1.国内課税仕入れの税額控除の時期
消費税の仕入税額控除は、国内において課税仕入れを行った日の属する課税期間において行います。課税仕入れを行った日とは、資産の譲受けや借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいいます。
これらの日は原則として、法人税法又は所得税法で所得金額の計算を行うときの資産の取得の日又は費用の計上時期と同じです。
項目 | 課税仕入れを行った日 |
---|---|
資産の購入 | 資産の引渡しを受けた日 |
資産の借受け | 資産を借り受けた日 |
役務の提供 | 役務の提供を受けた日 |
2.短期前払費用
法人税又は所得税において、支払った日から1年以内に役務の提供を受ける前払費用については、継続適用を条件として、支出した年度の損金又は必要経費の額に算入することが認められています。
法人税又は所得税においてその適用を受けている場合には、消費税においても、その前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間における課税仕入れとすることができます(消費税法基本通達11-3-8)。
3.建設仮勘定
建設工事は、工事の発注から完成引渡しまでの期間が長期にわたり、一事業年度を超えることがあります。この場合、工事代金の前払金や経費の額をいったん建設仮勘定として経理し、引渡しを受けたときに固定資産勘定に振替える処理をします。
しかし、消費税においては、建設仮勘定に計上されている金額であっても、原則として資産の引渡しを受けた日や役務の提供を受けた日の属する課税期間において仕入税額控除を行います。
ただし、建設仮勘定として経理した課税仕入れについて、その都度課税仕入れとしないで、工事の目的物のすべての引渡しを受けた日の属する課税期間における課税仕入れとして処理する方法も認められます(消費税法基本通達11-3-6)。
4.未成工事支出金
建設業者が建設工事を行う場合には、仕入れや外注費などは未成工事支出金として経理し、目的物が完成し引き渡した時点で売上に対応する原価として損金の額に算入します。
この未成工事支出金に含まれる課税仕入れの額は、それぞれの取引(仕入や外注)ごとに資産の引渡しを受けた日や役務の提供を受けた日の属する課税期間において仕入税額控除を行います。
ただし、未成工事支出金として経理した金額を、目的物の引渡しをした課税期間の課税仕入れとすることも、継続適用を条件として認められています(消費税法基本通達11-3-5)。