住宅の貸付けに係る消費税非課税制度の改正

 2020年度(令和2年度)税制改正で、2020年(令和2年)4月1日から住宅の貸付けに係る消費税の非課税対象が見直されます。

1.居住用の判定は「契約」から「実態」へ

 現行の消費税法では、住宅の貸付けは非課税とされています。住宅(居住用家屋又は家屋のうち居住用部分)の貸付けに該当するかどうかの判定は、これまでは「契約」により行っていました。すなわち、契約で人の居住の用に供することが明らかにされている場合に限り、その賃料は非課税とされていました。

 裏を返せば、「契約」で人の居住の用に供することが明らかにされていない場合は、その賃料は課税とされていました。

 ところが今回の改正で、人の居住の用に供することが契約で明らかにされていない場合であっても、「実態」として人の居住の用に供されていることが明らかであれば、その賃料は非課税とされることになりました。改正後の別表第一13は以下のとおりです(アンダーラインが見直しの箇所)。

 住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合(当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合を含む。)に限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

 この改正は、2020年(令和2年)4月1日以後の貸付けに適用されます。したがって、既存の契約内容や実態に変更がなくても、これまで契約上明らかでなく実態が人の居住の用に供されてきたものは、3月までの賃料は課税ですが、4月からの賃料は非課税に転じることになります。

2.転用した場合の調整計算

 2020年(令和2年)4月前後で賃料が課税から非課税に変わるケースでは、その賃貸建物が課税業務用資産から非課税業務用資産への転用となり、控除対象仕入税額の調整計算が必要となる可能性があります。

 しかし、今回の改正によって、賃料が課税から非課税に変更されたとしても、控除対象仕入税額の調整計算上は、引き続きその賃貸建物を課税業務用資産とみなす経過措置が設けられていますので、この調整計算は免れることになります。