1.建物の賃貸借契約書に印紙は不要
建物の賃貸借契約書には、印紙税はかかりません。 しかし、土地について賃貸借契約を結んだ場合には、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税がかかります。
なお、建物の賃貸借契約書の中には、その建物の所在地や使用収益の範囲を確定するために敷地の面積が記載されることがありますが、このような文書も建物の賃貸借契約書であるとして印紙税はかかりません。
ただし、貸しビル業者などが、ビルなどの賃貸借契約又は予約契約を締結する際などに、そのビルなどの賃借人から建設協力金又は保証金などの名目で一定の金銭を受け取り、そのビルなどの賃貸借期間に関係なく一定期間据置き後に割賦償還することなどを約する場合があります。
このような建設協力金又は保証金などの取り決めのある建物の賃貸借契約書は、印紙税額の一覧表の第1号の3文書「消費貸借に関する契約書」に該当し、印紙税がかかりますので注意が必要です。
2.土地賃貸借契約書に貼る印紙はいくら?
上述したように、土地について賃貸借契約を結んだ場合には、印紙税額の一覧表の第1号の2文書「土地の賃借権の設定に関する契約書」に該当し、印紙税がかかります。
では、次のような土地賃貸借契約書にはいくらの印紙を貼ればいいでしょうか?
「賃料は月100,000円とし、賃貸借期間は平成〇年〇月〇日から1年間とする。」
印紙税額一覧表で印紙税額を調べるにあたって、契約書における記載金額を決定しなければなりません。
この契約書の記載金額は100,000円×12か月=1,200,000円となり、印紙税額一覧表から2,000円の印紙を貼ればいいのでしょうか?
答えは「否」です。 第1号の2文書として課税されるのは、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に対してです。
印紙税法における土地の賃貸借契約書の記載金額とは、賃借権設定のための対価、すなわち権利金、名義変更料、更新料等の後日返還されないものをいいます。
したがって、保証金や敷金等のように後日返還される予定のものや、目的物の使用収益のための対価(いわゆる地代)は記載金額ではありません。
以上の理由から、上記契約書は記載金額のない第1号の2文書となり、200円の印紙を貼ります。
賃料が記載金額になると誤解されているケースがありますので、注意が必要です。