不良債権の未収利息はいつまで計上しなければならないか?

 資金を融資した場合、その貸付金に係る利息のうち支払期日が到来していないものについては、時の経過に応じて収益として計上しなければなりません。
 元本と利息は支払期日ごとに返済を受けていくことになりますが、資金を融資した相手先の経営状態が悪化し、これらの返済が滞ることがあります。
 今後も返済が滞ることが予測される場合でも、未収利息の計上は継続しなければならないのでしょうか?
 この点について、税務上の取扱いを以下で確認します。

1.法人税基本通達2-1-25

 税務上は法人税基本通達2-1-25において、法人の有する貸付金又は当該貸付金に係る債務者について次のいずれかの事実が生じた場合には、当該貸付金から生ずる利子の額(実際に支払を受けた金額を除く)のうち当該事業年度に係るものは、当該事業年度の益金の額に算入しないことができるとされています。

(1) 債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により、その支払を督促したにもかかわらず、当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該事業年度終了の日以前6月(当該事業年度終了の日以前6月以内に支払期日がないものは1年以内にその支払期日が到来したものの全額が当該事業年度終了の時において未収となっており、かつ当該期間内にその支払期日が到来したもの以外の利子について支払を受けた金額が全くないか又は極めて少額であること
(2) 債務者につき更生手続が開始されたこと
(3) 債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがないこと、当該債務者が天災事故経済事情の急変等により多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたため、当額貸付金の額の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと
(4) 更生計画認可の決定債権者集会の協議決定等により当該貸付金の額の全部又は相当部分について相当期間(おおむね2年以上)棚上げされることとなったこと

 これらの事例にあたる場合は、決算処理で未収利息を計上しなくてもよいこととなっています。受け取っていない、また、受け取る見込みのない利息を収益に計上して課税されることのないように注意しなければなりません。

2.法人税基本通達2-1-25の趣旨

 法人税基本通達2-1-25に掲げる未収利息の収益計上を見合わせる場合の事情は、いずれも元本そのものが不良債権化したというものであって、さらに具体的事情によっては元本自体の貸倒処理又は貸倒引当金の設定も考慮しなければならないケースです。
 このような場合にも、原則どおり未収利息の計上を強制することは実態に合いませんので、同通達により未収利息の計上見合せの特例が設けられています。