法人設立届出書に登記事項証明書の添付は不要になったけれども…

1.法人設立時の届出書と提出期限

 法人を設立した際には、様々な届出書等の提出が必要です。中でも重要なのは、「青色申告の承認申請書」です。

 法人の設立初年度の青色申告の承認申請書は、設立の日以後3か月を経過した日と当該事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日までに税務署に提出しなければなりません。
 提出を失念した場合には、青色欠損金の繰越しや租税特別措置法に規定されている特別償却・特別控除などの適用を受けることができません。

 その他、法人設立時に税務署に提出する届出書には以下のものがあります(カッコ内は提出期限)。

(1) 設立届出書(設立登記の日から2か月以内)
(2) 棚卸資産の評価方法の届出書、有価証券の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出書(設立後最初に到来する確定申告期限)
(3) 給与支払事務所等の開設届出書(事務所開設日から1か月以内)

2.法人設立届出書等の登記事項証明書は添付省略可

 設立届出書も法人設立時の届出書のひとつですが、2017年度(平成29年度)税制改正において、企業が活動しやすいビジネス環境整備を図る観点から、次のとおり手続きの簡素化措置が講じられました。

(1) 法人の設立・解散・廃止などの届出書等において添付が必要とされていた「登記事項証明書」
(2) 税務署からの求めにより、添付していた「登記事項証明書」

については、2017年(平成29年)4月1日以後、その添付が不要となりました。

3.登記事項証明書の添付は不要になったはずなのに・・・

 上述のように2017年度(平成29年度)改正により、法人設立届出書等には登記事項証明書の添付が不要になりました。

 この度、新規の顧問先について法人設立届出書を提出する機会があったのですが、税務署の対応は上記と異なるものでした。
 新様式の法人設立届出書の「添付書類等」の欄には、これまであった「登記事項証明書」の記載がなくなっていました。
 たしかに2017年度(平成29年度)改正を反映したものとなっていたのですが、念のため税務署(大阪府内の税務署です)に問い合わせてみました。
 すると、「法人番号の導入で法人の存在は確認できるのですが、代表者等の確認のために登記事項証明書の添付をお願いします」とのことでした。

 改正では登記事項証明書の添付はしなくてもよいことになりましたが、実務の現場ではまだまだ登記事項証明書が必要のようです。