国民年金保険料を前納した場合の社会保険料控除の取扱い

 納税者が、自己または自己と生計を一にしている配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合は、その支払った金額の全額について社会保険料控除の適用を受けることができます。

 未納のものについては控除できませんが、これまで未納となっていた過去の社会保険料を一括して支払った場合は、支払った年分において、その支払った金額の全額(延滞金は除く)について社会保険料控除の適用を受けることができます

 では逆に、社会保険料を前納した場合、その前納した金額の全額について社会保険料控除の適用を受けることはできるのでしょうか?

 今回は、この点について確認します。

詳細については、「滞納していた国民健康保険料・国民年金保険料と延滞金は社会保険料控除の対象となるか?」をご参照ください。

1.前納分を期間按分して控除する

 社会保険料を前納した場合は、次の算式により計算した金額をその年において支払った金額として、社会保険料控除を適用します(所得税基本通達74・75-1)。

前納した社会保険料等の総額(前納により割引された場合には、その割引後の金額)×前納した社会保険料等に係るその年中に到来する納付期日の回数/前納した社会保険料等に係る納付期日の総回数

 上記算式より、前納した社会保険料の金額を期間按分して、各年分の保険料に相当する額を各年に控除することがわかります。

 なお、上記算式の「社会保険料等」には、小規模企業共済等掛金も含まれます。したがって、小規模企業共済等掛金を前納した場合も、上記算式により期間按分して小規模企業共済等掛金控除を適用します。

2.前納した社会保険料等の特例

 一方、所得税基本通達74・75-2には、前納した社会保険料等について次のように規定されています。

 前納した社会保険料等のうちその前納の期間が1年以内のもの及び法令に一定期間の社会保険料等を前納することができる旨の規定がある場合における当該規定 に基づき前納したものについては、その前納をした者がその前納した社会保険料等の全額をその支払った年の社会保険料等として確定申告書又は給与所得者の保険料控除申告書に記載した場合には、74・75-1の(2)にかかわらず、その全額をその年において支払った社会保険料等の金額として差し支えない。
 なお、この前納した社会保険料等の特例(以下この項において「特例」という。)を適用せずに確定申告書を提出した場合には、その後において更正の請求をするときにおいても、この特例を適用することはできないことに留意する。

 すなわち、前納分については、前納期間が1年以内のもの及び法令に一定期間の社会保険料を前納することができる旨の規定がある場合は、その前納した年に社会保険料控除を適用することができます。

 国民年金保険料は、国民年金法第93条により2年分を前納することができるとされています。
 したがって、国民年金保険料を2年分前納した場合は、その前納した金額の全額が、その支払った年分の社会保険料控除の対象となります

 なお、上記1のように、各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法を選択することもできます。

小規模企業共済等掛金については、1年分の掛金を前納した場合はその全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となりますが、13か月以上の掛金を前納した場合は、その年の掛金に充当される分だけが控除の対象になります。