、経済産業省は2020年(令和2年)6月26日に、以下の事業者を新たに対象とすることを発表し、同月29日から申請の受付を開始しています(申請期間は2021年(令和3年)1月15日までです)。
(1) 主たる収入を 雑所得・給与所得 で確定申告した個人事業者
(2) 2020年(令和2年)1月~3月の間に創業した事業者
(1)については、2019年分(令和元年分)の確定申告義務がない者など一部の場合は、税理士の確認を受けた申立書の提出が必要となっており、(2)についても、創業月から対象月までの事業収入を証明する書類について、税理士による確認が必要となっています。
以下では、新たに対象とされた上記(1)及び(2)について、要件と必要書類等の確認をします。
2. 主たる収入を 雑所得・給与所得 で確定申告した個人事業者
(1) 要件
以下の要件を満たす事業者が対象となります。
① 雇用契約によらない業務委託契約等に基づく収入であって、 雑所得・給与所得として計上されるもの(以下「業務委託契約等収入」といいます)を主たる収入として得ており、 今後も事業継続する意思がある(※ 確定申告で事業収入としていた事業者は現行制度で申請できます )
② 今年(令和2年)の対象月※1の収入が昨年(令和元年)の月平均収入と比べて50%以上減少している
③ 2019年(令和元年)以前から、被雇用者※2又は被扶養者ではない
※1 対象月は、2020年(令和2年)1月から申請を行う日の属する月の前月までの間で、2019年(令和元年)の月平均の業務委託契約等収入と比較して、業務委託契約等収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を申請者が任意に選択できます。
また、対象月の収入については、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金などの現金給付を除いて算定することができます。
※2 会社等に雇用されている方(サラリーマンの方、パート・アルバイ ト・派遣・日雇い労働等の方を含む。)をいいます。ただし、 2019年(令和元年)中に独立・開業した場合は対象になり得ます。
(2) 必要書類
申請時には、以下の書類を提出します。
① 前年分(令和元年分)の確定申告書
② 今年(令和2年)の対象月の収入が分かる書類(売上台帳等)
③ ①の収入が、業務委託契約等の事業活動からであることを示す書類(下記イ~ハの中からいずれか2つを提出し、ロの源泉徴収票の場合はイとの組合せが必須です)
イ.業務委託等の契約書の写し又は契約があったことを示す申立書※3
ロ.支払者が発行した支払調書又は源泉徴収票
ハ.支払があったことを示す通帳の写し
④ 国民健康保険証の写し
⑤ 振込先口座通帳の写し、本人確認書類の写し
※3 業務委託等の契約書がない場合は、契約があったことを示す申立書を契約先に書いてもらう必要があります。
3.2020年1月~3月の間に創業した事業者 (法人の場合)
(1) 要件
以下の要件を満たす事業者が対象となります。
① 2020年(令和2年)4月1日時点において、次のいずれかを満たす法人であること。 ただし、組合若しくはその連合会又は一般社団法人については、その直接 又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が個人又は次のいずれかを 満たす法人であること。
イ.資本金の額又は出資の総額※1が10億円未満であること。
ロ.資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時 使用する従業員※2の数が2,000人以下であること。
② 2020年(令和2年)1月から3月の間に事業により事業収入(売上)を得ており、今後も 事業を継続する意思があること※3。
③ 2020年(令和2年)4月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、2020年の法人を設立した日の属する月から3月の月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(以下「2020新規創業対象月」という。)が存在すること※4。
※1 「基本金」を有する法人については「基本金の額」と、一般財団法人については「当該法人に拠出されている財産の額」と読み替えます。
※2 「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を指します(パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者については、当該条文をもとに個別に判断します。会社役員及び個人事業主は予め解雇の予告を必要とする者に該当しないため、「常時使用する従業員」には該当しません。) 。
※3 事業収入は、確定申告書(法人税法第二条第一項三十一号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。)別表一における「売上金額」欄に記載されるものと同様の考え方によるものとします。
※4 「2020新規創業対象月」は、2020年(令和2年)4月から申請する月の前月までの間で、 前年同月比で事業収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を任意で選択できます。
「2020新規創業対象月」の事業収入については、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金などの現金給付を除いて算定することができます。
また、2019年(令和元年)1月から12月の間に法人を設立した者であって、当該期間に事業による事業収入を得ておらず、2020年(令和2年)1月から3月の間に事業により事業収入を得ている場合は、2020年1月から3月の月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(対象月)が存在する必要があります。
(2) 必要書類
申請時には、以下の書類を提出します。
① 持続化給付金に係る収入等申立書(中小法人等向け)※5
② 通帳の写し
③ 履歴事項全部証明書(設立日が2020年1月1日から3月31日のものに限る)
※5 申立書は、2020年(令和2年)1月から対象月までの事業収入( 確定申告書別表一における「売上金額」欄に記載されるものと同様の考え方によるもの)を記載し、税理士による署名又は記名押印が必要です。
また、持続化給付金に係る収入等申立書において2020新規創業対象月の月間事業収入が記載されるため、2020新規創業対象月の売上台帳は不要です。
4.2020年1月~3月の間に創業した事業者 (個人事業者の場合)
(1) 要件
以下の要件を満たす事業者が対象となります。
① 2020年(令和2年)1月から3月の間に事業により事業収入(売上)を得ており、今後も 事業を継続する意思があること※1。
② 2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、2020年の開業月から3月までの月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(以下「2020新規開業対象月」という。)が存在すること※2。
※1 事業収入は、証拠書類として提出する確定申告書(所得税法第二条第一項三十七号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。)第一表における「収入金額等」の事業欄に記載される額と同様の算定方法によるものとします。
※2 「2020新規開業対象月」は、2020年4月から申請を行う日の属する月の前月の間で、ひと月を申請者が任意に選択できます。
「2020新規開業対象月」の事業収入については、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金等の現金給付を除いて算出することができます。
また、2019年(令和元年)1月から12月の間に開業した者であって、当該期間に事業による事業収入を 得ておらず、2020年1月から3月の間に事業により事業収入を得ている場合は、 2020年1月から3月の月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(対象月)が存在する必要があります。
(2) 必要書類
申請時には、以下の書類を提出します。
① 持続化給付金に係る収入等申立書(個人事業者等向け)※3
② 通帳の写し
③ 本人確認書類
④ 個人事業の開業・廃業等届出書※4
※開業日が2020年1月1日から3月31日まで
※提出日が2020年5月1日以前
※税務署受付印が押印されていること
又は、事業開始等申告書※4
※事業開始日が2020年1月1日から3月31日まで
※提出日が2020年5月1日以前
※受付印等が押印されていること
※3 持続化給付金に係る収入等申立書(個人事業者等向け)において対象月の月間事業収入が記載 されるため、2020新規開業対象月の売上台帳は不要です。
※4 ④については、代替書類(開業日、所在地、代表者、業種、書類提出日の記載がある書類 )も認められています。