低未利用土地等を譲渡した場合の100万円特別控除の創設

 空き地などの低未利用土地等が売却されずにそのまま放置され、都市が虫食い状にスポンジ化して問題となっています。
 そこで、2020年度(令和2年度)税制改正において、空き地の売却を促して有効活用を図るための特例措置が創設されました。
 保有期間が5年を超えていて売却額が500万円以下の土地を、市区町村長の確認を取得して親族や特別関係者以外へ譲渡した場合に、土地の売却益から最大100万円を控除するというものです。
 今回は、低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除制度について確認します。

1.適用対象となる譲渡の要件

(1) 要件

 特例措置の適用対象となる譲渡は、以下の要件に該当する譲渡とされています。

① 譲渡した者が個人であること
② 都市計画区域内にある低未利用土地又はその上に存する権利で、市区町村長の確認がされたもの
③ 譲渡の年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡であること
④ 譲渡者の配偶者等、当該譲渡者と特別の関係がある者への譲渡でないこと
⑤ 低未利用土地等及び当該低未利用土地等とともにした当該低未利用土地等の上にある資産の譲渡の対価の額の合計が500万円を超えないこと
⑥ 一筆であった土地からその年の前年又は前々年に分筆された土地又は当該土地の上に存する権利の譲渡を当該前年又は前々年中にした場合において本特例措置の適用を受けていないこと

(2) 低未利用土地とは?

 上記(1)要件②における低未利用土地とは、都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内にある土地基本法第13条第4項に規定する低未利用土地(居住の用、業務の用その他の用途に供されておらず、又はその利用の程度がその周辺の地域における同一の用途若しくはこれに類する用途に供されている土地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる土地)をいいます。

 具体的には、空き地(一定の設備投資を行わずに利用がされている土地を含みます)及び空き家・空き店舗等の存する土地をいいます。
 ただし、コインパーキングについては、一定の設備投資を行い、業務の用に供しているものであっても、譲渡後に建物等を建ててより高度な利用をする意向が確認された場合は、従前の土地の利用の程度がその周辺の地域における同一の用途又はこれに類する用途に供されている土地の利用の程度に比し著しく劣っており、低未利用土地に該当すると考えて差し支えないとされています。

(3) 市区町村長の確認とは?

 上記(1)要件②における市区町村長の確認は、以下のいずれも満たす必要があります。

① 当該土地が低未利用土地であること
② 買主が利用意向を有すること
③ 譲渡の年1月1日において所有期間が5年を超えること

 上記①~③の確認のために、市区町村長に提出する書類は次のとおりです。

  提出書類
①の確認 イ.別記様式①-1
ロ.売買契約書の写し
ハ.以下のいずれかの書類
 (イ) 所在市区町村等が運営する空き地・空き家バンクへの登録が確
認できる書類
 (ロ) 宅地建物取引業者が、現況更地・空き家・空き店舗である旨を表
示した広告
 (ハ) 電気、水道又はガスの使用中止日が確認できる書類
 (ニ) その他要件を満たすことを容易に認めることができる書類
②の確認 別記様式②-1(宅地建物取引業者の仲介により譲渡した場合)
別記様式②-2(宅地建物取引業者を介さず相対取引にて譲渡した場合)

※ 別記様式②-1 及び②-2 を提出できない場合に限り、別記様式③(宅地建物取引業者が譲渡後の利用について確認した場合)によっても確認可能とする。
③の確認 土地等に係る登記事項証明書

(4) 特別の関係がある者とは?

 上記(1)要件④における特別の関係がある者とは、次に掲げる者をいいます。

① 当該個人の配偶者及び直系血族
② 当該個人の親族(①を除く)で当該個人と生計を一にしているもの
③ 当該個人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
④ ①~③に掲げる者及び当該個人の使用人以外の者で当該個人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
⑤ 当該個人、当該個人の①及び②に掲げる親族、当該個人の使用人若しくはその使用人の親族でその使用人と生計を一にしているもの又は当該個人に係る③④に掲げる者を判定の基礎となる所得税法第2条第1項第8号の2に規定する株主等とした場合に法人税法施行令第4条第2項に規定する特殊の関係その他これに準ずる関係のあることとなる会社その他の法人

(5) 500万円を超えないとは?

 上記(1)要件⑤における譲渡対価500万円には、当該土地と当該土地を敷地とする建物等だけではなく、それらの固定資産税精算金も含みます。

(6) 分割譲渡等への適用制限

 上記(1)要件⑥は、分割譲渡等への適用を制限するために設けられています。なお、要件⑥を満たすことについて、市区町村長は 別記様式①-1 (低未利用土地等確認書)に記載することとされています。

2.適用対象期間

 本特例措置は、2020年(令和2年)7月1日から2022年(令和4年)12月31日までの間に上記1(1)の要件を満たした譲渡をした場合に適用を受けることができます。

持続化給付金の支給対象拡大と税理士の確認

1.税理士の役割が重要

 新型コロナウイルス感染症拡大により、特に大きな影響を受ける中小法人・個人事業者に対して、 事業の継続を下支えし再起の糧とするために、事業全般に広く使える 持続化給付金が支給されています。

 しかし、フリーランスを含む個人事業者については、 前年に事業所得として確定申告している者に対象が限られており、給与所得や雑所得として申告していた者は対象から外されていたため、批判の声がありました。

 そこで、経済産業省は2020年(令和2年)6月26日に、以下の事業者を新たに対象とすることを発表し、同月29日から申請の受付を開始しています(申請期間は2021年(令和3年)1月15日までです)。

(1) 主たる収入を 雑所得・給与所得 で確定申告した個人事業者
(2) 2020年(令和2年)1月~3月の間に創業した事業者

 (1)については、2019年分(令和元年分)の確定申告義務がない者など一部の場合は、税理士の確認を受けた申立書の提出が必要となっており、(2)についても、創業月から対象月までの事業収入を証明する書類について、税理士による確認が必要となっています。

 以下では、新たに対象とされた上記(1)及び(2)について、要件と必要書類等の確認をします。

2. 主たる収入を 雑所得・給与所得 で確定申告した個人事業者

(1) 要件

 以下の要件を満たす事業者が対象となります。

① 雇用契約によらない業務委託契約等に基づく収入であって、 雑所得・給与所得として計上されるもの(以下「業務委託契約等収入」といいます)を主たる収入として得ており、 今後も事業継続する意思がある(※ 確定申告で事業収入としていた事業者は現行制度で申請できます )
② 今年(令和2年)の対象月※1の収入が昨年(令和元年)の月平均収入と比べて50%以上減少している
③ 2019年(令和元年)以前から、被雇用者※2又は被扶養者ではない

※1 対象月は、2020年(令和2年)1月から申請を行う日の属する月の前月までの間で、2019年(令和元年)の月平均の業務委託契約等収入と比較して、業務委託契約等収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を申請者が任意に選択できます。
 また、対象月の収入については、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金などの現金給付を除いて算定することができます。

※2 会社等に雇用されている方(サラリーマンの方、パート・アルバイ ト・派遣・日雇い労働等の方を含む。)をいいます。ただし、 2019年(令和元年)中に独立・開業した場合は対象になり得ます。

(2) 必要書類

 申請時には、以下の書類を提出します。

① 前年分(令和元年分)の確定申告書
② 今年(令和2年)の対象月の収入が分かる書類(売上台帳等)
③ ①の収入が、業務委託契約等の事業活動からであることを示す書類(下記イ~ハの中からいずれか2つを提出し、ロの源泉徴収票の場合はイとの組合せが必須です)
 イ.業務委託等の契約書の写し又は契約があったことを示す申立書※3
 ロ.支払者が発行した支払調書又は源泉徴収票
 ハ.支払があったことを示す通帳の写し
④ 国民健康保険証の写し
⑤ 振込先口座通帳の写し、本人確認書類の写し

※3 業務委託等の契約書がない場合は、契約があったことを示す申立書を契約先に書いてもらう必要があります。

3.2020年1月~3月の間に創業した事業者 (法人の場合)

(1) 要件

 以下の要件を満たす事業者が対象となります。

① 2020年(令和2年)4月1日時点において、次のいずれかを満たす法人であること。 ただし、組合若しくはその連合会又は一般社団法人については、その直接 又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が個人又は次のいずれかを 満たす法人であること。
イ.資本金の額又は出資の総額※1が10億円未満であること。
ロ.資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時 使用する従業員※2の数が2,000人以下であること。

② 2020年(令和2年)1月から3月の間に事業により事業収入(売上)を得ており、今後も 事業を継続する意思があること※3

③ 2020年(令和2年)4月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、2020年の法人を設立した日の属する月から3月の月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(以下「2020新規創業対象月」という。)が存在すること※4

※1 「基本金」を有する法人については「基本金の額」と、一般財団法人については「当該法人に拠出されている財産の額」と読み替えます。

※2 「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を指します(パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者については、当該条文をもとに個別に判断します。会社役員及び個人事業主は予め解雇の予告を必要とする者に該当しないため、「常時使用する従業員」には該当しません。) 。

※3 事業収入は、確定申告書(法人税法第二条第一項三十一号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。)別表一における「売上金額」欄に記載されるものと同様の考え方によるものとします。

※4 「2020新規創業対象月」は、2020年(令和2年)4月から申請する月の前月までの間で、 前年同月比で事業収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を任意で選択できます。
 「2020新規創業対象月」の事業収入については、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金などの現金給付を除いて算定することができます。
 また、2019年(令和元年)1月から12月の間に法人を設立した者であって、当該期間に事業による事業収入を得ておらず、2020年(令和2年)1月から3月の間に事業により事業収入を得ている場合は、2020年1月から3月の月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(対象月)が存在する必要があります。

(2) 必要書類

 申請時には、以下の書類を提出します。

① 持続化給付金に係る収入等申立書(中小法人等向け)※5
② 通帳の写し
③ 履歴事項全部証明書(設立日が2020年1月1日から3月31日のものに限る)

※5 申立書は、2020年(令和2年)1月から対象月までの事業収入( 確定申告書別表一における「売上金額」欄に記載されるものと同様の考え方によるもの)を記載し、税理士による署名又は記名押印が必要です。
 また、持続化給付金に係る収入等申立書において2020新規創業対象月の月間事業収入が記載されるため、2020新規創業対象月の売上台帳は不要です。

4.2020年1月~3月の間に創業した事業者 (個人事業者の場合)

(1) 要件

 以下の要件を満たす事業者が対象となります。

① 2020年(令和2年)1月から3月の間に事業により事業収入(売上)を得ており、今後も 事業を継続する意思があること※1

② 2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、2020年の開業月から3月までの月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(以下「2020新規開業対象月」という。)が存在すること※2

※1 事業収入は、証拠書類として提出する確定申告書(所得税法第二条第一項三十七号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。)第一表における「収入金額等」の事業欄に記載される額と同様の算定方法によるものとします。

※2 「2020新規開業対象月」は、2020年4月から申請を行う日の属する月の前月の間で、ひと月を申請者が任意に選択できます。
 「2020新規開業対象月」の事業収入については、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金等の現金給付を除いて算出することができます。
 また、2019年(令和元年)1月から12月の間に開業した者であって、当該期間に事業による事業収入を 得ておらず、2020年1月から3月の間に事業により事業収入を得ている場合は、 2020年1月から3月の月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月(対象月)が存在する必要があります。

(2) 必要書類

 申請時には、以下の書類を提出します。

① 持続化給付金に係る収入等申立書(個人事業者等向け)※3
② 通帳の写し
③ 本人確認書類
④ 個人事業の開業・廃業等届出書※4
  ※開業日が2020年1月1日から3月31日まで
  ※提出日が2020年5月1日以前
  ※税務署受付印が押印されていること

 又は、事業開始等申告書※4
  ※事業開始日が2020年1月1日から3月31日まで
  ※提出日が2020年5月1日以前
  ※受付印等が押印されていること

※3 持続化給付金に係る収入等申立書(個人事業者等向け)において対象月の月間事業収入が記載 されるため、2020新規開業対象月の売上台帳は不要です。

※4 ④については、代替書類(開業日、所在地、代表者、業種、書類提出日の記載がある書類 )も認められています。

令和2年分から適用される基礎控除の改正と所得金額調整控除の新設

 2020年分(令和2年分)から適用される2018年度(平成30年度)改正事項には、給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の見直しと、所得金額調整控除の新設等があります。

 これらのうち、給与所得控除と公的年金等控除については前回確認しましたので、今回は基礎控除の改正と新たに設けられた所得金額調整控除について確認します。

1.基礎控除の改正

 給与所得控除額及び公的年金等控除額を一律10万円引き下げる一方、その分を基礎控除に振り替える形で、基礎控除額が一律10万円引き上げられて48万円(改正前は38万円)とされました。
 ただし、合計所得金額が2,400万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じて基礎控除額を逓減し、合計所得金額が2,500万円を超える個人については基礎控除の適用はできないこととされました。

 この改正により、2020年分(令和2年分)以後の基礎控除額は、個人の所得金額に応じて下表のとおりとなります。

合計所得金額 基礎控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円(適用なし)

 なお、個人の所得金額が給与所得だけの場合は、給与等の収入金額が2,595万円のときに合計所得金額が2,400万円、給与等の収入金額が2,695万円のときに合計所得金額が2,500万円になります。
 したがって、給与等の収入金額が2,595万円を超え2,695万円以下の場合は基礎控除額は32万円又は16万円になり、2,695万円を超える場合には基礎控除の適用を受けることはできません。

 また、年末調整はその年中の給与等の収入金額が2,000万円以下の居住者について行われます。
 したがって、合計所得金額が2,400万円(収入金額2,595万円)を超えることはありませんので、給与所得以外の所得を有しない年末調整の対象者の基礎控除額はすべて48万円となります。

2.所得金額調整控除の新設

 給与所得控除の改正により、850万円を超える給与等の収入金額のある居住者については、給与所得控除額が一律10万円引き下げられたことに加え、その上限額が195万円とされたことにより、その居住者が特別障害者である場合や年齢23歳未満の扶養親族を有する場合等については負担が増加することが見込まれます。

 そのため、これらの者の経済的負担に配慮して一定額を給与所得の金額から控除する以下のような調整措置が設けられました。

(1) 対象者

 給与等の収入金額が850万円を超える居住者で次に掲げる者が対象です。

① その居住者本人が特別障害者に該当する者
② 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
③ 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者

(2) 控除額

 上記(1)に該当する居住者の総所得金額を計算する場合、給与等の収入金額(その金額が1,000万円を超える場合には1,000万円)から850万円を控除した金額の10%相当額を、給与所得の金額から控除します。
 つまり、給与所得の金額から最高15万円が控除されることになり、給与所得控除額の上限額の引き下げ25万円のうち一律引き下げの10万円を除く15万円に相当します。
 その結果、所得金額調整控除の適用がある場合の総所得金額は、給与所得の金額から所得金額調整控除を控除した残額により計算することになります。

(3) 計算例

 例えば、22歳の扶養親族を有する給与所得者の給与等の収入金額が900万円の場合、給与所得控除額は上限の195万円となり、給与所得控除後の給与等の金額は705万円(900万円-195万円)です。
 一方、所得金額調整控除額は、50万円(900万円-850万円)の10%の5万円となります。これを705万円から控除した700万円が給与所得金額になります。

(4) 留意点

 所得税法の扶養控除は、2以上の居住者の扶養親族に該当する者がある場合には、その者はこれらの居住者のうちいずれか一の居住者の扶養親族にのみ該当するものとみなすこととされています。
 しかし、所得金額調整控除にはそのようなみなし規定はありません。したがって、夫婦のそれぞれがその年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者に該当し、その夫婦に23歳未満の扶養親族に該当する子がいるような場合は、その夫婦それぞれが所得金額調整控除の適用を受けることができます。

令和2年分から適用される給与所得控除と公的年金等控除の改正

 2018年度(平成30年度)改正で、給与所得控除や公的年金等控除を一律10万円引き下げる一方、その分を基礎控除に振り替える形で基礎控除が一律10万円引き上げられました。

 このような改正が行われた背景には、「特定の働き方等による収入にのみ適用される給与所得控除や公的年金等控除といった『所得計算上の控除』から、どのような働き方等による所得にでも適用される基礎控除等の『人的控除』に、負担調整のウェイトをシフトさせていくことが適当である」(平成29年11月・税制調査会中間報告)という考え方があります。つまり、多様な働き方を後押しするものといえます。

 今回は、2020年分(令和2年分)から適用される給与所得控除と公的年金等控除について確認をします。なお、2020年分(令和2年分)から適用される他の改正項目のうち、主なものは下表のとおりです。

配偶者控除・扶養控除 配偶者・扶養親族の合計所得金額基準38万円以下を48万円以下にする。
配偶者特別控除 配偶者の合計所得金額基準85万円以下を95万円以下にする。
青色申告特別控除 控除額を65万円から55万円にする。
※電子申告等の要件を満たす場合、控除額を65万円(基礎控除との控除合計額113万円)とする特例あり。
家内労働者等の事業所得の所得計算の特例 必要経費とする額を65万円から55万円とする。

1.給与所得控除の改正

 2020年分(令和2年分)から適用される給与所得控除の改正は次のとおりです。

(1) 給与所得控除額の一律10万円の引き下げ
(2) 給与所得控除額の上限額が適用される給与等の収入金額の850万円(改正前は1,000万円)への引き下げ、及びその上限額の195万円(改正前は220万円)への引き下げ
(3) 上記(1)及び(2)の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収税額表の月額表と日額表、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表及び年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(別表2~5)の改正

 上記(1)及び(2)の改正により、改正後の給与所得控除額は下表のとおりとなります。

給与等の収入金額 改正後 改正前
162.5万円以下 55万円 65万円
162.5万円等180万円以下 収入金額×40%-10万円 収入金額×40%
180万円超360万円以下 収入金額×30%+8万円 収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+44万円 収入金額×20%+54万円
660万円超850万円以下 収入金額×10%+110万円 収入金額×10%+120万円
850万円超1,000万円以下 195万円
1,000万円超 220万円

(留意点)
① 2020年(令和2年)以後、給与等の収入金額が1,195万円を超える給与所得者は、配偶者控除及び配偶者特別控除のいずれも適用が受けられません。
② 給与等の収入金額が660万円未満の場合の給与所得の金額は、給与等の収入金額から上表の算式により計算した給与所得控除額を控除した残額によらず、所得税法別表第5の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」により、その給与等の収入金額に応じて掲げられている給与所得控除後の給与等の金額により求めた金額となります。

2.公的年金等控除の改正

 2020年分(令和2年分)から適用される公的年金等控除の改正は次のとおりです。

(1) 公的年金等控除額の一律10万円の引き下げ
(2) 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額について、195万5,000円の上限を設ける
(3) 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超え2,000万円以下である場合の控除額が上記(1)及び(2)の見直し後の控除額から一律10万円引き下げ、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額2,000万円を超える場合の控除額が上記(1)及び(2)の見直し後の控除額から一律20万円引き下げ

消費税の申告期限も延長できます(令和2年度税制改正)

 従来から、法人税には申請による確定申告書の提出期限の延長が認められており、2017年度(平成29年度)税制改正では延長可能月数の拡大も行われていましたが、消費税には提出期限の延長が認められていませんでした。

 そのため、消費税の申告後に、会社の決算承認手続きの過程で決算額の変動など法人税の申告調整が発生した場合、消費税の修正申告や更正の請求を行う事務負担が生じていました。

 このような状況から、法人税の申告期限を延長している企業から、消費税の申告期限についても延長を求める声が上がっていました。

 今回は、法人税の申告期限延長可能月数が拡大された2017年度(平成29年度)税制改正と、消費税の申告期限が延長された2020年度(令和2年度)税制改正の内容を確認します。

1.法人税の申告期限延長特例の拡大

 2017年度(平成29年度)税制改正で、企業と投資家の対話の充実を図り、上場企業等が株主総会の開催日を柔軟に設定できるようにするため、法人税の申告期限の延長可能月数が1か月から4か月に拡大されました。

(1) 会社法上の取扱い

 会社法上、法人は柔軟に株主総会の日の設定が可能とされています。例えば3月決算法人が、決算日から4か月後である7月末に株主総会を開催することが可能であり、8月以降に株主総会を開催することも可能とされています。

(2) 法人税法上の取扱い

① 原則

 内国法人は、原則として各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に税務署長に対し、確定した決算に基づく申告書を提出しなければならないとされています。
 例えば3月決算法人の場合は、5月末までに申告書を提出しなければなりません。

② 特例(平成29年度税制改正)

 定款の定め又は特別な事情があることにより、その事業年度以降の各事業年度終了の日の翌日から2か月以内にその各事業年度の決算についての定時株主総会が招集されない常況にあると認められるときは、納税地の所轄税務署長は、その法人の申請に基づき、その事業年度以後の各事業年度の申告書の提出期限を1か月間延長をすることができます。
 例えば3月決算法人の場合は、5月末の提出期限を1か月延長して6月末とすることができます。

 ただし、次のイ又はロに掲げる場合に該当するときには、それぞれに掲げる期間を延長することができます。

イ.会計監査人を置き定款等の定めがある場合

 法人が、会計監査人を置いている場合で、かつ、定款、寄附行為、規則その他これらに準するもの(以下「定款等」といいます)の定めによりその事業年度以降の各事業年度終了の日の翌日から3か月以内にその各事業年度の決算についての定時株主総会が招集されない常況にあると認められるときには、確定申告書の提出期限をその定めの内容を勘案して4か月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間まで延長することができます。
 例えば3月決算法人の場合、5月末の提出期限を4か月延長して9月末とすることができます。

ロ.特別の事情がある場合

 特別の事情があることにより各事業年度終了の日の翌日から3か月以内にその各事業年度の決算についての定時株主総会が招集されない常況にあることその他やむを得ない事情があると認められるときには、税務署長が指定する月数の期間まで延長することができます。

(3) 適用時期

 上記(2)②の改正は、2017年(平成29年)4月1日以降の申請に係る法人税から適用されます。

 なお、これらの申請は、確定申告書等に係る事業年度終了の日までに、定款等の定め又は特別の事情の内容、指定を受けようとする月数等を記載した申請書(申告期限の延長の特例の申請書) をもって行います。

(4) 留意事項

 2017年度(平成29年度)税制改正では、法人税の申告期限は延長されましたが、法人税の納付期限は延長されていませんので、確定申告期限(事業年度終了の日の翌日から2か月以内)までに見込納付をする必要があります。
 また、法人税だけではなく、住民税及び事業税についても、申告期限の延長の特例の申請をする必要があるので、ご注意ください。

2.消費税の申告期限の特例の創設

 2017年度(平成29年度)税制改正では、法人税の申告期限は延長されましたが、消費税の申告期限は従来のままでした。
 そこで、法人税と消費税の申告期限が異なることによる事務負担を軽減するために、2020年度(令和2年度)税制改正で消費税の申告期限の特例が創設されました。

(1) 特例の内容(令和2年度税制改正)

 法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例を受けている法人が、消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書(消費税申告期限延長届出書)を提出した場合には、消費税の確定申告書の提出期限が1か月延長されます。

 届出の効力が生じるのは、提出した日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間からです。

(2) 適用時期

 2021年(令和3年)3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用されます。
 例えば3月決算法人の場合、2020年(令和2年)4月1日~2021年(令和3年)3月31日の課税期間から適用されます。

(3) 留意事項

 法人税と同様に、確定申告書の提出期限が延長された期間の消費税の納付については利子税が発生するため、見込納付をする必要があります。
 また、消費税の課税期間を1か月ごと又は3か月ごとに短縮している場合、提出期限の延長が認められる課税期間は、事業年度の末日の属する課税期間のみとなります。

中間申告期限は督促状が届いてもコロナ延長可能

 先日、「新型コロナ対応で中間申告も期限延長できます(延滞税に注意!)」という記事を書きましたが、その際に疑問に思ったのが、税務署側では納税者が中間申告のコロナ延長申請をするまでその事実を知ることができないため、納税者に督促状が送られてくるのではないかということでした。

 この点について、国税庁では「中間申告書の提出期限の延長に関するお知らせ」の案内文を納税者に送付する措置をとっているようです。

 今回は、「中間申告書の提出期限の延長に関するお知らせ」の内容を確認します。

1.納税者の不安を払拭するため

 国税庁では、2020年(令和2年)5月現在ですでに中間申告期限が到来している納税者には、督促状の送付前に「中間申告書の提出期限の延長に関するお知らせ」の案内文を個別に送付するとともに、6月以降に中間申告期限が到来する納税者には案内文を中間申告書に同封することとしています。
 期限延長(個別延長)を予定していても、延長がなされるまで督促状が送付される場合があるためです。

 中間申告書の提出がなく、その提出期限に提出があったとみなされた後でも、新型コロナウイルスを理由とする提出期限の延長は可能とされています。

 しかし、この期限延長がなされるまでは督促状が発送される場合があることから、納税者が不安を抱くことが懸念されるため、今回の対応となったようです。

2.コロナ延長申請で督促状は効力を失う

 「お知らせ」では、中間申告書についてその提出期限までに提出がなかった場合には、その提出期限に提出があったものとみなされていますが、みなされた後であっても、提出期限の個別延長は可能であることを改めて周知しています。

 そして、中間申告書の提出ができることとなった時点で、中間申告書の提出の際に、その中間申告書の余白部分に「新型コロナウイルス感染症の影響による期限延長申請」である旨を記載して提出することを求めています。

 また、中間申告書を提出できない状態が確定申告書の提出期限まで続く場合には、中間申告書の提出は不要となることを周知しています。

 提出期限の延長申請を予定している場合であっても督促状が送付される場合がありますが、国税庁は上記と同様に、中間申告書の提出の際に、その中間申告書の余白部分に期限の延長申請である旨を記載して提出することにより、その提出日まで提出期限が延長され、その督促状は効力を失うと説明しています。

 さらに、延長申請をした後に督促状が届いた場合は、行き違いである旨を述べています。

未婚のひとり親控除の新設と寡婦(夫)控除の改正

 2020年度(令和2年度)税制改正で、未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直しが行われました。今回は、これらの改正等について整理します。

1.改正の概要

 改正の主な内容は、婚姻歴や性別にかかわらず、生計を一とする子(総所得金額が48万円以下)を有する単身者については、同一のひとり親控除(控除額35万円)が適用されることとなりました。

 それ以外の寡婦は、引き続き寡婦控除として控除額27万円を適用し、子以外の扶養親族を持つ寡婦も、男性の寡夫と同じように所得制限(合計所得金額が500万円以下)が設けられました。

 また、ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者、いわゆる事実婚は対象外となりました。

2.用語の意義(ひとり親、寡婦)

 改正後のひとり親と寡婦は、次のような者をいいます(改正後、寡夫控除はなくなります)。

(1) ひとり親
 ひとり親とは、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない一定の者のうち、①同一生計の子(総所得金額48万円以下)があり、かつ、②本人の合計所得金額が500万円以下で、かつ、③事実婚なしの3要件を満たす者をいいます。

(2) 寡婦
 寡婦とは、夫と離婚した後婚姻をしていない者のうち、①本人の合計所得金額が500万円以下で、かつ、②事実婚なしの2要件を満たす者をいいます。
 また、夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない一定の者のうち、①本人の合計所得金額が500万円以下で、かつ、②事実婚なしの2要件を満たす者をいいます。

3.改正前後の所得控除額

 改正前後の所得控除額は次のようになります。

(1) 本人が女性の場合(改正前)

配偶関係 死別 死別 離別 離別
本人所得 ~500万 500万~ ~500万 500万~
扶養親族 35万 27万 35万 27万
子以外 27万 27万 27万 27万
  27万

 

(2)本人が女性の場合(改正後)

配偶関係 死別 死別 離別 離別 未婚のひとり親
本人所得 ~500万 500万~ ~500万 500万~ ~500万
扶養親族 35万 35万 35万
子以外 27万 27万
  27万

※黄色部分がひとり親控除

(3) 本人が男性の場合(改正前)

配偶関係 死別 死別 離別 離別
本人所得 ~500万 500万~ ~500万 500万~
扶養親族 27万 27万
子以外
 

 

(4) 本人が男性の場合(改正後)

配偶関係 死別 死別 離別 離別 未婚のひとり親
本人所得 ~500万 500万~ ~500万 500万~ ~500万
扶養親族 35万 35万 35万
子以外
 

※黄色部分がひとり親控除

4.適用開始日

 これらの改正は、2020年(令和2年)分以後の所得税について適用されます。具体的には、2020年(令和2年)分以後の年末調整(令和2年分の年末調整については同年中に支払うべき給与等でその最後に支払をする日が同年4月1日以後であるものに限ります※1)及び確定申告※2において適用されます。
 また、月々の源泉徴収においては、2021年(令和3年)1月1日以後に支払うべき給与等及び公的年金等について適用されます。
 そのため、2020年(令和2年)分の源泉徴収事務においては、月々の給与等及び公的年金等に対する源泉徴収では改正前の控除が適用され、年末調整では改正後の控除が適用されることとなります。

※1 死亡退職等により、2020年(令和2年)中に支払うべき給与等でその最後に支払をする日が同年4月1日前であるものに係る年末調整については、改正前の控除が適用されます。

※2 公的年金等の受給者や※1のように改正前の控除が適用される年末調整の対象者
が、2020年(令和2年)分の所得計算において改正後の控除の適用を受けるためには、確定申告をする必要があります。

新型コロナによる地方税の申告期限延長申請の方法

1.地方公共団体共通の様式(eLTAX様式)

 新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに申告等を行うことが困難となるケースが想定されることから、多くの都道府県や指定都市等において、国税と同様に事前の延長申請を求めず、申告の際に、納税者が申告書の余白に「新型コロナウ イルスによる申告・納付期限延長申請」と付記することによって、条例に基づく申告・納付期限の延長を認める扱いが開始されています。

 例えば神戸市(兵庫県)の場合、申告・納付の延長申請理由のやんだ日(法人税と同様に、申告書を作成・提出することが可能となった時点)から10日以内に、書面(窓口・郵送)またはeLTAX(電子申告)の方法により、法人市民税申告書を提出します。
 申告書を書面で提出する場合は、申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載し、申告書をeLTAXで提出する場合は、申告書法人名欄の、法人名称に続けて「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力のうえ、申告します。

 多くの地方公共団体では、申告書を書面で提出する場合は神戸市と同様の方法により延長申請を行いますが、申告書をeLTAXで提出する場合は、神戸市のように名称欄へ付記する方法以外に、住所欄へ付記する方法、法人税申告書のコピーファイルを添付する方法など、各地方公共団体によって延長申請の方法が異なる場合があります。

 このように延長申請の方法が提出先の地方公共団体によって異なっていることや、税務ソフトを用いる場合に指定箇所に付記できない場合 があることなどから、多数の地方公共団体に申告する法人や一定の税務ソフトを利用している法人にとって、利用しづらいケースも想定されます。

 これを受け、地方税共同機構では、利用者がeLTAXで地方税の申告期限延長の手続きを円滑に行うことができるように、申告データに添付して用いる全国の地方公共団体共通の「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請(eLTAX様式)」(Wordファイル)を作成し、eLTAXホームページで公開しています。

2.eLTAX様式の留意点

 eLTAX様式を使用する際の留意点は、次のとおりです。

(1) 全ての地方公共団体に対して添付して送信できます。

(2) eLTAX様式の添付による手続きを利用できるのは、国税(法人税)において、事前の延長申請ではなく、申告書に「新型コロナウイルス感染症による申告・納付期限延長申請」と付記して申告書の提出(電子申告を含む)を行うとともに、地方税の電子申告を同じタイミングで行う法人です。
 国税の申告と異なる時期に地方税の申告を行なおうとする場合は、この eLTAX様式の添付ではなく、地方税の申告期限延長の可否や手続き等について、申告先の地方公共団体における取扱いを確認する必要があります。

(3) この様式を使用できるのは、申告先の地方公共団体が、国税と同様な「申告書への付記」による対応を認めていることが前提となります。
 なお、申告期限及び納期限は、原則として申告書の提出日となります。

(4) この様式を使用して申告期限の延長を申請できる税金の種類は、①法人都道府県民税、②法人事業税、 ③特別法人事業税(又は地方法人特別税)、④法人市町村民税、⑤事業所税です。

(5) 延長申請の手続きは、各地方公共団体が指定した方法によって行うことが原則ですが、この様式を用いると、申告先地方公共団体ごとに記載内容を変える必要がなく、複数団体に対して一括送信することができます。

申告期限延長の特例を受けている法人は個別延長への切替えで利子税が免除される!

1.1か月の延長特例では利子税が発生

 3月決算法人は通常5月末が申告納付期限となりますが、会計監査人の監査を受けなければならないこと等の理由により、各事業年度終了の日の翌日から2月以内にその各事業年度の決算についての定時株主総会が招集されない常況にあるため、申告書の提出期限を1月間(連結事業年度にあっては2月間)延長する特例を受けている法人もあります。

 このような特例を受けている法人(以下、「延長法人」といいます)の申告納付期限は、3月決算法人であれば6月末まで延長されますが、延長された申告書の提出期限までの期間の日数に応じて7.3%を乗じて計算した利子税の納付が必要とされています。
 納付期限までに見込額を納付している場合には、確定額との差額に利子税が生じます。

 延長法人が、例年通りのスケジュールで6月に定時株主総会を開催し、法人税の確定申告も6月末までに終える場合、つまり、これまでと同様に「1か月の延長特例」による申告・納付を行う場合は、コロナ禍とはいえ利子税が発生します。

2.個別延長への切替えで利子税が免除

 一方、新型コロナウイルス感染症の影響など、やむを得ない理由で期限内申告・納付が困難な場合に認められる「個別延長」による申告では、利子税が免除されることになっています。
 見込額を納付していても、申告時に個別延長の手続きを行うことで利子税は生じません。

 申告書の提出日が同じであっても、「1か月の延長特例」と「個別延長」では、申告期限の延長の根拠となる法律が異なるだけで、利子税の納付の有無に差異が生じます。

 しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の影響下においては、「1か月の延長特例」の承認を受けている場合であっても、利子税が免除される「個別延長」に切り替えて申告することができます

 事業年度終了日の翌日から2か月を経過するまでの間に、災害その他やむを得ない理由が生じた場合は、「1か月の延長特例」の適用がないものとみなして「個別延長」を適用できるものとされています。
 そのため、本来は事業年度終了日までに必要な「延長特例の取りやめの届出書」の提出がなくても、「個別延長」による申告が可能となります。

 具体的な手続きは、申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載して提出することで、利子税が免除される「個別延長」による申告として認められます。

新型コロナ対応で中間申告も期限延長できます(延滞税に注意!)

 新型コロナウイルス感染症の影響により、確定申告期限内に法人税や消費税等の申告・納付ができない場合は、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を申告書の余白に付記して提出する個別延長が認められていますが、中間申告期限についても個別延長が認められています。

1.事後提出時に余白に記載で可

 法人税及び消費税の中間申告については、前期の確定した税額から中間申告に係る税額を計算する「通常の中間申告」と、これに代えて、中間期間を一つの事業年度(又は課税期間)とみなして確定申告と同様に法人税額(又は消費税額)を計算する「仮決算による中間申告」があります。

 例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により、当期の業績が悪化しているような場合には、通常の中間申告に代えて、仮決算による中間申告を検討することも考えられます。
 その際に、外出自粛要請の影響など通常の業務体制が維持できないことにより、例えば、① 通常の中間申告に係る納付税額と、仮決算による中間申告に係る納付税額を比較・検討するための準備に時間を要する、② 仮決算による中間申告に係る申告書の作成に時間を要するなど、中間申告書を提出期限までに提出することが困難となる場合が考えられますが、このような場合にも、提出期限の延長(個別延長)が認められます。

 提出期限までに中間申告書を提出することが困難な場合には、中間申告書の提出 ができることとなった時点で、中間申告書の提出の際に、その中間申告書の余白部分に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を記載して提出すれば、事後的に提出期限の延長(個別延長)が認められます

2.納付を先にしないと延滞税がかかる

 確定申告の個別延長と同様に中間申告の個別延長の場合も、申告期限及び納付期限は原則として申告書の提出日となります
 この場合、申告と納付のタイミングがずれる、つまり、会計事務所の申告日が先で関与先様の納付日が後になると延滞税がかかるのかどうか気になりました。

 この点について税務署に問い合わせたところ、基本的には申告と納付は同じ日にしなければならないとのことでした。
 納付日が申告日より先になっても問題はありませんが、納付日が申告日より後になってしまうと、ずれた日数は延滞税の計算対象になるということでした。
 関与先様とよく打ち合わせをして、関与先様から納付の連絡を頂いたうえで、会計事務所は申告をした方がよさそうです。

3.中間申告書が提出不要となる場合

 中間申告書を提出することが困難な状態が確定申告書の提出期限まで続く場合には、その中間申告書の提出は不要となります。つまり、中間申告により納付する法人税及び消費税は生じないこととなります。

 この場合には、確定申告書を提出する際に、確定申告書の余白に、「中間申告書は新型コロナウイルス感染症の影響により提出できなかった」旨を記載して提出します
  なお、所轄税務署から送付される確定申告書に印字されている中間税額には、その生じないこととなる税額が含まれていますので、使用の際には、その生じないこととなる税額相当額を控除した金額に訂正します。

4.中間申告書のみなし提出について

 一方、上記のような事情がなく、中間申告書をその提出期限までに提出することが可能だったにもかかわらず、中間申告書の提出期限までにその提出がなかったときには、その提出期限において通常の中間申告に係る中間申告書の提出があったものとみなされます。
 この場合には、その提出期限において通常の中間申告に係る納付税額が確定します。