譲渡所得がある場合の確定申告は、譲渡所得にばかり気を取られがちですが、消費税の申告も忘れないようにしましょう。
1.消費税が課税されない場合
個人が土地や建物を売却すると、譲渡所得として所得税が課されます。所得税は、その土地や建物が居住用など生活用の資産であっても、家賃収入などを生み出す事業用の資産であっても課税されます。
注意しなければならないのは、このような譲渡所得の基となる資産の譲渡には、消費税が課税される場合と課税されない場合があることです。
消費税が課税されない場合は、消費税の課税事業者が生活用の資産を譲渡したときや、免税事業者や事業者でない人が生活用又は事業用の資産を譲渡したときです。
2.消費税が課税される場合
これに対し、消費税の課税事業者が事業用の資産を譲渡したときは、消費税が課税されます。
事業用の資産の譲渡は、事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡となりますので、消費税が課税されます(土地の譲渡は非課税なので、消費税は課税されません)。
消費税が課税される場合の消費税の経理処理は、その資産をその用に供していた事業所得や不動産所得を生ずべき業務に係る取引について選択していた消費税の経理処理と同じ経理処理により行います。
したがって、事業所得等について選択していた経理処理が税抜経理方式の場合には、譲渡所得を計算するときも税抜経理方式で行います。そして、仮受消費税等と仮払消費税等の清算などの調整は、その事業所得等の計算で行います。
また、事業所得等について選択していた経理処理が税込経理方式の場合には、譲渡所得を計算するときも税込経理方式で行います。そして、納付すべき消費税の必要経費への算入や還付される消費税の総収入金額への算入は、その事業所得等の計算で行います。