決算日直前に完成した保養所の均等割は支払う必要があるか?

1.保養所としてまだ機能していない

 製造業を営むA社(2月決算、4月申告)は、従業員のための保養所を淡路島(兵庫県淡路市)に建設中でしたが、決算処理を進める過程で、本年(2020年)2月14日に保養所が完成していることがわかりました。

 A社の決算日は2月末日ですので、この場合、1か月分の均等割を支払う必要があるのかどうか疑問が生じました。

 というのは、建設工事が完了して建物の引渡しは受けているものの、内部の調度品等がそろっておらず、保養所としてまだ機能していない状態だったからです。

 そこで淡路市のホームページを確認してみました。

2.機能するまで均等割は発生しない

 淡路市のホームページには、次のような記載がありました。

「法人市民税は、淡路市内に事務所等または寮等がある法人のほか、人格のない社団等に申告していただく市民税で、資本金等の額と従業者数に応じた均等割額と、法人税の税額によって算出する法人税割額とがあります。」

 また、納税義務者に関する次の表が掲げられていました。

納税義務者 均等割 法人税割
淡路市内に事務所や事業所を有する法人
淡路市内に寮や保養所などを有する法人で、淡路市内に事務所や事業所を有しないもの
淡路市内に事務所や事業所または寮や保養所などを有する人格のない社団等(法人でない社団または財団で収益事業を行うもの)または法人課税信託の引受けを行うもの
法人課税信託の引受けを行うことにより法人税を課される個人で淡路市内に事務所や事業所を有するもの

 A社は、淡路市内に保養所を有していますが事務所等は有していませんので、上の表から、均等割のみの納税義務があることがわかります。

 しかし、保養所として機能していない状態でも納税義務があるのかどうかはわかりません。

 そこで、淡路市役所の税務課に尋ねてみたところ、「保養所として機能していない状態であれば、均等割を払う必要はありません。」とのことでした。

 ちなみに、上表における「寮」とは、独身寮や社宅などの 居住を目的としているものではなく、宿泊所、クラブ、レクリエーション施設、研修施設など、会社が従業員の宿泊、慰安、娯楽等の便宜を図るために、 常時設けている施設のことをいいます。