1.支払調書の提出範囲
「不動産の使用料等の支払調書」は、法人や不動産業者である個人(主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる個人を除く)が、同一人に対して支払った家賃等でその年中の支払金額の合計が15万円を超えるものについては、税務署に提出しなければなりません。
ただし、法人(人格のない社団等を含みます)に支払う不動産の使用料等については、賃借料を除く権利金、更新料等が対象となります。
したがって、法人に対して家賃や賃借料のみを支払っている場合は、支払調書の提出は必要ありません。
不動産の使用料等については下記2で述べますが、事務所や店舗等を賃借する場合に支払う家賃が一般的なケースだと思われます。
この場合、例えば、法人が個人に対して毎月5万円の家賃を12か月支払った場合は、支払金額の合計が15万円を超えるので支払調書の提出が必要です。
一方、法人が法人に対して毎月5万円の家賃を12か月支払って支払金額の合計が15万円を超えたとしても、支払調書の提出は必要ありません。
2.不動産の使用料等とは?
不動産の使用料等とは、具体的には次のようなものをいいます。
(1) 土地、建物の賃借料
(2) 広告等のための塀や壁面等のように土地、建物の一部を使用する場合の賃借料
(3) 催物の会場を賃借する場合などの一時的な賃借料、陳列ケースの賃借料
(4) 地上権、地役権の設定あるいは不動産の賃借に伴って支払われるいわゆる権利金(返還を要しないこととなる保証金、敷金等を含みます)、礼金
(5) 契約期間の満了に伴い、または借地の上にある建物の増改築に伴って支払われるいわゆる更新料、承諾料
(6) 借地権や借家権を譲り受けた場合に地主や家主に支払われるいわゆる名義書換料
3.定額の水道代・電気代は含まれるか?
不動産の使用料等は上記のようなものが該当しますが、賃貸借契約書で次のように定められている場合は、不動産の使用料をいくらと考えればいいでしょうか?
・賃料 月額50,000円 ・水道代 月額3,000円 ・電気代 月額5,000円 |
この賃貸借契約書では、毎月の賃料(家賃)50,000円以外に、水道代と電気代も毎月3,000円と5,000円を支払うことになっています。つまり、実際の使用量にかかわらず、水道代と電気代は賃料と同様に毎月定額を支払うことになります。
このような場合、支払調書における不動産の使用料の金額は、賃料50,000円だけでいいのか、賃料に水道代と電気代を含めた58,000円(50,000円+3,000円+5,000円=58,000円)とするのか迷います。
結論は、毎月定額を支払う水道代・電気代も含めた58,000円を不動産の使用料の金額とします。
名目は水道代・電気代となっていても、実際の使用量にかかわらず定額を支払うのであれば、実質的に賃料(家賃)といえるからです。