印紙の消印方法~意外に知らないことが多い!?

 顧問先様からの質問は多岐にわたります。会計のこと、税務のこと、経営のこと、融資のこと・・・。すぐに答えられるものもあれば、少し時間を頂いて調べてから答えるものもあります。
 先日も「契約書に貼った印紙の消印は、契約書に押した判子と同じものでしなければならないか?」というご質問を受けました。印紙の消印方法・・・?これまであまり考えたことがなく、なんとなく契約書に押印したものと同じ判子で消印していましたが、改めて問われると、本当にそれでいいのか疑問が生じました。
 そこで、調べてみると、国税庁ホームページ(質疑応答事例)に詳細な記載がありました。今回は、その内容を一問一答形式で紹介します。

1.消印する人は文書の作成者に限られるか?

 答えは「否」です。印紙税法施⾏令第5条では、印紙を消す⽅法は、⽂書の作成者⼜は代理⼈、使⽤⼈その他の従業者の印章⼜は署名によることになっています。
 したがって、消印する⼈は⽂書の作成者に限られておらず、作成者、代理⼈、使⽤⼈、従業者でもよいことになっています。

2.契約者が数⼈いる場合には、その全員で消印をしなければいけないか?

 答えは「否」です。消印は印紙の再使⽤を防⽌することを⽬的とするという趣旨のものですから、複数の⼈が共同して作成した⽂書に貼り付けた印紙は、その作成者のうち誰か1⼈の者が消せばよいことになっています。
 例えば、甲と⼄とが共同して作成した契約書については、甲と⼄の双⽅が消印しても甲と⼄のどちらか1⼈が消印しても差し⽀えありません(印紙税法基本通達第64条)。

3.契約書などに押した印で消印しなければならないか?

 答えは「否」です。上記1で見たように、印紙税法施⾏令第5条では、印紙を消す⽅法は、⽂書の作成者⼜は代理⼈、使⽤⼈その他の従業者の印章⼜は署名によることになっています。
 したがって、⽂書の消印は、その⽂書に押した印だけではなく、署名によることもできます。

4.斜線を引いて消印してもいいか?

 答えは「否」です。署名は⾃筆によるのですが、その表⽰は⽒名を表すものでも通称、商号のようなものでも構いません
 しかし、単に「印」と表⽰したり斜線を引いたりしてもそれは印章や署名には当たりませんから、消印したことにはなりません

5.ゴム印でも消印はできるか?

 答えは「正」です。消印は印紙の再使⽤を防⽌するためのものですから、それに使⽤する印章は通常印判といわれているもののほか、⽒名、名称などを表⽰した⽇付印、役職名、名称などを表⽰したゴム印のようなものでも差し⽀えありません(印紙税法基本通達第65条)。

6.鉛筆で消印してもいいか?

 答えは「否」です。印紙税の課税対象となる⽂書に印紙を貼り付けた場合には、その⽂書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっています(印紙税法第8条第2項)。⼀⾒して誰が消印したかが明らかとなる程度に印章を押し⼜
は署名することが必要であり、かつ、通常の⽅法では消印を取り去ることができないことが必要です。
 したがって、鉛筆で署名したもののように簡単に消し去ることができるものは、消印をしたことにはなりません

 これまでなんとなく消印していましたが、調べてみると、知らないことも多かったです。