1.個人住民税の特別徴収の徹底
1月の会計事務所の主要業務として、税務署に提出する法定調書の作成以外に、市町村に提出する給与支払報告書の作成があります。この給与支払報告書に基づいて、各市町村が個人住民税の計算をします。
2019年度(平成31年度)の個人住民税は、2019年(平成31年)1月1日現在において、市区町村内に住所を有する人に均等割と所得割が課税されます。
この個人住民税については、特別徴収の推進が全国的に図られています。例えば、大阪府と大阪府内すべての市町村では、2018年度(平成30年度)から個人住民税の特別徴収が徹底されています。
特に大阪市については、2017年度(平成29年度)から次の2つの要件を満たす給与支払者(事業主)を特別徴収義務者として指定しています。
(1)2016年度(平成28年度)個人住民税について、給与支払報告書を4名分以上提出している
(2)2016年度(平成28年度)個人住民税について、特別徴収実績を有しない
この2要件を満たす給与支払者には、2017年(平成29年)5月下旬に特別徴収税額決定通知書が送付されています。
2.個人住民税の納期の特例
特別徴収義務者となった給与支払者は、従業員の給与から個人住民税を毎月天引きして、翌月10日までに納付しなければなりません。
この毎月納付の手間を減らす方法として、国税(源泉所得税)と同じように、従業員が常時10人未満である給与支払者には納期を年2回とする「納期の特例」が個人住民税にも認められています。
源泉所得税の納期限は7月10日(1月~6月徴収分)と1月20日(7月~12月徴収分)ですが、個人住民税の納期限は6月10日(12月~5月徴収分)と12月10日(6月~11月徴収分)です。
源泉所得税と個人住民税では納期限が異なりますので、注意が必要です。
3.普通徴収にできる場合
特別徴収の対象となる従業員は、原則として、正規従業員だけでなく、アルバイト・パートなどの非正規雇用者も含まれます。
ただし、次の要件を満たす従業員は特別徴収の対象外(普通徴収)とすることができます。
① 退職された方又は給与支払報告書を提出した年の5月末日までに退職予定の方
② 給与支給額が少なく、個人住民税を特別徴収しきれない方
③ 給与の支払が不定期(毎月支給されていない)な方
④ 他から支給される給与から特別徴収されている方(乙欄適用者等)