1.所得金額調整控除(子ども等)の適用対象者
所得金額調整控除は2020年分(令和2年分)から適用されており、子ども・特別障害者等を有する者等の場合と給与所得と年金所得の双方を有する者の場合の2種類の控除があります。
このうち、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、年末調整において適用することができます。
一方、給与所得と年金所得の双方を有する者の所得金額調整控除については年末調整では適用を受けることができませんので、適用を受けようとする場合は確定申告をする必要があります。
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受けることができる人は、その年中の給与の収入金額が850万円を超える給与所得者で、次の(1)から(3)のいずれかに該当する人です。
(1) 本人が特別障害者に該当する人
(2) 年齢23歳未満の扶養親族を有する人
(3) 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する人
この控除は扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。したがって、例えば夫婦ともに給与の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方がこの控除の適用を受けることができます。
2.生まれたての子も23歳未満の扶養親族に含まれる!
この所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けるにあたって、上記1の「年齢23歳未満の扶養親族」は、控除対象扶養親族である16歳以上を年齢の下限とするのか(つまり16歳以上23歳未満)、特定扶養親族である19歳以上を年齢の下限とするのか(つまり19歳以上23歳未満)、あるいは年齢23歳未満であれば年齢の下限はないのか(つまり0歳以上23歳未満)について疑問が生じます。
結論を先に述べると、所得金額調整控除(子ども等)における「年齢23歳未満の扶養親族」に年齢の下限はありません。したがって、0歳以上23歳未満であれば「年齢23歳未満の扶養親族を有する人」に該当します。
用語の定義を考えると、扶養親族とは「所得者と生計を一にする親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、合計所得金額が48万円以下の人」をいいます。これに「年齢23歳未満」という要件が加わるだけですので、所得金額調整控除(子ども等)における「年齢23歳未満の扶養親族」に年齢の下限はないことになります。
例えば、年末の12月31日に子が生まれた場合でも、年齢 23 歳未満の扶養親族を有するという要件を満たすことになりますので、所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けることができます。
3.所得金額調整控除(子ども等)の再計算
年末調整において所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとする場合、年齢23歳未満の扶養親族を有するかどうかなどの判定は、所得金額調整控除申告書を提出する日の現況により判定することとなります。
年末調整後、その年12月31日までの間に従業員等に子が生まれ、所得金額調整控除(子ども等)の適用要件を満たして年末調整による年税額が減少することとなる場合、その年分の源泉徴収票を給与等の支払者が作成するまでに、その異動があったことについて従業員等から申出があったときは、年末調整の再計算の方法でその減少することとなる税額を還付してもよいこととされています。
なお、年末調整の再計算によらず、従業員等が確定申告をすることによって、その減少することとなる税額の還付を受けることもできます。
また、例えば、20歳の子を23歳未満の扶養親族に該当するものとして所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けていたところ、その子のアルバイト収入が当初の見積額よりも多くなり、結果的に合計所得金額が48万円を超えることとなったため年末調整による年税額が増加する場合にも、年末調整の再計算を行います。
ただし、その従業員等が他の年齢23歳未満の扶養親族を有するなど所得金額調整控除(子ども等)の適用要件を満たしている場合には、所得金額調整控除申告書について、当初申告された子以外の要件に該当する者に訂正されるのであれば、所得金額調整控除(子ども等)については年末調整の再計算を行う必要はありません。