中小企業投資促進税制~キュービクルは建物附属設備か機械装置か?

 製造業を営むA社から、次のような質問がありました。

「工場にキュービクル(約300万円)を設置する予定だが、中小企業投資促進税制の適用を受けることはできるか?」

 この質問の意味するところは、「キュービクルは建物附属設備と機械装置のどちらに該当するか?」ということです。
 今回は、キュービクルの資産種類について確認します。

1.中小企業投資促進税制の適用対象資産

 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)は、中小企業者等が一定の機械装置等の対象設備を取得・制作等した場合に、基準取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除が選択適用(税額控除は資本金3,000万円以下の法人のみ)できる制度です。

 対象設備は、機械及び装置及び一定の工具、ソフトウェア、車両及び運搬具、船舶であって一定の規模のものに限られます(中小企業投資促進税制については、本ブログ記事「中小企業等経営強化法の認定が不要の設備投資税制」を参照して下さい)。

 A社のキュービクルが建物附属設備に該当する場合は中小企業投資促進税制の適用はなく、機械装置に該当する場合は適用がありますので、資産種類の判定は慎重に行わなければなりません。

2.キュービクルの資産種類

 キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)は、発電所から変電所を通して送られてくる高圧の電気を100Vや200Vに変圧する受電設備を収めた金属製の箱であり、小規模変電所ともいうことができます。

 ところで、耐用年数の適用等に関する取扱通達2-2-2が定める電気設備は「建物附属設備」に該当するものをいいますから、店舗や工場、事務所用の建物の照明等に係るものを指します。

 これに対し、工場等における製造工程の動力用の電源装置として使用される電気設備は「機械及び装置」に該当し、その耐用年数は設備の種類に応じた耐用年数となります。

 A社のキュービクルは工場内の機械装置のための変圧器であって、工場用建物のためのものではありませんから「機械及び装置」に該当し、中小企業投資促進税制に関する一定の要件を満たした場合には、その適用を受けることができます。