医療費控除を受ける場合は、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付しなければならないこととされています。
しかし、医療保険者から交付を受けた「医療費のお知らせ」がある場合は、「医療費のお知らせ」を添付することによって「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができ、医療費の領収書の保存も不要となります。
以下では、この「医療費のお知らせ」で医療費控除を受ける際の注意点について確認します。
1.医療費通知とは?
「医療費のお知らせ」は、健康保険組合などの医療保険者が発行する医療費の額等を通知する書類です。
この「医療費のお知らせ」のうち、次の6項目の記載があるもの(後期高齢者医療広域連合から発行された書類の場合は(3)を除きます)を「医療費通知」といい、「医療費通知」を確定申告書に添付することによって、「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができ、医療費の領収書の保存も不要となります※。
(1) 被保険者等の氏名
(2) 療養を受けた年月
(3) 療養を受けた者の氏名
(4) 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
(5) 被保険者等が支払った医療費の額
(6) 保険者等の名称
※ インターネットを利用して医療保険者から通知を受けた医療費通知情報で、その医療保険者の電子署名およびその電子署名に係る電子証明書が付されたものも医療費通知となります。
2.医療費のお知らせに欠落や不備がある場合
医療費通知には、上記1の(1)~(6)の6項目が記載されている必要があります。
しかし、この6項目を「医療費のお知らせ」に記載することは、各医療保険者の任意とされているため、交付を受けた「医療費のお知らせ」に6項目のいずれかの項目の記載がないことも考えられます。
このような場合は、その「医療費のお知らせ」に欠落している事項を補完記入するか、実際に支払った医療費の領収書に基づいて必要事項を記載した「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付することにより、医療費控除の適用を受けることができます。なお、この場合には当該医療費の領収書を確定申告期限等から5年間保存する必要があります。
3.医療費のお知らせに記載がない医療費がある場合
医療費のお知らせは、保険医療機関等から診療報酬等の請求があり、支払が確定されたものについて作成されます。
そのため、保険医療機関等からの請求が遅れた場合などは、支払った医療費がこのお知らせに記載されないことがあります※。
また、自由診療に区分される診療や薬局での医薬品の購入など、医療費のお知らせに記載されないものもあります。
このような場合には、これらの医療費に係る領収書に基づき「医療費控除の明細書」へ必要事項を記載し、その上でこの明細書と「医療費通知」(6項目が記載された「医療費のお知らせ」)を併せて確定申告書に添付して提出することで、医療費控除の適用を受けることができます。
なお、この場合の「医療費控除の明細書」の記載および控除額の計算は、次の手順によります。
① 「医療費通知」の内容に基づいて「1 医療費通知に関する事項」の各欄に金額を記載する。
② 「医療費通知」に記載されていない医療費については、領収書に基づいて「2 医療費(上記1以外)の明細」の各欄に必要事項を記載する。
③ 「3 控除額の計算」により医療費控除の額の計算を行う。
※ 逆に、古い受診年月(前年)の医療費が記載されている場合もありますので、注意が必要です。
4.医療費のお知らせに記載された負担額と実際の負担額とが異なる場合
医療費のお知らせの患者負担額は、保険医療機関等の窓口で支払う自己負担額(10円未満を四捨五入)とは異なり、1円単位での表示となります。
そのため、「医療費のお知らせ」の患者負担額と窓口で実際に支払った医療費の額が相違する場合があります。
このような場合は、「医療費通知」(6項目が記載された「医療費のお知らせ」)に記載された患者負担額に基づいて医療費控除の額を計算しても差し支えありません。